彼が姫プで私が騎士で

雛田

姫川湊のパソコン大作戦~前編~(脚本)

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〇本棚のある部屋
岸田 彩音「いやぁ~今日もいいゲーム日和だぁ」
  私、岸田彩音25歳!
  隠れゲーマーな普通のOLだ!
  今日は土曜日!
  朝からMMORPGドラゴンファンタジアを遊ぶぞ!
  今日はほぼ相方みたいな存在のネカマ、マリンたそとダンジョン周回の予定!
  ルンルン気分でパソコンのスリープモードを解除──
岸田 彩音「・・・・・・・・・」
岸田 彩音「・・・・・・・・・パソコンの中から燃える音がしたでござる」
  徐にパソコンのサイドパネルを外して、中を確認する。うーん、これはやばいスメル。すなわち、焦げ臭い匂いがした。
岸田 彩音「ワイのRTX2070Superが焦げてるでござる」
  とりあえずこれ以上の炎上を避けるため、背面の電源ボタンを切、コンセントを引き抜いた。
岸田 彩音「さて、とりあえず連絡するか」
  スマホを取り出し、同僚のエリート営業マン(末期のネトゲ廃人)に電話をかける。
岸田 彩音「もっしーもしもし、姫川ー?」
  うわ、こいつ2コールででやがった。
  コールセンターか何かかな?
岸田 彩音「おはよー、うんうん、そうだね! 超いい天気!」
  それにしても相変わらず姫川は早起きだなあ、11時だぞ?おじいちゃんか?
岸田 彩音「そんな姫川さんに大変なお知らせがあります。パソコンが壊れました。そう、グラボがドカーンと」
  グラボって何やねん、って人向けの説明を挟むとパソコンパーツの中でも映像処理に使われるパーツで、ゲームにほぼ必須である。
岸田 彩音「え? 今から? いやまあ、たしかにないと困るけど・・・」
岸田 彩音「はい・・・行きます。A駅でいいんですかね・・・」
  拝啓、お母さん。
  なんかよくわからないけど、エリート営業マンと一緒にパソコンを買いに行くことになってしまいました。

〇電器街
岸田 彩音「ふぅ、東口で集合だったな。 どれどれ、姫川は営業部だから10分前には来ているだろう」
  ちなみに集合時間から5分遅れだ。SMSで遅れる連絡は入れてあるので許されると思う。
  お、いたいた。
岸田 彩音「なんで休みの日もスーツなんですかねぇ」
姫川 湊「いや、最初はスーツの予定じゃなかったんだけど、家の前で偶然会った酒田さんにスーツにしろって怒られたんだよ」
  どんだけダセェ服着てたんだよお前。
岸田 彩音「マジで私パソコンについてはニワカだからさ、いっちょ半端ねえパソコン見繕ってくれよな!」
姫川 湊「はっはっは、それで何で壊れたか心当たりは?」
岸田 彩音「え・・・・・・」
  ちなみに私はパソコンがよくわからない。RTX2070SUPERというグラボがそこそこ強いくらいの知識しかないのだ。
  これくらいあればどのゲームもしばらく遊べるよ、という酒田さんの言葉を鵜呑みにして通販でポチったPCである。
  中の掃除方法はスマホでググった。
  だからなぜ炎上したかは全くわからない。
岸田 彩音「何もしてないけど壊れた!」
姫川 湊「・・・・・・・・・」
姫川 湊「何かしてるから壊れたんだよなぁ────」

〇エレベーターの前
岸田 彩音「姫川、ひとつ聞きたいことがある」
姫川 湊「なんだ?」
岸田 彩音「・・・・・・なんで家電量販店?」
姫川 湊「パソコン買いに来たからだろ?」
  ────だめだ、こいつ。
岸田 彩音「パソコンを買うのに家電量販に行ってはいけないって新約聖書にも書いてあるだろうが!低スペぼったくりPCの温床だろ!?」
姫川 湊「・・・なんでそういうところだけ敏感なんだよ・・・」
姫川 湊「確かに専門店と比べると金額に対してスペックの低さが目立つけどな?」
姫川 湊「保障やアフターサポート、トラブル対処に関しては情報量の観点から有名メーカーが発売しているPCに軍配が上がることも・・・」
岸田 彩音「うるせえ!アフターサポートなど知らん! コスパ重視だ!安くていいのをよこせ!!」
姫川 湊「うわめんどくせえ」
岸田 彩音「女の子はめんどくさいものよ?」
姫川 湊「はいはい、じゃあ一度ケーキでも食べて落ち着こうか岸田さん」
岸田 彩音「笑止!甘いもので黙らせるなど──」
姫川 湊「あーあ、せっかくさっき奇跡的に予約できたんだけどな・・・・・・」
姫川 湊「────ドラファンコラボカフェ」
岸田 彩音「・・・・・・・・・・・・えっ」
  そうだ、この電気屋のレストラン街にはドラゴンファンタジアのコラボカフェがある・・・!
  普通にフードが美味いと話題で、平日の昼間はプレイヤーではない一般のオジサンすらも食べにくると噂の・・・!
  こいつ・・・デキる・・・
  さすがエリート営業マン・・・
  真面目に行きたいと思ってたんだが、ぼっち参戦は流石にレベルが足りなかった。
岸田 彩音「え、めっちゃ行きたい」
姫川 湊「だろ?」
岸田 彩音「実はお昼ごはんも食べてなかったんだよねぇ、うぇへへ・・・」
姫川 湊「ちょうどいいな、昼食がてらどんなPCを買うか相談しようか」
岸田 彩音「わぁい、姫川のおごりだぁ~~」
姫川 湊「奢らないが?」
岸田 彩音「男気見せろよ、私はここからウン十万の出費が待ってんだぞ」
姫川 湊「はいはい、わかりましたよ この貸しはいつか返してもらうからな」
岸田 彩音「お酒いっぱい飲ませてあげるね」
姫川 湊「・・・なんかこの前、飲みに行ってからだいぶ距離が近くないか岸田さん」
岸田 彩音「え、もっと塩対応のが嬉しい?」
姫川 湊「いや、別に?」
  この人、自分が何を口走ったか全く覚えていないらしい。
岸田 彩音「塩対応だとションボリしちゃうって素直に言っても別にかまわんのですよ?」
姫川 湊「ははは、ダンジョンでヒール切ってやろうか?」
岸田 彩音「きゃぁ~MPKやめてください~こわいです~ ※モンスタープレイヤーキル:いわゆる利敵行為をして味方を殺すこと」
姫川 湊「よし、自分の分は自分で払えよ」
岸田 彩音「アッすいません、姫川神」

〇テーブル席
岸田 彩音「おぉ~、これが「マリオン王国騎士団の特製シチュー」かぁ~」
岸田 彩音「写真撮っておこ、きっと二度と来れないからな・・・」
岸田 彩音「えへへ~ さすが美味いと評判のコラボカフェだねぇ、ハンバーグも気になってきたけど流石に食べられないし・・・」
姫川 湊「次来たときに頼めばいいだろ」
岸田 彩音「え、一緒に行く人がいないんですけど?」
姫川 湊「いや、またこうやって来たときに・・・」
岸田 彩音「────姫川、そのドリンクにアルコール入ってない?」
  あれれ、おかしいな。この姫川、少し素直だったからアルコール入っているものかと。
姫川 湊「昼間から酒飲むほど終わってはいないぞ」
岸田 彩音「やめてください、昼間から酒を飲むのが楽しみの人だっているんですよ。ホラ、ここに」
姫川 湊「休日の過ごし方をどうこう言うつもりはないけどさ」
  人にMMOをプレイすることを強制しておきながら何言ってんだ
岸田 彩音「それで。 どんなパソコンを探しに行くのですか」
姫川 湊「よくぞ聞いてくれた!」
岸田 彩音「急に元気になるなぁ・・・」
姫川 湊「箱が白くてファンがビカビカに光る・・・・・・」
岸田 彩音「寝る時にLEDが視覚的に煩いので却下」
姫川 湊「っ・・・・・・!」
岸田 彩音「ほらほら、姫川。いい店見繕って?」
姫川 湊「・・・・・・じゃあ専門店で」
岸田 彩音「最初からそこ連れていけよ」
姫川 湊「はいはい・・・」
岸田 彩音「それと姫川」
  姫川は人気者だ。
  だけども、本人はそれに気づいていない鈍感な奴。
  鈍感すぎる姫川に意地悪な私は、「現実」を教えてあげるのだ。
岸田 彩音「多分、傍から見ると────我々、デートなのでは?」
姫川 湊「え・・・は・・・?」
岸田 彩音「そうだよ、姫川」
姫川 湊「いや、断じてデートではない」
  しっかりコラボカフェの予約まで取っておいて何言ってんだと思う。
  でもまあ姫川には好きな相手がいるもんな。白百合アリスっていう相手が。初デートは白百合アリスとしたいだろうな。
岸田 彩音「うん。デートじゃない、そこの線引だけちゃんとしておいてほしいんだよ、私は」
  万が一、会社の人とすれ違ったりしても嫌だもの。姫川さんと何してたんですかー!?とか問い詰められたくない。面倒だ。
姫川 湊「だけども、岸田」
岸田 彩音「うん」
姫川 湊「俺はまた岸田みたいな同じゲームをプレイする知人とコラボカフェに来たいよ」
岸田 彩音「・・・・・・・・・・・・同じゲームをする知人・・・・・・あっ!」
  そうだよ、私には姫川以外にもドラゴンファンタジアをプレイするリアル知人がいたじゃないか!
岸田 彩音「酒田さんとコラボカフェに行くという手があったか・・・!」
姫川 湊「──────おい、それは俺も混ぜろよ」

次のエピソード:姫川湊のパソコン大作戦〜後編〜

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