第八話 研究所(脚本)
〇リサイクルショップの中
松岡力「やったか?」
松岡力「んだよ!脅かすなよ」
松岡力「え?」
「うわーーー!!」
〇ビルの裏
松岡力「誰かー!助けてくれー!」
高橋美奈「力君?どうしたの?」
松岡力「美奈!助けてくれ!手が、手が!」
高橋美奈「変色?」
松岡力「嫌だ!嫌だ!」
高橋美奈「力君、もしかして・・・」
松岡力「ゾンビに噛まれちまった!」
高橋美奈「え!?」
松岡力「美奈!助けてくれ!このままだとゾンビになっちまう!」
松岡力「俺はゾンビにになんかなりたくない!」
高橋美奈「り、力君」
松岡力「なぁ!頼むよ!俺とお前の仲じゃねえかよ」
高橋美奈「・・・」
松岡力「なぁって!」
松岡力「おい美奈!」
松岡力「俺がいなくなったら、誰が母親の薬持ってくるんだよ!?」
高橋美奈「あ・・・」
松岡力「いつもお前の為に薬、取ってきてあげるじゃねえか」
高橋美奈「え・・・」
松岡力「お前、俺を見殺しにするってことは」
松岡力「お前の母親も見捨てるってことだぞ!」
高橋美奈「そ、それは」
松岡力「美奈、頼むよ!助けてくれよ!」
高橋美奈「助けてってどうしたらいいの?」
松岡力「俺、知ってるんだ 研究所にはワクチンがあるって事を」
高橋美奈「研究所?」
松岡力「そう、そのワクチンを取ってきてほしいんだ」
高橋美奈「そ、そんなこと言ったって」
松岡力「頼むよ!このままだと、俺は24時間後には ゾンビになっちまうよ」
高橋美奈「その研究所ってどこにあるの?」
松岡力「たしか、北地区の外れだったと」
高橋美奈「北地区!?」
〇怪しい研究所
北地区 研究所
ゾン「ここかな?」
ビー「そうみたいだな」
危険
ゾン「危険、だってさ」
ビー「ま、俺らには関係ないっしょ」
ゾン「うん!」
ビー「よし、いくか」
ゾンビ「ん?お前さんら、何しにここに?」
ゾン「え?」
ゾンビ「こんなところに来て、危ないじゃないか」
ビー「いやー、ちょっと」
ゾンビ「この辺りには、幽霊が出るって噂でな 遊び半分で入ると命を落とすことになるぞ」
「・・・」
ゾン「あの、俺らもうゾンビだし」
ビー「そうそう、幽霊が怖いとか」
ビー「感じなくなってるし」
ゾン「命を落とすって」
ゾン「もう落としてるし」
ゾンビ「・・・」
ゾンビ「恐れ知らずのやつじゃ」
ビー「さっさと行こうぜ」
ゾン「うん」
ゾンビ「まったく、最近の若いもんは」
〇ビルの裏
高橋美奈「北地区って・・・あそこはもうほとんどゾンビに占領されてる」
松岡力「わかってるよ!」
高橋美奈「そんなところにワクチンがあるって言われても」
松岡力「いいからいけ!俺がいなくなるってことは お前の母親も死ぬってことだぞ!」
高橋美奈「それは・・・」
松岡力「お前は母親を見捨てるのか?」
松岡力「あぁ?」
高橋美奈「・・・わかった」
高木重美「ん?どうしたの?」
松岡力「し、重美・・・」
高木重美「ん?あ、あんた・・・」
〇実験ルーム
ゾン「す、すごいなぁ」
ビー「あぁ、すべてはここから始まったんだからな」
ゾン「にしても、散らかってるな」
ビー「当たり前じゃねーか」
ビー「こんなところ、掃除するやつなんていないだろ」
ゾン「まぁ、そうか」
ビー「今じゃここは幽霊屋敷だと言われて 誰も怖くて近寄らねえんだ」
ゾン「ぷっ」
ビー「な、なんだよ?」
ゾン「いや、ゾンビが幽霊怖がるんだって思って」
ビー「ま、ゾンビも元は人間だからな」
ゾン「さっきの入り口のおっさんが言ってることと一緒じゃん」
ビー「俺は、噂で聞いたことを言ってるだけだよ」
「・・・」
ゾン「探そうか」
ビー「あぁ」
ゾン「にしても、本当にこんなところにあるのかな?」
ゾン「仮にあったとしてもとっくに」
ビー「いや、人間に戻りたいなんて思うゾンビ、そうはいないからな」
ビー「あの記事が本当なら、まだあるはずだ」
ビー「ん?」
ゾン「どうしたの?」
ビー「こんなところに階段があったぞ」
ゾン「よし」
ビー「うん!」
〇アパートのダイニング
高橋佳子「スヤスヤ」
高橋美奈「お母さん、ゴメン」
高橋美奈「神様!私を守って!」
コンコン
「ん?」
男「高橋佳子さん、美奈さん、ですね?」
高橋美奈「はい・・・」
〇商店街
松岡力「はぁはぁ」
高木重美「あんたゾンビになったんだ」
松岡力「し、重美!助けてくれ!」
松岡力「なぁ、俺とお前の仲じゃねえかよ」
高木重美「・・・」
松岡力「重美!俺はこのままじゃ」
高木重美「ゾンビになるね」
松岡力「そうだよ!だから!」
松岡力「助けてくれよー!」
高木重美「・・・」
高木重美「触んないでよ!」
松岡力「え?」
松岡力「お前、それでも人間か・・・」
高木重美「あんたに言われたくないね あの女の子騙して食料もらってたあんたにはね」
松岡力「お前!お前はそのお陰で食えてたんじゃねえのかよ!」
高木重美「はぁ?あんたが勝手に食べ物くれてただけでしょ?」
松岡力「お前・・・」
高木重美「このご時世、頭使わないと生きていけないんでしょ?誰かさんの言う通りー」
松岡力「汚ねえぞ!」
高木重美「薬と嘘ついてビタミン剤渡してたあんたに言われたくないね!」
松岡力「・・・」
高木重美「あんたはここでゾンビになるの 今、他の人間に見つかったらゾンビになる前に殺される」
高木重美「どっちがいいか選んだら〜?」
松岡力「そ、そんな・・・」
高木重美「じゃあね〜」
松岡力「おい!」
松岡力「待てよ!」
高橋美奈「え?」
〇化学研究室
ビー「絶対あるはずだ!」
ゾン「うん」
ビー「あんなところに隠し階段があったんだ この部屋にあるに決まってる」
ゾン「ん?なんだろう?」
ゾン「これ、なんの鍵だろう?」
ビー「鍵が使えそうなものは・・・」
ビー「あれだ!」
ゾン「もしかしたら・・・」
ガチャ!
ビー「ビンゴ!」
ゾン「中に何があるんだろ?」
ビー「アタッシュケース?」
ゾン「なんだこれ?」
ビー「開けるぞ」
ゾン「うん!」
ビー「・・・あった!これだ!」
ゾン「これが?」
ビー「あぁ!間違いない!」