復讐させない物語

スヒロン

エピソード1(脚本)

復讐させない物語

スヒロン

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〇朝日
ロハン「この太陽に誓うよ・・・君を幸せにすると」
メイミン「ロハンさま・・・平民の私でいいのですか?」
  私は現世から、この『ブルーレッド物語』という本の世界へと転生していた。
ロハン「君と一緒が一番落ち着くんだよ」
ロハン「家系なんて、関係ない・・・この愛情こそが宝物さ」
メイミン「一生、ついていくわ!」
ロハン「君は、気が利くし、何故か地下迷宮も君がいれば、道に迷わないし」
メイミン「いやー、運よ」
メイミン「(だって、私・・・この”物語”を二巻までは知ってるし。図書館で飽きる程読んだもの)」
ロハン「さあ、明日は結婚式だ! 赤蛇家のレッダーも祝いにきてくれるという!」
メイミン「(レッダーさん? 何かと碧犬家に因縁をつける人よね・・・?)」

〇池袋西口公園
メイミン「うわあ、鮮やかな夕焼け!」
レッダー・クルス「メイミン、平民である君がロハンとの結婚なんてね」
メイミン「あ、レッダーさん!」
ロハン「レッダー! 我が親友よ! 僕の妃のメイミンだよ」
レッダー・クルス「まさか、あの”碧犬家”の当主の君が、平民の娘とね。君らしいか・・・」
キャット・ネイビス「オーッホホホ! ロハン・・・このような娘との婚約とは!」
メイミン「(うわあ、世界一苦手なキャットさん・・・)」
メイミン「どうも、キャットさん」
キャット・ネイビス「”元許嫁”である私にとっては、羨ましいことよねえ」
ロハン「ううん、キャット。すまないね・・・ このメイミンの方が気が合うみたいで」
メイミン「キャットさん・・・」
キャット・ネイビス「オッホホホ! 私も次の恋の相手を探さないとね!」
レッダー・クルス「見たまえ、ロハン! 君たち夫妻を祝うための宝玉や武具を沢山運んできたぞ!」
ロハン「おお、見事な宝剣だなあ」
  レッダーは剣を手に取る。
レッダー・クルス「見たまえ、この剣なんぞ・・・最適だと思わないか・・・?」
ロハン「最適・・・?」
レッダー・クルス「・・・妹を弄んだ男の胸を貫くのにだ!」
メイミン「ああっ!?」
  ロハンの胸を、宝剣が深々と貫いていた。
ロハン「ごほっ・・・?」
メイミン「あなたー!!」
キャット・ネイビス「なあにが「あなたー」よ、このメギツネ!! ロハンは私のモノよ・・・永遠にね!」
ロハン「レッダー、何故・・・?」
レッダー・クルス「忌々しい碧犬家と仲良くしていたのも、キャットの婚約相手と思えばこそだ!」
レッダー・クルス「それを、こんな平民の娘なんぞ・・・飼い犬が手を噛んだとは、このことだ!」
ロハン「それが本音か・・・友情があると思っていたのは、僕だけか・・・」
メイミン「あなたー!! イヤよ!!」
ロハン「メイミンにだけは、手を出さないでくれ・・・!」
レッダー・クルス「フン、女を殺しはしないが・・・首輪をつけて、ペットとして生かしてやる!」
キャット・ネイビス「オッホホホ! ペットと思えば、案外に可愛いものねえ! ロハンが死んだのも、あんたのせいよ・・・!」
メイミン「・・・こんな終わりにさせるもんですか!」
メイミン「輪廻転生の石! 迷宮で拾ったものよ・・・! あなた、少し待っててね!」
キャット・ネイビス「忌々しい女ね! それで、どうする気なの?」
メイミン「これがあれば、時を巻き戻せる・・・はず。 (本当の効果はイマイチ分からないけど)」
キャット・ネイビス「何イ? それをよこしなさい!」
メイミン「うわあっ、キャット! 放して! 離れなさい!」

〇村の眺望
キャット(中身はメイミン)「はっ? あなた!?」
レッダー・クルス「どうした、キャット?」
キャット(中身はメイミン)「ええ? レッダー!?」
レッダー・クルス「おかしなことを言うな。これから、ロハンの首を取るんだぞ」
キャット(中身はメイミン)「まさか、よりによってキャットの中に転生?」
レッダー・クルス「ヤツは可愛いお前を弄んだ・・・絶対に殺してやるぞ!」
キャット(中身はメイミン)「だ、駄目よ!」
レッダー・クルス「おかしなことを言うな、キャットも賛同していたはずだ。安心しろ・・・お前のためならなんでもするぞ」
キャット(中身はメイミン)「レッダーさん・・・? こんな危険なことは止めにしましょう!」
レッダー・クルス「随分と他人行儀だな、お前は実の妹と同様に可愛がってきたのに・・・」
キャット(中身はメイミン)「ええ!? 「実の妹と同様」って・・・? 一体?」
レッダー・クルス「今更どうした? 屋敷の前に捨てられた赤子のお前を、拾ったのも俺だ」
キャット(中身はメイミン)「エエエ!? キャットが・・・捨て子?」
レッダー・クルス「そのお前を、忌々しい碧犬家のロハンと掛け合わせたのに、この仕打ちだ! 絶対に許さんぞ!」
レッダー・クルス「最愛のキャットを弄んで・・・ヤツめ!」
キャット(中身はメイミン)「あ、あのお兄様・・・? 随分と捨て子の私を大事にしてくれるんですね・・・?」
キャット(中身はメイミン)「血のつながりを大事にするお兄様が・・・?」
レッダー・クルス「何を言うのか。お前への愛情は、何度も伝えてきたはずだ! どんな血であろうと、俺の愛情はお前だけだ」
キャット(中身はメイミン)「エエ!? レッダーが、キャットのことを・・・?」
キャット(中身はメイミン)「それで、復讐を?」
レッダー・クルス「どうしたんだ? 中身が変ったかのように」
キャット(中身はメイミン)「ギクリ」
レッダー・クルス「お、結婚式場が見えてきたな。鮮やかな夕日は、奴の墓場にふさわしい。クッフフフ」
キャット(中身はメイミン)「駄目よ! 絶対にそんなことは・・・!」
コマチ「さあ、そろそろロハン様とメイミン様の結婚式会場です」

〇池袋西口公園
メイミン(中身はキャット)「キャアア! サイコーの景色よ! もう兄さまなんてどうでもいいわ!」
メイミン(中身はキャット)「ねえ、ロハン。私のこと好きい?」
ロハン「急にどうしたんだ? もちろん、愛しているとも」

〇村の眺望
キャット(中身はメイミン)「なんなの、あの女! ロハンにベタベタと・・・」
キャット(中身はメイミン)「それにロハンもまんざらイヤでもなさそうね・・・そもそも優柔不断なのよ、ロハンは・・・!」
キャット(中身はメイミン)「お兄様・・・この宝剣をよく研いでおきましょうか・・・」
レッダー・クルス「ワハハ! お前もやる気になったか!」
レッダー・クルス「私はお前のその非情な所が好きなんだからな。それでこそ、赤蛇家だ!」
コマチ「さて、到着いたしました。 結婚を祝福しに参りましょう!」

〇池袋西口公園
メイミン(中身はキャット)「ルンルン♪ お色直ししちゃおうかしら?」
キャット(中身はメイミン)「どうも、メイミン・・・ケッコンオメデトウ。さあ、こっちへ来なさい。話があるわ」
メイミン(中身はキャット)「ひょっとして、中身はメイミン? けど、もうどうでもいいわ! 私はロハンと結婚するのよ!」
キャット(中身はメイミン)「バカを言わないで! さっさと体を返して!」
メイミン(中身はキャット)「もう返しようがないでしょ! そっちが勝手にやったんだから!」
キャット(中身はメイミン)「そもそも、レッダーはあんたのことが好きなのよ! それで、こんな凶行を!」
メイミン(中身はキャット)「あんな兄さま大嫌い! 「好き」とは言ってくれるけど、本当は血筋のことばっかり」
メイミン(中身はキャット)「優しいロハンのことがずっと好きだった・・・それを横から出てきたあんたが何よ!」
キャット(中身はメイミン)「メイミン・・・そんなこと言っても、どうする気よ? レッダーはこのままじゃロハンを殺すのよ?」
メイミン(中身はキャット)「どうって・・・」
キャット(中身はメイミン)「あんたもペットにされるわ。レッダーは恐ろしい人よ!」
メイミン(中身はキャット)「けれど、どうすれば・・・」
メイミン(中身はキャット)「あっ、そうだわ! いい考えがある!」
キャット(中身はメイミン)「・・・・」
キャット(中身はメイミン)「な!? イヤよ、あんな男!」
メイミン(中身はキャット)「これしかない! 兄さまは何故か私にゾッコンなのよ! ロハンを救うためよ!」
コマチ「お二人は仲良しですことね。 さあ、会場に向かいましょう」
ロハン「レッダー、よく来てくれたね!」
レッダー・クルス「親友の結婚式だからな」
ロハン「妻になるメイミンだ」
キャット(中身はメイミン)「・・・・」
ロハン「キャット、このたびはすまなかったね。私はメイミンと一緒になるよ」
メイミン(中身はキャット)「・・・・」
メイミン(中身はキャット)「ええ、幸せよ。あなた」
キャット(中身はメイミン)「(なんだかキャットが少し可哀そうにも思えるわね)」
キャット(中身はメイミン)「(おっと、そんな場合じゃないわ。ロハンを守らないと)」
レッダー・クルス「さあ、ロハン。君たちへ捧げる宝具と宝剣だぞ」
ロハン「これだけの宝剣を? 一体、こんなに運んで、何故・・・?」
レッダー・クルス「フっ、これなんか最適だと思わないか・・・?」
ロハン「最適・・・?」
レッダー・クルス「妹を・・・!」
キャット(中身はメイミン)「待って、お兄様! その前に伝えることがある!」
レッダー・クルス「キャット・・・?」
キャット(中身はメイミン)「私、ロハンとメイミンを見ていて・・・羨ましくなっちゃった。私も、そろそろ次の恋を探したいなあって」
レッダー・クルス「な・・・に・・・?」
キャット(中身はメイミン)「それはもちろん、お兄様よ。いつも求婚してくれたでしょう?」
キャット(中身はメイミン)「(うげげ、こんな男と。最悪・・・)」
レッダー・クルス「おお、妹よ! 私の思いを受けてくれるのか!!」
ロハン「なんと、レッダーとキャットが? これは最高だ!」
キャット(中身はメイミン)「ええ、そうよ! (ロハンったら、あなたを守るためにイヤイヤやってるのよ!)」
メイミン(中身はキャット)「私も、二人はお似合いだと思ってたのよ! サイコーだわ!」
キャット(中身はメイミン)「くうっ、悔しい! ロハンを取られて、レッダーなんかと! 殺したいくらい!」
メイミン(中身はキャット)「少しは私の気持ちも分かった? メイミン?」
キャット(中身はメイミン)「これは、復讐させないための物語・・・」
メイミン(中身はキャット)「ロハンを守るため、しばらくは同盟よメイミン・・・」
キャット(中身はメイミン)「いいでしょう。私も中身をもう一度入れ替える方法を探すわ」
メイミン(中身はキャット)「さ、そしたらすぐにベッドインしましょ、ロハン」
キャット(中身はメイミン)「駄目よー。 そんなの私もまだなんだから!」
キャット(中身はメイミン)「本当に即殺すわよ、キャット!」

次のエピソード:エピソード2

コメント

  • 相手の思い通りにさせたくないのに、復讐は阻止しないといけないジレンマが面白い(*'ω'*)

  • こんばんは!
    コンテストのテーマが復讐劇なのに、復讐をさせないというコンセプトがとても新鮮で面白かったです!でもドロドロとした女同士の策略がちゃんとあって、お互いの運命はタイムリープでどこへ着地するのか楽しみです!

  • あの手この手でロハンを取り戻そうとする2人の女子が、初めは争いながら憎み合っているようにみえるけど、最終的に協力しあって仲良くなりそうな予感がしました。

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