bilincat−バイリンキャット−

×××

5話【猫集会からの一大事】(脚本)

bilincat−バイリンキャット−

×××

今すぐ読む

bilincat−バイリンキャット−
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇アパートのダイニング
クロ「ん?」
山都大輝「た・・・ただいま・・・」
クロ「ヤマト?」
クロ「今日は帰って来ないものと思っていたが」
クロ「それに何だ?ズブ濡れじゃないか!」
山都大輝「まぁ・・・な」
クロ「何があった?」
山都大輝「いや・・・なんでもねぇよ」
山都大輝「とりあえず風呂入ってくるわ・・・」
クロ「あ・・・ああ・・・」
クロ「明らかに元気がないな・・・」
クロ「昼間はあんなに明るかったというのに」
クロ「一体何があったんだ?」

〇アパートのダイニング
クロ「・・・・・・」
クロ「ヤマト・・・」
山都大輝「今日はもう寝るわ・・・」
クロ「あ・・・ああ・・・」
クロ「・・・・・・」

〇木造の一人部屋
山都大輝「・・・・・・」
クロ「・・・・・・」

〇木造の一人部屋
  ──翌朝──
山都大輝「はぁ・・・なんかあんまり眠れなかったなあ・・・」
山都大輝「ん?」
山都大輝「クロ・・・」
  大輝が目を覚ますと、横ではクロが寄り添うように眠っていた
山都大輝「・・・・・・」
山都大輝「こうやって寝てりゃ、可愛いんだけどな」
  大輝は、はにかんだように笑みを浮かべながら、健やかな表情で眠るクロの頭を優しく撫でる

〇アパートの台所
  大輝は朝食の支度をしながら、クロの餌の準備をしていた
クロ「ヤマト!」
山都大輝「おう!クロか!おはよう!」
クロ「なんだか元気そうだな!」
山都大輝「ああ!まぁな!」
山都大輝「ホラ!メシだ!」
クロ「かたじけない!」
クロ「ムシャムシャムシャ」

〇アパートのダイニング
クロ「なぁヤマト!」
山都大輝「ん?なんだ?」
クロ「昨日は一体何があったんだ?」
山都大輝「いや・・・それは・・・」
クロ「ウキウキ気分で家を出て行ったかと思えば」
クロ「落ち込んだ様子でズブ濡れで帰ってきただろ?」
山都大輝「・・・・・・」
山都大輝「実はさ・・・」

〇アパートのダイニング
  大輝は昨夜の小夏の家での出来事を全て話した
クロ「あははは!ラブリー米!」
山都大輝「何!笑ってんだ!おい!」
クロ「いや!ちょっと待て!腹がよじれる!」
クロ「ラブリー米・・・ぷっ!あははは!」
クロ「いやぁ災難だったな!ヤマトwwww」
山都大輝「笑いながら言ってんじゃねぇよ!クソ猫!」
クロ「いや!しかしだな──」
山都大輝「あー!もう!わかった!」
山都大輝「お前は出て行け!」
クロ「ヤ・・・ヤマト!待て!」
山都大輝「はい!はい!言い訳は聞きません!」

〇アパートの玄関前
山都大輝「はい!さようなら!」
クロ「待て!ヤマト!落ち着け!」
クロ「俺は別にヤマトを馬鹿にしようとしたわけじゃない!」
クロ「励まそうと──」
山都大輝「何も聞こえません!」
山都大輝「元を正せば、お前があん時に約束破ってついて来なけりゃ」
山都大輝「こんな思いをする事も無かったんだよ!」
クロ「し・・・しかし!」
山都大輝「安心しろ!猫は逞しい動物だ!」
山都大輝「こんなコンクリートジャングルでも生きていけるよ!自分の生命力を信じろ!」
山都大輝「はい!さようなら!達者でな!」
クロ「ヤマト!」
クロ「しまった・・・」
クロ「ちょっと笑いすぎたか?」
クロ「・・・・・・」
クロ「ヤマト・・・」

〇アパートのダイニング
山都大輝「あークソ!」
山都大輝「少しでも可愛いとか」
山都大輝「猫が居る暮らしも悪くないとか考えた自分が馬鹿だった!クソ!」
山都大輝「・・・・・・」
山都大輝「静かになったな・・・」
山都大輝「まぁ、元通りの暮らしに戻っただけの話だ」
山都大輝「元通りの・・・」
山都大輝「・・・・・・」

〇通学路
クロ「ヤマトを怒らせてしまった・・・」
クロ「どうしたものか・・・」
ハル「よう!黒猫!」
クロ「ああ、ハルか・・・」
ハル「どうした?元気がねぇじゃねぇか!」
クロ「まぁな・・・」
ハル「何があったんだ?」
クロ「実は・・・」

〇通学路
ハル「マジかよ!」
クロ「・・・・・・」
ハル「お前が飼い猫になってたのには、驚いたが」
ハル「そりゃお前・・・笑いすぎたな」
クロ「だが俺は励まそうと──」
ハル「お前の気持ちは分からねぇでもねぇがよ」
ハル「そのヤマトって奴からしたら、バカにされたって感覚だったんだろーな」
クロ「う・・・やはりそうだったか」
ハル「思った事をすぐに口に出すのはいいが」
ハル「時と場合を考えねぇとな!」
クロ「・・・・・・」
ハル「もうそのヤマトは諦めて別の飼い主を探すこったな!」
クロ「それはダメだ!」
ハル「何でだよ!」
ハル「もう望み薄だろ?どう考えても!」
ハル「人間なんてその辺に腐るほど居るだろ?」
ハル「なんでそのヤマトに固執すんだ?」
  クロはハルに、首につけられた首輪を見せる
ハル「なんだ?そりゃ」
クロ「首輪だ!首輪!」
ハル「クビワ?なんだソレは?」
クロ「飼い主が飼い猫につける家族の証だ!」
クロ「ヤマトは俺を家族だと言ってくれたんだ!」
ハル「いや、だからその家族を馬鹿にしたんだろ?お前は!」
クロ「まぁ、そうだが・・・」
ハル「どうしてもそのヤマトじゃなきゃダメなのか?」
クロ「ああ!ヤマトじゃなきゃ納得できん!」
クロ「ヤマト以外は考えられん!」
ハル「なら『ルプ』に相談してみるか?」
ハル「あいつなら良い案を考えてくれんじゃねぇか?」
クロ「ルプかぁ・・・」
クロ「あいつはクソ真面目すぎて苦手なんだがな」
ハル「したかねぇだろ!こういう時に頼りになるのはアイツくれぇなもんじゃねぇか!」
クロ「確かにそうだな・・・」
クロ「背に腹はかえられん・・・」
クロ「ルプに相談するか・・・」
ハル「たぶんいつもの公園にいるはずだ!行こうぜ!」
クロ「ああ!」

〇広い公園
  クロとハルは近所の公園へとやって来ていた
ハル「たぶんこの辺りに・・・」
ハル「あ!居た!居やがった!おい!ルプ!」
ルプ「おお!ハル氏ではございませんか!」
ルプ「それに横に居らっしゃるのは黒猫氏!久々でございまするな!」
クロ「あ・・・ああ・・・」
ルプ「でもどうしたんでこざいまするか?」
ルプ「ハル氏と黒猫氏が一緒とは・・・」
ハル「実はな・・・」

〇広い公園
ルプ「なんと!」
ルプ「飼い主様の恋路を邪魔してなお朝笑ったとは・・・」
ルプ「黒猫氏もずいぶんと陰湿な事をやるでこざいまするな!」
クロ「う・・・」
ハル(ああそっか・・・コイツも思った事をすぐに口に出すタチだったなぁ・・・)
ルプ「しかし元の飼い主様の元に戻るのは至難の業でございまするよ・・・」
ハル「やっぱりルプでもそう思うか?」
ルプ「その小夏氏が我々の言葉を人の言葉として認識できるお方ならば」
ルプ「まだいくらでも、やりようはございまするが」
ルプ「そうでないとなると、その飼い主様、ヤマト氏に謝っ許してもらう方法しかございません」
ルプ「しかしながら、黒猫氏が誠心誠意謝罪したとして」
ルプ「ヤマト氏が黒猫氏の話に耳を貸すとは到底思えないでございまする・・・」
クロ「やはりそうか・・・」
ハル「やっぱ諦めるしかねぇんじゃねぇかな?」
クロ「しかし・・・」
ハル「だってそうだろ?」
ハル「お前の気持ちもわかるが、そのヤマトの気持ちもわかる」
ハル「所詮俺たち猫は人間から見たら格下な生き物なんだよ」
クロ「しかしヤマトはそんな風には思って──」
ハル「だが実際にお前をこうして追い出してるわけだろ?」
ハル「所詮そう言う人間だったんだ!って見切りつけて諦めるしかねぇよ!」
ルプ「ハル氏の言葉は少々トゲがあるようにかんじるでございまするが」
ルプ「ハル氏の言い分も一理あると思うでございまするよ!」
クロ「・・・・・・」
クロ「みんな・・・すまないな」
クロ「ちょっと自分だけで考えてみる」
ハル「そうか・・・」
ルプ「力になれず申し訳ないでございまする」
クロ「いいんだ・・・」
ハル「・・・・・・」
ルプ「黒猫氏は大丈夫でございましょうか?」
ハル「まぁ・・・何とかするだろ・・・」

〇通学路
クロ「・・・・・・」
クロ「やはり諦めるしかないのか・・・」
クロ「ヤマト・・・」

〇郊外の道路
風間小夏「やっちゃった!ちょっと買いすぎちゃったなぁ・・・」
風間小夏「でもいいっか!お菓子はいくらあっても損しないし!」
風間小夏「前向きに考えよ!」
風間小夏「あ!山都さんにもおすそ分けしよっかな?」
風間小夏「山都さんお菓子好きかな?」

〇通学路
風間小夏「あれ?ここ何処だろ?」
風間小夏「もしかして私・・・迷っちゃった?」
風間小夏「やっぱり普段行かないお店で買うんじゃなかった・・・」
風間小夏「どうしよ・・・完璧迷子になっちゃったよ」
風間小夏「あーもう!方向音痴が無理して遠出するんじゃなかったぁ!」
風間小夏「大人しく自分の職場で買うんだったー!」

〇通学路
クロ「ん?何やら騒がしいな?なんだ?」
風間小夏「ここどですかー!」
風間小夏「誰かー!助けてー!」
クロ「あれは・・・確か・・・」
クロ「そうだ!小夏だ!」
風間小夏「ん?」
風間小夏「あっ!猫ちゃん!」
風間小夏「赤い首輪つけてる・・・飼い猫かな?」
風間小夏「でも何処かで見た記憶が・・・」
風間小夏「あ!そうだ!山都さんが飼ってる猫ちゃんだ」
風間小夏「何してるの?お散歩?」
クロ「ニャーン ニャーン (泣いたり笑ったり騒がしいなメスだなぁ)」
風間小夏「きゃー!カワイー!」
風間小夏「ナデナデ」
風間小夏「私も猫ちゃん飼っちゃおうかな?」
クロ「ニャーン ニャーン (なんだが不思議な雰囲気なメスだ)」
風間小夏「きゃー!カワイー!」
風間小夏「あ!そうだ!お菓子食べる?」
風間小夏「いっぱいあるよ?」
風間小夏「えー・・・っとね・・・」
  小夏はお菓子がびっしりと敷き詰められた買い物袋に手を突っ込み
  ガサガサと物音を立てながら物色している
風間小夏「あれ?猫ちゃんにお菓子ってあげていいんだっけ?」
風間小夏「美味しいし!大丈夫だよね?」
クロ「ニャーン ニャーン (カリカリが食べたいぞ)」
風間小夏「あ!でも猫ちゃんにはカリカリの方がいいかな?」
クロ「ニャ? (通じたのか?)」
風間小夏「あ!やっぱそうだよね!カリカリがいいよね?」
風間小夏「じゃあ買いにいこっか?ね?」
  小夏はそういうとクロを抱き抱える。
クロ「ニャ!ニャ! (おい!おい!随分と大胆な事をするなぁ)」
風間小夏「さっき通って来たトコにコンビニあったから、そこで買おっか?ね?」
クロ(なんだか面倒な展開になってきたなぁ)
クロ(ヤマトだったら容赦なく引っ掻けるが)
クロ(小夏にやるわけにも・・・)
クロ(とりあえず大人しくしていよう・・・)
ハル「ん?あれは・・・」
ハル「ま・・・まさか!」

〇広い公園
ルプ「いい天気でございまするなぁ」
ルプ「ポカポカ陽気で眠くなってしまうでございまするよ」
ハル「ルプ!大変だ!」
ルプ「これはこれはハル氏!」
ルプ「大変とは、どうしたでございまするか?」
ハル「黒猫が人間のメスに誘拐された!」
ルプ「誘拐?新しい飼い主様に拾われたのではございませんか?」
ハル「黒猫が困った顔してやがったんだ!」
ハル「新しい飼い主が見つかったとして、あんな顔するか?普通!」
ルプ「なんと!それは一大事でございまする!」
ハル「ど、どうする?」
ルプ「とりあえず・・・黒猫氏が言っていたヤマト氏を探すんでございまする!」
ルプ「今はソレしか手立てがないでございまする!」
ルプ「まずそのヤマト氏の自宅へ向かうでございまする!」
ハル「・・・・・・」
ルプ「・・・・・・」
ハル「いや・・・どこよ?」
ルプ「あれ?ハル氏はご存じないんでございまするか?」
ハル「なんで俺が知ってる前提で話が進んでんだ?」
ハル「知るわきゃねーだろ?」
ルプ「それは困ったでございまする・・・」
ハル「とりあえずこの辺をしらみ潰しか?」
ルプ「それは流石に無謀でございまするよ・・・」
ルプ「この地域一帯に、一体どれだけの人々がいると思っているでございまするか?」
ハル「仕方ねぇだろ?それしかねぇ!」
ルプ「ふむ・・・確かにその通りでございまするな」
ルプ「とりあえず行くでございまする!」

次のエピソード:6話【猫の命は人間の命よりも軽いのか?】

成分キーワード

ページTOPへ