第1話 最悪な誕生日(脚本)
〇ホテルのレストラン
うず「わあ、オシャレなお店! けっこう高いんじゃない?」
恭介「今日は、うずの誕生日だろ? だから、ちょっと奮発したんだ」
うず(今日で、私もいよいよ三十路)
うず(同じ職場の恭介とつき合いはじめて、そろそろ一年が経つ)
恭介「誕生日おめでとう」
うず「ありがとう」
うず(年齢的にも、いいかげん結婚したい頃合いだ)
うず(重い女だと思われたくなくて、今まで恭介にプレッシャーを与えないようにしていたけれど・・・・・・)
うず(そろそろ結婚の話題を振らないと、婚期が遅れかねない・・・・・・!)
恭介「おっ、このワイン、いい味だぞ」
うず「本当ね!」
恭介「でも、飲みすぎには気をつけろよ。 うずは酒乱なんだから」
うず(イ、イメージが崩れかかっているけれど、気をとりなおして・・・・・・)
うず「ん〜、お料理も最高!」
うず「このお肉なんて、口に入れた瞬間に溶けるよ」
恭介「本当だ! うまいな」
うず(あくまでさりげなく、さりげなく・・・・・・)
うず「もし結婚したら、私も旦那さんにこんな手料理をつくりたいな〜」
恭介「ハハ、うずは能力を仕事に全振りしているから、料理も家事もからっきしだろ」
うず「ぐっ、痛いところを・・・・・・」
うず(くそう、これくらいじゃ動じないか・・・・・・。だったら!)
うず「私だって実際に結婚したら、できるようになるわよ!」
恭介「あー、いますよねー」
恭介「そういって、そのときが来たら魔法みたいにできるって信じている人」
うず「うっさい! じゃあ、花嫁になるまでに、料理教室にでも行って練習してやろうじゃないの」
うず「とびっきりの手料理をつくってやるんだから、覚悟しておきなさいよ!」
恭介「別に、うずはそのままでいいと思うよ」
うず「恭介・・・・・・」
うず「さっすが、未来の旦那様はいうことが違うわね!」
うず(あ、いっちゃった!! でも、これで──)
恭介「・・・・・・旦那? 誰が?」
うず「え? 誰って、もちろん──」
恭介「あれ? いってなかった? 俺、既婚者だよ」
うず「・・・・・・は?」
うず(待って待って、どういうこと!?)
恭介「あー、もしかして、知らなかった?」
うず「・・・・・・じゃあ、この関係は何?」
恭介「うーん・・・・・・平たくいうと、不倫ってヤツ?」
うず「はあっ!?」
恭介「確かにうずって、前の彼女みたいに『奥さんと別れて、私と結婚して!』とかいわないなとは思っていたけど」
うず(だって、あんまり結婚結婚っていうと、面倒臭い女だと思われるんじゃないかと思っていたから・・・・・・!)
うず「何で奥さんがいるのに、私と不倫したのよ!」
恭介「だって、うずが告白してきたんじゃん」
うず「それは・・・・・・。 だって、知らなかったから・・・・・・」
うず「いや、そもそもアンタ、奥さんがいるのをわざと隠していたんでしょ!」
恭介「別に? 聞かれなかったから」
うず「最低!」
恭介「あれ、帰っちゃうの? まだ食事が途中なのに。デザートだって、まだ残っているよ?」
うず「もう、アンタなんかと食事できるわけないでしょ!」
〇開けた交差点
うず(本当、最悪! あんなヤツだとは思わなかった!)
うず(これじゃ、婚期が遅れるどころか裸足で逃げだしちゃったじゃないの!!)
〇レトロ喫茶
蘭子「何それ!? ひっどい!」
うず(彼女は同じトレーニングジムに通っている、蘭子)
うず(最近この辺りに引っ越してきたばかりだけど、意気投合してすっかり仲よしだ)
うず「本当、信じられないよ・・・・・・」
蘭子「でもソイツ、同じ職場の人なんでしょう? 既婚者だって気づかなかったの?」
うず「アイツ、本社からうちの支店に転勤してきたのよ。単身赴任で」
うず「結婚指輪もしていなかったし・・・・・・」
蘭子「すっかり騙されたってわけか」
うず「もう男性不信になりそう・・・・・・」
蘭子「それなら、アタシに乗りかえる?」
蘭子「────って冗談はさておき、ソイツ許せないね。うずを騙すなんて・・・・・・」
蘭子「一回痛い目を見ないと、治らないんじゃない?」
うず「痛い目って?」
蘭子「本当の奥さんがいるんでしょ? 浮気をしていたの、全部バラしちゃうのよ」
うず「それは、さすがに・・・・・・。 奥さんからしたら、私も共犯でしょう?」
うず「いくら何でも、いいづらいわ・・・・・・」
蘭子「でも、知らなかったんでしょ? なら、しょうがないわよ」
蘭子「それに奥さんが何かの拍子に知ったら、どうするの? 心証が悪くなるだけでしょ?」
うず「確かに・・・・・・」
蘭子「先にこっちからバラせば、いいわけができるわよ」
うず「でも、奥さんの連絡先なんて知らないしなあ」
蘭子「会社で、緊急連絡先とか管理しているんじゃない? 奥さんの連絡先くらい、あるはずよ」
うず「そうか、その手があったか!」
〇黒
〇おしゃれなレストラン
うず「――というわけで、総務の子から聞きだした、アイツの奥さんの携帯番号があります」
蘭子「うんうん」
うず「この番号に電話すればすむことなんだけど────」
うず「ああああぁぁぁ勇気が出ない!」
蘭子「いや、早くかけなさいよ!」
うず「待って、心の準備が・・・・・・」
蘭子「もう、しょうがないなあ」
蘭子「ほら、かかったよ」
うず「うわあぁぁぁ、蘭子のバカぁ!」
シキミ「はい、もしもし」
うず「えっと、初めまして。村崎と申します」
うず「旦那さんのことで、どうしてもお伝えしたいことが──」
シキミ「まさか、また浮気?」
うず「は? また?」
うず(そういえばアイツ、前の彼女とか口走ってやがったな・・・・・・)
うず「えーと、そのまさかといいますか・・・・・・」
うず「その・・・・・・本っ当にごめんなさい!!」
シキミ「・・・・・・直に会ってお話しできます?」
うず「はい・・・・・・。あ、でも・・・・・・私、東京にいるんですけど・・・・・・」
〇豪華なリビングダイニング
シキミ「かまいませんよ。 そちらに、おうかがいしますわ」
うず「でも、ご足労をおかけするわけには──」
シキミ「あの人も、そちらにいるのでしょう?」
シキミ「浮気の証拠を突きつけてやれば、少しは反省するかもしれない」
シキミ「離婚して、慰謝料をたっぷり請求してやってもいいわね・・・・・・」
シキミ「貴女、私の復讐に協力してくれる?」
うず「はい、できることはさせてもらいます!」
シキミ「女を甘く見るとどうなるか、あの人に思いしらせてやらなくては・・・・・・」
〇おしゃれなレストラン
蘭子「――で、何だって?」
うず「奥さん――シキミさんっていうんだけど、京都からわざわざ会いにきてくれるって」
蘭子「ああ、その旦那、単身赴任なんだっけ?」
うず「うん、うちの会社は本社が京都にあるからね」
うず「学校のこともあるし、奥さんとお子さんはそっちに残ったみたい」
蘭子「そしたら、赴任先で旦那が好き勝手やらかしていたと・・・・・・」
うず「それでね、今週の金曜日にアイツの部屋で、奥さんと待ちあわせすることになった」
蘭子「え、当事者の部屋で?」
うず「平日だから仕事があるし、多分出くわすことはないよ」
うず「ちょうど、合鍵も返さなきゃと思っていたし」
蘭子「大丈夫? アタシも行こうか?」
うず「平気よ。奥さん、優しそうな人だったし、こっちのいい分も聞いてくれそうだったから」
うず「ただ、旦那への復讐に協力してほしい、といっていたけど・・・・・・」
蘭子「それって、大丈夫なの? 変なことに巻きこまれない?」
うず「こっちだって似たような目的で電話したんだから、利害は一致しているわ」
蘭子「危ないことにならないといいけど。 何かイヤな予感がするなあ・・・・・・」
〇マンション前の大通り
金曜日
恭介「うずの奴、会社で俺のことを無視しまくりやがって・・・・・・」
〇オフィスのフロア
恭介「何かあったかと、同僚から勘ぐられたじゃないか・・・・・・」
〇マンションのエントランス
恭介「別れるには惜しい女だったし、週末はうずのご機嫌とりをしたいところだが・・・・・・」
恭介「今日はシキミが来るといっていたからな。 そうもいっていられないか・・・・・・」
恭介「何だ、アイツ。 ぶつかったのに謝りもしないで・・・・・・」
〇マンションのオートロック
〇エレベーターの中
〇玄関の外
恭介「あれ、玄関の鍵が開いている? 不用心だな・・・・・・」
〇シックな玄関
恭介「ただいま〜。 シキミ、鍵はちゃんと閉めておけよ」
〇部屋の前
恭介「あれ、いないのか? もう着いているだろうに・・・・・・」
恭介「寝ているのか? シキミ〜?」
〇血まみれの部屋
恭介「うわ、何だこれ! どうして部屋が血だらけなんだ!?」
うず「恭介・・・・・・」
恭介「うず!? お前、何でこんなところに・・・・・・」
うず「恭介・・・・・・どうしよう・・・・・・。 シキミさんが・・・・・・」
恭介「シキミ? どうしたんだ?」
恭介「・・・・・・おい、返事をしろよ、シキミ!」
恭介「これ・・・・・・死んでいる・・・・・・?」
恭介「まさか・・・・・・お前か? お前が殺したのか・・・・・・?」
恭介「うず!?」
恭介サイテーなクズ野郎だな、女の力でコテンパンにやっちまえ!と思っていたところでこのラストですか!
シキミさんが…!? え?何で?
ラストの怒涛の展開に目が離せませんでした!続きも楽しませていただきます!
え!?というところで終わっちゃいました
まさかの展開でビックリですー
続きがかなり気になりますー!
シ、シキミさんが!😳
なんで殺されちゃたのかな?
ぶつかった男の人が怪しい…
謎が多くて気になりますー✨