金!金!金!(後編)(脚本)
〇密林の中
神野アヤト「なんでこんなのが魚の胃袋に・・・」
神野ツカサ「──仮定の話になるが、俺は魚が 餌と間違え食べたんだと思う」
神野ツカサ「この金の大きさは10cm前後で 頭の方に穴が開いているんだが」
神野ツカサ「そこに紐を通して束ねていたのだろう」
神野ツカサ「何個か植物で編んだ紐の様な物が 穴に通された状態で胃袋からでてきた」
神野アヤト「・・・」
神野ツカサ「紐でまとめられた金は 琵琶湖から一緒に流れ落ちた時に ぶら下がる様な形で岩に引っかかり」
神野ツカサ「水に揺られる姿を小魚と勘違いし 反射的に丸呑みしたんだと思う」
神野アヤト「とーちー・・・わるいんだけど」
神野アヤト「俺、金より魚の方が気になってるんだけど焼いてくれない?」
神野ツカサ「そりゃそうだ!早速、魚を焼こう!」
〇木の上
神野ツカサ「お、この木、立ち枯れしてるな」
神野アヤト「立ち枯れ?」
神野ツカサ「枯れているけど立っている木のことだ 地面の湿気を吸ってないから、これを薪に使用しよう!」
神野ツカサ「先ず穴を少し掘り、石を周りに置く そこにアヤトが集めた小枝を並べる」
神野ツカサ「小枝の下にスギの枯葉を用意して・・・ よし!マッチを頼む!」
神野アヤト「つけるよー」
神野アヤト「お!お!凄い!ついた!ついたー!」
神野ツカサ「じゃあ、枝に魚を刺して塩をかけるか」
神野アヤト「その塩って・・・まさか!?」
神野ツカサ「そう、鼻うがい用に用意しといた塩だよ! まだ沢山あるから心配しないで」
神野アヤト「心配してるのは 鼻うがいの塩って方だけど・・・」
神野ツカサ「大丈夫!大丈夫! この鼻うがいの塩って 特別じゃなく、ただの食塩だから」
神野ツカサ「そうだ! 焼けるまでコーヒーでも一口どうだ?」
神野アヤト「じゃあ一口飲むよ・・・」
神野アヤト「に、苦いいいぃ! こんなの苦くて飲めないよ」
神野ツカサ「ハハハ、飲んだら中に水を入れ煮沸消毒して、冷めたらペットボトルに入れよう」
神野ツカサ「よし!火も落ち着いたな 火の周りに魚を刺しておくか」
神野アヤト「とーちー、この金どうするの? 持っていくの?」
神野ツカサ「コレはさっきの大きな岩の下に隠しておこう」
神野アヤト「さっきの話だと、あの岩に金がぶら下がっていたのかな・・・」
神野アヤト「だったら、 あそこにまだ金があるかもしれないね!」
神野ツカサ「可能性はあるな、 ちょっと見てみるか・・・」
神野ツカサ「バシャ、バシャ、バシャ!」
神野ツカサ「な!これは!?」
〇森の中の沼
神野アヤト「どうしたの?とーちー!?」
神野アヤト「この岩の下、金だらけだ!!」
神野アヤト「土の下を掘ってみたら まだまだ出てくるよ・・・」
神野ツカサ「アヤト!! とりあえずこの金は、ここに置いておけ」
神野アヤト「え?なんで!?」
神野ツカサ「金は大事だが、ここでは必要ない! そして金は人を狂わす!!」
神野ツカサ「この金を俺達が持ち歩いて見つかれば 正常な人も魔が差してしまうかもしれない」
神野ツカサ「矢柄は金の為に 一緒にいた女性を見殺しにしたんだぞ」
神野アヤト「あの女性、矢柄に見捨てられて モドキに溶かされたんだったね・・・」
〇密林の中
拳也「な!なんだって!? 一緒にいた女性を見殺しにしただと・・・」
拳也「おかんはおとんに・・・ 鉄に・・・見殺しにされた・・・」
拳也「溶かされたってなんだ!? あいつらに殴られて死んだんじゃないのか?」
拳也「・・・」
ズズッ・・・ズズズズッ・・・
拳也「!?」
拳也「イ、イノシシ!?」
拳也「いや・・・何か様子が変だ・・・ イノシシが溶けて・・・る!?」
拳也「うわぁぁぁ──!!」
未知の生物「ズズッ・・・ズズッ・・・」
拳也「切れない・・・なんで切れないんだよ!!」
未知の生物「ズズッ・・・ズズズズッ・・・」
拳也「ガッ!バタッ!」
拳也「しまった・・・!つまずいた・・・!!」
未知の生物「ズズッ・・・ズズズズズズッ・・・ベチャ!」
未知の生物「ズズ・・・ベチャ・・・ベチャベチャ・・・」
拳也「う、うわ──!! 誰か助けて──!!」
〇森の中の沼
神野ツカサ「何だ!?」
神野アヤト「見て!あれはモドキだよ! 誰か倒れてる!!」
「ダッ!!」
神野アヤト「とーちー!!」
〇密林の中
拳也「うっ!口の中に何か・・・入ってくる・・・ 息がっ・・・できない・・・」
拳也(オゴッ!ゴボっ!・・・し・・・ぬ・・・)
神野ツカサ「でゃあ──!!」
未知の生物「ズズズズ・・・ズズ・・・ズ・・・・ズ・・」
未知の生物「ズズッ・・・ズズ・・・」
未知の生物「ズッ・・・」
拳也「ゴボッ!ゴボゴボッ!ヴフッ!!」
神野ツカサ「口の中にまだモドキがいる! 身体の中に入ってしまった!」
神野ツカサ「どうする、どうする!」
神野ツカサ「くそ!アヤト! 水が入ったペットボトルを持ってきてくれ!!」
神野アヤト「はい!コレ!!」
神野ツカサ「いけるかわからないがペットボトルに 塩を入れて飲ませるしかない!」
神野アヤト「塩水なんか飲ませて大丈夫!?」
神野ツカサ「濃度は任せろ! 500mlのペットボトルの蓋にすり切りよりちょっと下に塩をいれたら0.9%!」
神野ツカサ「つまり!生理食塩水の濃度! これなら塩分過多にもならないし モドキにも効くはずだ!」
神野ツカサ「飲め!飲んでくれ!!」
拳也「ゴボッ・・・ゴボ・・・ゴクッ・・・」
拳也(・・・う、うる・・・さい・・・)
拳也(誰だ・・・なんか・・・言ってる・・・)
拳也「ウッ、ウッ!ウゲェェェ──」
「やった・・・」
神野ツカサ「息を吹き返したぞ!」
神野アヤト「よかったよ──!!」
拳也(こいつら・・・俺を・・・)
拳也(助けた・・・のか・・・ガクッ──)
神野アヤト「あっ!」
神野ツカサ「大丈夫、気絶しただけだ! とりあえずさっきの所まで戻ろう!」
神野アヤト「うん!手伝うよ!!」
塩ー! ここでも役に立った!
コーヒー缶の用途!
サバイバルの鉄則ですね!😆
鼻うがいが役に立つとは!
とーちー最高ですね。
アヤトにコーヒーはまだ早かったみたいで、しっかりしている中にも、かわいさを感じました。
モドキ退治はお手のものの2人。
ここまでしても洗脳はとけないかもしれませんが、きっと大丈夫と信じて次回を待ちます