転生したら不倫して私を殺した元夫の娘になってた

セーイチ

第五話(脚本)

転生したら不倫して私を殺した元夫の娘になってた

セーイチ

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〇遊園地
八千流「おりゃぁあああ!!」
快斗「うおっ!!」
美琴「八千流ちゃん、すごーい!」
喜美「ホント、元気ねぇ」
  自宅療養が明け
  私は約束通り美琴と快斗、そして快斗の母親と一緒にとあるレジャー施設にやってきた
  正直、遊びに行く気分じゃなかったんだけど
  約束したし、何より・・・
八千流「貰ったぁ!!」
快斗「あぶねぇ!!」
快斗「オイ!オレを狙うなよ!」
美琴「あはは、快斗くんよけるのうまいね」
快斗「嬉しくない・・・」
八千流「あははは♪」
  美琴と快斗の笑顔を見ると、少しだけ胸のモヤモヤを忘れられた
  現実逃避なんだろうけど、私が壊れなかったのは二人のお陰だ
八千流「はぁ遊んだ遊んだ♪」
快斗「お前、本当に病み上がりか?」
美琴「八千流ちゃんはスポーツも万能だもんね♪」
快斗「水泳以外はな」
八千流「うっさい」
喜美「とにかく元気になったみたいで良かったわ」
八千流「今日は、ありがとうございます」
八千流「家の両親、私が入院した時に仕事休んだせいで休日も出勤で」
美琴「家は自営業だから土日関係ないし」
喜美「良いの良いの、気にしないで」
八千流「でも大学教授さんって忙しいんじゃ・・・」
快斗「大丈夫、母さん休みの日は家でゴロゴロしてるだけだから」
喜美「快斗?余計な事言わないの、ね?」
快斗「は、はい・・・」

〇一軒家
八千流「今日は一日、ありがとうございました」
喜美「どういたしまして」
美琴「八千流ちゃん、またね」
快斗「またな」
八千流「うん、またね」
八千流「さて、今日は何を調べて・・・」
八千流「ん?」
田辺「やあ」
八千流「刑事さん」
田辺「お友達と遊んできたのかい?子供は風の子、良い事だ」
田辺「ねぇ、明石八千流さん」
八千流「何か御用ですか?」
田辺「俺が君の名前や家を知ってる事には驚かないんだね」
八千流「だって刑事さんは、その道のプロですから」
田辺「理解が早くて助かるよ」
八千流「・・・」
田辺「少し良いかな?」
八千流「任意ですか?」
田辺「まぁね、出来ればご協力願いたい」
八千流「・・・」
田辺「堀田コーポレーションの話なんだけど」
八千流「・・・家の中じゃなければ」
田辺「OK」
田辺「そこのファミレスで良いかな?」
八千流「・・・はい」

〇ファミリーレストランの店内
八千流「それで、何のお話ですか?」
田辺「君に言われてね、色々と調べ直したんだ」
田辺「特に堀田コーポレーションの事をね」
田辺「っで、少しツッコんで調べたら、キナ臭い話が見えてきた」
八千流「キナ臭い?」
田辺「元々俺はとある人物の贈収賄を追ってたんだ」
田辺「あ、贈収賄ってのはね・・・」
八千流「知ってます」
田辺「あ、そう」
田辺「まぁ、その金の出処を調査中だった訳だ」
八千流「それで、何がキナ臭いんですか?」
田辺「その前に聞きたい」
田辺「なぜ君はアノ時、堀田の名を出した?」
八千流「深い意味はありません」
田辺「本当に?」
八千流「遠野社長とのお話で名前が出たので」
八千流「ついでに刑事さんにも聞いてみた、それだけです」
田辺「ふ~ん」
田辺「実はさ、最近の遠野社長の動きが気になってね」
八千流「・・・」

〇工房の倉庫
田辺「何やらコソコソと調べまわってる感じなんだよね」

〇ファミリーレストランの店内
  もう、アノ子は・・・
田辺「それで思ったんだよね」
田辺「ひょっとして、君が遠野社長に何か助言でもしたのかなって」
八千流「ただの小学生が、会社の社長に何を助言するんですか?」
八千流「そもそも大の大人が、子供の助言を鵜呑みにするんですか?」
田辺「普通は無いだろうね」
田辺「でも彼ならあり得ると思ってる」
田辺「彼は非常に素直だ」
田辺「人が良過ぎると言っても良い」
田辺「それが理に適っていれば、子供の言う事でも実践する人間さ」
田辺「人が良過ぎて本当は社長には向かない、君もそう思ってるんじゃない?」
八千流「・・・」
八千流「それで、私が社長に助言したら何か問題が?」
田辺「まさか」
田辺「君だったら有り得るかなって思っただけさ」
八千流「買い被りです」
田辺「ま、そう言う事にしておこう」
八千流「じゃあ、私からも質問」
田辺「何?」
八千流「そのキナ臭い話を、なぜ私に話そうとしてるんですか?」
八千流「刑事さんが民間人、しかも子供に捜査情報を話すなんてフィクションだけでしょ」
田辺「はっはっは、そりゃそうだろうね」
八千流「じゃあナゼ・・・」
田辺「そうだな、言うなればお礼かな?」
八千流「お礼?」
田辺「君の言葉で辿り着いた情報に対するお礼」
田辺「そもそも言ったでしょ、これは正式な捜査じゃない」
田辺「言わばプライベートでやってる事だから、民間人とか関係ないさ」
八千流「刑事さんがアウトローだって事は良くわかりました」
田辺「そりゃ良かった」
田辺「俺から見れば、君も充分に異端だと思うけど」
八千流「ただの小学生ですよ」
田辺「”ただの”ねぇ・・・」
田辺「まあ良いか」
田辺「っで、そのキナ臭い話なんだけど・・・」
田辺「簡単に言えば、話は贈賄罪だけに留まらないっぽい」
八千流「っと言うと?」
田辺「反社が絡んでるかもしれない」
八千流「反社・・・」
田辺「あぁ反社って言うのはね・・・」
八千流「知ってます」
田辺「あ、そう」
田辺「ま、だから心配だったのさ、もしも君がこの件に関わっていたらってね」
八千流「それがお礼って事ですか?」
田辺「何せ相手は子供だって容赦しない奴等だから・・・」
八千流「!?」
八千流「遠野社長は!」
田辺「へ!?」
八千流「社長の身の安全は!!」
田辺「あ、あぁ、話の分かる部下に監視を頼んでる」
八千流「そうですか・・・」
田辺「随分と社長の事を気にかけるんだね」
八千流「刑事さんの言う通りなら、私のせいで社長が危険な目に会う可能性がありますから」
田辺「なるほどね」
田辺「社長には可能な限り監視を付け続ける」
田辺「それよりも君の方だけど・・・」
八千流「私は大丈夫です」
八千流「家にはセキュリティがありますし、登下校も一人ではしません」
田辺「そうかい」
田辺「まぁ君もような子なら大丈夫だと思うけどね」
田辺「今のところ、当事者って訳じゃないし」
田辺「っと、そろそろ帰らないと不味いかな?」
田辺「それじゃ、付き合ってくれてありがとね」
八千流「もう良いんですか?」
田辺「ああ充分さ」
八千流「・・・それじゃ失礼します」
田辺「はいはい、またね」

〇おしゃれなリビングダイニング
八千流「ただいま」
京華「おかえり」
優「おかえり」
八千流「・・・」
優「ん?どうかした?」
八千流「・・・ちょっと疲れちゃって、今日はご飯食べられないかも」
京華「あらあら、大丈夫なの?」
八千流「だ、大丈夫、頭痛とかじゃないから」
八千流「はしゃぎすぎちゃっただけ」
京華「そう・・・ならお風呂だけ入って早く寝ちゃいなさい」
八千流「せっかく用意してくれたのにごめんなさい」
京華「気にしないで」
優「ゆっくりね」
八千流「うん、おやすみなさい」

〇女の子の一人部屋
  【八千流】
  遠野社長、調査は中止して下さい
  社長の身に危険が及ぶ可能性が有ります
八千流「送信っと」
八千流「・・・」
八千流「反社かぁ」
八千流「つまり優も反社に関わってる可能性があるって事だよね?」
  もしその事が明るみに出たら、もう私の出る幕なんてない
  優は、法に則って裁かれる事になる
  その流れで私の事故の再捜査でもされれば、その分の刑罰も上乗せされるだろう
八千流「刑事さんに、密告してみようか?」
八千流「そうなれば、執行猶予無しで実刑となる可能性もあるだろう」
  母の関与が有れば、それも暴かれるかもしれない
八千流「・・・」
  それで私の復讐は終わるんだろうか?
八千流「なんだかモヤモヤする」
  どんどん本来の目的から外れて行ってる気がする
  私は、こんな事が知りたかったんだろうか?

〇おしゃれなリビングダイニング

〇女の子の一人部屋
八千流「ぐっ!?」
八千流「また・・・」
八千流「はぁ・・・はぁ・・・」
八千流「そう、そうだ、私は不倫をされて私を殺した優に復讐したかった」
八千流「その不倫相手である母に制裁をしたかった」
八千流「・・・自分の手で」
八千流「それだけ?」
  自分の手で復讐できないから、私はこんなにも戸惑っているんだろうか?
  二人が裁かれて実刑を受ければ、それも一つの復讐と言えるだろう
  切っ掛けが私の言葉ならば、自分が手を下したとも言える
  それなのに、全く気分が晴れない
八千流「・・・」
八千流「まさか・・・」
八千流「私はまだ、二人の事を・・・」

〇おしゃれなリビングダイニング

〇女の子の一人部屋
八千流「・・・」
八千流「私は、何で前世を思い出したんだろう?」
八千流「優の罪を、犯罪行為を明るみに出す事だったの?」
八千流「だったら、私の役目はもう・・・」
八千流「・・・」

〇黒背景

〇女の子の一人部屋
八千流「・・・」
八千流「ん・・・」
八千流「あ・・・あのまま寝ちゃってたのか」
八千流「何だか起きたくないなぁ・・・」
八千流「今日は日曜日だし、昼まで寝ちゃおうかなぁ」
八千流「ん?」
八千流「何か、知らない番号から着信が来てる」
八千流「しかも鬼電」
八千流「メールもだ・・・コッチも知らないアドレスから・・・」
  【田辺】
  緊急!!即連絡されたし!!
  090-〇〇〇〇-××××
八千流「刑事さん?」
八千流「個人証明の為なのか、顔写真まで添付されている」
八千流「・・・」
  嫌な予感がする
八千流「返信したくない」
  そもそも、なぜ私のアドレスを知ってる?
八千流「う~ん・・・」
八千流「・・・仕方ない」
田辺「もしもし」
八千流「もしもし、明石ですけど」
田辺「あぁ・・・」
八千流「あぁ、じゃないですよ」
八千流「何所で私のアドレスを・・・」
田辺「・・・すまない」
八千流「え?」
田辺「・・・すまない」
八千流「話が見えません、何なんですか?」
田辺「・・・」
八千流「刑事さん!」
田辺「・・・・・・遠野さんが」
田辺「・・・」
八千流「・・・え?」

〇モヤモヤ
  私は思い知らされた
  如何に自分がバカだったのか
  そして如何に危機感が欠如していたのか
  思い知らされた
  ・・・大切な家族によって

次のエピソード:第六話

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