第2話 想いを込めたら故郷へ(脚本)
〇古いアパートの居間
真樹「異世界いいわぁ・・・、心の汚い部分をソリアさんやこの大自然が洗い流してくれるようだ」
ここは異世界の夜。何か悟りを開いたような顔をして満足気に床にくつろぐ真樹(まさき)。
ソリアに話を聞いた所、この異世界も現実世界と同じように1日は24時間あるとのこと。
この山一帯は遥か昔に精霊がかけた魔法により常に春であるらしい。ちなみに山から出れば日本の様に四季を見る事ができるそうだ。
ソリアが山桜のあるスポットも知っているから今度一緒に行こうと誘ってくれた。とにかく楽しみで仕方がない。
真樹「ちょっとトイレに寄ろうかな」
扉を開けるとソリアが食卓で佇んでいた。何かモノを大事そうに手に抱きかかえている。
〇綺麗なリビング
想里愛「あ、真樹さん!良かったらお話ししませんか?」
真樹「いいね!可愛らしい人形だね。何の人形さん・・・かな?」
想里愛「精霊です、この人形は母からもらった大切な宝物なんです。この話は精霊と繋がるのですが・・・お昼に水を汲みに行きましたよね」
想里愛「今は安全な所だけど3年前まではモンスターが現れて危なかったんです。」
真樹「そうなんだ、安全になって良かったよ。モンスターか、怖いね・・・。」
想里愛「あたしがモンスターに襲われてた時に精霊が助けてくれたんです。強い光に包まれて、直接見れたわけではないんですけどね。」
ソリアと話すのは楽しい。現実世界で将来の無い平凡な日々を過ごしていた頃に比べると他の何にも代えがたい。
汲んだ水は仄かに甘味を感じる。そのまま飲用にできるのはありがたい、大地が豊穣なのだろう。。
どんなモンスターだったのか気になったが、傷を掘り返すので聞くのは止めておいた。
3年前に精霊が助けてくれたということは・・・今も精霊は生きている可能性が高い。
真樹「また精霊に会えるといいね。僕もお礼を言いたいし。」
想里愛「そうですね!一人暮らしは心細かったので・・・真樹さんと会えたのも精霊のおかげかも。」
僕はドキッとしてソリアを見た。顔が赤い・・・これは脈アリなのかな?互いにえへへと照れつつ話を進める。
想里愛「実はこの人形は願いを叶えてくれると伝わっているんです。あたしの願いも叶いましたし良かったら真樹さんもお願いしてみます?」
真樹「素敵な人形だよね、うん!お願いしてみるよ。」
ソリアがにっこりと微笑む。ソリアの願いは精霊の人形によって叶えられた。僕も精霊には感謝しなければならない。
やはりこの出会いは何事にも代えがたい。
真樹「僕もソリアといつまでもずっと一緒に暮らしてたいな。」
想里愛「あ、あう・・・。」
しまった!心の中で願うつもりが口に出してしまった!ソリアは真っ赤な顔で返事に困っている。
だがそれがいい・・・じゃなかった!早くフォローしないと!
想里愛「ずっと・・・側にいてくれるんですか?」
真剣な顔で見つめてくるソリア。もちろん断る理由は無い。僕もソリアを見つめ返して返事をする。
真樹「うん、ずっと一緒にいよう!」
想里愛「うれしい・・・」
ソリアが僕の隣に座り目を閉じる。僕はソリアに顔を近づけていく。その時ものすごい光が、精霊の人形を中心にして二人を包んだ。
想里愛「きゃっ!」
真樹「えっ!」
光が収まった時、なんと僕の別荘に二人で転移していた。