〇テーブル席
功刀絢花「結局、たいした収穫はナシか」
吉良誠一郎「そうだね」
吉良誠一郎「愛那さんの夫が不倫相手に殺された 証拠は出てこなかった・・・」
吉良誠一郎「と言うか、むしろ」
吉良誠一郎「不倫相手の女が殺したっていうのが 彼女の思い込みだった可能性が高まったね」
功刀絢花「竜はいったいどこに消えたんだ？」
吉良誠一郎「って、そっちの事件のこと？」
功刀絢花「複数の目撃談があるし」
功刀絢花「絶対に何かあると思うんだけどなぁ」
吉良誠一郎「きっと見間違えだよ」
功刀絢花「だから、見間違えるにしてもさ」
功刀絢花「何かを見てるはずだろ？」
功刀絢花「いったい何を見間違えたんだ・・・？」
吉良誠一郎「ところでさ、収穫と言えば」
吉良誠一郎「これ、どうする？」
功刀絢花「ああ、少年が投げ込んだ石か！」
吉良誠一郎「本人はやってないって言ってるんだろ？」
功刀絢花「いいじゃねぇか ただ”石”って言うより分かり易いだろ」
功刀絢花「うーん・・・」
功刀絢花「んんっ？」
吉良誠一郎「どうしたの？」
功刀絢花「なんかさ、この石 ベタベタしてる感じがしないか？」
功刀絢花「ほら」
吉良誠一郎「ホントだ！」
吉良誠一郎「ちょっとベタついてる!!」
店員「お待たせいたしました」
店員「チーズインハンバーグセットと・・・」
店員「ポークカツ和膳でごさいます」
功刀絢花「おっ、来た来た！」
功刀絢花「とりあえず、考えるのは食ってからだ」
店員「ご注文は以上でお揃いですか？」
功刀絢花「はいはい、どーも」
店員「では、失礼します」
功刀絢花「あー、腹減った！」
吉良誠一郎「お昼も食べずに調査してたもんね」
功刀絢花「いただきまーす！」
吉良誠一郎「お腹が空いてるのは分かるけど ちゃんと落ち着いて食べなよ」

〇テーブル席
功刀絢花「ぷっはー」
功刀絢花「食った食った!!」
吉良誠一郎「少年漫画の主人公みたいな リアクションだね」
吉良誠一郎「美味しかったかい？」
功刀絢花「ああ 久しぶりにちゃんとした物を食ったぜ」
吉良誠一郎「最近は食べれてなかったの？」
功刀絢花「断食まではいかないけどな」
功刀絢花「お中元にもらった素麺があったし」
功刀絢花「それに醤油つけて食ってたよ」
吉良誠一郎「麺つゆだろ？」
功刀絢花「いや、つゆは高いだろ 使ったらすぐになくなるし」
功刀絢花「塩のこともあったな」
功刀絢花「麺の先にちょんちょんってつけて かじるんだ」
吉良誠一郎「かじるって!?」
功刀絢花「茹でるのが面倒だったからな」
功刀絢花「ガス代ももったいないし」
吉良誠一郎「お腹壊すよ・・・」
功刀絢花「私は大丈夫だったぜ！」
功刀絢花「カップ麺もかじる派だ！」
吉良誠一郎「そんな派閥はないよ・・・」
吉良誠一郎「カップ麺はともかく」
吉良誠一郎「素麺の生はやめなよ、本当に」
吉良誠一郎「普通の人間には 生の小麦粉は消化できないんだから」
功刀絢花「そうなのか？」
吉良誠一郎「やれやれ」
吉良誠一郎（探偵なのに 教養があるわけじゃないんだよな）
功刀絢花「お前、いま何か失礼なこと考えただろ！」
吉良誠一郎「べつに・・・」
功刀絢花「まぁいいか」
功刀絢花「それより捜査のことだな 明日はどういう手順にしようか・・・」
吉良誠一郎「ちょっと待った！」
吉良誠一郎「いま自然に僕を巻き込もうとしたよね？」
功刀絢花「・・・」
吉良誠一郎「明日は無理だからね 僕にも仕事があるんだから」
功刀絢花「有給でも取ればいいだろ！」
吉良誠一郎「こんな急に申請したら 会社のみんなにも迷惑がかかるよ」
吉良誠一郎「今日だって一日しかない休みを使って 付き合ってあげたんだからさ」
吉良誠一郎「明日は一人で頑張りなよ！」
功刀絢花「しゃーねーな」
功刀絢花「分かったよ」
吉良誠一郎「僕が悪いみたいに・・・」

〇大きい交差点
功刀絢花「じゃあ、ここまででいいよ」
吉良誠一郎「いや、家まで送るよ」
功刀絢花「いいって」
功刀絢花「明日は仕事だろ 遅くまで付き合わせて悪かったな」
功刀絢花「じゃあな」
吉良誠一郎「う、うん・・・」
吉良誠一郎「じゃあ、気をつけて帰りなよ」
吉良誠一郎「君も一応女の子なんだし」
功刀絢花「・・・一応？」
吉良誠一郎「あっ、いや、じゃあね」
功刀絢花「ったく・・・」
功刀絢花「さてと」
功刀絢花「誠一郎も帰らせたし」
功刀絢花「竜探し後半戦だな！」

〇川に架かる橋
功刀絢花「まずはここから」
功刀絢花「でも・・・」
功刀絢花「・・・」
功刀絢花（竜が目撃された夜なら何か見つかると 思ったんだけど）
功刀絢花「それらしい物は何もないなぁ・・・」

〇開けた交差点
功刀絢花「ここにも特に目ぼしい発見はなさそうだな」
　　ガサガサッ
功刀絢花「んっ？」
功刀絢花「ゴミが風に飛ばされたのか・・・」
功刀絢花「今日は他の場所でも 目撃情報がないみたいだな」
功刀絢花「竜が飛んでたのは あの日だけだったのかなぁ・・・」
「おいっ！」
警察官「そこで何をしている!?」
功刀絢花「何ですか急に！」
警察官「女か・・・？」
警察官「何をしていたんだ？」
功刀絢花「竜さが・・・、いや」
警察官「竜？」
功刀絢花「流星群が見られるってネットにあって」
功刀絢花「ちょっと空を見てたんです」
功刀絢花「でも、ダメですね 空が明るすぎて良く見えないみたい」
警察官「なんだ、そうでしたか」
警察官「そう言うことならいいですけど」
警察官「くれぐれも気をつけてくださいよ」
功刀絢花「はい、ありがとうございます」
警察官「最近、この辺りで民家や車に石や棒切れを 投げつけるイタズラがあったんです」
警察官「ただの悪ふざけだとは思いますが」
警察官「犯人が人間に危害を加えないとも 言い切れませんからね」
功刀絢花「あの、イタズラっていつごろの話ですか？」
警察官「ええと・・・」

〇開けた交差点
功刀絢花「なるほど、そうなんですね」
警察官「はい、だから見回りを強化しているんです」
警察官「それじゃあ、気をつけて帰ってくださいね」
功刀絢花「はーい」
功刀絢花「ありがとうございます！」
功刀絢花（少年が石を投げ込んだ日に 同じようなイタズラが複数の場所で）
功刀絢花（これも竜に関係してるのか!?）
功刀絢花「うーん 情報が全く足りてねぇな・・・」
功刀絢花「けど、面白くなりそうな予感がするぜ！」