ひとり選んで■■してください

木澤有希子

第二話 ペナルティ(脚本)

ひとり選んで■■してください

木澤有希子

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〇屋上の入口
江藤拓真「『クラスメイトからひとり選んで殺してください』って、なんだよそれ・・・。 冗談だろ・・・?」
  なんでいきなり殺すとかいう話になるんだよ。
  こんなのたちの悪い冗談だ、そう思ったが不気味だ。この画面を消したいと思った。でも──
江藤拓真「なんで消せないんだよ・・・! 画面が固まってる・・・?」
江藤拓真「それとも、一度入力したら取り消せないのか?」
  願いの入力は取り消すことができず、それどころか、サイトの表示を消すこともできなくなった。
  そうしている間にも「指令達成までの残り時間」がカウントされていく。
  残り時間はあと二時間もない。
江藤拓真「この願いはもういいから消えろよ・・・!」
  乱暴に画面をタップしていると、予鈴が鳴った。
江藤拓真(ここは教室から遠い。急いで戻らないと・・・)

〇教室
江藤拓真(残り時間がなくなったら、なにか起きるのか・・・?)
  びくびくしながら授業を受けた。
  なにも起きるはずない。
  そう思いながらも気になって、制限時間が過ぎたころ、携帯の画面を見た。
  残り時間がなくなったからか、サイトの表示は消えていた。
  そして、なにも起こらないままHRの時間になった。
江藤拓真(なにも起きなかった・・・んだよな。 やっぱあれは、質の悪い冗談ってこと──)
教師「おい、江藤。江藤拓真、聞いてるか?」
江藤拓真「えっ。あ、はい」
教師「放課後、補習やるから残れよ」
江藤拓真「え? 俺がですか?」
教師「今日の小テスト、結果が悪いやつは補習だって、ちゃんと言っただろうが」
江藤拓真「え・・・でも俺、満点だったんですよね?」
教師「寝ぼけてるのか? 30点以下はお前だけだぞ」

〇教室
江藤拓真(どうなってるんだ・・・? たしかに小テストは満点だったはずなのに・・・)
江藤拓真(でも、先生が嘘つく理由なんてないよな)
江藤拓真(それに・・・俺が満点だって、みんなが聞いてたはずなのに誰も反応しなかった)
  補習でやらないといけないプリントの内容が、全然頭に入ってこない。
江藤拓真「すいません、トイレ行ってきていいですか?」
教師「はやく戻れよー。逃げたらプリント増やすからなー」

〇個室のトイレ
  例のサイトについてわかることがないか調べる。
  すると、都市伝説をまとめたサイトを見つけた。
江藤拓真(これ・・・あのサイトのことか・・・?)
  なんでも願いを叶えてくれるというサイト。
  願いを叶えてもらうためには、指令を達成する必要がある。
  指令の達成は制限時間内に行うこと。
  ※注意※
  指令を達成できないと、叶えてもらった願いはなかったことになる。
江藤拓真(叶った願いがなかったことになる・・・!? そんなのありかよ・・・。 そんなバカなこと・・・)
江藤拓真(でも、そうとしか考えられないことが起きたよな・・・)
江藤拓真(ん? 説明、まだ続きがある)
  ※調査中※
  どんな願いを叶えてもらうかによって、指令が変わる。
  大きな願い事を叶えてもらおうとする場合、どんな指令が来るのか情報求。
江藤拓真(つまり・・・一生遊んで暮らしたい、みたいな大きな願いを書くと、ひとり選んで殺せ、みたいな指令が来る)
江藤拓真(でも、小テストの答えが知りたい、くらいの願いなら、簡単な指令で済むってことだよな)
江藤拓真(それなら・・・使い方さえわかってるなら、うまく使えばずっとおいしい思いができるんじゃないか?)
  さっそく試してみたくなった。少しドキドキしながら例のサイトを開く。
  入力する場所に、『補修がさっさと終わってほしい』と入れた。
江藤拓真「指令は・・・『クラスメイトからひとり選んで、持ち物を隠してください』?」
  相変わらず、どんな意味があるのかわからない指令だが、これを達成すれば、補習が終わるなら楽なものだ。

〇学校の廊下
  教室に戻る途中で、廊下の窓枠に誰かのジャージがかけられていた。
  誰も見てないことを確認し、掃除用具入れの中にジャージを押しこむ。
江藤拓真(これで達成したことになるんだよな・・・)
  サイトの画面に『指令達成』と表示された。

〇教室
江藤拓真「すいません、戻りました」
教師「あ、江藤。すまんが残りは家でやってくれ。ちょっと急用ができてな」
  教室に戻ると、先生はそう言って、あわただしく走って行った。
  補習はこれで終わりになった。
江藤拓真(間違いない・・・。あのサイトの力は本物だ・・・!)

〇黒
  それから俺は、ちょっとした願い事をサイトに入力していった。
  『部活の後片付けをしたくない』とか、『委員会の集まりがなくなってほしい』とか、そんな感じのちょっとしたこと。
  指令はいつも簡単だった。クラスメイトからひとり選んで持ち物を隠すとか、片づけたはずの物を散らかすとか。

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