フォーチュンレース(脚本)
〇草原の道
「フォーチュンレース」
このレースで、一番最初に怪神のいる怪神城にたどり着いた者(もしくはペア)は、怪神に願い事を叶えてもらえる。
スタート地点には、願い事を叶えてもらおうと多くの参加者が集まっていた・・・
クワガタ「一番最初にゴールするのは、当然俺だ」
クワガタ「そして俺は怪神様に・・・」
クワガタ「イケメンエリート怪人にしてもらう!」
クワガタ「そして、モテモテハッピー人生を送るぜ♪」
エミリー「みんな、準備はOK?」
エミリー「それじゃあ、レースを開始するよ」
エミリー「位置について、よーい・・・」
エミリー「スタート!」
フォーチュンレース、スタート!
〇美しい草原
クワガタ「スタートダッシュで勝負を決めてやるぜ!」
クワガタ「痛え!」
クワガタ「足をひねっちまった」
クワガタ「これじゃもう走れない」
クワガタ「・・・俺もう終わり?」
クワガタ「こんなにあっさりリタイア?」
クワガタ「嘘だろ・・・」
〇美しい草原
クワガタ「ツイてねえなあ」
クワガタ「もういいや」
クワガタ「とっとと帰って酒でも飲むか」
アイリス「足をケガしたのか?」
クワガタ「あ? 誰だお前?」
アイリス「私、治せる」
クワガタ「足が治った!」
クワガタ「お前、魔法が使えるのか?」
アイリス「使える」
アイリス「私、叶えてほしい願い事ある」
クワガタ「レースに参加してるんだから、まあそうだろうな」
アイリス「でも、行き方がわからない」
アイリス「私を連れて行ってほしい」
クワガタ「俺がお前を連れて行く?」
クワガタ「・・・」
クワガタ(確かレースの参加はペアでも可能)
クワガタ(魔法が使えるこいつは役に立つかもしれない)
クワガタ(こいつを利用したほうが優勝の可能性は高くね?)
クワガタ(よし)
クワガタ「俺の名はスーパー怪人・クワガタ」
アイリス「私は・・・アイリス」
クワガタ「アイリスよ」
クワガタ「俺は困っている女の子を放っておける性分じゃねえ」
クワガタ「俺がお前を一番にゴールさせてやる」
アイリス「本当か!」
クワガタ「俺に任せておけ」
アイリス「うん」
〇湖畔
アイリス「クワガタの願い事って何だ?」
クワガタ「俺の願い事は、イケメンエリート怪人になることだ」
クワガタ「まあ今でも十分イケメンエリートなんだがな」
アイリス「・・・」
クワガタ「おい、聞いてるのか?」
アイリス「何かが近づいてくる」
クワガタ「何だと?」
ザ・カッパ「食い物よこせ」
クワガタ「何だ、こいつ」
ザ・カッパ「オレの願い事、キュウリ100万本もらうこと」
クワガタ(何て馬鹿な願い事を・・・)
ザ・カッパ「腹減った。食い物くれ」
ザ・カッパ「何か食い物よこさないと・・・」
クワガタ「攻撃してきやがった!」
ザ・カッパ「早くよこせ!」
クワガタ「うわっ!」
クワガタ(このままじゃまずいな)
クワガタ(しょうがねえ。俺得意のあれでいくか)
クワガタ「わかった。これをやるよ」
ザ・カッパ「うまい!」
クワガタ「カッパよ、お前の故郷はどこだ?」
ザ・カッパ「河童村だ」
クワガタ「それは河童村で採れたものだ」
ザ・カッパ「何!」
クワガタ「それは、お前の家族が朝から晩まで休まずに働いて作ったものなんだ」
ザ・カッパ「何だと!」
クワガタ「だから、それはおいしいんだ」
ザ・カッパ「・・・」
クワガタ「それに比べてお前はどうだ?」
クワガタ「努力もせずにキュウリ100万本を楽して手に入れようとしている」
クワガタ「お前はそれでいいのか?」
クワガタ「それで満足するのか?」
ザ・カッパ「・・・」
ザ・カッパ「よくない」
ザ・カッパ「俺は・・・故郷に帰って真面目に働く」
クワガタ「そうしろ。家族も喜ぶぞ」
ザ・カッパ「お前のおかげで大切なことを思い出した」
ザ・カッパ「ありがとう」
アイリス「いい話だな」
アイリス「あのリンゴは河童村のものだったんだな」
クワガタ「ばーか、そんなわけねえだろ」
クワガタ「あれはここの近くの畑にあったものだ」
アイリス「嘘はよくない」
クワガタ「いいんだよ。あいつも感謝してただろ」
アイリス「それはそうだけど・・・」
クワガタ「ところでお前の願い事って何だ?」
アイリス「・・・」
アイリス「行くぞ」
クワガタ「こいつ、俺には言わせといて・・・」
〇ボロボロの吊り橋
アイリス「橋の前に何かいる」
クワガタ「ったく、通れねえじゃねえか」
クワガタ「って・・・おい。あいつは!」
クワガタ「ドラゴンじゃねえかよ」
クワガタ「こいつはやばいぞ」
クワガタ「うわっ!」
クワガタ「これじゃ近づけねえな」
クワガタ「しょうがねえ。またさっきのでいくか」
クワガタ「ドラゴンよ、お前の故郷は・・・」
クワガタ「ダメだ、こいつには通用しない」
アイリス「あいつと話をしてみる」
クワガタ「おい、そんなことできるわけ・・・」
アイリス「ドラゴン、何かあったのか?」
ザ・ドラゴン「〇△!!?◆・・・」
アイリス「そうか、わかった」
クワガタ「お前、ドラゴンと会話したのか!?」
アイリス「「ずっと勇者と戦っていたので、戦いが終わっても興奮して眠れない」・・・」
アイリス「「ぐっすり眠りたい」だそうだ」
クワガタ「ドラゴンもそんな悩みを抱えてるんだな」
クワガタ「しかし、俺は医者じゃねえし、そんな悩みどうすれば・・・」
アイリス「私は眠りの魔法を使える」
クワガタ「本当か? よし、それをやってみろ」
アイリス「わかった」
ザ・ドラゴン「・・・」
アイリス「寝たぞ」
クワガタ「お前、すげえな・・・」
クワガタ「ドラゴン、これからは好きなだけ寝て、好きなだけ遊べ」
〇綺麗な港町
クワガタ「けっこう時間がかかっちまったな」
クワガタ「もうゴール地点に近づいている奴もいるはず」
クワガタ「ここからワープでもしないと勝てないぞ」
クワガタ「もうダメか・・・」
アイリス「私はワープの魔法を使える」
クワガタ「本当か!」
クワガタ「・・・って、何で最初から使わないんだ!」
アイリス「忘れてた」
クワガタ「おい」
クワガタ「まあいい」
クワガタ「今からゴール地点の怪神城にワープするぞ」
アイリス「わかった」
クワガタ「間に合ってくれよ」
アイリス「やるぞ」
〇西洋の城
クワガタ「ここは怪神城の前!」
クワガタ「やったぞ、ワープ成功だ!」
クワガタ「アイリス、よくやった」
アイリス「私たちが一番なのか?」
クワガタ「ああ。まだ誰も来てないようだ」
アイリス「願い事が叶うのか?」
クワガタ「そうだ」
クワガタ「俺は今日からイケメンエリート怪人だ」
クワガタ「やったぜ、ヒャッホー!」
ザ・モノノフ「待て!」
クワガタ「いっ!」
クワガタ「すぐ後ろに参加者がいたのか・・・」
ザ・モノノフ「いざ尋常に・・・勝負!」
クワガタ「おい、ちょっと待て」
クワガタ(攻撃が全く見えない)
クワガタ(こりゃ、とても敵わない)
ザ・モノノフ「次は外さない」
ザ・モノノフ「私の願い事は、怪神様にこの国の戦士にしてもらうこと」
ザ・モノノフ「そして、強い奴と戦うことだ」
ザ・モノノフ「他の奴に邪魔はさせない」
クワガタ(アイリス、魔法で何とかならないか?)
アイリス(無理だ。もう魔力が残ってない)
クワガタ「・・・」
ザ・モノノフ「さあ、どうする?」
クワガタ「わかった」
クワガタ「ここはお前に譲るよ」
ザ・モノノフ「そうか。私も無益な殺生はしたくない」
クワガタ「さあ行け。怪神様のいる向こうの山の砦に」
ザ・モノノフ「向こうの山の砦?」
クワガタ「ああ。怪神様はそこで隣国との戦いの指揮を執っている」
クワガタ「お前が行って、怪神様を助けてやるんだ!」
ザ・モノノフ「わかった」
ザ・モノノフ「かたじけない。さらばだ」
クワガタ「・・・」
クワガタ「さ、城に入るぞ」
アイリス「??」
クワガタ「怪神様が山の砦にいるわけないだろ」
アイリス「えっ・・・」
アイリス「じゃあお前、あいつをだまして・・・」
クワガタ「まあな」
クワガタ「だが、あの砦で戦士を募集しているのは本当だ」
クワガタ「だから、あいつの願いは叶う」
クワガタ「だから、何も悪いことはしていない」
アイリス「・・・」
クワガタ「ということで、俺たちが一番乗りだ」
クワガタ「入るぞ」
アイリス「うん!」
〇謁見の間
クワガタ「いよいよだな」
アイリス「うん」
クワガタ「怪神様!」
アイリス「・・・」
怪神「ほう、最初にゴールしたのはお前たちか」
怪神「怪人と女の子のペアか・・・面白い組み合わせじゃの」
怪神「ま、まさか、この子は・・・」
クワガタ「怪神様、俺たちの願いを叶えてくれるんだろ?」
怪神「うむ」
クワガタ「じゃあ、先に俺の願いを言うと・・・」
怪神「待て」
クワガタ「は?」
怪神「先に?」
怪神「ペアの場合でも叶える願い事はひとつだけだ」
「えっ!」
怪神「そういうルールになっておる」
怪神「スタート前にきちんと説明したはずじゃ」
クワガタ「聞き忘れた・・・」
アイリス「・・・」
クワガタ「怪神様、そこをなんとか」
怪神「ダメじゃ。ルールは絶対じゃ」
怪神「さあ、早く願い事を言うがいい」
クワガタ「そんなこと言われても・・・」
アイリス「・・・怪神様」
アイリス「クワガタの願いを叶えてやって」
クワガタ「えっ・・・」
アイリス「クワガタがいなかったら、私はここに来れなかった」
アイリス「だから、クワガタの願いを叶えてほしい」
クワガタ「それ言ったら、俺もお前なしじゃ一番にゴールなんてできなかったぜ」
アイリス「怪神様、お願い」
アイリス「クワガタをイケメンエリート怪人にしてあげて!」
クワガタ「アイリス・・・」
怪神「それでいいんだな」
アイリス「うん」
怪神「そいつをイケメンエリート怪人にする・・・」
怪神「ププッ」
クワガタ「おい、今笑っただろ」
「あいつをイケメンエリートに!?」
「気持ちはわかるけど、あの顔をイケメンに!?」
クワガタ「おい、この城の奴ら俺をバカにしてないか?」
怪神「ププッ・・・すまん。願い事はそれでいいんだな?」
アイリス「うん」
怪神「それでは・・・」
クワガタ「待て!」
アイリス「クワガタ?」
クワガタ「アイリス、それで俺が喜ぶと思うのか」
クワガタ「俺はお前の願いを叶えるためにここに来たんだ」
アイリス「クワガタ・・・」
クワガタ「俺はお前の笑顔が見たいんだ」
アイリス「・・・それでいいのか?」
クワガタ「ああ、もちろんだ」
アイリス「クワガタ・・・ありがとう!」
クワガタ(決まった)
クワガタ(今のでまわりの奴も俺を見直すはずだ)
「まあ当然よね」
「あの顔をイケメンになんて、いくら怪神様でも不可能よ」
クワガタ「おいっ!」
怪神「わかった」
怪神「では、お前の願い事を言うがいい」
アイリス「・・・」
アイリス「私は・・・お父さんとお母さんに会いたい!」
〇謁見の間
アイリス「私の両親はとてもやさしかった」
アイリス「でも、私が小さいときに急にいなくなった」
アイリス「だから、私はお父さんとお母さんに会いたい」
アイリス「怪神様、お父さんとお母さんがどこにいるか教えてください!」
怪神「・・・お前の願いは、やっぱりそれか」
クワガタ「やっぱり?」
怪神「教えてやってもいいが、簡単には会えないぞ」
怪神「それでもいいのか?」
アイリス「うん。私は会いに行く」
怪神「そうか、わかった」
怪神「お前の両親は今・・・天魔界にいる」
アイリス「天魔界?」
クワガタ「天魔界って、恐ろしい化け物がうじゃうじゃいるって噂の・・・」
クワガタ「お前、そんなことに行くのか?」
アイリス「行く」
怪神「そうか」
怪神「ただし、お前1人で天魔界に行かせるわけにはいかない」
怪神「わしの部下の怪人を1人つけよう」
カイン「よろしく」
ミゲル「私がお供しよう」
シーザー「俺に任せとけ」
クワガタ「これがエリート怪人ってやつか」
クワガタ「くそっ、見た目も俺とは違うな」
怪神「さあ、誰にする? 誰でもいいぞ」
クワガタ「ちゃんと考えて選べよ」
クワガタ「一番強そうな奴を選べ。いや頭がいい奴にしろ。それとも人脈がある奴がいいか・・・」
怪神「決めたか?」
アイリス「もう決まってる」
怪神「では誰に・・・」
アイリス「クワガタがいい」
「は?」
怪神「エリート怪人の3人より、こいつを選ぶだと?」
クワガタ「こいつって言うな」
アイリス「うん」
アイリス「クワガタといると楽しい」
アイリス「それに、クワガタとならどんなピンチも乗り越えられる気がする」
怪神「こいつにそんな力が?」
クワガタ「こいつって言うな」
アイリス「クワガタ、嫌か?」
クワガタ「・・・」
クワガタ「アイリス、俺を見くびるなよ」
クワガタ「俺は天魔界など全く恐れていない」
クワガタ「俺が必ずお前を両親に会わせてやる」
アイリス「・・・ありがとう、クワガタ」
クワガタ(こいつと2人だけで魑魅魍魎の天魔界に行くだと!?)
〇魔界
クワガタ(これから天魔界か・・・)
アイリス「クワガタ行くぞ」
クワガタ「お、おう」
アイリス「恐いのか?」
クワガタ「恐いのかだと?」
クワガタ「俺を誰だと思ってる」
クワガタ「俺に恐いものなどない」
アイリス「じゃあさっさと行くぞ」
クワガタ「おい、待ってくれ。1人にしないでくれ」
クワガタのハッタリは天魔界でも通用するのか?
アイリスは両親に会うことができるのか?
2人のフォーチュンレースはこれからも続く・・・
コメント入力中にスマホがおかしくなったので、もう1回入れ直しました💦
タイトルに魅かれて読みました。
誰も傷つかない嘘で、彼女を守って進むクワガタはカッコイイですね。
次々難敵をクリアーして進む展開は、読みやすく次回期待も出来るので、またの機会に見てみたいです。
クワガタは嘘を付いて敵を排除しているはずなのに誰も不幸になっていない、むしろ願いが叶って幸せになっているという不思議!
クワガタが天魔界で魑魅魍魎たちをハッタリで次々と幸せにしていく姿が目に浮かびます。
もっと見てみたい。
イケメンエリート怪人にしたったたらええのに怪神はんいけずやわぁー
得意技がハッタリは面白い!天魔界の怪人も意外に純真かもしれないのでなんとかなりそう