エピソード1(脚本)
〇学校の下駄箱
広瀬弓月「メイちゃんが好きです」
佐伯メイ「お大事に」
広瀬弓月「そのセリフは良くないね!! 本当に良くないよ!!」
この男、これでも我が高校の王子
(と、かつて言われていた)
男である。
それが今や
世良ユキコ「口を開くと残念だよね〜」
???「黙ってたらいいのに〜」
???「黙ってろよイケメン」
と、言われる始末だ。
今は私の下駄箱の前で
ハグ待ちポーズをしている。
邪魔だ。
佐伯メイ「靴取りたいんで、どいてくれません?」
広瀬弓月「おはようのぎゅーは?」
佐伯メイ「どいてください」
広瀬弓月「おは」
佐伯メイ「どけ」
広瀬弓月「敬語じゃなくなった!」
邪魔な先輩をどかして上履きを出す。
ちなみに、
学年の王子と呼ばれていた男を
邪険に扱う私が
女の先輩からいじめられる!
・・・・・・なんてことはなかった。
初期はそれを警戒していたが、
連日疲れ切ってため息を吐く私に
同情が集まっていた。
未開封ペットボトルを
そっと置いていく人までいる。
お供えじゃないんだから。
広瀬弓月「ふふーん♪」
佐伯メイ「何ですか気持ち悪い」
広瀬弓月「俺は諦めないから!」
佐伯メイ「はい?」
広瀬弓月「1年経ってもその調子だったら、 付き合いますって言ってたもんね!」
佐伯メイ「違います。 一年経っても私が好きにならなければ諦めてくださいと言ったんです」
広瀬弓月「今は二学期!余裕だね!」
佐伯メイ「割とピンチですよ」
一学期の間ほぼ毎日
振られ続けているのを
忘れているのだろうか。
広瀬弓月「また明日来るから!」
佐伯メイ「来なくていいです」
広瀬弓月「またまた〜、 俺が来ないと朝は始まらないでしょ?」
佐伯メイ「あなたがいようがいまいが、太陽は登ります」
広瀬弓月「強がらなくていいんだよ〜!!じゃ!」
佐伯メイ「・・・・・・・・・・・・」
〇学校の廊下
毎朝毎朝元気だ。
しかしこの先輩、こう見えて弁えている。
私が遅刻するまでしゃべるようなことはもちろんないし、来るのは朝だけでそこからは全く絡みにこない。
たまたますれ違ったら全力で手を振られるが、そのくらいだ。
これがなんだかんだ、あの先輩を憎めない理由になっている。
アプローチという面では引くことを全く覚えない人だが、決して過剰に押しすぎない人なのだ。
要するに、引き際を弁えている。
〇教室
世良ユキコ「おはよ。今日も熱烈だったね」
教室に入るなり言われるセリフ。
入学当初はからかい全開だったが、二学期にもなれば普通の挨拶のトーンと同じになる。
佐伯メイ「ね。本当によく飽きないよね」
世良ユキコ「そんなこと言ってさ〜 嫌いじゃないんでしょ? 付き合っちゃえばいいのに」
ユキコは自身も言い飽きているであろうセリフを繰り出してきた。
佐伯メイ「私は恋人がいるからさ・・・・・・」
- このエピソードを読むには
会員登録/ログインが必要です! - 会員登録する(無料)