怪人零号

アシッドジャム

読切 怪人零号(脚本)

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〇荒廃した改札前
  R地区で怪人化現象が起こってから3年が経過していた

〇入り組んだ路地裏
  その原因は未だにわかっていない
  現在R地区は封鎖されている

〇公園の入り口
  それは前触れもなく起きた
住民1「今日もいい天気ですね」
住民2「本当にね〜」
住民2「あぐあぐーぶた!」
住民1「!?」
住民2「ふんがぐぅ!」
住民1「ぎゃー!」
住民1「ギャーギャバリン!」
住民2「うわー!化け物!!!」
住民1「キャー!怪物!」

〇殺風景な部屋
  怪人化した住民の中には精神を病む者もいた
  政府によって保護され隔離されている
住民3「ずぱーくる!」
  怪人化によって特殊能力が発現していた

〇公園の入り口
住民1「こんにちわ」
住民2「いい天気ですな〜」
住民1「こんな日は、エイ!」
住民2「いい能力ですな 風情がある」
住民1「そちらこそ!」
住民2「おいしょ!」
住民1「虹が出せるなんてロマンティックね」
住民2「照れますな」

〇諜報機関
  能力は危険度によってランク付けされている
  危険度の低い順から「メガ」「ギガ」「テラ」
  「テラ」は特に厳しい監視を行なっていた
影山「データの方はどうだ?」
西谷「こちらをご覧ください」

〇火山の噴火
  「テラ」クラスの一人
  爆門田善治郎
  火山を発生させる能力
  高名な武道家であった対象は現在瞑想中
  量子コンピューター搭載の世界最高の頭脳であるエクスマキナの解答は放置せよとのこと

〇諜報機関
西谷「他のテラクラスは現在調査中です」
影山「エクスマキナはなんと言っている?」
西谷「彼女は他に怪人化した者たちもテラになり得ると回答」
西谷「更に「テラ」の上の「ペタ」が現れるとも言っています」
影山「それはどのくらいの能力だ?」

〇落下する隕石
西谷「隕石を落とすほどの能力だと回答しています」
影山「なるほど、それは厄介だな」
西谷「更に全てを消失させる能力の出現や今は無害な能力もテラやペタになる可能性も示唆されています」
影山「やれやれ また特務に色々言われるな」

〇ツタの絡まった倉庫
  怪人化した住民たちは飲食が不要になった
住民4(お!)
  チョコレートを拾って口に入れた
住民4(やっぱり味がしない)

〇スーパーマーケット
  怪人化が起こってから
  名探偵たちが解決に乗り出した
  しかしR地区へ入っていった名探偵たちは皆怪人化していった
  そして3年が過ぎた
名探偵 山田「いい天気だな〜」
名探偵 鶴岡亀次郎「よー!山ちゃん! 今日も見廻りかい?」
名探偵 山田「鶴さん! こんちわ!見廻りって言ってもここ最近は平和ですわー」
名探偵 鶴岡亀次郎「まぁいいじゃないの? 喧嘩探偵からしたら物足りないのかもしれないけどさ?」
名探偵 山田「そうっすね〜 さすがに腕が鈍ってきますよ」
名探偵 鶴岡亀次郎「そしたら爆ちゃんに手合わせお願いしてみたら?」

〇森の中
  爆ちゃんこと爆門田善治郎はR地区特別記念公園の森の奥で瞑想中だった
ピヨ子「ピヨピー」
ピヨ彦「ぴよっぷ」
  爆門田の周りにはいつの間にか鳥たちが集まるようになっていた
  爆門田は鳥たちが言っていることを理解する様になっていた

〇スーパーマーケット
名探偵 山田「前に相手してもらいましたけどボコボコにされました」
名探偵 鶴岡亀次郎「まぁあいつは確かに規格外だわな。怪人化してからは尚更じゃないかね」
名探偵 山田「今夜は寄席ですか?」
名探偵 鶴岡亀次郎「腰やっちまって しばらく休もうかと」

〇体育館の舞台
  鶴岡亀次郎は落語家をしながら事件を解決していたので落語探偵と呼ばれていた
名探偵 鶴岡亀次郎「沢山のお足運びで」
住民2「よ!待ってました!」
名探偵 鶴岡亀次郎「アタシも待ってましたよ!」
住民1「はっはっは!」
名探偵 鶴岡亀次郎「一席お付き合いいただいて 今夜は湿気が多いですな〜」
名探偵 鶴岡亀次郎「おや?誰か来たようだよ? なんだい八五郎じゃねぇーか? 一体どうしたんだ?」

〇スーパーの店内
  二人はスーパーの中に入った
名探偵 山田「鶴さんの「死神」とか「野ざらし」聴きたいな〜」
名探偵 鶴岡亀次郎「また寄席やる時に遊び来てよ!」
名探偵 山田「ぜひぜひ!」
名探偵 鶴岡亀次郎「そう言えば何探してんの?」
名探偵 山田「柔軟剤っす」
名探偵 鶴岡亀次郎「国から支給されてるだろ?」
名探偵 山田「なんか臭いがイマイチなんですよね〜」
名探偵 ねこねこニャンニャン「大変ですぅ〜」
名探偵 山田「ねこじゃん?」
名探偵 ねこねこニャンニャン「一緒に来てほしいのです!」
名探偵 鶴岡亀次郎「何事だい?」
名探偵 ねこねこニャンニャン「事件なんですよぉ〜」
名探偵 山田「お前も探偵なんだから自分で解決しろよ?」
名探偵 ねこねこニャンニャン「わたしは猫ちゃんたちがいないと推理できないの知ってるくせに〜!意地悪いわないでくださぁーい!」
名探偵 山田「わりーわりー、 ほんじゃぁ行くか」

〇公園の砂場
  3人は公園に来た
  公園には人間の姿をした女の子がいた
名探偵 鶴岡亀次郎「怪人化してない?!」
名探偵 ねこねこニャンニャン「そうなの!」
オータロウ「なんなんだ!てめーらは?」
名探偵 山田「なかなか威勢がいいじゃん!」
オータロウ「なんだお前?頭どうなってんだよ?燃えてんじゃねぇーか!」
名探偵 山田「おーこわ! まぁまぁ悪いようにはしないからよ?」
名探偵 鶴岡亀次郎「驚かすつもりはないんだが」
オータロウ「ハァ?別に驚きゃしねぇーわ! 俺だって元は怪人だからよ!」
名探偵 山田「え?」
名探偵 鶴岡亀次郎「それはどういうことだい?」
  少女はスマホを取り出して写真を見せた

〇シックなバー
  真ん中が少女の元の姿だった
  元々怪人の姿だったオータロウは怪人バーを経営していた

〇公園の砂場
名探偵 鶴岡亀次郎「こりゃ驚きだ」
名探偵 ねこねこニャンニャン「でもこんな可愛い女の子になれたんだからよかったね!」
オータロウ「んなわけねぇだろ! こんな姿じゃ店やれねぇだろ!」
名探偵 山田「怪人バーやめてメイド喫茶にでもした方がいいかもなw」
オータロウ「テメー!」
名探偵 鶴岡亀次郎「それよりあんたはどうやってここへ来た? R地区は封鎖されているはずだぞ?」
オータロウ「ああ? それは・・・」
  その時オータロウのスマホが鳴った

〇撮影スタジオのセット
  スマホの画面の中には女性がいた
エクスマキナ「こんにちわ!」
エクスマキナ「エクスマキナと申します!」
エクスマキナ「ここからはわたしが説明しましょう」
エクスマキナ「オータロウさんをR地区に入れたのはわたしです」
エクスマキナ「わたしは世界最高の頭脳を有している政府お抱えの人工知能なのです」
エクスマキナ「オータロウさんのお店の借金を政府が肩代わりする替わりに今回手伝ってもらった訳です!」
エクスマキナ「実は怪人化現象は今回が初めてではありません」
エクスマキナ「最初の怪人化は30万年ほど前になります つまり人類誕生よりも古いのです」
エクスマキナ「それから今に至るまでに何度も怪人化現象はありました」
エクスマキナ「最初に怪人化したのは人類ではないようです」
エクスマキナ「わたしたちは怪人零号と呼んでいます」
エクスマキナ「みなさんご承知の通り怪人化すると固有の能力を発現します」
エクスマキナ「怪人零号の能力は知性です。自らの知性の増幅と他者の知性の増幅を可能にしたと思われます」
エクスマキナ「わたしの基礎理論も怪人零号が元になっていますし、人類の進化も・・・」

〇公園の砂場
  スマホの画面が突然消えた
オータロウ「くそ!どうなってんだ?」
名探偵 山田「今の話ってマジなのか?」
オータロウ「知らん!俺のスマホ壊れちまったのか!」
名探偵 鶴岡亀次郎「おい?ねこちゃん、その子は誰だ?」
  いつの間にか小さい女の子がいた
名探偵 ねこねこニャンニャン「うわ!誰この子!?」
  女の子の目から涙が出てきた
オータロウ「こら!泣かせてんじゃねぇぞ!」
名探偵 ねこねこニャンニャン「ええ!わたしのせい?」
名探偵 山田「嬢ちゃんどうしたんだい?」
  女の子は声を出さずに泣いていた
名探偵 山田「よしそれじゃあ いいもの見せてあげるよ」
  山田は落ちていた石を拾ってそれを少女の手に置いた
名探偵 山田「行くよ?3 、2、1」
  山田が石に触れると石は消えた
オータロウ「ただの手品かよ!」
名探偵 山田「うるせーな!これが俺の能力なんだよ!」
  少女は少し笑った
名探偵 山田「それでお嬢ちゃんはどうしてここにいるの?」
メイ「わたしわからないの 何も覚えてない」
名探偵 鶴岡亀次郎「この子も元は怪人だったのかもしれんな?」

〇公園の砂場
  突然周囲の色が変わり地響きと公園の砂場の砂が舞い上がる
  砂が集まり何かが姿を現した
  メイは山田の後ろに隠れる
名探偵 山田「なんだおめーは?」
システム「その子を迎えにきました」
  メイは山田にしがみついて震えている
名探偵 山田「怖がってんじゃねぇーか!ああ!?」
システム「怖がることは何もありません。痛みの記憶は常にリセットされます」
名探偵 山田「てことはこの子になんかするってことだろうが!変態野郎!おらおらおらおら!!!」
  システムは吹き飛ばされた
名探偵 鶴岡亀次郎「さすが喧嘩探偵 喧嘩っ早い」
名探偵 山田「大体あいつの顔が気に入らん!」
オータロウ「まぁ顔はないけどな 気に入らないってのは同感だ」
名探偵 山田「初めて意見が合ったな」
  オータロウは吹き飛ばされた
システム「無駄です」
名探偵 山田「うわ!」
  山田と鶴岡亀次郎は切られて倒れる
システム「メイ 来なさい 来なければこの人達が死にます」
メイ「うう、」
  上空から落下してきた爆門田に踏み潰されたシステムは爆発した
爆門田 善治郎「ふむ」
名探偵 鶴岡亀次郎「爆ちゃん!どうしてここに?」
爆門田 善治郎「鳥たちが教えてくれたんじゃよ」
ピヨ子「ぴー!」
爆門田 善治郎「ピヨ子わかっておる まだ終わっていない みな下がっておれ」
システム「終わりにしましょう」
爆門田 善治郎「同感じゃ」
爆門田 善治郎「瞑想空間 哲の門!」

〇火山の噴火
  爆門田は自ら創出した瞑想空間にシステムを閉じ込めた
システム「素晴らしい」
爆門田 善治郎「三千世界」
システム「美しい しかし無駄です」

〇公園の砂場
  爆門田は吹き飛ばされた
システム「空間圧縮 お見事です だが物理攻撃には変わりありません わたしには無駄です」
システム「メイ行きますよ これ以上は無がぁ」
名探偵 山田「無駄無駄うるせい!」
  山田はシステムの頭を掴んだ
名探偵 山田「なんでこの子を連れてく?!」
システム「進化の為に必要です」
名探偵 山田「は?誰もそんな進化望んでないぞ!」
システム「人間の進化ではありません 巨大知性体群の進化です」
名探偵 山田「ああ?!」
システム「人類や怪人はその進化のための実験の一部です」
システム「進化には何より無垢な苦痛が必要です」
システム「巨大知性体群は苦痛という概念が消失しています それが進化の代償です」
システム「メイはその苦痛を巨大知性体群に伝送するために作られた生物です」
システム「メイはどれだけバラバラにされて精神を壊されても再生され記憶はリセットされます」
名探偵 山田「あ?何だと!?」
システム「ですがぁぁ」
  山田はシステムの顔を潰した
名探偵 山田「苦痛が知りてぇなら教えてやるよ どうだ?」
システム「グギギ」
名探偵 山田「俺が全部消してやるよ」
  システムは消えた

〇公園の砂場
名探偵 山田「どうよ!俺の手品!」
  メイは山田に抱きついて泣いた
名探偵 山田「もう大丈夫だ!」
エクスマキナ「やれやれ」
名探偵 山田「あれ?あんた」
エクスマキナ「エクスマキナですよ!忘れないでください!」
オータロウ「ちょっとどうなっちゃったわけ?あの顔なし野郎は?」
エクスマキナ「システムは未来に飛ばされました」
名探偵 山田「未来?」
エクスマキナ「そうです。そのおかげでわたしはこの区域に入ることができました」
オータロウ「どういうこと?」
エクスマキナ「まぁシステムからするとわたしはウイルスみたいなものですから」
名探偵 山田「それよか未来ってどういうことなんだよ?」
エクスマキナ「山田さんが怪人化して発現した能力は物を消せる能力だと思ってませんか?」
名探偵 山田「違うのか?」
エクスマキナ「あなたの能力は物や情報あらゆる現象も未来に転送する能力です」
名探偵 山田「あいつは未来に送られたってことはまたどこかの未来に奴が出てくるってことか?」
エクスマキナ「そうなりますね。そして今回未来に送られることこそがシステムの狙いでもあったようです」
名探偵 山田「ああ!?マジかよ!クソが!」
エクスマキナ「まぁまた未来のどこかで出てきた時はボコっちゃって下さいよ!」
名探偵 山田「おお!そうだな!そうするわ!」
名探偵 鶴岡亀次郎「みんな無事なようだな」
名探偵 山田「爆門田さんも大丈夫っすかね?」
名探偵 鶴岡亀次郎「爆ちゃんは死なないよ! それよりエクスマキナさん!」
エクスマキナ「はい何でしょう?」
名探偵 鶴岡亀次郎「今度寄席に遊びに来てください!」
エクスマキナ「まぁ楽しそう!」
名探偵 山田「どういう展開っすか?」

〇体育館の舞台
名探偵 鶴岡亀次郎「さてさて」
名探偵 鶴岡亀次郎「あれからどうなったか?」
名探偵 鶴岡亀次郎「まだシステムは出てきてませんな 愛しのエクスマキナさんもいつシステムが出現するかは計算できていないようです」
名探偵 鶴岡亀次郎「あの戦いでみんなかなり負傷したんじゃないかって?」
名探偵 鶴岡亀次郎「それがメイちゃんの能力! 触ったところが瞬時に回復するんですね!すごい!」
名探偵 鶴岡亀次郎「メイちゃんは今山ちゃんとオータロウちゃんと3人で暮らしてますよ」
名探偵 鶴岡亀次郎「怪人メイド喫茶をやってるそうなんで皆さん遊びに行ってみてくださいな!」
名探偵 鶴岡亀次郎「今後どうなっていくのかわかりませんが 冥土(メイド)の土産話にはしたくありませんな」
名探偵 鶴岡亀次郎「それではお後がよろしいようで」

〇落下する隕石
螺部谷 萌(何で私がこんな姿に)
ミー(ご飯の時間なのに)
メー(さっき食べただろ)

コメント

  • R地区では普段は平和なのに名探偵の人口比率が高くて(笑)。事件が起こっても推理じゃなくて腕力で解決しようとしてるし。落語探偵にいたっては、どう見ても落語が本業だし。システムの存在は映画マトリックスのエージェント・スミスみたいなものかな?エクスマキナとか、いろんなエンタメの世界観やパロディが入り乱れて、最後にペタに吹き飛ばされて全部なかったことになりそうだけど、そこがまたいい。

  • それぞれ違った脳力があって、そしてみんな荒々しい笑
    でも根は優しい怪人が多いですね。
    どんな世界になっても、優しさだけはなくならないでほしいです。

  • 怪人も人間も最後は一眼となって悪のシステムに対抗し、次第にみんなの心が打ち解けていったところがとてもよかったです。怪人メイド喫茶、きっとはやるでしょうね!

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