フレーズ!

くろべー

⑬最終ステージ・出典紹介(エ)(脚本)

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〇おしゃれな教室
  (エ)
  昨日から学び
  今日に生き
  明日に期待する
  今日の午後は休もう
掛井「このフレーズの出典は、『PEANUTS』です!」
掛井「っていってもピンとこない人、いますよね。 そういう人は、さっき・・・第4ステージでの辻村さんの言葉を思い出してください!」
掛井「辻村さんはこのフレーズの出典を知ってたみたいで、「世界一のモテキャラ」って言ってくれました。 それって誰かと言うと・・・」
掛井「スヌーピーです!」
掛井「「世界一のモテキャラ」っていいフレーズだよね。世界的に有名なキャラクターは他にもいるけど、ミッキーよりもキティよりも、」
掛井「「モテキャラ」って称号はスヌーピーに似合うと思います! ミッキーマウスはスターで、ハローキティはアイドルって感じだもんね」
掛井「で、あの世界的に有名なビーグル犬の活躍する漫画は、『PEANUTS』っていいます。 元はアメリカの新聞連載だったんだって」
掛井「(エ)のフレーズは、1978年の11月4日に発表された4コマ漫画のセリフです。 各コマのセリフを並べて4行にしました」
  そこで掛井さんは、大きな本を持ち上げてページを開き、みんなに向けてみせた。
  見開きいっぱいに何本もの漫画が並んでいる。
掛井「ほら!」
  教室に、どよめきや笑いが広がった。
  掛井さんが指した4コマでは、ビーグル犬のスヌーピーと親友の小鳥が楽しげに戯れている。
掛井「フレーズとしても素敵だけど、絵がついてるとイメージ違うでしょ? 犬小屋の上で遊んだり昼寝したりしながら言ってたんです」
掛井「出典の本は、『ピーナッツ全集』の第14巻です。 本のデータとしては──チャールズ・M・シュルツ著、谷川俊太郎訳、ですね」
掛井「『PEANUTS』の本はいろんな形で出てるので、きっと辻村さんも、そういう本で読んでて知ってたんだと思いますが・・・」
辻村「あ、違う違う! そんな立派な本、初めて見たし!」
辻村「私の場合、公園の銅像で読みました!」
掛井「公園? ・・・の、銅像?」
辻村「銅像っていうか、銅じゃないかも。 ほら、スヌーピーミュージアムってあるでしょ? その隣の公園。グランベリーパークだっけ?」
掛井「ああ、あそこ!」
掛井「たぶんグランベリーパークっていうのは・・・駅前のショッピングモールの名前かも。 隣の公園はたしか、鶴間公園だったと思うよ」
掛井「いいとこだよねー。南町田グランベリーパーク駅なんて駅の中にスヌーピー像が建ってるし、あっちこっちにスタチューあって──」
辻村「そうそう、スタチュー! 家族でミュージアムに行った時、一通り見つけようよって公園も探したの! ガイドマップを見ながら──」
掛井「結構、奥の方にあるスタチューだよね」
辻村「そう、奥にあるスタチューの、台座のとこにこの4コマ漫画が印刷されてたの! それで──このフレーズを覚えてた、ってわけです」
  言葉の最後はみんなへの説明となった。
  2人だけで盛り上がっていては悪いと思ったようだ。
山里先生「はいはい、ミュージアムに行ったことある2人で盛り上がっちゃってますが。 他のみんなから、本についての質問はあるかい?」
山田「さっき、全集とか14巻とか言ってたけど・・・ そのでっかい本、何巻まであんの?」
掛井「はい、これがなんと、25巻まであります。 プラス、別巻っていうもあるから、合計26巻かな」
掛井「なにしろ、新聞連載は50年間も続いたんだそうです。『ピーナッツ全集』は、それを2年分ずつまとめて25巻になってるんです」
山田「その、別巻ってのは何?」
掛井「新聞連載以外で描いた作品とか、『PEANUTS』連載開始前に描いた作品とか・・・シュルツさんのいろんな作品が載ってました」
掛井「うち、お母さんもおばあちゃんもスヌーピーのファンだから、『ピーナッツ全集』が刊行されてた頃に全巻そろえてたんですけど──」
掛井「その全巻予約の特典が、26冊目の別巻だったんだって。 だから結構、レアアイテムらしいです。今は電子書籍もあるみたいだけど」
小板橋「しつもーん! その、(エ)のフレーズが台座になってるスタチューは、どんなポーズなの? やっぱり4コマの絵のどれか?」
掛井「えーと・・・多分、この4コマには出てないポーズじゃなかったかな・・・」
辻村「あ、代わりに答えていいですか? そのスタチューのスヌーピーは、お座りのポーズでした!」
辻村「台座には(エ)のフレーズと一緒にその4コマ漫画も印刷されてるの。その上にお座りポーズのスヌーピーがいるって感じ」
掛井「そうだ、いろんなポーズのスヌーピーがスタチューになってる中で、お座りポーズがミュージアムのシンボルみたいな感じだったね!」
めぐる「私も質問いいですか? さっき先生から、どういう文脈で使われてたフレーズなのか、って話があったけど──」
掛井「あ、そっか、忘れてた!」
めぐる「うん、新聞漫画ってことでしたけど、その連載の中で、(エ)のフレーズの4コマは、どういう文脈で出てくるのか気になりました」
掛井「うーん・・・でも、文脈って感じじゃなくて・・・」
掛井「連載っていっても、基本的に1話読み切りなんです。 繋がってることもあるけど、この作品は前の日とも次の日とも繋がってないの」
掛井「そういう意味で『PEANUTS』って、ストーリーっていうよりもアートなんだなって思います。 ちょうど、詩集みたいな感じ?」
掛井「4コマ漫画の1本1本が、アート作品とか詩みたいな感じで並んでるのが『PEANUTS』の魅力かなって、いま思いつきました!」
掛井「そういう意味じゃ、崎本ちゃんの選んだ(ア)のフレーズとも似てるね!」
めぐる「私が選んだっていうか、選んだのは戸橋くんだけどね」
  つい戸橋くんの名前を出しためぐるだったが、『少女詩集』を読んでいるおかげで「詩集」というたとえはよく分かった。
  きっと、フレーズとかセリフとか、言葉は何かのきっかけで詩に変わるのだ。
  絵やスタチューのようなアートはそのきっかけだ。
  音楽もきっかけになるし、めぐるの場合は「戸橋くんが図書室で開いた本を指さした」というのがきっかけでイメージが広がった。
  フラグフレーズというゲームは、きっかけの宝庫なのかもしれない。
  これまで、いくつものきっかけで様々なイメージが膨らんだ。
  山里先生は、生徒にそれを味あわせるために今回の授業を企画してくれたのだろう。
  掛井さんの指摘がきっかけになって、そのことに気付けた気がする。
  それがめぐるには嬉しかった。
山里先生「さて、それじゃそろそろいいかな? 4つのフレーズの出典紹介が済んだところで、いよいよ最終投票だ!」

次のエピソード:⑭最終投票・その前に

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