私は汐里

ゆきんこ

突然、ママとパパが居なくなった(脚本)

私は汐里

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〇一軒家
  私は汐里。
  この家の次女。
  パパとママとお姉ちゃんと住んでいる。
  私たちの幸せな日常が壊れたのは、ある日突然だった。

〇女の子の一人部屋
汐里「あれ? もう朝になっている。 ママ、起こしてくれなかったのかな?」
汐里「ママ〜?」

〇一階の廊下
汐里「ママ?返事してよ」

〇白いバスルーム
汐里「トイレにもお風呂にも居ないよ」

〇綺麗なキッチン
汐里「ママじゃない!」
???「アンタが汐里ね」
???「ママなら居ないよ」
汐里「おばさん、誰?」
汐里「お母さんが居ないって、どういうこと!? お姉ちゃん、お姉ちゃんは!?」
???「キャンキャンうるさいねえ〜! ちょっと佳織、黙らせてよ!!」
佳織「汐里、コッチ来て」

〇明るいリビング
汐里「お姉ちゃん! 何なの、あの人!? ママは何処に行ったの!?」
佳織「落ち着いて」
佳織「汐里にはまだ分からないかもしれないけど、あの人は『ヨソノオバアチャン』」
佳織「ママはパパがピンチだから、助けに行かなきゃって言ってた」
汐里「他所のおばあちゃんが、なんで家に!? 関係ない人、だよね?」
佳織「いつまでかは、わからないけど、あの人と暮らさなきゃならないから、仲良くして」
汐里「そ、そんな──!」

〇綺麗なキッチン
ヨソノオバアチャン「汐里ッ!! 朝から何やってんだい! 余計な仕事増やしやがって〜」
ヨソノオバアチャン「汐里! ご飯は残すんじゃないわよ! ったく、甘やかされて!!」
汐里「こんなの、固くて食べられないよ! まるでドッグフードみたい・・・」
汐里「ママのご飯は、もっと柔らかくて、味があって、残したことないもん・・・」
ヨソノオバアチャン「それに比べて、佳織は残さず食べて、偉いね〜。 さ、小学校に行く準備してよ」
汐里「お姉ちゃんのご飯、美味しそう・・・。 何で私だけ、いじめられるの?」
佳織「汐里、頑張って食べな! お姉ちゃん、学校行くね」
ヨソノオバアチャン「汐里は全部食べるまで、キッチンから出るな!」
汐里「ウウウ・・・」

〇川のある裏庭(発電機あり)
汐里「キャッ」
汐里「午前中はNテレ観てたのに! 外になんか、行きたくないよ」
ヨソノオバアチャン「天気良い日は外に行きな! こ〜んなに広い庭作ったのだって、アンタのためだって聞いてるよ!」
汐里「酷いよ、ヨソノオバアチャン・・・ 汐里の嫌なことばっかりする」
汐里「ママはゼッタイにこんなことしないのに・・・ママ、早く帰ってきて!」

〇一軒家
  次の日になっても、また次の日になっても、晴れても、雨が降っても、ママとパパは戻ってこなかった。
汐里「ヨソノオバアチャンも、お姉ちゃんも、ママとパパはすぐに帰ってくるって言ってたけど」
汐里「もう、2人とも信用出来ない。 お姉ちゃんはヨソノオバアチャンに脅されて、本当のことを言えないのかも」
汐里「あの絵本みたいに・・・!」

〇古びた神社
  お姉ちゃんが持っている絵本の中に、
  怖い絵本がある。
  いつの間にか家族の1人と妖怪が入れ替わっていて
  家族は気づかないうちに、1人、また1人と蜘蛛女に喰い殺されていくの
  そして、1番末っ子の女の子だけが、
  妖怪の正体に気づいて、近くのお寺に助けを求めに行くのだ
坊主「それは大変でしたね! いまお札を持って参ります」
  そう、坊主が女の子に背を向けた時
  それは既に、女の子を喰い殺して化けていた妖怪、蜘蛛女だった!
坊主「なっ、南無三!」
妖怪蜘蛛女「キシャアアア!!!!」
坊主「臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前! 妖怪、退散!!」
  坊主が身につけていた百合の毒のおかげで、妖怪は坊主に手を出せず、逆に返り討ちに合うってお話し。
汐里「ヨソノオバアチャンは、妖怪蜘蛛女よ!」

〇明るいリビング
汐里「絶対にヨソノオバアチャンの秘密を暴いてやる!」
汐里「ヨソノオバアチャンが買い物に行った隙に、色々調べてやるんだから!」

〇明るいリビング
  ピンポーン
汐里「誰か来た? ヨソノオバアチャンは合鍵で開けるから、ピンポンしないのよね」
  ガチャガチャ・・・ガチャガチャ
汐里「ドアのところで、何かしてる!? 怖い。 ソファーの下に隠れよう!」
???「誰か居ますか〜?」
泥棒「居ないよな! 調べてから入ってるからなあ」
泥棒「今はババアと子供しか、この家には居ない」
泥棒「そしてババアはこの時間、買い物に出掛けて留守にするんだ!」

〇明るいリビング
泥棒「ババアは足が遅いから、買い物にも時間がかかる。 物色する時間はたっぷりあるぜ!」
汐里「ど、泥棒だ! 見つかったら、どうしよう!!!!」

〇明るいリビング
汐里(どうしよう!警察に連絡しなきゃ!! でも私は携帯無いし、ソファーから出たら見つかるかもしれない!)
泥棒「2階が主寝室かな。先ずは定石通り、上から調べるとするか」
汐里(2階に行ったわ! 庭に出るベランダのカギは空いているから、静かに出れば逃げられるかも?)
汐里「!?」

〇一軒家
ヨソノオバアチャン「あら?変ねえ。 鍵を掛け忘れたのかしら? お財布忘れた上に、鍵まで忘れたなんて」
ヨソノオバアチャン「あの子たちが帰ってきたら、何を言われるか分からないわね!」

〇明るいリビング
汐里(ウソ!? ヨソノオバアチャンが帰ってきた! 泥棒が居るのに、入ったらマズイわ!)
汐里(でも、ヨソノオバアチャンは妖怪かもしれないし、逆に・・・)
ヨソノオバアチャン「汐里〜 汐里、何処?」
汐里「ヨソノオバアチャンが、玄関から庭の方に移動して、私を探している!」
泥棒「チッ、なんだ、今の声は・・・」
汐里「このままじゃ、鉢合わせだ。 もう、こうするしかない!」
  勇気を出してソファーから飛び出した私は、思い切ってベランダの窓を開けた
汐里「ヨソノオバアチャン〜!! 家に泥棒が居るの! 逃げてェー!!!!」

〇川のある裏庭(発電機あり)
ヨソノオバアチャン「ヒッ、ヒィィィ!!!!」
ヨソノオバアチャン「ケッ警察、直ぐに家に来てください!!」

〇一軒家
佳織「汐里が泥棒が居るのをヨソノオバアチャンに教えたなんて、お手柄だよッ♪」
佳織「さすが、私の妹!」
ヨソノオバアチャン「んまあ、結果的にはね〜。 最初は汐里が狂ったのかと思ったんだけど、泥棒が居たから騒いだんだね!」
警官「こちらの家には、お子さんの親御さんは居ないんですか?」
ヨソノオバアチャン「ハア、それが家のバカ息子が、1か月前に海外の出張先で両腕を骨折しまして、」
ヨソノオバアチャン「何にも出来ないってんで、母親が助けに行くことになって、私がこの家の留守番をしているんです」
ヨソノオバアチャン「それなのにこんなことになって、帰ってきたら2人に説教されますね!」
警官「まあまあ与園(ヨソノ)さん、今回は番犬の『汐里』ちゃんのおかげで泥棒も捕まったことですし」
警官「まずは、汐里ちゃんをたくさん褒めてあげて下さいね!!」
警官「通報された時は、『犬に襲われる』って聞いたので慌てて来たら、」
警官「金品持った泥棒と鉢合わせしたので、大変驚きましたよ!」
ヨソノオバアチャン「私、犬アレルギーで、昔から犬がスゴく苦手なんです!」
ヨソノオバアチャン「だから、汐里を冷たくあしらっていたけど、これからは優しくします!」
ヨソノオバアチャン「汐里、ありがとう!」
汐里「どういたしまして」
汐里「それじゃあ まず、ご飯から改善してよね!」
汐里「今どきあんな、カチコチのドックフードを、食べるコなんて居る?」
汐里「居ないよね!?」
  おしまい

コメント

  • やられました笑
    最後の最後まで気づきませんでした、完全に虚をつかれました😂

  • 全く気づかずに最後にびっくりしてました!
    だからシルエットだったのかー。見事に騙されましたよー!楽しい作品ありがとうございました!

  • 汐里ちゃんの一人称視点で、とっても可愛い物語ですね!序盤の伏線のチラ見せで、もしやと半信半疑で読んでいました。ちょうどいい露出具合(?)ですね!ベランダに出ようとしているシーンで、汐里ちゃんのイメージが人寄りに傾きましたが、私の実家にいたお犬様も鼻先を上手に使って窓を開けていたのでアリかもですね。人間の場合もお犬様の場合でも楽しめるストーリーで素敵です!

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