十一話 明かされる真実(脚本)
〇渋谷のスクランブル交差点
渋屋 杏「全くもう、どこなのよ! 人型のギャラジーって・・・!」
黒沼 晶「小型ギャラジーは群れで行動する、中型と大型はそもそもの図体が大きい。 だから基本的にギャラジーはどこにいるか分かりやすい」
黒沼 晶「でも今回はまずいな。 人型で一体となれば、どこにいるかなんて・・・」
渋屋 杏「あれ?」
渋屋 杏「なんだかよく見えないわね・・・ なんか変な人があそこに・・・」
黒沼 晶「ん? お、おい渋屋!?」
渋屋 杏「なっ、ななななななんなのよっ! もしかしてお前がギャラジー!? それなら容赦しないわよ、いくら人型だからって」
黒沼 晶「お、落ち着け! 失礼だろ、いくらちょっとその人の雰囲気が不気味だからって・・・!」
渋屋 杏「お前も失礼じゃない!」
黒沼 晶「それにしても、どこかで見たことがあるような・・・」
???「ふふ、ふふふふふっ」
???「全く、まだ気づかないの? それも面白いからいいんだけど」
黒沼 晶「そ、その声は日谷 沙耶さん!?」
渋屋 杏「な、なんですって!?」
日谷 沙耶「ふふ、その通りよ。 久しぶりねぇ、黒沼くん。 もう一人の子は初対面ね、だぁれ?」
渋屋 杏「わ、私は渋屋 杏。 新しく配属されたエージェントです」
日谷 沙耶「あらぁ! こんな美人さんな子が仲間になって良かったわねぇ、黒沼くん」
黒沼 晶「いや、別にそういうんじゃないですから」
渋屋 杏「で、でも沙耶さんは6年前に失踪したはずじゃ・・・」
日谷 沙耶「あら? あなたたち私の研究のこと知らないの? 雛から何も聞いてない?」
「はい・・・」
日谷 沙耶「まぁ、それもそうか・・・ あの子は私の研究と、私のことが大嫌いだから」
日谷 沙耶「そんな風に研究より道徳を重んじるから、私より賢いくせに私以上になれなかったのよ。 ああ、もったいない」
日谷 沙耶「結果、黒沼くんのことも長い間苦しめて・・・ それで本当に良かったのかしら、雛?」
黒沼 晶「何のことを言ってるんですか・・・?」
日谷 沙耶「いいえ、ただの独り言よ。 じゃあ、教えてあげるわ」
日谷 沙耶「私が研究していたのはね、人間が理性を保ったままギャラジーとして復活できる可能性について」
日谷 沙耶「見ての通りそれは成功した。 私はギャラジーとなって、生き返ったの」
〇諜報機関
日谷 紗枝「姉さん・・・!?」
日谷 紗枝「一体どういうことですか、雛先生!!」
中井 雛「沙耶さんはずっと前から・・・ 前に紗枝さんが言っていたギャラジーについての仮説に気づいてた」
中井 雛「そこで沙耶さんが始めた研究は、死んだ人間をギャラジーとして生き返らせる研究だった・・・」
中井 雛「本当にあの仮説が正しくて、研究が成功するなんて・・・!」
日谷 紗枝「姉さんが・・・生き返った・・・」
中井 雛「紗枝さん、今から私の言うことをちゃんと聞いてください」
中井 雛「あれは非人道的な研究。 他人の死体を勝手に利用し続けた上の成功。 沙耶さんは偉大だけど、それを忘れないで」
中井 雛「それに、あの姿と理性がいつまで保てるのか分からない。 ギャラジー収容所に収容します」
日谷 紗枝「そ、そんなことさせません! ようやく姉さんが生き返ったのに・・・!」
中井 雛「紗枝さんだって分かってるよね!? 沙耶さんの身勝手な研究のせいで紗枝さんは苦しい思いをしてきたんでしょ!?」
日谷 紗枝「・・・!」
中井 雛「だから今は、大人しくしていて」
日谷 紗枝「・・・はい」
中井 雛「晶くん、聞こえる? 直ちに沙耶さんをギャラジー研究所に連れていくよ、私が車を出すから待ってて!」
日谷 紗枝「私も連れて行ってください」
中井 雛「紗枝さんには紗枝さんの役割があるよね。 ここで自分の仕事をこなして」
中井 雛「大丈夫、安全が確認できたらすぐに会えるようにするから」
日谷 紗枝「わ、分かりました・・・」
〇車内
中井 雛「晶くん、杏ちゃん!」
渋屋 杏「先生!」
中井 雛「沙耶さんは私が預かるね! えっと、念のために晶くんは一緒に着いてきてくれる?」
黒沼 晶「分かりました」
日谷 沙耶「雛、あなた私をギャラジー収容所にでも入れるつもり?」
中井 雛「もちろん。 だって今の沙耶さんはギャラジーですから」
日谷 沙耶「私の理性や形態がいつまで保つか分からない、それにこれがギャラジーによる罠かもしれない。 そう思っての行動ね、賢いわ」
日谷 沙耶「でもね、雛。 私は黒沼くんと杏ちゃん、そしてあなたにも話したいことがあるのよ」
日谷 沙耶「まずそれを聞いてからにしてくれない?」
中井 雛「・・・分かりました。 晶くん、杏ちゃん、乗って」
「はい!」
中井 雛「どうぞご自由に、沙耶さん。 でも、彼らを傷つけるような言動だけは許しません」
日谷 沙耶「はいはい、分かってるわよぉ」
日谷 沙耶「まず、私は今ギャラジーの意識と共存している状態よ。 だから雛の言う通り、いつ理性を手放すことになるかは分からない」
日谷 沙耶「けれど、こうしたおかげで色んなことが分かった。 ギャラジーの目的、そしてギャラジーを止める方法」
日谷 沙耶「だから、話せるうちに話させてもらうわね」
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