オーロラ姫よりオラオラ姫を選んだ王子の結論

ふゆ

11.姫の眠りを醒ますのは王子様の○○だけ(脚本)

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〇華やかな裏庭
オーロラ姫「お姉さまあ!」
オラオラ姫「おお、オーロラよ」
オラオラ姫「今日は婚約式だな。おめでとう!」
オーロラ姫「ありがとう!」
オーロラ姫「王妃教育を受けて半年」
オーロラ姫「私でも立派な王妃になれるかしら?」
オラオラ姫「お前なら、大丈夫だ」
オラオラ姫「困ったことがあったら言ってくれ 私はいつでもお前の味方だ」
オラオラ姫「ヴィクトルもな」
オラオラ姫「きっとお前の力になってくれる」
「・・・・・・・・・」
オラオラ姫「どうした?」
オーロラ姫「・・・ううん」
オーロラ姫「なんでもないわ」
オーロラ姫「お姉さまには、幸せになってほしかったな」
オラオラ姫「こっちのセリフだ」

〇ファンタジーの学園
オーロラ姫「ね、昨夜眠れなくて、本を読んでいたの」
オーロラ姫「お姉さまがよく読んでくれていた絵本」
オーロラ姫「人は死んだらね。星になるの」
オーロラ姫「愛する人が来るまで動かないで、 空で待ってるんですって」
オーロラ姫「ずっと一緒だよって、輝いてるんですって」
オラオラ姫「・・・・・・」
メイド「あははっ、もう、アンドレ様ったら」
アンドレ「昨夜の君は素敵だった。じゃ、また後でね」
アンドレ「あ」
「・・・・・・・・・」
メイド「し、失礼します!」
アンドレ「やあ、こんな朝に姉妹揃って散歩かい?」
オラオラ姫「貴様、まさか、」
オラオラ姫「婚約式の前日に、うちの侍女に手を出したのか?」
オラオラ姫「いくらなんでも非礼がすぎる!」
オーロラ姫「嫌だわ。お姉さまったら」
オーロラ姫「どうでもいいことではありませんか」
オラオラ姫「オーロラ・・・!」
オーロラ姫「私だって、誇りを失いたくない」
  そうにっこり笑って
  背筋を伸ばしたオーロラの声は震えていた
オラオラ姫「・・・・・・!」
スパイクレット国王「何の騒ぎだ」
スパイクレット国王「オーラ、その剣はなんだ」
スパイクレット国王「・・・・・・お前は今日は自室にいなさい 婚約式には出なくていい」
オラオラ姫「え・・・!」
スパイクレット国王「今のお前は何をするか分からん」
スパイクレット国王「統合国にとって、大事な日なのだ」
スパイクレット国王「ワシだって、お前の呪いの真実を知った時は、一度は開戦を決意したさ」
スパイクレット国王「だが」
スパイクレット国王「命を賭して、お前を守ろうとした、 あの若者のことを知ったら・・・」
スパイクレット国王「彼の気持ちを無駄にする気か?」
スパイクレット国王「お前も堪えなさい」
オラオラ姫「お父様、彼のことを認めてくれたのですね」
オラオラ姫「きっと喜びますよ」
オラオラ姫「でも、彼だって同じように怒ると思います!」
スパイクレット国王「・・・・・・」
スパイクレット国王「あの子が乗り越えられるのは・・・」
スパイクレット国王「いつになるんだろうな・・・」
オーロラ姫「・・・・・・」

〇洋館の廊下
オラオラ姫「・・・・・・」
メイド「あ、どこへ行くんです。オーラ姫さま──」
執事「ちょ、ちょっと ああ、君は入ったばかりだったね」
執事「姫様があちらに行く時は止めてはいけません」

〇貴族の部屋
祈祷師「ふんっ」
オラオラ姫「どうだ?」
祈祷師「もう少しです。姫様!」
祈祷師「彼は必ず目を醒まします」
祈祷師「fndobnaflda──」
祈祷師「lfnkdfndk vjdkvkd!!!」
オラオラ姫「・・・もういい。下がれ」
オラオラ姫(前に見た魔法と全然違う)
オラオラ姫(また偽物だったか)
オラオラ姫「この半年、魔法を調べては試したが・・・」
オラオラ姫「婚約式には、間に合わなかったな・・・」
「ヴィクトル・・・」
ヴィクトル「髪伸びたな」
オラオラ姫「そろそろ切るか」
オラオラ姫「よし、大分上手くなっただろ?」
オラオラ姫「・・・・・・」
オラオラ姫「独りで喋るのも」
  マレフィセント国王は彼を私に預けてくれた
  あの人なりの謝罪なのかもしれない
オラオラ姫「・・・お前に、私の肖像画を送った時、」
オラオラ姫「私は、もしかしたら、 助けを求めてたのかもしれないな」
オラオラ姫「会ったこともない、王子様に」
オラオラ姫「まさか、本当に来てくれるなんて、思うか?」
オラオラ姫「どうして今度は助けてくれない?」
オラオラ姫「お願いだ」
オラオラ姫「目を開けてくれ」
オラオラ姫「ん?」
オラオラ姫「あ」
オラオラ姫「あああっ」
  宙に四散していく彼の体
  天上に広がった煌きが消えていくのを
  私はただ見ていることしかできなかった
オラオラ姫「・・・っ!」
オラオラ姫「う・・・」
オーラ姫「あ・・・」
オーラ姫「・・・戻った」
  癒しの魔法は、
  寿命を迎えた体には届かないのだという
オーラ姫「し」
オーラ姫「死んだ・・・のか?彼は」
オーラ姫「ヴィ・・・・・・」
オーラ姫「う・・・嘘だあっ、こっ、こんなの、おっ」
オーラ姫「女に戻ったってっ、お、お前が、いなっ」
  分かっていた
  王子様はいない
  私を助けてくれる王子様はもうどこにもいない
オーラ姫「い」
オーラ姫「妹を助けなきゃ・・・!」
オーラ姫「自分で何とかしなきゃ・・・!」
オーラ姫(お前がくれたこの姿、絶対に無駄にしない!)

〇教会の中
立会人「それでは、ここにサインを」
立会人「オーロラ姫様・・・?」
オーロラ姫「はあ」
オーロラ姫「むしろしていいんですか、って 感じなんですけど」
オーロラ姫「だって、ちょっと考えてみてよ」
オーロラ姫「オーロラ・アンドレ夫妻よ? あなたどう思う?」
オーロラ姫「ねえ、もうぶっちゃけちゃいましょ?」
オーロラ姫「私たち、本当に国を導けると思う?」
アンドレ「優秀な側近いっぱい探せばいいよ」
オーロラ姫「・・・なるほど、その手があったか」
「・・・・・・」
アンドレ「いざとなったら、 新大陸に統一国を委ねればいい」
オーロラ姫「は?」
アンドレ「国の形なんてこだわるからいけない」
オーロラ姫「・・・・・・」
オーロラ姫「新大陸の人たちは、私たちの国のことなんて どうでもいいと思うんだけど・・・」
オーロラ姫「その人たちに任せたら、 国を好きなようにされちゃうんじゃない?」
アンドレ「その時はその時だよ」
アンドレ「それが皆の運命だったんだ」
オーロラ姫「・・・えっと」
オーロラ姫「どうしよう、駄目だ、この人」
アンドレ「駄目だと思うなら、君が何とかするんだね」
アンドレ「僕、あんまり王宮にいないと思うからさ 政務とか任せたよ」
オーロラ姫「・・・・・・」
オーラ「オラァッ!」
オーラ姫「オーラ、姿が、戻りました!」
オーラ姫「正当な王妃候補は、私のはずです!」
スパイクレット国王「オーラ・・・戻ったのか!?」
スパイクレット国王「オーロラによく似て・・・ 凛としてなんと美しい」
「・・・っ」
オーラ姫「二人とも。泣くのは後です 婚約者を私に変更してください」
スパイクレット国王「いや、しかしお前、当日に」
オーラ姫「まだ婚約式です 結婚式のような公式行事ではありません」
アンドレ「僕は構わないよ」
アンドレ「君の方が、 あいつから奪ってやったって感じするし♪」
オーラ姫「・・・・・・!」
オーロラ姫「お姉さま」
オーラ姫「お前は、下がっていなさい」
オーラ姫「では署名を」
アンドレ「震えてる」
アンドレ「君が戻ったってことは、 あいつは体も死んだってことかい?」
オーラ姫「・・・・・・っ」
アンドレ「かわいそうに」
アンドレ「・・・ゆっくり、慰めてあげるからね」
オーラ姫「・・・署名しました」
アンドレ「これで君は正式に僕のものだね」
オーロラ姫「・・・・・・!」
オーロラ姫「なんであんたなのよ」
オーラ姫「オーロラ!」
オーロラ姫「みんな、ヴィクトル王子がいいって、 言ってたのに」
アンドレ「僕はね」
アンドレ「二度とその名前の奴と比べられないために」
アンドレ「生涯一度きりの努力をしたんだよ」
オーラ姫「やめっ」
オーラ姫「え?」

〇西洋の城

〇教会の中
???「王女に手を上げるとはね」
レオポルド「呆れたものですな」
オーロラ姫「あ、あなたは!元ロースト!?」
レオポルド「ええまあ」
レオポルド「もうすぐ、私も寿命なんでね」
レオポルド「ご挨拶と、彼をご紹介に来ました」
レオポルド「おや、オーラ姫、お綺麗になられて何より」
レオポルド「殿下が命を落とした甲斐がありますな ハハハ!」
オーラ姫「・・・・・・!」
レオポルド「はいはい」
レオポルド「さて、とくとご説明しましょう。あの時・・」
レオポルド「殿下が、本当は何を仕掛けたのか!」
マレフィセント国王「仕掛けた、だと?」
レオポルド「ええ」
レオポルド「殿下は残り寿命の全てをかけて、 召喚魔法を使ったのです──」
レオポルド「それが唯一の『死ぬ方法』でしたからな」
レオポルド「時限式にしたので、発動は半年後でしたが」
オーラ姫(だから、さっき彼の体が消えたのか)
レオポルド「というわけで、 新しく召喚された使い魔くんです」
レオポルド「愚かな王族どもを統治するために」
レオポルド「はるばる魔界からやってきましたぞ!」

〇教会の中
「支配・・・?」
レオポルド「はい、では新・使い魔くんから一言どうぞ」
使い魔「ギヒッ」
使い魔「まずは国王共、我の傀儡となる宣言」
使い魔「次に、王位継承の資格ある者」
使い魔「全員王家から追放宣言ギヒヒッ」
アンドレ「冗談じゃ──!」
使い魔「勝手に発言したら、死刑宣言 ギヒッヒッヒッヒッ」
アンドレ「・・・・・・っ!」
レオポルド「はははっ、とんだ害虫野郎が来ましたな!」
レオポルド「殿下の王家への絶望具合が分かりますぞ!」
レオポルド「ふははははっ・・・・・・ん?」
レオポルド「オーラ姫?」
オーラ姫「・・・・・・」
オーロラ姫「お姉さま!駄目!」
使い魔「処刑?ギヒッ」
オーラ姫「・・・喋ってる」
レオポルド「は?」
オーラ姫「魔術のことは色々調べたんだ」
オーラ姫「魔物は人語を操らない」
オーラ姫「元人間の魔物は別」
レオポルド「・・・・・・!」
オーラ姫「あ、」
オーラ姫「あなたはまさか」
使い魔「処刑処刑処刑ギヒヒヒヒヒッ」
オーラ姫「あなたの名前は」
オーラ姫「ヴィクトル!」
オーロラ姫「ふえ・・・?」
「・・・・・・・・・!」
ヴィクトル「・・・・・・」
ヴィクトル「や、やあ、久しぶり」
レオポルド「ぷっ、くくくっ」
レオポルド「あはははは! ギヒとか言っちゃってたのバレてる!」
ヴィクトル「笑うな!」
レオポルド「だ、だって、ま、まさか即鍵を解かれるとは」
レオポルド「何のために悪役的な登場にしたのか、くくく」
レオポルド「殿下が、ロマンティックな鍵をかけるからですぞ?」
オーロラ姫「ね、ねえ、本当にヴィクトル王子なの?」
レオポルド「はい」
レオポルド「王子ではなく、使い魔ヴィクトルですかね?」
マレフィセント国王「使い魔、だと!? ヴィクトル、お前、まさか」
ヴィクトル「・・・・・・」
ヴィクトル「『最強の魔物を召喚しろ』と魔法をかけた」
ヴィクトル「半年で、俺が最強の魔物になるしかない」
マレフィセント国王「自分で自分を冥界から召喚したのか・・・! なんという」
アンドレ「嘘だろ・・・」
オーロラ姫「・・・・・・」
オーロラ姫「え、本物?」
ヴィクトル「殴ったって分かんないなら最初からするなよ!」
オーロラ姫「そ・・・」
オーロラ姫「それなら、なんで」
オーロラ姫「お姉さまが、どれだけ・・・!」
ヴィクトル「・・・・・・」
ヴィクトル「俺はもう人間じゃない」
ヴィクトル「爵位と財産を与えるから」
ヴィクトル「王家から出て好きなように生きればいい」
オーラ姫「オ、オーロラ!やめなさい!」
オーロラ姫「散々私よりお姉さま選んどいてそれ!?」
ヴィクトル「あ、やっぱり、気にしてたか? すまん」
オーロラ姫「いいわよ別に それよりお姉さまが、他の男とくっついてもいいのね!?」
ヴィクトル「どうでもいい」
オーロラ姫「そんなあ・・・」
ヴィクトル「なんでお前が泣くんだよ!」
オーロラ姫「素敵な恋のエンディングがこれじゃいやぁ」
オーロラ姫「・・・・・・」
オーロラ姫「知らないでしょ」
オーロラ姫「もう少しで、お姉さまをお医者さまに 診せるところだったんだからね!」
オーロラ姫「あなたが死んだと思って、 ちょっとおかしくなってたんだから!」
ヴィクトル「・・・・・・」
オーラ姫「いいんだ。オーロラ」
オーラ姫「ヴィクトルが生きてるだけで・・・ 私は・・・」
オーラ姫「彼の言う通りにしよう」
オーラ姫「マレフィセント国王陛下も、お父さまも、 いいですね?」
オーラ姫「最強の魔物と戦って犠牲を払うよりは」
オーラ姫「元来継承権のあった彼に任せる方が 良いかと思いますが?」
スパイクレット国王「むぅ」
マレフィセント国王「ワシは構いませんぞ」
マレフィセント国王「紛れもなく勝者の息子に任せ、 早めの引退といたしましょう」
スパイクレット国王「・・・仕方ない。その方向で考えるとしよう」
オーラ姫「私たちは貴族として王家を支えよう」
オーラ姫「オーロラは望み通りになって良かったな!」
オーロラ姫「お姉さま・・・いいの?」
オーラ姫「アンドレ。とりあえずこれはナシな」
オーラ姫「でもお前を鍛え直して立派な漢にしてやる」
オーラ姫「正式に結婚するかどうかは、それからだ」
アンドレ「オラオラちゃん・・・君って人は・・・」
ヴィクトル「・・・・・・」
ヴィクトル「・・・夫婦ごっこは」
ヴィクトル「どこか他でやれ」

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コメント

  • 遅ればせながら完結お疲れ様でした!
    先ずはハッピーエンドで良かったー🥹姿を戻す方法は○○なんてキュン死にしちゃいますよ!オラオラ姫やヴィクトルを始めローストを含め脇役達の物語までしっかりと練り込まれていて楽しく読ませていただきました!

  • おもしろかったです!
    途中であんなに息苦しい展開になったのに、最後ここまでのハッピーエンドとは!
    見事でした!!

  • あーー、最後の最後まですごく面白かったです!
    オラオラちゃんの健気な想いがすごくすごく可愛かったし、王子様の○○か鍵だなんて、おとぎ話みたいでロマンチックで最高でした!
    もうね、すごい、好き!(興奮してます😆)
    完結お疲れ様でした&素敵な物語を届けてくださりありがとうございました!!!

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