転生したら不倫して私を殺した元夫の娘になってた

セーイチ

第八話(脚本)

転生したら不倫して私を殺した元夫の娘になってた

セーイチ

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〇集中治療室
田辺「お疲れ」
八千流「・・・どうも」
田辺「毎日ご苦労様」
八千流「何かわかりましたか?」
田辺「あぁ・・・」
田辺「・・・」
八千流「覚悟は出来てます」
八千流「もちろん、情報漏洩を強要するつもりはありませんが」
田辺「・・・いや、君には伝えるべきだろう」
田辺「司法解剖の結果、注射は亡くなる少し前に射たれた事がわかった」
田辺「聞き込みと防犯カメラから、事故当夜にお父さんと岡島が会ってある事はわかってるから」
田辺「岡島による犯行の可能性は更に高まったと言って良い」
田辺「そして自室のPCから、削除メールの復元に成功した」
田辺「有ったよ、横領の決定的なやり取りが」
八千流「・・・」
田辺「ただ、主犯はお父さんじゃない」
田辺「以前言ってた反社とも直接の関わり合いはなさそうだ」
八千流「じゃあ、主犯は岡島って人ですか?」
田辺「現時点では恐らく、としか言えない」
八千流「桐谷さんは?」
田辺「彼女は以前、お父さんと同じ会社に居たんだ」
田辺「その時に話を持ち掛けられたようだね」
田辺「まぁ、岡島を搾り上げれば真相は見えてくるだろう」
八千流「そうですか・・・」
田辺「今は現実を直視するのも辛いかもしれない」
田辺「でも岡島には反社だけじゃない、地元の県会議員の影もちらついてる」
田辺「コレは前に言った贈収賄絡みでね」
田辺「君のお父さんと直接関わりは無いが、明るみに出れば注目は集まる」
田辺「今後の事は考えておいた方が良い」
八千流「遺族が好奇の目に晒される、って事ですか?」
田辺「我々警察としては、遺憾としか言いようがないんだが・・・」
八千流「いえ、お気遣い感謝します」
八千流「それで、お父さんが不正に取得したお金は見付かりましたか?」
田辺「いや、今の所は隠し口座等も見付かっていないな」
田辺「因みに、心当たりはある?」
八千流「残念ながら・・・」
田辺「そっか」
八千流「・・・」
田辺「・・・」
八千流「それじゃあ、私は帰ります」
田辺「ああ、また何かあったら相談に乗るよ」
八千流「・・・」
八千流「それなら、一つお願いしたい事があるんですが・・・」
田辺「何かな?」
八千流「・・・」
田辺「・・・」
田辺「わかった、早急に調べてみよう」
八千流「お願いします」

〇一軒家
美琴「八千流ちゃん・・・」
八千流「美琴」
八千流「どうしたの?今日は学校でしょ?」
美琴「ごめんなさい」
八千流「何で謝るのさ」
美琴「八千流ちゃんが心配で・・・」
八千流「美琴が心配する事なんて無いよ」
美琴「だって八千流ちゃん・・・最近ずっと笑ってないし・・・」
八千流「そんな事ないよ、今だって・・・」
美琴「笑ってないよ、ずっと泣いてる・・・」
八千流「・・・」
美琴「お願い、八千流ちゃん・・・ドコにも行かないで・・・」
八千流「美琴・・・」
八千流「大丈夫、私はどこにも行かないよ」
美琴「ホント?」
八千流「うん、ホント」
美琴「・・・」
美琴「わかった、信じる」
八千流「ありがと」
美琴「また遊ぼうね」
八千流「もちろん!」
八千流「ありがとう、美琴」

〇本棚のある部屋
京華「ただいま」
八千流「・・・おかえりなさい」
京華「何やってたの?」
八千流「ちょっと探し物・・・」
京華「そう」
京華「でも、もう家に事件の証拠なんて無いよ」
八千流「・・・」
八千流「何で事件の証拠を探してると思ったの?」
京華「母親は子供の事なら何でも知ってるの」
京華「八千流が、ここ最近ずっと家探ししてる事も」
京華「誰かと電話で事件の話をしてる事も」
八千流「・・・」
京華「八千流には言ってなかったけど、防犯の為に家中にカメラを設置してあるの」
京華「だから留守中の様子も全部把握してるのよ」
八千流「・・・私には、じゃないよね」
八千流「お父さんにも、お祖父ちゃん達にも言ってないんだよね」
京華「八千流は本当に賢い子ね」
京華「ねぇ」
京華「アナタ、何者なの?」
八千流「・・・八千流だよ」
京華「そうよね、私がお腹を痛めて産んだ可愛い一人娘」
京華「そのはずなのにね、最近のアナタは別人に見えるの」
京華「見た目は八千流の筈なのに」
京華「ねぇ、アナタは誰なの?」
京華「何を調べているの?」
八千流「・・・」
八千流「・・・お母さんが犯人なんだよね」
八千流「証拠もお母さんが処分したんだよね?」
京華「・・・何の事?」
八千流「お父さんに横領を指南したのも・・・」
八千流「お父さんの事故や、遠野工業の火事を手引きしたのも・・・」
八千流「全部お母さんなんだよね!!」
京華「・・・どうして、そう思うの?」
八千流「これは物置の釣り道具から見つけたメモ」
八千流「「S85-86L」って書いてあるの」
京華「聞き覚えないわね、何かのパスワードかしら?」
八千流「品番だよ」
京華「品番?」
八千流「そう、釣り竿のね」
八千流「その釣り竿の中に、この手紙が入ってたの」
八千流「知ってる?釣り竿って中が空洞になってる物が多い事」
京華「さあ・・・釣りには興味ないから」
八千流「だよね、私も聞かされてなければ思い付かなかったし、気付けなかった」

〇豪華なリビングダイニング
優「コレが最新モデルでさ、カーボン製なんだけど・・・」
瑠衣「ふ~ん・・・」

〇本棚のある部屋
京華「それで、何の手紙なの?」
八千流「お父さんからの手紙」
八千流「いや遺書かな」
八千流「ただし、9年以上前の・・・」

〇豪華なリビングダイニング
優「瑠衣」
優「すまない」
優「俺にはもう選べる道が無い」
優「お前と一緒に歩いて行く未来はない」
優「せめて俺が死ぬ事で、少しでもお前にお金を残せればと思う」
優「どうかその金で、幸せになって欲しい」
優「そして俺の事は忘れて欲しい」
優「今までありがとう」
優「俺は、瑠衣の幸せだけを祈っている」

〇本棚のある部屋
京華「・・・意味が分からない」
八千流「私も初めは意味不明だった」
八千流「コレはお父さんの前妻、明石瑠衣に宛てられた物」
京華「・・・」
八千流「明石瑠衣は、水難事故で死亡してる」
八千流「なのにコノ手紙は、どう読んでもお父さんが死んだかの様な内容」
八千流「つまり、その水難事故で死亡するのはお父さんの筈だった」
八千流「少なくとも、お父さんの中では」

〇湖畔
優「はは、ははははははっ!!」
優「これで・・・これで俺は・・・」
優「もう、アイツから逃げられない・・・」
優「死ぬ事も出来ない・・・」
  俺は・・・俺はぁ!!!!

〇本棚のある部屋
八千流「お祖母ちゃんに当時の事を聞いたよ」
八千流「事故の後、お父さんは正気じゃなかったってね」
八千流「急に笑い出したり、怒ったり、叫んだり、泣いたり・・・」
八千流「それ以来、服用してた精神安定剤の量も増えたって」
京華「薬の事まで知ってるのね・・・」
京華「まぁ、それだけ愛していたんでしょう・・・瑠衣さんの事を」
八千流「それだけ?」
京華「それ以外に何があるの?」
八千流「これは、お母さんとお父さんの写真」
八千流「時期は水難事故の前・・・」
京華「八千流、変な勘繰りはやめなさい」
京華「そう言った話、アナタにはまだ早いわ」
八千流「そうだね、不倫話なんて家族で出来ないよね」
八千流「じゃあ、何でこんな写真をアルバムに入れてるの?」
京華「それは二人の思い出だから・・・」
八千流「お父さんに忘れさせない為だよね、当時の負い目を」
京華「話が見えないわ・・・」
八千流「お父さんは、昔から精神疾患を患っていたんだよね」
八千流「特に周りから批判されたり、否定されたり、拒絶される事を極端に恐れてた」
京華「・・・それで?」
八千流「この写真を常に見られる場所に置いておく事で、お父さんにプレッシャーを与えてたんじゃない?」
京華「何で私が、そんな事を・・・」
八千流「お父さんを支配する為に」
八千流「お父さんは自分のせいで前妻を死なせたと思っている」
八千流「自分が死ぬつもりだったとは言え故意に船を転覆させてるし、過失致死とも言える」
八千流「思い出せば激しく動揺する」
八千流「しかもその事故が、お母さんとの不貞を切っ掛けとしたモノだったら?」
京華「・・・」
八千流「お父さんって、お母さんに頭が上がらなかったよね」
京華「そんな夫婦、珍しくもないわ」
八千流「そうだね」
八千流「実際、私も気にしなかった」
八千流「でも、他の家庭とは違う」
八千流「お父さんはお母さんに支配されていてたから反抗出来なかった」
京華「・・・」
八千流「お母さん達は会社の同期だったけど、実質お母さん方が上だったんだよね」
京華「どこでそんな話を・・・」
八千流「弔問に来た会社の人達に聞いた」
京華「そう・・・」
京華「私は学生時代に多くの資格を取ってたから」
京華「同期の人より、重要な立場を任される事が多かったの」
八千流「だから同期だけど、お父さんにとって上司に近い立場だった」
八千流「お母さんは、お父さんを支える様に立ち回った」
八千流「仕事で問題があれば、すぐにフォローに回り、ちょっとした事でも相談に乗ってた」
八千流「やがて、お父さんにとってなくてはならない存在となった」
八千流「その頃から始まってたんでしょ?お父さんへの支配が」

〇豪華なリビングダイニング
  思い出した
  どうして不倫が発覚した後、私が優と京華を責められなかったか

〇湖畔
  なぜ興味のない釣りに付き合ったのか

〇モヤモヤ
  私も知っていたからだ
  優の心の脆さを
  そして、職場で京華に支えられていた事を
  だから責められなかった
  だから二人の関係を見てみぬふりして、私は私が出来る事をしようと思った

〇本棚のある部屋
八千流「そうして、お父さんを自分の思うがままに操っていた」
八千流「一連の事件」
八千流「裏で糸を引いていたのは、お母さんだよね?」
京華「・・・」
京華「・・・ふ」
京華「面白いわね」
八千流「・・・」

〇モヤモヤ
  背筋が凍った
  今まで幾度となく見てきた母の笑顔が、とてつもなく悍ましく見えた・・・
  これが母の・・・
  これが、明石京華の素顔なのか・・・

次のエピソード:第九話

コメント

  • 監視カメラですか。携帯を親がモニタリングしてて道哉とのやり取りから全部バレているものだと思いました。
    例え親でも自分の子でないと認識すれば殺意が芽生えるのか、次回気になりますね。
    八千流はどうして危険と思わずに種明かしをしたのか、下準備がされているのかも気になるところです。次見ます。

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