入れ替わりパーソナリティ~好きなあの子が恋してる相手は僕に恋してる!?

れこん

エピソード8(脚本)

入れ替わりパーソナリティ~好きなあの子が恋してる相手は僕に恋してる!?

れこん

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〇狭い畳部屋
可憐(かれん)「・・・」
トン田「おい可憐、どこに行くんだ? もう夜だぞ」
可憐(かれん)「ごめんお兄ちゃん、どうしてもやらなくちゃいけない用事があるから出かけるね」
トン田「そうか、でも気をつけろよ。どうやら馬鹿どもが俺が弱ってるって噂を嗅ぎつけてるらしいからな」
トン田「だから兄ちゃんが完全復活するまで絶対に夜の街に行くなよ」
可憐(かれん)「うん・・・」
  ・・・

〇団地
  来栖家では

〇アパートのダイニング
木下誠美(きのした なるみ)「えっ、武ちゃんまだ帰って来てないんですか!?」
武司の母「ほうなんよ、それにあの子学校で怪我しとるなんて今はじめて知ったわ」
武司の母「多分ウチを心配させまいと黙っとるんじゃろうけど、余計心配するわ」
武司の母「しかもあの子危ない所があるし、無事じゃとええんじゃけど」
木下誠美(きのした なるみ)「っ──私、武ちゃんを見つけて連れ戻してきます!」
武司の母「あ──行ってしもうた」
武司の母(念の為、あの人に連絡しとこう・・・)

〇おしゃれなリビングダイニング
  藤堂家では
母さん「待ちない千陰!今から外に出かけるなんて不良のする事よ!」
藤堂千陰(とうどう ちかげ)「煩いわね、ほっといてよ!」
母さん「ほっとけるわけないでしょ! あなたの事が心配なのよ!」
藤堂千陰(とうどう ちかげ)「はは、嘘ばっかり。 本当は”中に居る”お兄ちゃんの事が心配なだけのくせに」
母さん「ち、違うわ・・・私は千蔭ちゃんの事もちゃんと心配してるわ」
藤堂千陰(とうどう ちかげ)「煩い! さっきから嘘ばっかり言うな! 本当はあの時──」
父さん「そこまでだ!」
母さん「ち、違うの・・・私は・・・私は・・・(精神不安定)」
父さん「これ以上母さんを追いつめないでくれ・・・」
藤堂千陰(とうどう ちかげ)「ふんっ! 出て行くから!」
父さん(このままじゃいけない・・・ちゃんと向き合わないと)

〇ネオン街
来栖武司(くるす たけし)「あーくそたいぎい(メンドクサイ) 今夜はどこに泊まろうかのう」
  中心人物──来栖武司は帰るに帰れず、街をあても無く歩いていた
来栖武司(くるす たけし)「大けがしたのがバレたらお袋はブチ心配して仕事が手につかんくなるけえの・・・」
来栖武司(くるす たけし)(それに今は大事な時期じゃ。 やっと金が貯まって、お袋の念願じゃったお好み焼きの店が出せる)
来栖武司(くるす たけし)(なのに、こんな事になってしもうたら、余計に負担をかけるけえ、いっその事俺は居なくなった方がエエかもしれん)

〇店の事務室
  武司・・・真人間になれ

〇ネオン街
来栖武司(くるす たけし)(くっ・・・)
???「ひいいいいいいっ、助けて!」
街の不良「おい、オッサン今日は給料日だろ? さっさと財布出しなって」
中年サラリーマン「ひいいいいいいっ・・・ 汗水ら垂らして稼いだ金なんです。 勘弁してください!」
  これじゃ・・・血が騒ぐ
  理不尽な光景をみると無性に腹が立って突っ込みたくなるんじゃ・・・。
  じゃけえの・・・
  伊良子先生・・・お袋、誠美・・・
  俺はあんたらの言う真人間には到底なれそうにないわい!
来栖武司(くるす たけし)「オドリャアアアッ!! 辞めんかいボケが!!」

〇アパートのダイニング
武司の母「・・・」
  若い男の遺影
武司の母(タケルさん・・・血はやっぱり争えんね)
武司の母(ウチは武司がタケルさんみたいに殺されんか心配よ・・・)

〇ネオン街
  武司、話しとらんかったけど、
  あんたのお父さんは”刑事”をしとったんよ
  それでいっつも夜の街に出て、良からぬ輩を片っ端から全員補導逮捕しとったんよ。
タケル刑事「こら、またお前か!  エエ加減反省しろや、何度も危ない連中と付き合って悪さしやがって!」
武司の母「うっさいオッサン! ウチに構うなや!」
タケル刑事「構うわボケ! オドレみたいなガキが一番危なくて心配なんじゃい!」
タケル刑事「なんぞ不満や不安があるんじゃろうが。 ワシが話を聞いちゃるけえ、全部言えや・・・」
武司の母「く・・・うぅ・・・」
  恥ずかしいけど、実は昔ウチもあんたと同じで不良少女じゃった。
  理由は親から見捨てられ取ったけえ、寂しくて、悪い連中と付き合って気分を紛らわしとったんよ
  けど、そんな時にタケルさんに補導されて、毎回親身に話を聞いて構って貰えたけえ、好きになってしもうたんよ

〇ネオン街
夜の女性「──え~、やだも~」
武司の母「おい、おっさん! なにデレデレしとるん!?」
タケル刑事「な、なんじゃお前か。 今聞き込みの最中じゃけえどっか行けや」
武司の母「今日はウチの話をちゃんと聞いてくれる約続じゃったじゃろ!?」
タケル刑事「え・・・そげな約束したかいの?」
夜の女性「えー、タケルさんこんな小娘に手を出してるんだ、最低・・・バイバイ」
タケル刑事「あっ・・・ちょい、誤解じゃって!」
タケル刑事「お前な~・・・」
  それから高校卒業するまで一方的にウチがタケルさんに懐いて、最後はタケルさんが折れる形で無理矢理一緒になった
  じゃけど籍までは入れなかった。
  理由は世間体とかいろんな事情はあったけど・・・
  一番の理由は──タケルさんは夜の街で『眩しすぎる』存在なのが原因じゃった。

〇入り組んだ路地裏
???「刑事さんよぉ、あんたは俺達の回りを嗅ぎ回って『目立ち過ぎ』たんじゃ」
???「目障りじゃけえ、消えてくれや」
タケル刑事(くっ・・・ワシもここまでか・・・すまん)

〇古いアパートの一室
  朝刊の見出し『◯◯市の山中で刑事の変死体発見』
  死亡解剖の結果、被害者の身元は数日前から失踪している◯◯警察署に所蔵する刑事──タケルさん(30)と判明した。
  タケルさんはとある事件を追っていた際、追っていた組織の何物かによって襲われたと警察は見ている
武司の母「えっ、嘘でしょ・・・タケルさん!?」
  タケルさんは事件の数日前、こんな言葉をウチに残していた。

〇古いアパートの一室
武司の母「ねえねえタケルさん。お腹の子は病院で検査したら男の子じゃって、名前はなんにする?」
タケル刑事「・・・あぁ」
武司の母「タケルさん・・・どしたん。 嬉しくないん?」
タケル刑事「いや、勿論嬉しいで、けどな・・・」
タケル刑事「ひとつお前に約束してほしい事があるんじゃ、お腹の子の為にもな・・・」
タケル刑事「もしも、ワシが家を出て連絡も取れ無くなったら失踪したと思え、」
タケル刑事「ほいで、誰もワシらの事を知らん土地に気付かれないように引っ越せ」
タケル刑事「ええな?」
武司の母「う、うん・・・けど、なんで?」
タケル刑事「理由は聞くな。その方が危なくないけえ」

〇古いアパートの一室
  ・・・
武司の母「だ、誰来た!」
武司の母(なんか嫌な予感がする。一旦隠れて居留守を使お・・・)
???「誰も居らん・・・ちっ、勘づかれたか。 ブチたいぎいのぉ」
組織のボス「もしもし、あの刑事と一緒に住んでた女は無事に殺ったのか?」
???「すんませんオヤジ、取り逃がしました」
組織のボス「バカタレが!!はよ見つけて始末せぇ! じゃないと全員ブタ箱行きじゃぞ!」
???「へ、へいわかりやした。すぐにさがしに行って始末してきやす!」
武司の母「トンでもない・・・、多分常識が通用せん」
武司の母「あんな奴らをタケルさんは追ってったんじゃ」
武司の母「は、早くこの土地から逃げんと!」
  こうしてウチはお腹に居る武司を守るために、タケルさんの意志に従った。

〇アパートのダイニング
武司の母「う、うう・・・」
タケル刑事「すまんかった・・・」
武司の母「えっ、タケル・・・さん!?」
武司の母「ほうよね、気のせいよね・・・」
武司の母(タケルさん・・・どうか、武司を無事に守ったげて下さい、お願いです・・・)
  続く

次のエピソード:エピソード9

コメント

  • 人物描写が丁寧ですね〜!
    登場人物全員が、切ない過去を背負ってる!
    確かにこれは、ヒューマンドラマかも。
    少しずつ千陰の謎も明かされていきますが、ついにオコになった、バパの威厳が弱くて悲しい…。
    男親は娘には弱いからか?いや、ホントは男だし…。

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