女心

神社巡り

エピソード1(脚本)

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〇レトロ喫茶
  私は幸子・・・
  男ってなんて我儘なんだろう・・・
  振り回される女の事なんか考えてやしない・・・
  少しでも相手の事を労わる気持ちがあればこんな事にはならないだろう・・・
  少しずつ気持ちが離れていることは気づいていたが少しは思いやりを掛けて欲しい・・・
  私は今まさに彼から別れを切り出そうとされている・・・男心の移り変わりで乙女心を傷つけられていた・・・
昭利「いや・・・だからさぁ・・・」
幸子「私の事が飽きたのね・・・飽きたから捨てるんでしょ・・・!?」
昭利「いや・・・そういう事じゃなくてね・・・」
幸子「じゃあ何だっていうのよ!!」
幸子「あなたに振り回されて私の心はボロボロだわ!!」
昭利「だから・・・その格好で居られると恥ずかしいんだよ・・・」
幸子「所詮あなたも女の子を外見でしか見ていないのね!?」
幸子「見た目だけの可愛い女の子を侍らせると良いわ!!」
昭利「別に僕はその格好を辞めてくれたら、それで良いんだ・・・」
幸子「嫌よ!! だって私はヒーローだもの!!」
昭利「ヒーローって・・・(その格好でいつも街をブラブラしてるだけじゃないか・・・特別な力がある訳でもないし・・・)」
幸子「私はこの格好に誇りをもってるの!!」
昭利「・・・(皆から白い目でジロジロ見られてるのに?それどころか何時も仲間外れじゃないか?)」
幸子「皆が私の助けを待ち望んでいるわ!!」
昭利「・・・(そばに近寄ると皆逃げて行くよね?小さな子供は「変な人が来た!」って泣いてるよね?)」
幸子「あなたの隣でそのヒーローが一緒に歩いてあげてるのだから光栄なハズでしょ?」
昭利「・・・(最近は僕も同類だと思われて誰も相手にされなくなってるんだ・・・親からも泣きながら電話来るし・・・)」
昭利「じゃあさぁ・・・その格好の上に普通の服を重ね着して、ピンチの時は脱ぎ捨てて駆けつけたらどうだろう・・・?」
幸子「う~ん・・・」
幸子「カッコいいわね!!」
昭利「・・・(スタイルも顔もめちゃめちゃ良いんだけど中二病なんだよなぁ~)」
  珍しく良い事を言った昭利・・・ちゃんとわかっているじゃん!!ちょっとだけ見直した・・・
幸子「着替えてくるわね!! 待ってなさい!!」

〇渋谷駅前
幸子「お待たせー」
昭利「(そうなんだよな・・・普通にしてたらめちゃめちゃ美形なんだよなぁ・・・)」
幸子「さあ・・・行くわよ・・・」
昭利「何処に!?(あっ・・・ダメだ・・・何か企んでいる・・・)」
幸子「うふふふ・・・」
  私はある計画を立てていた・・・ピンチの時に颯爽と現れるヒーロー・・・なんてカッコいいのだろう・・・

〇屋敷の門
昭利「ここって・・・」
反社A「おうおう!! お前ら何もんじゃい!!」
昭利「・・・(予感は当たってしまった・・・)」
幸子「さあ・・・泣き叫びなさい・・・泣き叫んで助けを求めるのよ・・・」
昭利「ははは・・・(泣き叫んだって何もできないだろうに・・・)」
反社A「お前ら二人で何を言ってやがる!!」
幸子「お黙りなさい・・・三下・・・!! 昭利、早く泣いて助けを求めるのよ!!」
昭利「ひぃ~助けて~!!」
  私は急いで服を脱いだ・・・しかし脱いだ服はしっかりと畳んだ・・・
幸子「待ちなさい!!悪事は辞めるのよ!!」
幸子「私が来たからには、もう大丈夫!!」
反社A「姉ちゃん・・・何言ってんだい? あんたさっきからそこにいただろう・・・」
幸子「お黙り!!三下・・・これでも食らいなさい・・・!!」
幸子「ファイナルアタックー!!」
  私はパンチを三下に放った・・・
昭利「(わぁ・・・なんて遅いんだ・・・蚊の止まりそうな勢いだ・・・)」
幸子「(ぽか・・・)」
反社A「お嬢ちゃん・・・何のつもり・・・」
反社A「zzzzzzzz・・・」
昭利「(このおっさん急に寝ちゃったぞ・・・?)」
幸子「これぞ私の真の力よ!!」
昭利「えっ?(本当にヒーローとしての能力があったの?っていうかショボっ・・・たったそれだけ?)」
幸子「この世の悪はキッチリ型にはめるわよ!!」
  決まった!!
昭利「(何か決めポーズ取ってる・・・)」

〇渋谷駅前
昭利「(特殊能力があったって事は本物だったの・・・?でも相手を寝かせただけだしなぁ?)」
昭利「(もしかして他にも何か隠し持ってる?只のコスプレした痛い娘だと思ってたのに・・・)」
  昭利の私を見る目が変わった・・・私の力に驚いたのだろう・・・さっきから尊敬のまなざしが痛い・・・
昭利「(随分ご機嫌だな・・・ポーズが決まって嬉しかったのか?しかし眠らせるってショボい能力だなぁ・・・)」
  私は彼を下僕1と呼ぶことにした・・・
???「きゃ──誰か助けて──」
幸子「まあ、大変・・・あそこのビルで火災だわ!!」
  私は急いで服を脱いだ・・・しかし脱いだ服はしっかりと畳んだ・・・
昭利「急がないと・・・!!(しかし火災なんてどうすんだ?やっぱり何か隠してる力が?)」
幸子「さあ、助けに行くわよ!! 下僕1・・・!!」
昭利「えっ?(俺も行くの?)」
幸子「私が居るから大丈夫よ!! 一人でも多くの人を助けるの!!力をかして!!」
昭利「足手まといになるだけじゃ・・・(巻き込まれて終わっちゃう・・・)」
幸子「良いから来なさい!!」

〇雑居ビルの入口
昭利「うわっ、あっちい!! これじゃ2人ともまる焼けだよ・・・」
幸子「大丈夫よ!!私に任せなさい!!」
幸子「ファイナルアタックー!!」
昭利「(今そんな能力って何の意味が?)」
幸子「(ぽか・・・)」

〇雑居ビルの入口
昭利「炎が消えてる・・・」
幸子「炎を眠らせたわ!! 今のうちに逃げ遅れた人を避難させるのよ!!」
昭利「炎を眠らせたって・・・消えてるじゃないか?」
幸子「眠ってるだけよ!! 目を覚ますとまた燃え広がるわ!!」
幸子「さあ、今のうちに急ぐわよ!!」
昭利「は、はい・・・」

〇渋谷駅前
昭利「はぁはぁ・・・」
幸子「何とか全員無事に非難出来たわね・・・」
昭利「ああ・・・(でも、この能力って意外と凄いんじゃ・・・?)」
幸子「この世の悪はキッチリ型にはめるわよ!!」
  決まった!!
昭利「(また決めポーズしてる・・・悪人は何処にもいないんだけどね・・・)」
幸子「じゃあ、後は任せたわ!!」
昭利「えっ?」
警官A「君が皆を助け出してくれたのかい!?」
昭利「えっ?い、いやぁ・・・(何か人だかりができて凄い事になってる・・・なんて答えたら良いんだ?)」
警官A「あの炎の中で大勢を避難させるなんて凄いね!!」
昭利「いや・・・ま、まあ・・・(幸子の事は言っても良いのだろうか・・・?いや言ったらヤバいだろうなぁ・・・?)」
警官A「君以外にも変な格好をした女性を見たと言ってる人がいるんだが・・・知っているかね?」
昭利「い、いやぁ・・・見なかったな・・・(何とか誤魔化すしかないか・・・)」
昭利「(誤魔化す事には成功したが、時間がかなり掛かった・・・居なくなった幸子を探したが辺りに気配はなかった・・・)」
幸子「良くやったわ!! 下僕1・・・」
昭利「下僕1って・・・?」
幸子「さあ、ついてくるのよ!!」

〇レトロ喫茶
幸子「あなたは今日から昭利、改め下僕1よ!!」
幸子「その格好で私の為に仕えるの!!」
幸子「さあ、姿を現しなさい!!」
昭利「こんな恥ずかしい格好は嫌だ・・・」
幸子「何を言うの!? あなたは私というヒーローに選ばれたのよ!!誇りを持ちなさい!!」
昭利「じゃあさぁ・・・せめてこの格好の上に普通の服を重ね着して、ピンチの時に脱ぎ捨てるのはどうだろう・・・?」
幸子「う~ん・・・」
幸子「カッコいいわね!!」
昭利「ほっ・・・(相変わらず中二病で良かった~)」
  斯くして私というヒーローの元に下僕1という新たな仲間が加わった・・・
  正式な名前はまだないが、この世に悪がはびこる限り私たちは戦い続ける・・・
  そう私たちはこの世の正義を守るヒーローなのだから・・・
  END

コメント

  • いつもながら作者さんはよくこんなキャラクターや設定を思いつくものだと感心してしまいます。相手を傷つけず殺さず眠らせるだけというのは地球にも人にも優しい最高の能力ですね。ちょっとポカっただけでみんな眠っちゃうから運転中の人には気をつけて!

  • 冒頭、なんて酷い男子と付き合ってるんだろう、可愛そう・・・と同情していたら、最後は下部になってしまった彼を同情していました! 普通にしてたら、かなり可愛い女の子ですね。

  • 彼女の能力がショボイなんて言えません。素晴らしい能力です。これからの活躍場面に能力がどんなふうに使用されるのか気になります。

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