先輩の思惑と私の思惑(脚本)
〇一人部屋(車いす無し)
珠璃の家。
山本珠璃「行ってきます」
今日も彼女は出発した。怒りのオーラを隠しつつ。
〇オフィスのフロア
森薫「おはようございます」
氷川純也「おはよう」
その時、足音がした。
森薫「先輩でしょうか?」
氷川純也「そうだとしたら危険だ。目を合わせるなよ」
珠璃が来たので、目を合わせないようにする薫。
山本珠璃「おはようございます」
倉田俊成「おはよう」
珠璃は普通に仕事を始めた。
〇ファストフード店の席
昼食の時だった。
上司「すなわち、山本くんとは距離を置きたいわけだね?」
森薫「だから、私は先輩を避けるようにしてるんです」
上司「それなら、席を変えてみるのはいかがだろうか?私からも勧めてみるよ」
森薫「なるほど。そうしてみます」
薫は、先輩の視界に入らないようなエリアで仕事をすることにした。
〇オフィスのフロア
その日の午後。
森薫「すみません、ちょっと配置替えを検討してくれませんか?」
倉田俊成「どうしてかな?」
森薫「山本先輩と距離を置きたいんですよ」
倉田俊成「そうか。それなら、この部屋の一番奥の机を使うといい」
森薫「確かに、あそこの机は空席だから安心ですね」
倉田俊成「それなら山本くんと距離を置けるね」
こうして、机の配置変更が認められ、薫は安堵の笑みを浮かべた。
森薫「机の配置を変えるだけでも、気持ちが変わるわね」
薫は安心した。
山本珠璃(変だわ。あの子、まさか異動に!?)
森薫(山本先輩と隔離できて安心したわ)
〇アパートの台所
その夜。
森薫「これで一安心ね」
森薫「LINEが来てるわ! 私の同級生からだわ!」
「元気?」
森薫「こっちは元気よ」
「今度みんなで集まらない?」
森薫「いいわね!」
「場所は駅前よ」
森薫「わかったわ」
森薫は、かつての同級生と会う約束を交わした。
森薫(次の祝日が楽しみね!)
〇オフィスのフロア
次の日。
森薫「実は、今度の休みの日に、かつての同級生と集まることになったんですよ、先輩」
氷川純也「それはよかったな」
会社の同僚「俺も昔からの友達は結構いる。恩師とも交流を続けてる」
氷川純也「先輩らしいですね」
会社の同僚「まあね」
すると、足音がした。
山本珠璃「おはよう」
ひとまず挨拶をした薫たち。
氷川純也「しばらく注視したした方がいいね、先輩の動き」
森薫「そうします」
先輩の助言に従う薫。
〇繁華な通り
休日になった。
森薫「久しぶりね、みんな」
薫の旧友「薫、お前もすっかり変わったもんだねぇ」
薫の旧友「高校生だった私たちもこんなに立派になったわね」
薫の旧友「僕なんか母校の日本史の先生だよ」
薫の旧友「びっくりしたわ」
森薫「実は、私、バス会社に就職したんだけど、実はあこがれてた先輩と一緒なのよ」
薫の旧友「すごいねぇ。山本先輩はああ見えて優秀だったからねぇ」
森薫「実は、その山本先輩が、冷たいの、私に」
薫の旧友「なぜだ?」
森薫「何でも、先輩の家族を殺したのが私の親戚だとか何とかで、私を殺そうとしてるの」
薫の旧友「ひどいな。僕、先輩の連絡先知ってるぜ。警察には相談したのかい?」
森薫「したわ」
薫の旧友「何かあったら、僕らにいいなよ」
〇一人部屋(車いす無し)
その頃、珠璃は自室でくつろいでいた。
山本珠璃「何かしら?」
スマホをチェックする珠璃。
山本珠璃「私の後輩からだわ!あの子、周囲に話してたのね!許せないわ!」
彼女の怒りのオーラは、日に日に増大していく。珠璃の暴走を、薫たちは阻止できるのか?