アライブ・ソルジャーズ

十二話 降りかかる罰(脚本)

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〇車内
  雛先生が沙耶さんを収容所に連れて行く間、俺たちは雛先生の車に取り残されていた。
渋屋 杏「・・・黒沼」
渋屋 杏「あなたはどうしたい? 人を守り続ける長期戦か、それともギャラジーの親玉を仕留める短期戦か」
黒沼 晶「どうだろうな。 エージェントが俺一人ならば、すぐに後者を選んだが・・・」
黒沼 晶「今は、全ての人命を助けられるほど強力なエージェントがいる。 どうするべきかは、リベリオンの本部に帰ってから考えよう」
渋屋 杏「確かに、それが一番かもね」
渋屋 杏「でも私は、短期戦にしたいと思ってる。 それがどんな危険を伴っても・・・」
黒沼 晶「どうしてだ?」
渋屋 杏「こんなこと言える立場じゃないけれど・・・ 私、高校に戻りたいの」
黒沼 晶「お前、高校生だったのか!?」
渋屋 杏「え、あれ? 教えてなかったかしら?」
渋屋 杏「私は高校を休学して、リベリオンのエージェントになったのよ。 この戦いが終わったら、すぐにでも復学するわ」
渋屋 杏「──大事な友達、何も言わずに置いてきちゃったから」
黒沼 晶「そうか・・・」
黒沼 晶「お前がそうしたいと言うのなら、俺は協力する。 反対はしない」
渋屋 杏「いつもありがとう。 あなたはなんだかんだ言って、私の目的や夢を応援してくれるわよね」
渋屋 杏「前まではあんなに嫌いだったけど・・・ 今ではあなたがエージェントで良かったと思う」
黒沼 晶「・・・そんなこと、初めて言われたな」
渋屋 杏「黒沼、約束するわよ。 私たちは絶対に死なない、この戦いを生き抜くんだって」
黒沼 晶「約束は嫌いだと言っただろ」
渋屋 杏「これはお互いを苦しめるための約束じゃない。 「生きる理由」と言った方が近いかしら?」
渋屋 杏「お互いがお互いに、この約束で戦いを生き抜けるように。 破ったら・・・そうね」
渋屋 杏「あなたが必死に隠してる、成人男性向けゲームを雛先生に見せるとか!」
黒沼 晶「おいバカやめろ!! 俺は雛先生にドン引きされたくない!!」
渋屋 杏「あら? 本当にあるの? 本当に隠してるの!?」
黒沼 晶「お、お前・・・!! やっていいことと悪いことがあるだろ!」
渋屋 杏「ふふーん、良いこと知っちゃったわ。 じゃあ、私が破ったら・・・」
渋屋 杏「そうね、高校の友人に・・・ 黒歴史がいっぱい詰まった小説を見せてもいいわよ」
黒沼 晶「高校の友人? 母親じゃないのか?」
渋屋 杏「ああ、母さん・・・ 母さんはね、もう私のことが分からないの」
渋屋 杏「お父さんが死んじゃった日から、精神的に参っちゃったみたいで。 ずっと私には見えない誰かと話してるの。 「あなた、杏」って」
渋屋 杏「でも、お母さんがそれで幸せな世界を見れているのなら、私はそれでいいと思ってる」
黒沼 晶「ごめん・・・」
渋屋 杏「いいえ、大丈夫よ。 これは私の「全ての命を救いたい」っていう夢の原動力の一つになってくれているんだもの」
渋屋 杏「私はこの夢を追いかけている自分を、誰よりも誇らしく思ってる」
黒沼 晶「お前はどこまでも強いな、渋屋」
中井 雛「二人とも!!」
中井 雛「リベリオンの近くにギャラジーが出没したみたい!!」
中井 雛「隊員たちじゃもう手に負えないって!」
中井 雛「リベリオンは速度制限無視での走行を政府から許可をもらってる!! 全速力で行くよ、掴まってて!」
「はい!!」

〇渋谷のスクランブル交差点
中井 雛「着いた! 頼んだよ、晶くん、杏ちゃん!」
黒沼 晶「行くぞ!」
渋屋 杏「一般人の皆さんは下がってください!! 私たちはエージェントです!」
杏の母「・・・あら、どなた?」
渋屋 杏「母さん・・・!?」
渋屋 杏「ど、どうしてここに・・・!」
杏の母「娘がもうすぐ誕生日なんです。 そのプレゼントを買いに、ここへ」
渋屋 杏「か、母さん・・・ ずっと、覚えててくれてるのね」
渋屋 杏「・・・いいえ、今は感傷に浸ってる場合じゃない」
渋屋 杏「ここは大型ギャラジーが出現しており危険です。 早くここから逃げてください!」
杏の母「え、でも・・・ 娘の好きな、大きなテディベアは数量限定なんです!」
渋屋 杏「そんなものより大事なのは、あなたの命です! あなたが死んでしまったら、娘さんは・・・!」
渋屋 杏「どうか娘さんのために、ここから逃げて!」
杏の母「娘のため・・・」
杏の母「分かりました、どうか皆さんお気をつけて」
黒沼 晶「・・・よく頑張ったな」
渋屋 杏「・・・うん」
黒沼 晶「ギャラジーはどこなんだ?」
隊員「黒沼さん!?」
黒沼 晶「今の状況はどうなってる、ギャラジーは?」
隊員「来ちゃダメだ!!」
黒沼 晶「・・・え?」
隊員「ぐっ・・・!」
渋屋 杏「ちょ、ちょっと! しっかりして!」
渋屋 杏「──もう、息してない・・・!」

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