怪人会議

ペローン

行方不明の同胞(脚本)

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〇城の会議室
アンドール「みんな、よく集まってくれた」
アバギ「ふん! わざわざ呼んだんだ それなりの内容なのだろうな?」
キラージュ「へ! じいさん、あんまカリカリすんなよ また寿命が縮むぞ?」
アバギ「なんだと!?」
アンドール「二人ともよせ それなりの内容だ」
ライフィ「・・・」
アンドール「イールファンがやられた」
アバギ「何!?」
アバギ「誰の仕業だ!」
アンドール「分からん」
アンドール「ただ、奴はデススフィアを見つけるために ある場所を探索していた」
アンドール「だが、急に奴からの連絡が途絶えた」
タックス「どうしてやられたって思うッスか?」
アンドール「現場を見に行ったら奴の片腕が落ちていた」
アンドール「何者かと争った形跡もな」
アバギ「奴は貴様に継ぐ実力者だ そう簡単にやられるとは思えん」
キラージュ「相当手強いってことだ あんたもやられるかもな、じいさん」
アバギ「ふん! ワシがやられる訳なかろう」
アバギ「ワシが行って確かめてやる!」
アンドール「ダメだ」
アバギ「なぜだ!?」
アバギ「相手は相当な実力者 ワシが行くのが妥当だろ!」
アンドール「全ては我が主 デスザーク様が決めることだ」
アバギ「なんだと?」
アバギ「同胞がやられたんだ! そんな奴の言うことなんか・・・」
アンドール「アバギ!」
アンドール「口を慎め!」
アバギ「・・・」
アンドール「タックス」
タックス「ん?」
アンドール「イールファンが担当していたデススフィアの探索、お前にやってもらう」
タックス「ああ、分かったッス」
アンドール「会議は以上だ」
アンドール「何か意見はあるか?」
キラージュ「じいさん、まだ言いたいこと山ほどあるんじゃないか?」
アバギ「くっ・・・」
ライフィ「・・・」
ライフィ「あ、あの・・・」
アンドール「ん? 何だ?」
ライフィ「ど、どうして複数人で行かないんですか?」
ライフィ「複数で行けば、協力できるし 何かあっても助け合うことができる」
ライフィ「生存率も上がると思うのですが・・・」
アンドール「全てはデスザーク様が決めることだ」
アンドール「それに関して 我々は口出し無用だ」
ライフィ「・・・」
アンドール「他に無いなら、解散だ」
アバギ「お前さん、何も無いのか?」
レイ「・・・」
キラージュ「こいつは喋るのが苦手なんだ ほっといてやれよ、じいさん」
アバギ「ふん・・・」

〇荒廃した国会議事堂の広間
ライフィ「・・・」
ライフィ「あ! タックスさん!」

〇荒廃した国会議事堂の広間
タックス「ん?」

〇荒廃した国会議事堂の広間
ライフィ「タックスさん!」
タックス「おお! ライフィっスか」
ライフィ「タックスさん、大丈夫ですか?」
タックス「ん? 何がッスか?」
ライフィ「その・・・イールファンさんがやられて」
ライフィ「それを引き継ぐって事はタックスさんにも危険が及ぶんじゃ・・・」
タックス「それで、俺がやられるって?」
ライフィ「あ、いや、その・・・ そういうことじゃ・・・」
タックス「アハハ! ありがとうッス、ライフィ」
ライフィ「え・・・?」
タックス「ライフィは優しいッス」
タックス「そういうところがライフィのいいところッス」
ライフィ「いや・・・全然・・・」
タックス「でも、心配無用ッス」
タックス「こう見えても俺は結構やるッスよ」
ライフィ「でも、あのイールファンさんが・・・」
タックス「ああ、分かってる 相当手強い奴だ」
ライフィ「じゃあせめて一緒に・・・!」
タックス「俺、意外とみんなのこと好きなんスよ」
ライフィ「え・・・?」
タックス「ああやっていがみ合う奴らもいれば ずっと無口な奴もいる」
タックス「でも、なんだかんだ言って みんなそれぞれ、お互いのことを気にかけてるッス」
タックス「表にはなかなか出さないけど みんないい奴なんだ」
ライフィ「・・・」
タックス「誰も死んでほしくない」
タックス「もちろんお前もな、ライフィ」
ライフィ「・・・」
タックス「だから、誰にも危険な目に遭わせるわけにはいかない」
タックス「俺に与えられた仕事だ、俺がやる」
ライフィ「・・・」
タックス「まあ、危なくなったらすぐ逃げてくるから 安心するッス!」
ライフィ「タックスさん・・・」
タックス「それじゃあ、行ってくる」
ライフィ「・・・はい」
タックス「ありがとうな、ライフィ」
ライフィ「・・・気をつけて」

〇荒廃した国会議事堂の広間
アンドール「・・・」

〇城の会議室
  〜翌日〜
アンドール「みんな集まったか?」
キラージュ「また緊急招集か・・・ 嫌な予感しかしないな」
キラージュ「あら? じいさんまだ生きてたのか?」
アバギ「ふん・・・小僧が」
アバギ「お主こそ 昨日からずっと震えて眠れなかったのではないか?」
キラージュ「はっ! 大人気ないなぁ」
アバギ「ふん・・・」
ライフィ「・・・」
アンドール「いいか? 会議を始めるぞ」
キラージュ「ん?」
キラージュ「おい、まだタックスのガキが来てねぇぞ」
アンドール「ああ」
アンドール「今回はその件で集まってもらった」
アンドール「タックスが行方不明だ」
ライフィ「え・・・」
キラージュ「ふーん・・・」
アバギ「ちっ、また例の奴の仕業か!」
アンドール「いや、それはまだ分からん」
アンドール「タックスにはイールファンの仕事を引き継いでもらっていたが、連絡が取れない」
アバギ「ふん・・・それで? どうするんだ?」
アンドール「タックスの捜索に行ってもらう」
キラージュ「誰が行くんだ?」
アバギ「ふん! どうせまたデスザークとやらが決めているのだろう?」
アンドール「ああ、そうだ」
アンドール「キラージュ お前に行ってもらう」
アバギ「ちっ・・・」
キラージュ「ははっ! 悪いなじいさん」
アバギ「なぜワシじゃないんだ!」
キラージュ「まあまあ、じいさん そんなカリカリすんなって」
キラージュ「安心しろよ 例の奴の正体も掴んできてやるから」
アバギ「ふん! せいぜいやられぬようにな」
アンドール「アバギ、レイ、ライフィはここに残っておけ」
ライフィ「あの・・・!」
アンドール「何だ?」
ライフィ「僕にも行かせてください!」
アンドール「ダメだ」
アンドール「大人しく待機しておけ」
ライフィ「でも、心配なんです!」
アンドール「今回は俺も同行する だから、お前は待機だ」
アバギ「小僧」
アバギ「こやつらを信用しろ」
キラージュ「気持ちは分かるけどよ 俺らに任せとけ、な?」
ライフィ「・・・」
ライフィ「・・・はい、すみません」
アンドール「よし ではキラージュ、行くぞ」
キラージュ「ああ」
キラージュ「じゃあな、じいさん お留守番頼んだぜ」
アバギ「ふん!」
レイ「・・・」

〇城の会議室
ライフィ「タックスさん 無事だといいけど・・・」
アバギ「ここを守るのも重要な仕事だ 皆を信用しろ」
ライフィ「・・・はい」
ライフィ「ん? レイさん、どこに?」
アバギ「はぁ・・・勝手なことを」

〇城の会議室
  〜一時間後〜
ライフィ「・・・」
ライフィ「もう一時間経つのに 何一つ連絡が無い・・・」
ライフィ「何かあったんじゃ・・・」
  ドンッ!
ライフィ「何だ!?」
キラージュ「なんだじいさん! ちゃんとお留守番してたのか!」
アバギ「ふん! 噂をすれば、帰ってきよったわ」
キラージュ「はは・・・」
キラージュ「真面目だ・・・な・・・」
  バタッ・・・
アバギ「!」
ライフィ「キラージュさん!」
アンドール「ちっ・・・ ここまで逃げてくるとは」
イールファン「意外としぶとかったな」
ライフィ「え!?」
ライフィ「イールファンさん!」
ライフィ「どうして、ここに・・・」
アバギ「どういうことだ?」
アンドール「ふん どうもこうも、見たままだ」
アンドール「・・・仕方ない ここで終わらせるぞ、イールファン」
イールファン「計画が狂ったな」
アンドール「大丈夫だ 一人は雑魚、問題無い」
イールファン「そうか、じゃあ先にアバギを・・・」
アバギ「ぬぅあぁ!!」
ライフィ「うわ・・・!」
イールファン「ぐふっ・・・」
アバギ「どういうことだ これも、デスザークとやらの指示か!」
アンドール「デスザーク・・・?」
アンドール「ふ・・・ふははは!」
アンドール「そんな奴はおらん!」
アンドール「全てお前らを騙すデマだ」
アバギ「何だと!?」
ライフィ「どうして、そんなことを・・・!」
アンドール「ふん・・・貴様らを駆除するためだ」
アンドール「この世界に貴様ら怪人は必要ない!」
アバギ「ぬぅ・・・!」
イールファン「やってくれるじゃねぇか、じいさん」
アバギ「ぐふ・・・」
ライフィ「アバギさん!」
アバギ「小僧、下がってろ」
アバギ「ワシに・・・任せろ」
イールファン「おい、もう虫の息だ こいつからでもよかったんじゃないか?」
アンドール「確かにな、お前に継ぐ実力者だと思ったが 買い被りすぎだったか」
アンドール「では、消えてもらおう」
ライフィ「まずい・・・!」
アンドール「はあぁぁぁ!!」
イールファン「ぐあぁ!!」
アンドール「・・・何だ!?」
キラージュ「おいおい、よそ見はいけねぇぜ・・・ お仲間が・・・死んじまうぞ・・・」
アンドール「キラージュ! 貴様ぁ!」
アバギ「ふん・・・ぬあぁぁぁ!!」

〇城の会議室
アンドール「ぐあぁっ!」
アバギ「はぁ・・・はぁ・・・」
イールファン「ちっ・・・死に損ないが・・・」
キラージュ「はは・・・俺は死に損ないさ・・・ 知らなかったか?」
キラージュ「じゃあ・・・ あとは頼んだぜ、じいさん」
イールファン「や、やめろおぉぉぉ!」
アバギ「小僧・・・!」
ライフィ「キラージュさん!!」
ライフィ「そんな・・・」
ライフィ「うわっ・・・しまった!」
アンドール「アバギィ!」
アバギ「ちっ・・・!」
アンドール「動くんじゃない」
アンドール「動いたらこいつの命は無いぞ」
アバギ「クソガキが・・・」
  ガチャッ
レイ「・・・」
アバギ「おぬし! 今までどこに!」
アンドール「ふははは! レイ、いいところに来た」
アンドール「アバギはもう虫の息だ トドメを刺せ!」
レイ「・・・」
レイ「ちょっと待って!!」
アンドール「え?」
ライフィ「ん?」
レイ「一旦抜けるわ!」
アンドール「あ、ちょっと・・・」
ライフィ「あ・・・」

〇女性の部屋
麻宮 麗(あさみや れい)「・・・」
麻宮 麗(あさみや れい)「ねぇ!」
麻宮 麗(あさみや れい)「何で私のセリフが無いのよ!」
麻宮 麗(あさみや れい)「せっかく 怪人になりきってお芝居ができるのに 全然喋らないじゃないの!」
麻宮 麗(あさみや れい)「わたし、いなくてもいいよね?」
麻宮 麗(あさみや れい)「途中、要所要所に「・・・」ってあるけど 実際喋らないよね? 要らないよね!?」

〇学生の一人部屋
安藤 渉(あんどう わたる)「ああ、いや・・・」
安藤 渉(あんどう わたる)「まあその・・・ 最後にいっぱい用意してたんだけど・・・」
安藤 渉(あんどう わたる)「これから、いいところだったんだよ!」
安藤 渉(あんどう わたる)「本当に・・・」

〇女性の部屋
麻宮 麗(あさみや れい)「もっとセリフ増やしなさいよ!」
麻宮 麗(あさみや れい)「途中!」
麻宮 麗(あさみや れい)「わたしは!」
麻宮 麗(あさみや れい)「退屈よ!」

〇男の子の一人部屋
生田 健人(いくた けんと)「ま、まあまあ・・・ 麗ちゃん、落ち着いて・・・」
生田 健人(いくた けんと)「セリフ増やすから・・・ね?」

〇CDの散乱した部屋
暴木 剛士(あばぎ たけし)「そんなカリカリすると、寿命が縮むよ?」
吉良 友也(きら ともや)「おい、それ俺のキャラのセリフだろ? 真似すんなよ」
暴木 剛士(あばぎ たけし)「ぼく、意外とキラージュのキャラ好きなんだ」
吉良 友也(きら ともや)「そうか?」
吉良 友也(きら ともや)「てか、お前がじいさんキャラなのもよく分からないけどな」
暴木 剛士(あばぎ たけし)「へへへ・・・」

〇女性の部屋
麻宮 麗(あさみや れい)「もう、何なのよ・・・」
麻宮 麗(あさみや れい)「もっとわたしが活躍できるやつにしなさい!」

〇学生の一人部屋
安藤 渉(あんどう わたる)「え、えぇぇっ!」
安藤 渉(あんどう わたる)「今から!?」

〇高級マンションの一室
白石 佑(しらいし たすく)「あっはっは! 面白いなあ、お前ら!」
白石 佑(しらいし たすく)「麗の言う通りだ もっと麗が目立つように 内容を変更しよう!」

〇女性の部屋
麻宮 麗(あさみや れい)「そうよ!」
麻宮 麗(あさみや れい)「ネットの学芸会なんて初めてだから 楽しみにしてたのよ!」
麻宮 麗(あさみや れい)「絶っ対! 優勝するんだから!」

〇学生の一人部屋
安藤 渉(あんどう わたる)「はぁ・・・ マジかよ〜」
安藤 渉(あんどう わたる)「・・・」
安藤 渉(あんどう わたる)「じゃあ、内容を練り直すか・・・」

〇綺麗な一戸建て
  はぁ、それじゃあ・・・
  緊急会議開始〜
  THE END

コメント

  • 怪人のレイが全く話さないので、事件解決の重要な鍵を握っているんだと思っていたらセリフが少ない麗ちゃんだったなんて。やられた〜。全米が騙されて涙した〜。子供だと分かってから見直すと、怪人なのに何故かみんな可愛く感じますね。

  • てっきり怪人同士の仲間割れの話かと思っていたら、まんまと騙されました笑
    確かに台詞少ない…キャラクターを与えられてるならもっと喋りたいですよね笑

  • 緊張感の走るバトルシーンと、それ以降の落差にやられました!どんな血生臭いエンディングになるかと思っていただけに、このほっこり感は最高です!

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