6話【猫の命は人間の命よりも軽いのか?】(脚本)
〇コンビニ
風間小夏「コンビニあった!あった!」
風間小夏「今度は迷わなかった!」
クロ(ここは・・・)
〇コンビニ
山都大輝「じゃあ待ってろ!買って来てやるから!」
黒猫「ロイヤルカノンが良い!」
山都大輝「ロイヤル・・・何だって?」
黒猫「ロイヤルカノンだ!ロイヤルカノン!」
山都大輝「ロイヤルカノンって言うカリカリがあんのか?」
黒猫「そうだ!それが美味いらしい!」
山都大輝「クソ猫!てめぇなぁ!安物でいいだろーが!」
〇コンビニ
クロ(初めてヤマトにカリカリを買ってもらったところだ・・・)
クロ(ヤマト・・・)
風間小夏「じゃあ猫ちゃん!待っててね!今買って来てあげるから!」
クロ「ニャー (別にいらないんだがな・・・)」
風間小夏「きゃー!カワイー!」
風間小夏「じゃあ待っててね!」
クロ「行ってしまった・・・」
クロ「・・・・・・」
クロ「というか俺はこんなところで何をしているんだ?」
クロ「こんな事していてもヤマトの元には帰れない」
クロ「やはり元いたところに戻ろう」
クロ「小夏には悪いが・・・俺はこんな事をしている場合じゃないんだ!」
〇コンビニのレジ
コンビニ店員「しゃっせ──」
風間小夏「・・・・・・」
コンビニ店員「いらっしゃいませ!」
風間小夏(わ!ビックリした!)
風間小夏「あの・・・」
コンビニ店員「はい!何でしょうか?」
風間小夏「猫ちゃんのカリカリってどこにありますか?」
コンビニ店員「こちらにあります!ご案内しますよ」
風間小夏「わぁ!ありがとうございます!」
〇コンビニの店内
コンビニ店員「こちらが猫のカリカリになります!」
風間小夏「ありがとうございました!」
コンビニ店員「買われますか?」
風間小夏「はい!」
コンビニ店員「でしたらレジまでお持ちします」
風間小夏「わぁ!わざわざありがとうございます!」
コンビニ店員(かわいいなぁ・・・)
〇コンビニ
風間小夏「猫ちゃん!カリカリ買って──」
風間小夏「あれ?居なくなってる!」
風間小夏「あーどうしよ!あの猫ちゃん!山都さんの猫ちゃんなのに!」
風間小夏「どっか行っちゃったよー!」
風間小夏「あー!山都さんに何で言ったら・・・」
風間小夏「どうしよー!」
風間小夏「とりあえず探さなきゃ!」
「猫ちゃん!何処に行ったのーーー!」
〇通学路
ハル「おい!ルプ!本当にこの方法しかねぇのか?」
ルプ「これが最善の策でございまする!」
ハル「手当たり次第に人間に声かけて、言葉を理解できるヤツを探すなんて・・・」
ハル「あまりにも出たとこ勝負すぎるだろ!」
ルプ「仕方ないでございまする!」
ルプ「黒猫氏から得たヤマト氏に関する情報は」
ルプ「ヤマト氏が我々の言葉を先天的に理解できるお方!という事だけなのでございまする!」
ハル「だから元々から情報が少なすぎんだろーが!」
ルプ「あ!ハル氏!人が来たでございまする!」
〇通学路
夢野蒙曹「世界的犯罪組織”ナイトメア”によって殺された家族の仇討ちの為に」
夢野蒙曹「ナイトメアを狩るハンターとなった俺ヴェルボルト・アークスタリカ!」
夢野蒙曹「不覚にもナイトメアの化学班織総督、Dr.ケミストの罠にハマり拉致されてしまった」
夢野蒙曹「その際に人体実験と称し、Dr.ケミストが独自に開発した新薬」
夢野蒙曹「超次元能力付与材!通称”スペックエキス”を投与され」
夢野蒙曹「俺は雷を自由自在に操ることができる、雷のスペックホルダーとなった!」
夢野蒙曹「なんとか命辛々逃げ出して来たが、いつナイトメアの刺客がやって来てもおかしくない危機的状況だ!」
夢野蒙曹「俺は・・・死ねない!」
夢野蒙曹「こんなところで、仇討ちの野望を果たせずに、志半ばに死ぬ事などあってはならない!」
夢野蒙曹「ナイトメアの魔の手に怯えて暮らす世界の人々の為・・・」
夢野蒙曹「ナイトメアの殺された家族の為に・・・」
夢野蒙曹「俺はナイトメアをこの世から駆逐する!」
〇通学路
夢野蒙曹「待っていろ!ナイトメア!」
夢野蒙曹「待っていろ!ナイトメア大総統セルジューク・アランカ!」
夢野蒙曹「貴様らは必ず!このヴェルボルト・アークスタリカが駆逐してやる!」
ハル「・・・・・・」
ルプ「・・・・・・」
ハル「たぶんアイツは違うな・・・」
ルプ「何を言っているのか意味が分からなかったでございまする」
ハル「まぁ・・・気にするな」
〇アパートのダイニング
山都大輝「あー腹減ったなぁ・・・」
山都大輝「クロ!そろそろ飯に・・・」
山都大輝「あ・・・そうだった・・・」
山都大輝「・・・・・・」
山都大輝「追い出すのはちょっとやりすぎだったかな?」
山都大輝「いや違う!違う!」
山都大輝「アイツが悪いんだ!アイツが!」
山都大輝「・・・・・・」
山都大輝「米でも炊くか・・・」
〇アパートの台所
山都大輝「あ・・・米買うの忘れてるわ・・・」
山都大輝「仕方ねぇ・・・買い出し行くかぁ」
〇通学路
ハル「おい!どうすんだよ!ルプ!」
ハル「もう夜になっちまうぞ!」
ルプ「これは少々まずい事態でございまする・・・」
ハル「黒猫も何処に行ったのか分からねぇし!」
ルプ「もう八方塞がりでございまする・・・」
ハル「諦めてんじゃねぇよ!仲間の一大事だぞ!」
ルプ「もう撃つ手がないでございまする」
ハル「ほら!ルプ!また人間が来たぞ!」
ルプ「・・・・・・」
ハル「あーもう!いい!俺が行ってくる!」
〇通学路
ハル「おい!お前!」
山都大輝(また喋る猫かよ・・・)
山都大輝(いや・・・違うか。猫は普段からしゃべてんだったな・・・)
ハル「聞いてんのか?俺の言葉が理解できてんなら返事しろ!」
山都大輝(口悪いヤツだな・・・)
ハル「あー!やっぱダメか!」
山都大輝「あのさ・・・さっきから何喋ってんだ?意味が分からねぇんだけど・・・」
ハル「なっ!もしかして・・・俺の言葉が理解できてんのか?お前!」
山都大輝「まぁ・・・一応な」
ハル「もしかして・・・お前はヤマトか?」
山都大輝「何で俺の名前知ってんだ?」
ハル「やっぱりヤマトだったか!」
ハル「おい!ルプ!ヤマトを見つけた!ついに見つけたぞ!」
ルプ「本当でございまするか!ハル氏!」
山都大輝(ございまする?変な喋り方する猫だな・・・この三毛猫)
山都大輝「つーか、ついに見つけたって言ったか?」
山都大輝「お前らは俺を探してたのか?何の為に?」
ハル「黒猫が人間のメスに誘拐されたんだ!」
山都大輝「クロが?」
ハル「アイツを助け出すのに協力──」
山都大輝「断る!」
ハル「なんでだ!お前は黒猫の飼い主なんだろ?」
ハル「心配じゃねぇのか?」
山都大輝「アイツは──」
ルプ「黒猫氏から話は聞いて存じているでございまする!」
ルプ「ヤマト氏の恋路を邪魔してなお嘲笑ったと!」
山都大輝(アイツ・・・余計な事を)
山都大輝「だったら分かったろ?俺はアイツの飼い主は辞めたんだ!」
山都大輝「俺とアイツの関係は終わってんだ!以上!」
ハル「ま、待て!おい!」
〇住宅街
ハル「だから待てっつってんだろ?」
山都大輝「しつこいんだよ!白猫!」
ハル「アイツは後悔してた!」
山都大輝「はぁ?」
ハル「本来は励まそうとしたらしいが、やり方を間違えただけなんだ!」
ハル「黒猫はお前以外の飼い主は考えられねぇって!そう言ってたんだぞ!」
山都大輝(クロが・・・そんな事・・・)
ハル「お前はそれでも──」
山都大輝「関係ねぇよ!」
ハル「黒猫がもしお前と同じ人間だったら──」
山都大輝「なんだよ?」
ハル「黒猫がお前と同じ人間だったら同じ事をしたか?同じ事が言えたか?」
山都大輝「何言ってんだ?お前・・・」
ハル「たしかに俺たち猫は、お前ら人間に比べたら小さくて非力な生き物かもしれない!」
ハル「だが人間と同じように意志がある!」
山都大輝「・・・・・・」
ハル「なんで人間は猫の命なら無下に扱っても良いと勝手に解釈するんだ?」
ハル「猫の命は人間の命よりも軽いのか?」
山都大輝「だれもそんな事言ってねぇだろ!」
ハル「言ってるようなもんだ!」
ハル「仮に黒猫が人間だったら・・・」
ハル「お前らは必死になって、血眼になって探すはずだ!そうだろ?」
山都大輝「・・・・・・」
ハル「けどそれが猫になると『猫なら大丈夫』『なんとかなる』って、自分がやってる非情さを正当化するんだ!」
ハル「自分たちがやってる事の重大さに気付いてない!」
ハル「俺たちだってな・・・」
山都大輝「・・・・・・」
ハル「辛いし悲しいし、誰かのそばに居たいって思う生き物なんだよ!お前らと同じなんだよ!」
山都大輝「・・・・・・」
ハル「もいいい!少しでも期待した俺がバカだったよ!」
ハル「せいぜい見たくもない現実から目を背けて生きろ!クソ!」
山都大輝「待て!」
ハル「なんだよ!もうお前には──」
山都大輝「クロを最後に見た所まで案内してくれ!」
ハル「・・・・・・」
山都大輝「頼む!」
大輝は深々と頭を下げる。
ハル「分かった!ついて来い!」
山都大輝「ありがとう!助かる!」
〇通学路
山都大輝「この辺か?」
ハル「ああ!そうだ!」
山都大輝(そういえば・・・ここで初めてクロに出会ったんだよな・・・)
〇通学路
黒猫「おい!」
山都大輝「え?」
黒猫「おい!そこのお前!」
山都大輝(猫が喋ってる・・・)
山都大輝「えェェェェェェェェェェェェ!」
黒猫「その反応は・・・お前は俺の言葉が理解できているみたいだな!」
黒猫「これは珍しいヤツに出会ったな!」
黒猫「にしても驚きすぎじゃないか?」
黒猫「まぁ、無理もないか!」
山都大輝「いやいやいや!ないないない!」
山都大輝「猫が喋るとか、そんなんありえないから!」
山都大輝「アニメや漫画じゃねぇんだから!」
山都大輝「多分疲れてんだな・・・俺」
山都大輝「幻聴まで聞こえてくるとか、ヤベェよ!」
〇通学路
山都大輝(あん時はマジでビビったなぁ・・・)
ハル「おい!ヤマト!なにボザーっとつっ立ってんだ?黒猫を探すぞ!」
山都大輝「ああ・・・そうだったな」
山都大輝「確か女に連れてかれたって話だったが、どんな感じの女だったんだ?」
ハル「うんこ見たいな髪の毛の色したメスだった!」
山都大輝「うん。茶髪って言ってあげようね?さすがに可哀想だよ?」
山都大輝「どの辺に行ったか分かるか?」
ハル「あっちの方に行ったぞ!」
山都大輝「コンビニがある方角かぁ・・・」
山都大輝「他にないか?例えばこんな服装だったとか?」
ハル「いや、分からねぇ・・・」
ハル「黒猫の一大事をルプに伝えなきゃ!って気持ちで直ぐにこっちに戻って来たからな」
山都大輝「そうかぁ・・・」
山都大輝(茶髪の女が、クロをコンビニ方面に連れて行ったかぁ・・・)
山都大輝(それだけじゃ、情報が少なすぎる・・・)
山都大輝(クロ・・・どこに居んだ?)
ルプ「あ!ヤマト氏!あれを見るでございまする!」
山都大輝「ん?どうした?」
ルプ「あれは!黒猫氏でございまするよ!」
〇通学路
山都大輝「クロ!」
クロ「ヤマト・・・」
ハル「よかった!心配したんだぜ?黒猫!」
クロ「心配?何の話だ?」
ハル「お前が人間のメスに誘拐されたからだろ!」
山都大輝「大丈夫だったのか?」
クロ「あ・・・ああ・・・」
山都大輝「よかった・・・」
山都大輝「・・・・・・」
クロ「・・・・・・」
山都大輝「ちょっと白猫と三毛猫!」
ハル「なんだ?」
山都大輝「ちょっとの間だけ、クロと2人にしてくれ!」
ハル「・・・・・・」
ハル「わかった・・・」
山都大輝「クロ!ちょっと来てくれ!話したい事がある!」
クロ「わ・・・わかった・・・」