anima≠animal(脚本)
〇サイバー空間
ケダモノは、エルを証明しタマシイとなる
エルの証明には、ブレインが必要だ
〇荒廃した市街地
スウェイ地区に警報が走った
住民「アガの襲撃だ!」
住民「また・・・!?」
住民「早く避難を・・・!」
〇荒廃した街
子供「怪人だ・・・!」
子供「急げ!」
「わああ・・・!」
子供「ライト・・・!?」
子供「ライトだ・・・!」
ライト(テレパス)「急いで!」
「ライト、負けないで!」
〇荒廃した市街地
怪人「──」
〇荒廃した街
怪人「──」
〇電脳空間
ロウジ「はははっ!」
ロウジ「タハル、気張れよ!」
〇電脳空間
タハル「おうよ!」
タハル「まかせときな!」
〇入り組んだ路地裏
ロウジ(テレパス)「サイ!準備はいいか?」
サイ「万全」
〇廃墟の廊下
タハル(テレパス)「アリ―、こけるなよ!」
アリ―「ふん。誰が」
〇荒廃した街
怪人(ロウジのテレパス)「じゃあ──」
〇荒廃した市街地
怪人(タハルのテレパス)「行くぜ!」
「ロック!」
戦闘が始まった
〇廃ビルのフロア
キリヤ「私たちも行くよ、シーナ」
シーナ「うう・・・」
キリヤ「少しは自分で歩いてよ」
シーナ「だって、行きたくない」
キリヤ「いぎたないんだから。デイ、よろしく」
デイ「まかせてくれ。気をつけて」
シーナ「ああ、いやだー!」
シーナはバイクに乗せられていった
キリヤ「やれやれ・・・」
〇廃墟の倉庫
キリヤ「ここね」
ポジションは最終的にはカンだ
射程距離と見つかりづらさ──
キリヤ「何を優先しても、バトルが下手なら無意味」
キリヤはその場に座り込んだ
キリヤ「目覚めよ。われらは水を火に帰すアニマ」
キリヤ「われらは神の子孫、われらは民の刃」
キリヤ「この名をもって、エルの証明とす」
キリヤ「ライフ!」
〇荒廃したショッピングモール
怪人「!」
ライフ「・・・」
シーナ「ああ・・・始まっちゃった・・・」
デイ「気合入れろよ、シーナ!」
シーナ「ああもう、わかってるよ!」
シーナ「出たからには、やるしかないんだからさ!」
ライフ「・・・」
怪人「・・・」
ライフ(キリヤのテレパス)「剣・・・」
ライフ(キリヤのテレパス)「攻撃の範囲は広くないか・・・」
ライフ(キリヤのテレパス)「風の斬撃・・・」
怪人「・・・」
ライフ(キリヤのテレパス)「上等よ」
「ロック!」
方陣が開かれる
これで、勝敗がつくまで互いに逃れられない
ライフ(キリヤのテレパス)「!」
シーナ「ああっ!キリヤのバカ!」
デイ「かすり傷だ、しっかりしろ!」
シーナ「うるさいな!」
シーナ「嘆くくらいさせてよ!」
シーナ「減るのは私の生命なの!」
怪人の原動力は、
怪人を生み出したハートの生命力だ
怪人が動いている間、
ハートの寿命は削れていく
シーナ「回復は、上乗せなんだからね!」
デイ「だったら早く敵のブレインを探せよ!」
デイ「ゲインすりゃチャラだろ!」
シーナ「簡単に言わないで!」
シーナ「ハズレのときもあるんだから!」
怪人「──」
ライフ(キリヤのテレパス)「はっ!」
〇電脳空間
キリヤ「北の視界、よし」
キリヤ「東西の視界、よし」
〇荒廃したショッピングモール
ライフ「──」
怪人「・・・!」
〇電脳空間
キリヤ「──南!」
〇荒廃したショッピングモール
シーナはテレパスを受け取り叫ぶ
シーナ「デイ、南!」
デイ「よし来た!」
デイ「うわっ!」
シーナ「バカッ気をつけてよ!」
デイ「仕方ないだろ!?」
怪人「──!」
ライフ(キリヤのテレパス)「今、二人を狙った・・・」
ライフ(キリヤのテレパス)「確定ね」
怪人「ウウ・・・」
〇荒廃したハチ公前
シーナ「ああもう!毎度思うけど!」
シーナ「広いんだよ、範囲が!」
デイ「文句言うな!」
デイ「そのおかげで助かってもいるだろ!」
怪人とブレインの制御距離は、
平均半径2キロメートル
バトルで敵のブレインの
ポジションを割り出し、
ハートが見つけ、”ゲイン”する
それが怪人同士の戦い方だ
シーナ「わかってるよ!」
シーナ「なら、もっと飛ばして!」
デイ「つかまってろ!」
キリヤのテレパス「シーナ!」
シーナ「キリヤ、どこ!?」
キリヤのテレパス「南から西に三十度!」
シーナ「わかった!」
〇グレー
はやく、はやく!
向こうがキリヤを見つける前に!
〇白
〇荒れた倉庫
敵のブレイン「・・・!?」
シーナ「見つけた」
敵のブレイン「・・・!!」
シーナ「アガの言葉はわかんないよ」
シーナ「でも、わかるよ」
シーナ「『殺さないで』だよね?」
シーナ「ゲイン!」
〇荒廃したショッピングモール
怪人「・・・」
ライフ(キリヤのテレパス)「勝った・・・」
〇荒れた倉庫
シーナ「はあ・・・」
敵のハートの寿命が流れ込む
シーナ「弱い敵でよかった」
シーナ「キリヤ、早くはずして──」
シーナ「!?」
〇グレー
緊急テレパスが響いた
「警戒せよ!警戒せよ!」
「ライト、大破!」
「突破の危険!」
「戦闘終了の怪人は、急ぎ応援に回れ!」
〇荒れた倉庫
シーナ「えっ」
デイ「なんだって・・・!?」
〇電脳空間
キリヤ「ライトが・・・!?」
キリヤ「ジュード・・・」
〇電脳空間
ジュード「・・・」
〇荒廃した街
怪人「フフ・・・」
〇電脳空間
ロウジ「くそっ!」
ロウジ「こそこそ隠れやがって!」
〇荒廃した街
サイ「落ち着け!」
〇電脳空間
タハル「アリー!」
〇荒廃した市街地
アリ―「わかってるわ」
アリ―「ベットして」
アリ―「リヒトを助けに行く!」
〇荒廃した街
リヒト「・・・」
リヒト「くっ・・・」
〇荒れた倉庫
シーナ「無理無理無理!」
シーナ「キリヤ、早く解除して!」
デイ「何言ってんだよ!」
シーナ「だって私の仕事終わったもん!」
デイ「リヒトを見殺すのかよ!」
デイ「リヒトが何度俺たちを助けてくれたか!」
シーナ「黙ってよ!」
シーナ「死ぬのは私だよ!」
シーナ「ここで無理してリヒトを助けても──」
シーナ「ゲインするのはどうせリヒトだよ!」
シーナ「私の寿命は戻らない!」
デイ「・・・本気で言ってんのかよ」
シーナ「言うよ。死にたくない」
シーナ「絶対に死にたくない!」
デイ「お前は神の子孫だ!」
シーナ「だから死ねっての?」
シーナ「あんたはいいよ!」
シーナ「関係ないんだから!!」
デイ「・・・!」
シーナ「・・・」
デイ「・・・」
デイ「見損なった」
デイ「なんでお前なんかに・・・」
デイ「俺なら、こんなダサい真似はしない」
デイ「お前はケダモノだ」
デイは去っていった
シーナ「・・・」
シーナ「何も知らないくせに!」
〇荒れたホテルの一室
私の怪人が目覚めたのは──
家を敵に囲まれた時だった
アガの兵「・・・」
シーナの父「父さんの後ろに!」
シーナの母「大丈夫、大丈夫よ・・・」
シーナの弟「お姉ちゃん・・・」
シーナ「死にたくない・・・」
「いやだ。死にたくない、死にたくない」
シーナ「死にたくない!死にたくない!」
絶対に死にたくない!
怪人「ガアアアアアアア!!」
〇荒れたホテルの一室
アガの兵「・・・!!」
怪人は、敵を焼き殺した
シーナの父「・・・!!」
シーナの母「ああっ・・・!!」
シーナの弟「お姉ちゃん!お姉ちゃん!」
たすけて・・・!!
怪人「アアアアアアア!!」
シーナ「たすかった・・・」
シーナ「助かった!助かった!」
シーナ「これで生きられる!」
私の頭には、それしかなかった
〇荒れた倉庫
シーナ「・・・」
シーナ「怪人には感謝してるよ」
シーナ「おかげで生きられた」
〇黒
サイ「ぼくたちは神の子孫だ」
アリ―「目覚めた力を正しくふるう責務がある」
サイ「それがタマシイたるゆえんだ」
アリ―「ケダモノに生きる価値はないわ」
〇荒れた倉庫
シーナ「それが意味わかんないんだって!」
シーナ「生きたいことのなにがいけないの?」
シーナ「かっこつけるなら自分たちだけにしてよ!」
シーナ「キリヤ。はやく解除して」
シーナ「キリヤ!」
〇白
リヒト「シーナ」
リヒト「お前は強いよ」
・・・!!
〇黒
「・・・」
「・・・」
意識の高い怪人の中で私は爪弾きだ
私をケダモノ扱いしなかったのは・・・
キリヤ「シーナ」
キリヤと・・・
リヒト「シーナ」
リヒトだけだった
〇白
リヒト「いいか、シーナ」
リヒト「ハートに必要なのは──」
リヒト「頭脳でも脚力でもない」
リヒト「生きることへの執着心だ」
リヒト「お前は最強になれる」
リヒト「──勝ち続ける覚悟さえ決めれば」
〇荒れた倉庫
シーナ「リヒト・・・」
シーナ「なら生きたいよ」
シーナ「あんたが危なくなるほどの怪人でしょ?」
シーナ「ゲインもできないのに・・・」
今こうしていても襲っている
生命の削れる感覚・・・
シーナ「無理!」
シーナ「無理無理!無理!」
シーナ「リヒトのバカ!」
シーナ「最強でいろってなに!?」
シーナ「キリヤ!」
シーナ「解除してったら!」
〇電脳空間
キリヤ「・・・」
キリヤ「──解除」
〇廃墟の倉庫
キリヤ「・・・」
戦闘が解除される
〇荒れた倉庫
シーナ「ふー・・・」
シーナ「ああ、怖かった」
〇廃墟の倉庫
キリヤ「・・・」
シーナのテレパス「キリヤ、かえろー!」
〇黒
ロウジ「キリヤ」
ロウジ「てめえのハートくらい制御しろよ!」
タハル「恥ずかしくないのか?」
タハル「ブレインとして誇りを持って戦え!」
ジュード「僕たちは、エルを証明する」
ジュード「ケダモノをタマシイにするんだ」
〇廃墟の倉庫
キリヤ「・・・」
キリヤ「わかってる」
キリヤ「けど・・・」
シーナのテレパス「帰ろうよ!もういいじゃん!」
シーナの明るい声がこだまする
キリヤ「シーナは私の友達」
キリヤ「あまりつらい顔は見たくない」
シーナのテレパス「キリヤ!」
キリヤ「・・・大丈夫」
キリヤ「私たちの名はライフ」
キリヤ「ここで戦わなくても・・・」
キリヤ「エルの証明からは外れないはず──」
!?
〇廃墟の倉庫
シーナのテレパス「キリヤ?」
キリヤ「あっ・・・」
〇黒
ジュード「キリヤ、戦え」
ジュード「エルの証明は、誇りの証明だ」
ジュード「ハートとブレイン──二人の」
ジュード「エルの証明こそブレインの存在意義」
ジュード「それができないブレインは──」
〇廃墟の倉庫
──怪人にのまれる──
キリヤ「あっ、が・・・」
キリヤ「ギアアアアアアアアアッ!」
キリヤ「脳が・・・私の脳が・・・!!」
怪人に食われていく・・・!!
キリヤ「ギッ!」
キリヤ「い、ウギイイイイイイ!」
シーナのテレパス「キリヤ!?」
キリヤ「ヒッ・・・──」
食われる!
食われる!
食われる!
私が失われる──!!
キリヤ「ライフ!!」
キリヤ「目覚めろ!!」
シーナのテレパス「──えっ・・・?」
〇荒廃したショッピングモール
ライフ「ガアアアアア!」
〇電脳空間
キリヤ「戦え・・・戦え!」
キリヤ「われらはエルを証明する!」
キリヤ「ベット!領域拡大!」
シーナのテレパス「ベット!?」
シーナのテレパス「キリヤ!待ってよ!」
キリヤ「ロック!」
キリヤ「行け!」
キリヤ「死にたくなければ、行けーーーっ!!」
シーナのテレパス「・・・!!」
〇白
リヒト「シーナ」
リヒト「俺たちは絶対にブレインから逃れられない」
リヒト「ブレインは俺たちを離さない」
リヒト「だから、最強でいるんだ」
リヒト・・・
〇荒れた倉庫
シーナ「領域拡大・・・」
怪人とブレインの制御範囲を広げる
それでライフは敵をロックできた
シーナ「でも・・・」
シーナ「ベットするなんて!!」
ベットは怪人を強くする手段だ
ハートの寿命を代償にして──
シーナ「うわああああああ!」
シーナ「死にたくない!」
シーナ「死にたくない!死にたくない!」
絶対死にたくない・・・!!
シーナ「殺す・・・!!」
シーナ「殺す!!」
シーナ「ブレインを殺す──!!」
〇荒廃したショッピングモール
その瞬間、すべてから音が消えた
デイ「・・・!?」
貸して!
ブレイン・・・!!
頭の中に目がある
ぎらぎらと冴え──
すべての生命が見えた
〇荒廃した街
怪人「・・・」
敵の怪人・・・
〇荒廃した教会
ジュード「──」
ジュード・・・
〇荒廃した教室
ロウジ「────!!」
ロウジ・・・
〇廃列車
タハル「・・・!!」
タハル・・・
〇荒廃した街
アリ―「・・・!!」
サイ「──!!」
アリー・・・サイ・・・
リヒト・・・!!
〇白
いた・・・!!
〇荒廃した改札前
敵のブレイン「・・・!?」
──死ね!!
〇黒
〇荒廃した街
アリ―「この恥知らず!」
シーナ「・・・」
アリ―「ゲインを横取りするなんて・・・!!」
サイ「そいつに言っても無駄だ」
サイ「それより、リヒトを」
アリ―「リヒト!!」
サイ「だめだ・・・もう・・・」
リヒト「・・・」
「ジュード!しっかりしろ!」
タハル「なあ、待ってくれよ!」
タハル「まだアンタに教わりたいことがたくさんあるんだ!」
ジュード「・・・」
ジュード「フフ・・・」
ロウジ「ジュード?」
リヒト「シーナ・・・」
シーナ「!?」
アリ―「なんで・・・」
サイ「──リヒトが呼んでる」
サイ「はやくしなよ」
シーナ「・・・」
リヒト「──」
リヒト「よくやった」
シーナ「!?」
皆が息をのんだ
リヒト「強いものがゲインする」
リヒト「当たり前のことだ」
リヒト「・・・それに、俺は」
リヒト「ゲインじゃ追いつかないくらいに、ベットしてた」
シーナ「・・・リヒト」
リヒト「はは・・・」
リヒト「弱くなったもんだ」
リヒト「──さっきの感覚を忘れるな」
リヒトがシーナの手を取った
リヒト「その気持ちを忘れるな」
リヒト「つらぬけば誇りになる」
リヒト「最強に・・・」
アリ―「リヒト・・・!?」
サイ「リヒト・・・」
リヒトはこと切れていた
ライトが消えていく
ジュード「フ・・・」
ジュード「ハハハ・・・」
ロウジ「ジュード・・・」
タハル「噓だろ・・・」
ハートを喪ったブレインは廃人になる
ジュード「ハハハ・・・!!」
キリヤ「ジュード・・・」
〇黒
ジュード「キリヤ」
ジュード「我をとおすことを恥じるな」
ジュード「ブレインにとって自我こそが誇り」
ジュード「──つらぬけ」
ジュード「なにがなんでも」
〇荒廃した街
キリヤ「・・・」
皆、リヒトとジュードにひざまずいていた
シーナ「・・・」
シーナはひとり、輪から外れる
戦闘は終わった
終わりのサイレンがなりだしている
──もういい
デイ「・・・シーナ」
シーナ「デイ・・・」
デイは早足で近づいてきた
デイ「やったな!」
シーナ「・・・!」
デイはシーナを抱きしめた
デイ「皆、守られた」
デイ「ありがとう!」
シーナ「・・・!!」
シーナ「・・・うっ」
シーナ「わああああああああ!!」
シーナは叫ぶ
──声のかぎりに
シーナ「生きてる!生きてる!」
シーナ「生きてる・・・!!」
シーナ「わああああああ・・・!」
サイレンはなり続けていた
息もつかせぬ展開に頭が追いつかなくて必死でしたが、波のように押し寄せるスピード感が素晴らしく、最後まで一気に読みました。シーナの生への執着はどこからきているんだろうか。彼女の理解者であるリヒトの死はこれからの彼女にどのような変化をもたらすのだろうか。次回作に向けてその辺りが気になります。
起承転結が分かり面白かったです。
最初は少し難しいと感じる内容でしたが、理解できるほど面白くなる作品に感じます。登場人物たちの感情がしっかりと現れているのがいいと思います。
少し難しい設定ではありますが、わかってくるとすごく面白い作品でした!
要所要所で出てくる単語もしっかり説明してもらえたのが大きいんだろうなあ…。
私も死にたくないです。