〇洋館の廊下
セナ（あ、セイラからだ）
セナ「もしもーし」

〇男の子の一人部屋
力丸「セイラです・・・」
力丸「約束してた日、都合が悪くなってしまって」

〇洋館の廊下
セナ「そっか・・・」
セナ「残念・・・」
セナ「・・・うん、また連絡する」
セナ「じゃあ」
ファン「デート、ドタキャンですか？」
セナ「あ!! またお前かよ!!」
ファン「またって何ですか!!」
ファン「いつもいます!!」
セナ（つかれるわ・・・コイツ）
ファン「それにしても、なんで都合悪くなったんでしょうね？」
ファン「セナさんを差し置いて、自分を優先するとは!!」
ファン「許すまじっ!! セイラ!!」
セナ「おいおい、大丈夫かアイツ？」
伊乃里「どうしたの？　疲れた顔ね」
セナ「あ・・・伊乃里」
伊乃里「フフフ・・・　これ、あの子とどうぞ」
セナ「うぉっ!!　これ、どうしたんだよ？」
伊乃里「知り合いからもらったの」
セナ「なかなか手に入んねーんだぜ？」
伊乃里「そうなの？」
セナ「伊乃里は行かないのか？」
伊乃里「甘いの苦手だから」
伊乃里「お酒だったらよかったのに・・・」
セナ「ハハッ」
セナ「サンキュー!!　伊乃里!!」
伊乃里「うーん、いい顔になった」
セナ「何言ってんだ」
セナ「もともとイイ顔だけど？」
伊乃里「はいはい」
伊乃里「では、今日も頑張っていきましょう!!」
セナ「おう!!!!」
伊乃里「あ、それから・・・」
伊乃里「今度の日曜日なんだけど・・・」
セナ「日曜？」
伊乃里「例の、アミューズメントパークのテーマ曲」
セナ「ああ、あれ？　レコーディングいつ？」
伊乃里「まだ先だけど、下見に行こうかと思って」
セナ「あ、日曜に？　いいぜ」
セナ「予定キャンセルになったから」
伊乃里「じゃあ、迎えにいくから」
セナ「了解・・・っと、時間だな」
セナ「行ってくる!!」
伊乃里「ええ、よろしく」
伊乃里（これでホントにいいのかしら？）

〇メリーゴーランド
おかみく「よかった──」
おかみく「晴れ晴れ💕」
力丸「ホントに大丈夫？」
おかみく「まかせなさいって!!」
おかみく「ドーンと!!」
力丸（心配しかないんだが・・・）
おかみく「とりあえず、乗る？」
力丸「え？」
おかみく「え？　じゃあ、観覧車とか？」
力丸「いや、そんな気分じゃ・・・」
おかみく「とりあえず、セナと別れたいんでしょ？」
力丸「・・・・・・よくわからない」
おかみく「はあ？」
おかみく「ここまで来て何言ってんの？」
力丸「なあ、正直に言えばいいだけじゃ・・・」
おかみく「バカっ!!!!」
おかみく「あいつ、怒ったら何するかわかんないのよ？」
おかみく「昔、怒りまくって・・・」
おかみく「家に火つけたって!!!!」
力丸「そんなのデマに決まってる」
おかみく「信じないなら、別にいいわよ」
おかみく「ほら、手!!」
おかみく「つなぐの、早く!!!!!!」
　　しぶしぶ、美紅と手をつないだ──
力丸（あれ？　こんなに美紅と近いのに・・・）
力丸（ドキドキしない・・・）
　　鷹野のことばかり考えていたからか？
　　それとも・・・
力丸（鷹野が来るとしか聞いてないから、不安なのか？）
伊乃里「セイラさん？　美紅さん？」
おかみく「伊乃里さん、こんにちは!!」
セイラ「こんにちは・・・」
伊乃里「偶然ね」
セイラ「今日はどうしたんですか？」
伊乃里「セナのレコーディングのために下見に来たの」
おかみく「セナ？　来てるんですか？」
セイラ（鷹野・・・）
伊乃里「ええ・・・今、ドリンク買ってるのよ」
伊乃里「すぐ来るわ・・・」
　　鷹野が近づいてきた
セナ「セイラ!?」
セイラ「ど、どうも・・・」
セナ「あれ？　なんで？」
おかみく「どうも」
セナ「お前!!」
おかみく「忠告したでしょ？」
おかみく「セイラに深入りするなって」
セナ「は？　いつ？」
おかみく「あんたね、人の話、ちゃんと聞きなさいよ!!!!」
セナ「お前の話なんか聞きたくねーよ」
おかみく「いい子のみんなは『４ グラグラは突然』を読んでね💕」
セナ「誰と話してんだよ💢」
おかみく「あっれー？　あたしの話はイヤなんでしょ？」
セナ「あたりまえだ!!」
セイラ「あのね・・・鷹野くん・・・」
セナ「セイラ・・・」
おかみく「あたし、セイラと付き合ってるの!!」
セナ「は？」
セナ「・・・・・・お前」
おかみく「だから、今後一切、セイラとは連絡しないで!!」
おかみく「わかった？」
セナ「・・・・・・お前っ!!!!」
セナ「ふざけんな!!」
おかみく「ふざけてない!!」
セナ「・・・・・・クッ」
おかみく「私たち、愛し合ってるの」
おかみく「あんたの出る幕は無いんだからね!!」
　　セナがチラッと伊乃里さんを見た──
セイラ（もしかして、鷹野は・・・美紅たちのこと）
セナ「お前は、それでいいのかよ!!」
セナ「伊乃里っ!!」
　　伊乃里さん・・・苦しそう──
伊乃里「なんで、私？」
セナ「なあ・・・オレ、やっぱお前キライだわ」
　　鷹野が美紅の腕をつかんだ──
セナ「自分の大事な人に、こんな表情させるとか」
セナ「サイテーだ!!」
セナ「伊乃里もなんか言え!!」
セナ「なんで、私がいるのにセイラと付き合ってるのって怒れよ!!!!!!」
おかみく「な、なによそれ・・・」
セナ「お前、伊乃里と付き合ってんだろうが!!!!」
セイラ「た、鷹野くん!?　やめて!!!!」
　　鷹野に突き飛ばされた──
おかみく「大丈夫？　セイラ!?」
　　尻もちをついた時、手のひらを怪我してしまった──
おかみく「ちょっと、女の子怪我させてどうすんのよ!?」
セナ「女？　そういう時だけ被害者ぶりやがって!!」
おかみく「力の差があるでしょ？」
セナ「うるせぇ!!!!!!　もういい!!!!!!」
セナ「お前も、セイラも、うんざりだっ!!!!!!!!」
セイラ（鷹野・・・）
伊乃里「バレてたのね、私たちのコト」
伊乃里「どうするのよ？」
おかみく「ま、これでセイラには連絡しないでしょ？」
おかみく「無事、一件落着？」
伊乃里「に、見える？　荒れるわよ」
おかみく「伊乃里さん、ファイティン💕」
伊乃里「覚えておきなさい、こき使うから!!!!」
おかみく「おーい、力丸？」
おかみく「大丈夫？」
セイラ「ああ・・・」
セイラ（そうは言ったものの、なぜこんなにもやもやするんだ・・・）
　　美紅と手をつないだときよりも──
　　ケガをした手のひらの方が
　　燃えるように熱かった・・・
　　つづく