エピソード44(脚本)
〇薄暗い廊下
前を走るニーナに続く一同。
クリスは、ぐったりしたケイトを負ぶっている。
ケイト「降ろせよ! クリス!」
クリス「・・・・・・」
クリス「ローレン。聞きたいことがある」
ローレン「わかってる。さっきのは俺の親父。 HIMAHAN-Zの開発者の1人、ハン ス・ハンケだ」
クリス「ハンス・ハンケ!」
クリス「彼は7年前に失踪したはずじゃ」
ローレン「世間じゃそうなってるな」
ケイト「おい! 聞いてるのかよ!」
クリス「それでお前はβ版を」
ローレン「まあな。 そういうお前も只者じゃないんだろう?」
クリス「・・・俺の母親は真泉マリーだ」
ローレン「お、おう。マジか。それでクリスか」
クリス「?」
ローレン「はは。これで色々と繋がったよ」
ケイト「Hi HIMAHAN-Z」
ケイトの前にホログラムが現れる。
ローレン「なっ」
クリス「おい。よせ」
ローレンがケイトの口を塞ぐ。
ケイト「(放せ!)」
ローレン「こんな所でログアウトすれば、次にログインした時に袋のネズミだろ!」
クリス「ケイト。今は冷静になれ! 策を練ってからだ」
ケイト「!」
ケイトが何かを発見する。
クリス「?」
廊下の端からハンスがすごい速さで追いかけてくる。
ニーナ「みんな、早く!」
ダダダダッ
迫ってきたハンスに銃を浴びせるニーナ。
しかし、キンキンとはじかれてしまう。
ローレン「チッ。バケモンが」
ローレン「これしか効かないみたいだな」
ケイト「お前! 姉さんを返せ!」
ローレン「クリス、後は任せるぜ。 俺はここでリタイアだ」
クリス「何を言ってる。地上はもうすぐだぞ」
ローレン「何かやろうとしてることがあるんだろう?」
ローレン「ずっと怪しい奴だとは思ってたが、マリーの息子って聞いて納得したぜ」
ローレンがウィンクする。
ケイト「姉さんを出せ!」
ローレン「じゃあ、頼んだぜ」
そう言うとピンを抜いた。
クリス「よせ」
ローレン「止めてくれるな。 やっぱり親父を一人残しては行けない」
ローレンがハンスに向かって走っていく。
クリス「待て。お前の力が必要だ」
ローレンは振り返らずハンスに立ち向かっていく。
クリス「・・・くっ」
ケイト「止めろ! ローレン!」
ニーナ「ローレン?」
ニーナが立ち止まる。
クリス「ニーナ。ローレンの意思だ」
ドカーン
広報で大爆発が起きる。
ニーナ「ローレン!」
ケイト「久怜愛姉さん!」
〇基地の広場(瓦礫あり)
ニーナに続いて、ケイトを負ぶったクリスが地下から出てくる。
クリス「一体ここで何が・・・」
ニーナ「ギャロップ達は?」
クリス「・・・これでは探すのは無理だ。 今はこの場を離れて出直そう」
ニーナ「何か策は?」
クリス「ハンスの乗ってきた戦闘機がどこかにあるはずだ」
ニーナ「いいね。ジャックしよう」
ケイト「何言ってんだよ。 僕はここを離れるつもりはないよ!」
クリス「ケイト、すまない」
ケイト「?」
ケイトを下ろすと、クリスはハンカチを手にする。
〇戦闘機の操縦席(滑走路)
戦闘機の操縦席に乗り込んでいるクリス。ニーナと口を縛られているケイトは後ろの席に窮屈そうに乗っている。
ケイト「・・・・・・」
ブオーン
エンジンがかかる。
ニーナ「やったあ!」
クリス「よし。行こう」
戦闘機はゆっくりと動き始める。
ケイト「ううう」
クリス「我慢してくれケイト」
〇砂漠の滑走路
滑走路の先にハンスが立っている。
ハンス「ゲームオーバーだ」
〇戦闘機の操縦席(滑走路)
ニーナ「うげ」
ダダダダッ
ニーナが席からハンスを撃つ。
しかし、弾は弾かれてしまう。
ニーナ「めちゃくちゃだよ。あいつ」
クリス「奴はいい。今は逃げよう」
戦闘機は加速していく。
ニーナ「あいつどうする? ひいちゃう?」
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