悪魔さんと天使のゆる~異日常

ヨリミチ

エピソード5(脚本)

悪魔さんと天使のゆる~異日常

ヨリミチ

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〇広い公園
悪魔さん「ぐやじいよぉ!」
天使さん「・・・悪魔さんは本当に悪魔なんですか?」
悪魔さん「追いかけてきて喧嘩吹っかけてくるとか悪魔なのあんた!?」

〇ファミリーレストランの店内
  今思い返しても腹が立つ。
  私どっからどう見ても悪魔でしょうが!!
  あと、心配しなさいよ! 泣いてんのよ!?
悪魔さん「ねえ、あんたどう思う?  私ちゃんと悪魔してるわよね?」
お客様「え? バイトの方ですよね?  あの、そんなことより注文いいですか?」
悪魔さん「そんなことってなによ! 私が悪魔に見えないっての!? ああ?」
店長「ダメバイト! てめぇお客様にガンくれてんじゃねーぞ!」

〇店の休憩室
店長「おうこら。 今日はいつも以上にダメだったぞ」
悪魔さん「すんません・・・」
店長「元気が取り柄な奴が何を悩んでやがる? 話だけなら聞いてやるぞ」
  店長は煙草を取り出し火をつける
悪魔さん「え、店長に話しても」
店長「話すことで解決することもあるんだぜ。 というか、このままその調子ならクビな?」
悪魔さん「わ、わかったわよ! 話せばいいんでしょ話せば」

〇スーパーの店内

〇広い公園
天使さん「『悪魔さんは本当に悪魔なんですか?』」

〇店の休憩室
悪魔さん「――ってことよ」
店長「天子ちゃんの他にも友達が出来たのか、 よかったな」
悪魔さん「ふふん。 そうでしょ・・・」
悪魔さん「って違う!  私こいつらに見くびられてるの!」
店長「まあ、悪魔だのの事情はよく分からねーが。天子ちゃんはおめぇの為に言ったんだろうよ」
悪魔さん「ど、どういうことよ?」
店長「向いてないことをやるよりも出来ることをやったほうが楽だろ?」
悪魔さん「それなら店長は私に厨房を任せるべきだわ。だって私ケーキ作り好きよ?」
店長「厨房をワサビでめちゃくちゃにする奴に任せられるかボケ!  好きなことと出来ることも別だ!」
悪魔さん「???」
店長「たくっ。 多分天子ちゃんはな、おめぇにその悪魔って役割が合ってないって言ってんだよ」
悪魔さん「はぁ!? 何それ! あいつ私を悪魔だって思ってないってこと!?」
店長「多分って言ったろ? そんなの天子ちゃんに聞け。さて、俺は店閉めすっから。 高校生はけぇんな」
悪魔さん「あ、ちょ!」
悪魔さん「くっ。 話したのに悩みが増えたわ。 あのハゲ嘘ついたわね?」
店長「・・・減給すっぞ?」
悪魔さん「か、帰ります失礼しましたぁ!」

〇教室
悪魔さん「はぁ・・・」
  この前店長に言われた通り。
  聞いてしまえればどんなに楽か
  でも、もしそれで天使が私を悪魔として見ていないって答えたら?
  終わりよ・・・
  敵であるこいつに認められないということは、悪魔として終わりだわ!!
天使さん「百面相してどうしたのですか?  お弁当全然食べてませんね」
悪魔さん「ちょ、その卵焼き私の!」
天使さん「どうふぁしましふぁか?」
悪魔さん「食べながらしゃべんないで」
天使さん「我ながら美味なだし巻きです」
天使さん「それで、最近元気有りませんが。 なにを悩んで?」
悪魔さん「心の中読めんだからわかってんでしょ? どうせ」
天使さん「私は天使なので、プライベートのお悩みまで盗み見たりはしません」
悪魔さん「ほんとに?」
天使さん「本当です」
  ・・・本当かしら?
赤坂熊子(あかさかくまこ)「あの・・・お昼ご一緒してもいいですか?」
天使さん「ええどうぞ」
悪魔さん「あっち行きなさいよ熊子! わ、私はまだあんたを友達って認めてないんだからね!!」
赤坂熊子(あかさかくまこ)「そ、そんな~」
天使さん「うふふ、悪魔さん? そんなこと言って心の中では嬉しがってるのが丸見えですよ~」
赤坂熊子(あかさかくまこ)「アクマさん?」
悪魔さん「やっぱ心の中見てんじゃない天使!」
天使さん「時と場合によります」
  ・・・こいつ、そのうち堕天するわね

〇川に架かる橋
天使さん「あ。 私今日バイトの面接でした」
悪魔さん「え? そんなの初耳よ? いつの間に」
赤坂熊子(あかさかくまこ)「天使さんバイト始めるんですか?」
悪魔さん「あんたはなんで当たり前のように一緒に帰ってるの?」
天使さん「それは私が誘ったからです」
悪魔さん「勝手なことしないでくれる? 私はこいつを友達だと、お、思ってなんか」
天使さん「そういうわけで。 私は先に行きますね?」
悪魔さん「聞きなさいよ、無視すんじゃないわよ」
悪魔さん「まぶしっ!」
天使さん「熊子さん、悪魔さんのことを頼みます~」
赤坂熊子(あかさかくまこ)「お任せを!」
悪魔さん「わ、私別に一人で帰るの寂しいとか思ってないんだからね!」
  てか、翼のケガは大丈夫なのあいつ?
赤坂熊子(あかさかくまこ)「あ、アクマさん・・・2人きりですね?」
悪魔さん「そうね」
  2人きりになりたくなかったけどね!!
赤坂熊子(あかさかくまこ)「そんな邪険にしないでください。 そうだ、悪魔の力を取り戻すお手伝いをしましょうか?」
  こいつ無自覚? 
  無自覚で煽ってきてんの?
悪魔さん「私は自力で悪魔の力を取り戻すのよ、この優等生悪魔!」
赤坂熊子(あかさかくまこ)「あッ、待って!」

〇綺麗な教会
赤坂熊子(あかさかくまこ)「うう、このキラキラ危ないです。 ここに逃げ込むなんて、そんなに私と帰りたくないんですね・・・」
悪魔さん「やっと諦めたわね」
天使さん「あら、迷える子羊さんがやってきましたね。どうぞこちらへ」
悪魔さん「・・・なにしてんの天使?」
天使さん「いいえ私は天使ではありません。 シスターエンジェルです」
悪魔さん「さっき言ってたバイトって教会で?  シスターってどんなことすんの?」
天使さん「動じなくなりましたね悪魔さん ・・・こちらへどうぞ」
悪魔さん「行きたくないんだけど」
  だいたい、教会って悪魔が入っていいんだっけ?
天使さん「大丈夫ですよ。 敷地の結界に焼き殺されていないので」
悪魔さん「また心読んでるし・・・結界ってこのキラキラ? 悪魔だったら焼き殺されてたの?」
天使さん「悪魔だったら灰になっていたはずです」
悪魔さん「そんないい笑顔で頷かれると複雑な・・・」
  あれ?
悪魔さん「私悪魔よね? ならなんで私焼き殺されてないの?」
天使さん「・・・」
悪魔さん「ねえ、なんで私・・・」
天使さん「お、お悩みは懺悔室でどうぞ」
悪魔さん「答えなさいよ。なんで死んでないの私?」
天使さん「どうぞこちらへ。懺悔室の人が話を聞いてくれますよ悪魔さん」

〇刑務所の面会室
悪魔さん「無視しないで! てか、あんたが話を聞きなさいよ!」
天使さん「私はシスターエンジェルです。 迷える子羊さんを懺悔室に運ぶのが仕事です」
悪魔さん「さてはなんで私が焼き殺されなかったかわからないのね?」
天使さん「それでは」
  ・・・逃げたわね

〇古いアパートの一室
  教会の結界が私を悪魔だと認識せず焼き殺さなかった
  私はもはや人間なのかもしれない
  まさかもう地獄には帰れない!?
「ぐふぁッ! ま、まだよ私! まだ決めつけるには早いわ!」
  考えると吐き気と頭痛が襲ってくるので、仰向けになって天井を見つめる
  天使はまだ帰ってこない
悪魔さん「今なら悪いことし放題だわ!」
悪魔さん((通行人にワサビ入りケーキでも――あ、ワサビ入りケーキはもう作らないんだった・・・))
悪魔さん「熊子に相談――ううん、駄目よ私。それで悪魔の力を取り戻してもちっとも嬉しくないし、癪よ癪!」
  それにしても天使遅いわ
悪魔さん「ご飯冷めちゃうじゃない」
悪魔さん「そうだ、バイトして疲れてるわよね。 お風呂沸かしておきましょう」

〇安アパートの台所
悪魔さん「遅すぎ」
  高校生はとっくに補導の時間だ
悪魔さん「ま、まさか事故!? それとも私の作る晩ご飯が嫌でもう帰ってこない? 確かに天使よりは劣るけど私だって」
  ・・・はっ!? 
  バイトを始めたのも私との同居を打ち切る資金集めでは?
天使さん「ただいまです。 遅くなってすみません。新人歓迎会だとシスターたちに引き留められて」
悪魔さん「で、出て行けばいいじゃない! せいせいするわ! ふん!」
天使さん「なんですかいきなり?」
悪魔さん「どうせワサビ入りケーキしかまともに作れない悪魔よ私は!」
天使さん「いや、それはまともに作らないほうが──」
天使さん「ああ、一人が寂しかったのですか? めんどくさい悪魔さんです」
悪魔さん「ち、違うわよ! 心読むんじゃないわよ卑怯よ!」
天使さん「はいはい、遅くなった理由はこれです。 どうぞ」
悪魔さん「なにこれ。 スイーツのレシピ本?」
天使さん「ワサビ入りケーキの代わり・・・とはいきませんが、何かのお役に立てばと買ってきました。材料も」
悪魔さん「あんたバイトを始めたのって・・・ 私、悪魔よ? 手助けなんてしていいの?」
天使さん「そうですね。悪魔は天使の敵です。 戦わなければならないこともあります。 熊子さんの時のように」
悪魔さん「一方的にやられたけどねあいつ」
天使さん「でも、私と悪魔さんは・・・ど」
  ! 
  そうよね・・・と、友達だものね!
  友達っていいものね!!
天使さん「同居人ですから。 悪魔さんが元気じゃないと部屋が辛気臭くなっちゃうので」
  か、勘違いだったわ!
  はずかしい・・・
悪魔さん「そうね、同居人だものね!」
天使さん「なぜ、顔が真っ赤なのですか?」
  なんでこういう時に限って心を読んでないの!?
悪魔さん「う、うるさい!  ご飯温め直すから座ってなさいよ!」

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