方針決定(脚本)
〇荒廃した街
大間 柾「いいか? ここをキャンプ地とする」
小林 誠司「わかりました。 柾様の住みよい場所に変えてみせましょう」
大間 柾「いやいやいや、拠点は地球。現地ではキャンプ地な。 それよりここに居る気配を探って、ここへ連れて来てくれ」
小林 誠司「なるほど。捕まえて奴隷とするのですね。良い案です」
大間 柾「せんわ! お前、感覚が昔に戻ってるぞ! そもそも俺は奴隷とかやってなかったろうが!」
小林 誠司「は!? 失礼しました!」
大間 柾「とにかく連れて来い。情報収集だ」
小林 誠司「仰せのままに──」
連れてこられた人はわずか3人だった。
その中には魔族も1人混じっていた。
【三人】
・・・・・・・・・・・・
大間 柾(左の少年は魔族だな。 シスターに少女。少女は足を怪我をしてるのか?)
大間 柾「これだけか? もっといたような気がしたが?」
小林 誠司「どうやら他の者は我々の事を見て、先日逃げたようです」
大間 柾「女子供を置いて逃げるとは・・・明らかに足手まといを置いてった感じだな。 荒んでいるな」
小林 誠司「貴様ら! 王の御前である! こうべを垂れろ!」
大間 柾「ちょっ、バカ! やめろやめろ! そういうんじゃないわ!」
小林 誠司「しまった! つい癖で!」
大間 柾「お前、それ絶対治せよ。本当に──」
大間 柾「さて、無理矢理に集めて悪かった。 君達に聞きたいことがあるんだが、質問に答えてほしい」
大間 柾「質問後、君らには報酬を出そう。 とは言っても渡せるのは食糧程度だがな。あと、その子の足の怪我の治療だ。どうだ?」
ベル「だ、騙されねぇぞ! お前らの事なんて信用しねぇ!」
大間 柾(・・・・・・ふむ。 いきなり”そういう言葉”を言うという事は、そういう環境下という事か)
大間 柾「青いな少年」
ベル「・・・・・・は?」
大間 柾「この実質廃墟となった町で取り残された3人。その内1人は怪我人。 この状況下で君らに選択肢があるとでも?」
大間 柾「いっちょ前に啖呵を切るなら、まずは強さを身に付けるんだな。 仮に強さがあっても、お前の眼から見て俺に勝てる存在か?」
ベル「う、うっせぇ! お前なんて俺がぶっ飛ばしてやる!!」
大間 柾「・・・・・・ふむ。 それは、その2人を守る為に言っているのか?」
ベル「そ、それがどうした!?」
大間 柾「なるほどな」
大間 柾「守り、守られる関係。 つまり、魔族である君と人間との間で信頼性があるという事か」
ミーシャ「待ってください! 魔族とはいえ、この子はまだ子供です! どうか寛大なご決断をッ!」
大間 柾「心配するな修道女よ。 何かするわけではない。俺は話が聞きたいだけだ」
そこからは、世界の現状について聞くだけの時間だった。
――とは言っても聞ける内容はそこまで多くなかった。
ミーシャ「私は、中央にいた時の事・・・・・・知っている事の全てです」
大間 柾「ふむ・・・・・・大儀であった。 同時に、その神への信仰と、そなたの清らかな心に敬意を称する」
ミーシャ「は?」
小林 誠司「柾さま。魔王時代に戻ってますよ?」
大間 柾「だぁぁっっと!? イカンイカン。雰囲気に当てられちゃった」
小林 誠司「しかし・・・・・・なるほど。 これは下手をすると我らの時代よりカオスになってますね」
大間 柾「ああ、そうだな。 なんというか・・・全くもって変な話だ。 分かっていた事だが、あの戦いに最初から意義など無かったか」
小林 誠司「人間の世界の争いが激化し、結果的に弱い立場の人間は魔族と手を組まなければ生き残れないとは・・・」
大間 柾「う~む。異世界転生者・・・思ったよりも世界を荒らしていたようだな」
大間 柾「え~っと・・・人間同士で争って、魔族同士でも争って、人間と魔族でも争ってる。 それをかき乱してるのが異世界転生者?」
大間 柾「・・・・アホくさ」
小林 誠司「混沌とはまさにこの事でしょう。 これは転生者を蹴散らしたところで、元に戻るとは思えませんな」
大間 柾「絶対、そこまで、面倒は、見んぞ?」
小林 誠司「当然です」
角田 花丸「お話し中に失礼でそ。 これからどうするでそ? 転生者を一人ずつ狩ってく感じでそ?」
大間 柾「とりあえずはそうなるな。 そうすれば噂が立つだろうしな。やってりゃ勝手に寄ってくるだろうし」
大間 柾「つか、カメラ回してんのか?」
角田 花丸「当然でそ!」
小林 誠司「全く・・・」
小林 誠司「──して、方針はどういたしましょうか?」
大間 柾「方針として、異世界転生者はどんな存在であろうと潰す」
大間 柾「例外は、国家の運営に深く食い込み、善政をしている。そんな転生者のみだ」
角田 花丸「隠居生活のような事をしている転生者はどうするでそ?」
大間 柾「問答無用──存在自体が厄介な種。 摘み取っておくに越したことはない」
大間 柾「女神だろうがなんだろうが、我らのやり方に口は出させん。 我々を選んだのは奴らだ。選んだ責任は果たしてもらうのみ」
大間 柾「我々は正義の味方ではない」
小林 誠司「仰せのままに──」
角田 花丸「こりゃ、楽しみでそ。 取れ高期待でそ~」
──異世界転生者への死刑宣告が発令された。