第5章第3節『俺と美少年 -アバンチュール-』(脚本)
〇学生寮
〇学生の一人部屋
狭いベッドで並んで寝ている2人。
聖翼「静かだね」
只野男志「・・・うん」
聖翼「このまま、ただ朝を迎えてもいい」
只野男志「え?」
聖翼「でも、君はそれを望んではいない」
只野男志「よくわからないんだ・・・いざ、こうなってみると」
聖翼「繊細だね」
只野男志「臆病なだけさ。踏み出す勇気が──」
聖翼「君に、告白したいことがあるんだ」
只野男志(きっ、キターーーーッ!!)
聖翼「男志くん」
翼がベッドに這い上がり、只野に覆い被さる。
只野男志「つ、翼くん・・・っ」
聖翼「さっきも言ったね。 この出逢いは運命だって」
只野男志(ぬ・・・脱いだ!)
聖翼「僕はそう信じているんだ。君はどうだい?」
只野男志「俺も・・・信じる」
聖翼「よかった。僕は君の味方で、君は僕の味方」
聖翼「・・・永遠に。そう誓ってくれないか」
翼の背後から後光が差して、薔薇が咲いている。
只野男志「あぁ・・・逆らえない、この魅力」
只野男志「誓うよ。君の味方に、なる」
聖翼「ふふふ。これで僕らはひとつになれる」
只野男志「ひ、ひとつになるって・・・」
聖翼「男志くん。君に、僕のすべてをあげる。 だから君のすべてを僕に・・・さぁ脱いで」
只野男志「待って、待って。1人でぬげりゅ」
聖翼「ふふふ。さぁ、僕に任せて。身も心も」
翼が只野の服を脱がす。
ガタガタッ
押し入れで音が鳴った。
只野男志「? ネズミ、かな?」
聖翼「ほうっておきなよ。見せつけてやろう。 じゃあ・・・いくよ」
只野男志「あ、あぁっ。アーーッ」
ガシャーン!
〇学生の一人部屋
ガシャーン!
窓ガラスが砕け、剣を構えた令が飛び込
んでくる。
帝院令「やめろデュランダル様! いや、デュランダル!」
只野男志「げぇっ、レーヴァテイン!」
聖翼「やぁ、令くん」
帝院令「何がデュランダル命令だ!」
帝院令「僕には翼くんに近付くなと言っておきながら、翼くんをたぶらかし・・・なんて羨ましい!」
只野男志「いや・・・これは、その・・・」
只野男志(ってさっきからコイツ、デュランダル連呼してる!)
只野男志「“帝院くん”! デュランダルって誰のこと? 俺の名前は、只野男志──」
帝院令「ごまかすな! その悪、許すまじ! 覚悟するがいい、デュランダル!」
只野男志(だめだ。怒りで我を忘れてる!)
只野男志「“帝院くん”の根性なし!」
パシィン!
只野が令の頬を張る。
帝院令「ぶったな!?」
只野男志「そうさ、ぶったさ! 落ち着け。素数とか数えて落ち着け!」
聖翼「2人とも、やめてくれ。 僕なら2人同時でも全然OKだよ。 さぁ、おいで」
只野男志「翼くんはちょっと黙ってて! 話がややこしくなる」
帝院令「話をそらすな! 覚悟するがいい、デュランダル。 翼くんは僕のものだ!」
帝院令「我に宿りし破壊と創世の炎(ラグナロク・パワー)よ!」
只野男志(って・・・・・・やっべぇ!)
聖翼「令くん。君の気持ちとても嬉しいよ。 だからやはり、こうするべきだと思うんだ」
帝院令「翼くん・・・? あ、あぁっ、アーーッ」
只野男志(脱がした!)
聖翼「男志くん、令くん」
聖翼「いや、漆黒のデュランダルに、豪炎のレーヴァテイン」
只野男志「え? なんでその名前・・・」
聖翼「僕は、君たちのものだよ。 そして君たちは僕のものだ。 そうだろう?」
翼の背後から後光が差して、薔薇が咲く。
令は恍惚の表情でそれを見つめている。
帝院令「あぁ・・・はい。 僕は、ボクは、キミのもの・・・デス」
聖翼「さぁ、みんなでひとつになろう。 すべて僕に任せて。 他のことなんて全部忘れて」
帝院令「ハイ・・・ひとつになりマス・・・」
只野男志(・・・翼くんのあの雰囲気って、なんかやばいやつ!?)
只野男志「つ、翼くん。君は、いったい・・・」
聖翼「ふふ。いかに運命の戦士(ドゥーム・チャンピオン)でも僕の魅了(チャーム)には逆らえない」
聖翼「さぁ次は君の番だよ、デュランダル。 僕らの宿敵」
只野男志「ま、まさか翼くん・・・君、闇の勢力(ダークパワーズ)なの?」
聖翼「あぁ。 僕は七つの大罪(セブン・シンズ)が1人。色欲の奈落、ラスト」
只野男志(そういや、まだ倒してなかった!)
聖翼「さぁ、デュランダル。こっちにおいで。 闇の勢力の側でイイコトをしよう」
翼の背後から後光が差して薔薇が咲き、
只野と令を魅了する。
只野男志「うぅ・・・ッ! 翼くんと、イイコトしたい。 ひとつになりたい!」
只野男志「でもこれ、絶対魅了されちゃいけないやつ!」
只野男志「はぁはぁ・・・だ、だめだ・・・っ」
聖翼「抵抗した? でも、抵抗するだけで精一杯。 身動きがとれないようだね」
只野男志「う・・・うぅう・・・っ」
聖翼「僕のものにならないなら仕方ない。 レーヴァテイン、殺せ」
帝院令「ハイ・・・翼くん」
令が只野に剣を向ける。
只野男志「ま、待て、レーヴァテイン。 使命を、闇の勢力と戦う使命を思い出せ・・・!」
帝院令「使命なんかもうどうでもいい!」
帝院令「僕は一生、翼くんとアレとかコレとか、爛れたコトをしながら生きるのです!」
只野男志(ダメだコイツ、早くなんとか・・・って、できねぇ! 詰んだ、これ詰んだ!)
帝院令「我に宿りし破壊と創世の炎(ラグナロク・パワー)よ・・・」
聖翼「さようなら。デュランダル。 君と逢えて嬉しかったよ」
只野男志「誰か、助け・・・」
ガタガタッ
押し入れが鳴る。
只野男志「またネズミ? ・・・いや、もしかして」
只野男志「ミストルティン、やれ!」
帝院霧乃「死になさい。色欲の奈落、ラスト!」
聖翼「な、なにぃ!?」
聖翼「この僕が、女の子に貫かれるなんて」
帝院令「あれ・・・僕はいったい、何を?」
只野男志「ミストルティン、やはりお前だったのか」
帝院霧乃「ふふふ。 私、いつもデュランダル様のことを、見守っておりますの」
只野男志(うんうん。ストーカーだもんね)
只野男志「もしかして盗聴器とかあるのか。この部屋」
- このエピソードを読むには
会員登録/ログインが必要です! - 会員登録する(無料)