いとしこいし

甘楽カラ

エピソード8(脚本)

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〇渋谷駅前
小石川哀史「あれ?」
小石川喜一「どうした?」
小石川哀史「あの二人、前にも見たことが・・・」
課長「そこをなんとか頼みますよ~、木村くん!いや、木村さん! いやいやいや木村さまさまサマー!」
平社員「困りますね~あなたってヒトはホントに」
小石川喜一「あの二人か?」
小石川哀史「うん。前に噴気にぃとラクと三人で歩いている時に見かけたんだけど」
小石川哀史「あの上司みたいなヒトに若いヒトが叱られていてさ」
小石川哀史「部下の悲しみを受ける黒い糸が、その悲しみを与える上司のそれとしっかり結びついていたんだよ。だからその糸を切って・・・」
課長「木村大臣! よっ、木村大統領、にくいよこのこの~~~」
平社員「わかりました考えておきますよ。ところで課長、今月の支払いがまだのようですが?」
小石川喜一「へ~。オレにはあの二人、若い方が年上の男より立場が上に見えるけどな」
小石川喜一「哀史が悲しみの糸を断ち切ったおかげでこうなったんだろう?良かったじゃないか」
小石川哀史「いや、あのときはむしろ楽哉の功績だよ。上司の楽しみの糸が、部下の中指に結びついていたんだからね。ぼくには見えない青い糸が」
小石川喜一「楽しみの糸が悲しみの指に・・・。クロスコネクションだな」
小石川哀史「うん。あの時、楽哉が青い糸を切った。それで二人の関係は良好になるはずなんだけど・・・」
小石川喜一「う~ん」
平社員「まさかね~、あんなところで!課長をお見掛けするとは思いませんでしたよ」
平社員「わが社のマドンナ、それもジュニアの婚約者とラブホとは、課長もなかなかですよね」
平社員「あの時の写真、社長にメールしたら・・・」
課長「木村さま~それだけはご勘弁を~。ワタクシ、あなたさまの手となり足となり、しもべとなる所存でございます~」
平社員「仕方のない人ですね~」
小石川喜一「どう見ても関係性が逆転してるぜ、ありゃ」
小石川哀史「そう見えるよね。ぼくには二人の間に青い糸が見えない。単純な立場の逆転・・・というわけではなさそうだけど」
小石川喜一「んん?」
小石川哀史「喜一にい?」
小石川喜一「あっ、いや・・・。たしかにあの若い男の方から、年上の男の方に喜びの黄色い糸が伸びている。それはわかる」
小石川喜一「わからないのは、黄色い糸の先! オレには糸の先が見えない!!!」
小石川哀史「途切れている・・・ってこと?」
小石川喜一「いや、それは、ないと思う」
小石川哀史「たとえば、部下の喜びが上司の怒りの感情を司る人差指に結ばれているのが見えないとかじゃなく?」
小石川喜一「普通のクロスコネクションであれば見える。これはちょっともう一段階上の術式が使われているようだ」
小石川哀史「・・・・・・」
平社員「まあ今日は機嫌がいいので、許してあげますよ」
課長「あ、ありがとうございます~」
平社員「でも今月中には必ずお金、支払ってくださいね~」
課長「はい、それはもう必ず!」
小石川喜一「あの~、ちょっといいですか?」
平社員「はい? なんでしょう???」

〇新橋駅前
恭子「これから私、なにを目標に生きていけばいいんだろう・・・」
「そのつらさ、うらめしさ、取り除いてやっても良いぞ」
「もちろんタダでというわけにはいかない」

〇渋谷駅前
平社員「あははは。依然のぼくと課長の関係をご存じなんですか?」
小石川哀史「ええ。その時はもっと別の関係性・・・。ぼくたちには上司があなたをいじめて楽しんでいるように見えたんです」
平社員「たしかに前はそうだった・・・のかもしれません」
小石川喜一「今はちがうようですね」
平社員「まあ、そうですね。偶然、課長が女子社員とホテルに入るところを見かけて、写真を撮ることができたんですよ」
平社員「それをネタに脅したところ、今のようになりまして。ホント、痛快ですよ~」
平社員「まったくぼくは運がいい。あのときあそこであの人と出会っていなければ、今でもあの上司にいじめられていたんでしょうから」
小石川哀史「それはないと思いますよ。少なくともぼくはあなたの悲しみの糸を切ってあげたんだから!」
平社員「はい?」
小石川喜一「いや、こっちの話ですから気になさらずに!それより、どこで誰と出会ったというんですか?」

〇新橋駅前
「タダでというわけにはいかない」
恭子「なにを・・・あなたはなにが欲しいの?」
「お前が一番大切にしているもの。 それをもらおう」
恭子「私が一番、大切にしているもの・・・」
恭子「お母さんの形見のネックレス」
「お前の望み、しかと聞き入れた」

〇渋谷駅前
小石川喜一「その悪魔だか天使だかの女に、一番大切にしているモノを寄こせ、そう言われたんですね?」
平社員「そうです」
小石川哀史「それであなたは何を差し出したんですか?」
平社員「いえね、てっきりタチの悪い冗談だと思ったんですよ~。だって冗談みたいな話じゃないですか。それで・・・」
小石川喜一「それで?」
平社員「冗談には冗談で返そうと・・・。だったらぼくの大切な妻をくれてやる!そう言っちゃったんです」
平社員「家に帰ったら書置きがあって・・・。本当にぼくの奥さん、どこかに消えちゃったんです」
平社員「でも本当はただの偶然なのかもしれませんけどね、全部・・・」

次のエピソード:エピソード9

コメント

  • 平社員と上司の逆転、怖いですね〜。
    それにしても、平社員の木村くん、奥さんあげちゃうって…。
    木村くんは、逆に天罰食らうべきだわ。

  • わっ、出ましたね!ラスボスですか!?本当の悪魔は美しい姿なのかもしれませんね(*´ `)
    ひぃぃ〜木村君、悪魔と取引して奥さん取られちゃったぁ〜怖い!これはゾッとします。
    恭子ちゃんは、形見を渡すだけじゃあ済まないのではとハラハラします。糸ちゃんとお兄ちゃん達は、手強い悪魔と戦うのか!?続きが楽しみです🥰

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