エピソード10 修行(脚本)
〇明るいリビング
羽原 貞治「なぁ、兄貴!! 今度さぁ親父が帰国したら、みんなでディスティニーランド行こうよ!!」
羽原 豊「ディスティニーランドか!! たしかに行ったことないなぁ!!」
羽原 貞治「なんでもまるで別世界みたいに楽しいらしいよ」
羽原 豊「ははは、そりゃ随分大袈裟だな!!」
〇黒背景
羽原 豊「でもな貞治・・・」
羽原 豊「俺は行けないよ・・・」
羽原 貞治「え!?」
羽原 豊「俺は・・・」
羽原 豊「無期異世界転生者だから」
羽原 貞治「兄貴・・・!?」
羽原 貞治「兄貴ィィィィィ!!!!」
〇岩穴の出口
羽原 貞治「ハァ・・・ハァ・・・」
羽原 貞治「夢か・・・」
〇湖畔
安藤 竜二「ん!?」
安藤 竜二「おお!!起きたか!!」
安藤 竜二「なんだか・・・浮かない顔だな・・・」
羽原 貞治「兄貴の・・・夢を見たんだ・・・」
羽原 貞治「兄貴が冤罪で捕まる前・・・テーマパークに行こうって話をしてたのを思い出してさ・・・」
安藤 竜二「そうか・・・」
安藤 竜二「きっと元気で生きているさ」
羽原 貞治「・・・ありがとう」
羽原 貞治「そういえばオヤジは・・・?」
安藤 竜二「オヤジは食糧調達だ。奴らの農場にいってもらってる。俺たちの生命線だからな」
羽原 貞治(そうやって生き延びてきたんだな・・・)
安藤 竜二「もし帰れたらラーメンでも食いてぇよ」
安藤 竜二「さぁ、無駄話はこれで終わり!! 作戦決行日まで時間がないぜ!!早速修行だ!!」
羽原 貞治「ああ!!」
〇湖畔
羽原 貞治「藍炎!!」
安藤 竜の姿「くっ!!」
安藤 竜の姿「カァァァァ!!」
羽原 貞治「黄炎!!」
安藤 竜の姿「だいぶ威力が上がってきてるな!!」
羽原 貞治「あぁ、なんだか少しずつ掴んできたぜ!!」
羽原 貞治「こんなことも出来るぞ!!」
羽原 貞治「黄炎!!」
安藤 竜の姿「ん・・・!? 何も起きないぞ・・・!?」
羽原 貞治「もう少し・・・3・・・2・・・1」
羽原 貞治「今だ!!」
安藤 竜の姿「うおっ!!」
安藤 竜の姿「時間差攻撃か・・・」
安藤 竜の姿「何かに使えそうだな」
羽原 貞治「だんだんと能力が身体に馴染んでくる感覚がある・・・」
安藤 竜の姿「俺もよくわからないんだが、能力にはその人間の心のありようが反映されるらしい」
安藤 竜の姿「羽原が、兄に会いたいという思い・・・ 奴らを倒したいという思いが呼応しているのかもしれないな」
羽原 貞治「そうかもな・・・」
安藤 竜の姿「さてオヤジが戻ってくるまで少し休憩しよう」
〇湖畔
安藤 竜二「なぁ羽原・・・ お前は両親は健在なのか?」
羽原 貞治「母親は・・・俺が小さい頃に亡くなったんだ」
羽原 貞治「父親は・・・海外で単身赴任してたんだけど」
羽原 貞治「兄貴の件があってから音信不通で・・・」
羽原 貞治「今どこで何しているかも分からない」
安藤 竜二「そうか・・・ 悪い、こんなこと聞いて・・・」
羽原 貞治「俺も・・・少し聞きづらいんだけど・・・」
羽原 貞治「安藤の父親は・・・どうしてるんだ?」
安藤 竜二「・・・生きてる」
安藤 竜二「だが、俺はもう何年も会っていない それに・・・」
安藤 竜二「あんなクソ野郎・・・ 俺と母さんを捨てた男・・・」
安藤 竜二「父親なんて呼びたくもないくらいだ」
羽原 貞治「わ、悪い・・・」
安藤 竜二「いや、すまん。俺も興奮した・・・」
安藤 竜二「ただ、今回の作戦は俺にとってはそういった過去との決別でもあるんだ・・・」
安藤 竜二「母さんの仇は必ずうつ!!」
羽原 貞治「そうか・・・」
安藤 竜二「ある意味オヤジが俺にとっての親父みたいなもんさ」
安藤 竜二「オヤジがいなかったら、俺はこの世界でのたれ死んでたから・・・」
羽原 貞治「なぁ、安藤・・・。オヤジも無期異世界転生者なんだよな!?」
羽原 貞治「つまり犯罪者ってこと・・・だよな!?」
安藤 竜二「その事なら・・・」
やぁお二人!!
遅くなり申し訳ない!!
安藤 竜二「ちょうど帰ってきたから本人に聞くといいさ」
〇湖畔
オヤジ「さぁ、出来ましたよ!! ナツレ野菜のスープです」
羽原 貞治「うん!!美味い!!」
羽原 貞治「疲れた身体に沁みる・・・!!」
安藤 竜二「こんな美味い野菜食ってんだから、人間なんか食わなきゃいいのにな」
オヤジ「一部のナツレの民は、人間食をよく思っていない者もいるようですが」
羽原 貞治「なぁ、オヤジ・・・」
オヤジ「なんでしょう?」
羽原 貞治「アンタ・・・何の罪でナツレに来たんだ?」
羽原 貞治「何というか・・・その・・・ あんまり犯罪者っぽくないかなって・・・」
オヤジ「私は・・・」
オヤジ「私は無期異世界転生の受刑者ではありません・・・」
羽原 貞治「えっ!?」
オヤジ「私は日本で非常に短い間でしたが、検事総長をしておりました」
羽原 貞治「検事総長だって!?」
オヤジ「ええ・・・。熊井総理の内閣が誕生して間もなくです」
オヤジ「ですが・・・」
オヤジ「この制度・・・無期異世界転生のあり方に異を唱えたことで・・・」
オヤジ「こちらの世界・・・ナツレにやってくることになりました」
羽原 貞治「なんだって!?」
〇上官の部屋
オヤジ「熊井!!今のやり方を続けていてはダメだ!!」
熊井総理大臣「間違っているのはお前だ!!」
熊井総理大臣「勝手な事をしてくれたな!!」
熊井総理大臣「お前は許されない事をしているのだぞ!!」
オヤジ「何が許されないだ・・・!!」
オヤジ「私は今!!人類がとるべき行動をとっただけだ!!」
熊井総理大臣「ぐ・・・」
熊井総理大臣「貴様の考えが見抜けなかった私の目は節穴だったよ!!」
熊井総理大臣「後藤!!コイツを取り押さえろ!!」
後藤防衛大臣「暴れないでください!!」
オヤジ「私は・・・私は間違っていない!!」
熊井総理大臣「・・・・・・馬鹿がっ」
〇湖畔
羽原 貞治「熊井総理とそんなやり取りが・・・」
安藤 竜二「・・・ふざけた野郎だ」
オヤジ「私は隙をつき逃げ出したのですが、国会議事堂は警備が厳しく・・・」
オヤジ「もう選択肢はこの世界に逃げ込むしかありませんでした・・・」
オヤジ「ですが、漸知漸能の力を得て・・・」
オヤジ「2人という仲間を得た今こそ・・・」
オヤジ「反撃の狼煙を上げる時なんです!!」
羽原 貞治「オヤジ・・・」
羽原 貞治「やってやろう」
羽原 貞治「人の命を何とも思わないような国家は・・・」
羽原 貞治「許しちゃダメなんだ」
安藤 竜二「オヤジ、絶対成し遂げよう!!」
オヤジ「ええ、2人ともありがとう・・・」
オヤジ「さて、スープが冷めますよ!!早く食べちゃいましょう!!」
〇謁見の間
幹部 ラミィ「女王・・・」
ヒュメリ女王「どうした?ラミィ」
幹部 ラミィ「ゴブラダとヴィンツの行方が不明です」
ヒュメリ女王「ほう、あの2人が・・・」
幹部 ラミィ「2人共がゲート付近で転生者狩りをしていたので」
幹部 ラミィ「転生者にやられたと考えるのが自然かと」
ヒュメリ女王「ほう・・・」
幹部 ラミィ「どうします?狩りに行きますか?」
ヒュメリ女王「必要ないじゃろ」
ヒュメリ女王「転生者など恐るるに足らん・・・」
幹部 ラミィ「ですが、以前女王を襲撃した者もおそらく潜伏している状況」
幹部 ラミィ「そこでご提案なのですが・・・ お耳を拝借・・・」
ヒュメリ女王「ふむふむ・・・」
ヒュメリ女王「ジェドは怒るじゃろうが、まぁよいじゃろう」
ヒュメリ女王「ラミィの案で行くかのう」
幹部 ラミィ「ありがとうございます」
ヒュメリ女王「考えすぎだと思うがのぅ・・・」
幹部 ラミィ「・・・・・・」
幹部 ラミィ「ここまでは・・・予定通り・・・」
オヤジにそんな過去があったとは…、修行も経ていよいよ決戦、楽しみです。
オヤジさん、益々好きになって参りました🤤
そして、ラミィは何を考えているのか🤔
気になります👍
いろいろな謎がとけてきたと思いきや、違うところから謎が出てくるという状態に。誰が一番の悪なんだ⁉︎
ワクワクが止まらない!