しりとりデッドラン

森澤 友亮

第一話 突然のはじまり(脚本)

しりとりデッドラン

森澤 友亮

今すぐ読む

しりとりデッドラン
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇川に架かる橋
  今日は俺こと、池田景(いけだけい)の所属するクイズ研究部の全国大会予選。
  最近は良い結果を出せていない焦りもあり、歩きながらも予習をしていた。
池田景「・・・えーっと、この答えは『マンドラゴラ』だよな?」
池田景「よし、正解だ。この調子で今日の予選も突破できるといいけどなあ」
  そんな風にスマホで問題を見ながら歩いていたせいで、突然誰かにぶつかってしまった。
池田景「わわっ! すいません──」
  謝罪をしようと顔を上げた瞬間、あまりの驚きに思わず固まってしまった。
  そこにいたのは、あり得ないくらいの美少女だったからだ。
  滑らかな黒髪、整った顔、気品あふれる物腰・・・。
池田景(俺と同じ高校の制服を着てるけど、こんな子いたっけな?)
???「ねえ、わたしと遊ばない?」
  突然の提案に、俺はまたしても言葉を失う。遊ぶ? 何をして?
池田景(もしかしてちょっといけないことだったり・・・?)
???「嫌なの・・・?」
  美少女は目を潤ませ、悲しそうな顔をする。
池田景(こんな顔されたら、断れる男がいるはずない!)
池田景「嫌じゃないです! 遊びます! なんでもします!」
  俺がそう答えると、美少女は嬉しそうに笑って──
  ガシャン!
池田景「え?」
  俺の首に、何か妙なものを装着してきた。
池田景(・・・これは、首輪?)
???「わあ! やっぱりすっごく似合うわ! 景くんにはこれがぴったりだと思ってたの」
池田景「・・・? どうして、俺の名前を知ってるの?」
???「まあまあ、細かいことはいいじゃない」
???「あ、自己紹介がまだだったわね。わたしは小山弥子(こやまやこ)、よろしくね」
  全く状況が把握できない。いったい、何がどうなってるんだ?
小山弥子「それじゃ、がんばってね☆ 期待してるから!」
  そう言うやいなや、弥子と名乗った美少女は颯爽と立ち去ってしまった。
  後に残されるのは立ち尽くす俺だけ。
池田景「ど、どういうことだ!? クソッ! 何が起きてるのかさっぱりわからないぞ!」
池田景「だいたいあの子は誰なんだ!」
池田景「遊びがどうとか言ってたけど、なんなんだ・・・!? というか、そもそもこの首輪は?」
  とりあえず、首輪のことを調べるために取り外そうとした時、いきなり音声が流れだした。
首輪「ピー、装着が確認されました。この首輪を無理に取り外そうとすると、爆発しますので、お気を付けください」
池田景「へ!?」
首輪「また、首輪に表示された文字のものを制限時間内に入手できなかった場合も同様に爆発します」
首輪「それでは、ゲームを心行くまでお楽しみください」
池田景(さっきから何を言ってるんだ? 首輪が爆発なんて、そんな非現実的なことあるはずが)
  なんて考えていると、血相を変えた男が目の前に突然現れた。
男「お、おい! あんた、インターネットウミウシって何かわかるか!?」
池田景「へ? えーっと、確か・・・日本だと沖縄あたりに生息しているウミウシの一種かと」
男「そ、そんなのどこで入手すりゃいいんだよおおおおおおおお」
  男はそう言うと、じたばたと暴れだした。
池田景「お、落ち着いて・・・ん? 入手?」
  さっき首輪が言っていたことを思い出し、まさかと思いながら男を見ると・・・。
  俺と同じタイプであろう首輪が付けられていた。
池田景「あ! その首輪──」
  だが、詳しい話を聞きだす前に、男の首輪から音声が流れる。
首輪「タイムアウトまであと、10・・・9・・・」
  状況を把握できず、俺は呆然と立ち尽くすことしかできなかった。
  男は半狂乱のまま駆け出していく。だが、男が離れたところへ行った時に・・・
首輪「2・・・1・・・」
男「た、助け──」
  ドカーーン!
  カウントがゼロになった瞬間、男の身体は粉々に吹き飛んだ。
池田景「た、大変だ! 警察・・・いや、救急車か!?」
  慌てふためきながら、震える手でスマホで電話をかけようとしたその時、首輪から音が発せられた。
首輪「ピー、首輪に文字が表示されます。ご注目ください」
  その音声を聞いて我に返った。とりあえず今は指示に従わないと、俺もさっきの男みたいに爆発されてしまう。
池田景「って、首輪だから確認しづらいな・・・!」
  ひとまずスマホをインカメラにして撮影後に文字を見るとそこには『しりとり』と表示されていた。
池田景「どういうことだ? しりとりを入手?」
  またもや混乱していると、また首輪から音声が流れる。
首輪「文字が変更されます。確認してください」
  言われた通りに確認してみると、文字の表示が『りんご』へと変更されていた。
池田景「これ・・・しりとり形式で入手するものが決められるってことか!?」
池田景「すぐにでもりんごを手に入れないと、俺もさっきの男みたいになっちまう!」
首輪「制限時間は10分です。カウント、スタートします」
池田景「10分!?」
池田景「ええと、このあたりでりんごが入手できるのは・・・商店街の八百屋か」
池田景「いやでも、ここから商店街までって、どんなに急いでも15分はかかるぞ・・・!」
首輪「ピー、30秒経過」
池田景「ああもう! 死ぬ気で走るしかない!」

〇商店街
  死ぬ気になったのが功を奏したようで、かなり早く到着できたが、それでも時間に余裕があるわけじゃない。
  そうこうしている間にも、首輪のカウントは進んでいく。
首輪「ピー、あと、1分です」
池田景「は、早くリンゴを買わないと・・・!」
  だが、八百屋の店先には誰もおらず、店員は奥に引っ込んでいるようだ。
池田景「ああもう! 常に接客できるようにしろよな! すいませーん!」
  俺がそう叫ぶと、店の奥から人の良さそうなおじさんが現れた。
八百屋のおじさん「はいはい、なんにしましょう」
池田景「リンゴをひとつください!」
八百屋のおじさん「はいよお、リンゴだけでいいの? 今日はブドウもオススメだよ」
池田景「いいから、早く!」
  のんびりしたおじさんにイラつきながらも俺は鞄の中から財布を取り出そうとしたのだが・・・。
池田景「・・・無い!?」
  最悪だ。今日に限って財布を家に忘れてきたらしい。
首輪「ピー、あと、30秒です」
池田景「クソ! 取りに帰る時間もないし・・・」
池田景(こうなったら、最後の手段だ!)
池田景「あ! おじさん! あっちの果物ってなんですか? 珍しそうだけど」
八百屋のおじさん「ああ、あれはね・・・」
  おじさんが後ろを向いた隙に、俺はリンゴを手に取り、走りだした。
八百屋のおじさん「あっ! 泥棒!!」
池田景「こっちは命が掛かってるんだ! 許してくれよ!!」
首輪「ピー、指定の物を入手しました。次の文字表示まで暫くお待ちください」

〇黒
小山弥子「ふふ・・・目的のためなら手段を選ばないその姿勢」
小山弥子「やっぱり、良いわね・・・」

次のエピソード:第二話 正しい名前

コメント

  • これ、見ている分にはコメディでも、当事者になったらホラーやな…とちょっと怖くなりました。
    ヒロイン(ラスボス?)、恐ろしい子…!

  • スリリングなしりとりにドキドキしました(^^♪

成分キーワード

ページTOPへ