ものぐさな名探偵 ~つまらない依頼はお断り~

HALPIN

9.本気の再捜査!(脚本)

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〇大きいマンション
功刀絢花「ここが愛那さんの家か・・・」
功刀絢花「んっ?」
功刀絢花「あの車は、愛那さん?」
功刀絢花「ずいぶん高そうな車だな・・・」
愛那「あら、あなたは?」
功刀絢花「ど、どうも、こんにちは」
愛那「今日はどうしたの?」
愛那「何か別の事件でも?」
功刀絢花「あの」
功刀絢花「昨日のことでちょっと」
愛那「ああ、夫のこと?」
愛那「たしかに辛いけど ちゃんと受け止めないとね」
功刀絢花「違うんです!」
愛那「どう違うの?」
功刀絢花「なんて言うか、その・・・」
愛那「言い辛いような話なの?」
愛那「もしかして、報酬が足りなかった?」
功刀絢花「いえ・・・」
愛那「とりあえず、家に入らない? ここじゃ暑いでしょ?」
功刀絢花「・・・」

〇高級マンションの一室
愛那「適当にくつろいでて」
愛那「飲み物はアイスティーでいいかな?」
功刀絢花「はい」
愛那「じゃあ、用意するから ちょっとだけ待っててね!」
コタロー「ワンワンっ!」
功刀絢花「うわ、デカい犬!」
愛那「こら、コタロー 探偵さんを脅かしちゃダメでしょ!」
コタロー「ワンッ!」
愛那「噛んだりはしないから、大丈夫ですけど 探偵さんは犬苦手ですか?」
功刀絢花「いえ、大好きです」
功刀絢花「ほら、おいで!」
功刀絢花「よしよし」
愛那「良かったね、コタロー」
愛那「探偵さんに遊んでもらえて」
愛那「あっ、これ、どうぞ!」
功刀絢花「ありがとうございます」
愛那「それで、話って?」
功刀絢花「あの・・・」
功刀絢花「・・・」
愛那「はっきり言ってくださってかまいません」
愛那「私、反省してるんです」
愛那「夫の悩みや苦しみに 気付いてあげられなかったこと」
愛那「車とか、このマンションとか 夫は贅沢な暮らしをさせてくれました」
愛那「それはそれで もちろん楽しかったんだけど・・・」
愛那「そのために無理をさせてたんじゃないか だから安らぎを求めて不倫まで・・・」
功刀絢花「・・・」
愛那「本当は二人でいれれば幸せだったのに」
愛那「いい暮らしとか そろそろ子どもも欲しいとか・・・」
コタロー「くうぅ~ん」
愛那「ありがとね、コタロー」
愛那「そのうえ、この整理の着かない気持ちを 何とかしたくて」
愛那「相手の女に殺人の濡れ衣なんて・・・」
愛那「不倫とは言え、夫の唯一のよりどころ だった人かもしれないのに・・・」
功刀絢花「だから、そうじゃない!!」
功刀絢花「かもしれないんです・・・」
愛那「そうじゃない、かも・・・?」
功刀絢花「私、もしかしたら考え違いをしていた かもしれなくて」
功刀絢花「だから、ご主人の、優一さんの件も もう一度調べ直してみようと・・・」

〇高級マンションの一室
愛那「夫の不倫相手についてって 何を話したらいいの?」
功刀絢花「真梨香さんのことなら何でもいいので 愛那さんが知っていることを」
愛那「思い出したくもない・・・」
功刀絢花「それはお察しします」
功刀絢花「でも・・・」
愛那「調査のためだもんね・・・」
功刀絢花「優一さんと知り合ったきっかけは 分かりますか?」
愛那「仕事だったみたい」
愛那「夫は広告の仕事をしてたんだけど」
愛那「その関連で知り合った映像クリエイター だって話してた」
愛那「いつからああいう関係になったのかは 私には分からないけど」
功刀絢花「初めは単なる仕事上の付き合いだったと」
愛那「若いけど優秀な子だって褒めてたのは 覚えてる」
功刀絢花「そうですか」
愛那「そうだ」
愛那「この映画・・・」
愛那「これの制作にも彼女が関わってたみたい」
功刀絢花「あっ、一昨年くらいにSF映画ですよね?」
功刀絢花「凝った演出とか、CGとか、空撮とか いろいろな技術を使って」
功刀絢花「とにかく映像がリアルだったって」
愛那「そうね」
功刀絢花「すみません」
功刀絢花「無神経でしたよね」
愛那「いえ、気にしないで 仕方ないもの。本当のことだから」
功刀絢花「他には何かありますか?」
愛那「えっとね・・・」
愛那「そう言えば 最近頻繁にメールしてたような」
功刀絢花「真梨香さんとですか?」
愛那「分からないけど 隠れてこそこそしてたから」
愛那「そうなんじゃない?」
功刀絢花「・・・」
愛那「私に分かるのはこれくらい」
愛那「何か役に立ちそう?」
功刀絢花「・・・そうですね」
愛那「もし他にも聞きたいなら この人を訪ねてみるといいかもね」
功刀絢花「これは?」
愛那「主人の友達 石塚良光っていう人なんだけど・・・」
愛那「学生時代からの親友らしいから」
愛那「主人が私に話していない何かを 彼なら知ってるんじゃないかしら?」
功刀絢花「そうですか」
功刀絢花「いろいろありがとうございました」
愛那「お礼なんていいから もし何かが分かったら教えてね」
功刀絢花「はい、また近いうちに来ると思います」
愛那「きっと、この子も喜ぶわ」
愛那「ねっ、コタロー!」
コタロー「ワンワンっ!」

〇学生寮

〇アパートのダイニング
良光「うーん」
良光「優一の最近の様子ねぇ・・・」
功刀絢花「自殺するような素振りとか・・・」
良光「思い当たらないんだよなぁ」
良光「底抜けに明るいやつだったから」
良光「でも、君、本当に探偵なの?」
功刀絢花「まぁ」

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