エピソード10(脚本)
〇病室
ベッドで眠る山本のそばで談笑する一同。
小走駿太郎「こいつが道端で泣きわめいてどうしようもなかったんだぜ」
小走駿太郎「みんな大人のくせに自分勝手すぎるよぉ!」
小走駿太郎「ってな」
武井早希「うるさいわね。 私だってたまには泣くこともあるわよ」
吉永麻衣「早希は昔からよく泣く子だったわよ」
武井早希「お母さんは黙ってて」
武井早希「それに、私、あなたを許したわけじゃないんだから」
只野太「まあまあ、でも、良かったじゃないですか」
只野太「みんなこうやって再会できたんだし」
小走駿太郎「でも、肝心の爺ちゃんがこれじゃなぁ」
小走駿太郎「おばちゃん。本当に何も知らないの?」
吉永麻衣「ええ。残念ながら」
吉永麻衣「あの一言を聞かされるまで、母には、父は私が産まれる前に死んだと聞かされていたの」
只野太「ずっと、佳代さん一人で麻依さんを育てられたんですか?」
吉永麻衣「ええ。 母は水商売こそしていたものの、男には見向きもしなかったわ」
武井早希「お母さんとは正反対ね」
只野太「ちょっと武井さん」
吉永麻衣「そうね」
吉永麻衣「そして、決して不自由な生活ではなかったわ」
只野太「でも、なんで一億円も入った麻依さんの通帳を山本さんが持ってたんですかね」
「一億?」
小走駿太郎「あ、馬鹿! 太! それ言うんじゃねえよ!」
山本清吉「・・・一億」
小走駿太郎「わ! 蘇った!」
只野太「山本さん、もしかして、ずっと起きてたんですか?」
山本清吉「途中からな」
山本清吉「お前たちが楽しそうに話してたから起きる間を失ったよ」
吉永麻衣「おとう・・・さん?」
山本清吉「・・・・・・」
伊吹勤「目を覚ましましたか」
伊吹勤「では皆さん、外に出てください」
小走駿太郎「えー今いいとこなんだよ。 もうちょっとだけいいでしょ?」
伊吹勤「山本さんの体力も限界です。 面会はまた明日以降にしてください」
小走駿太郎「はー? ケチくせーこと言ってんなよ」
〇病院の入口
小走駿太郎「ったく信じらんねーよ、あの藪医者。 追い出しやがって」
只野太「しょうがないよ」
只野太「戸籍上は、みんな家族でもなんでもないんだから」
吉永麻衣「そうね」
武井早希「・・・・・・」
小走駿太郎「そうだ!」
「?」
小走駿太郎「早希。お前、母ちゃんと家で待ってろ」
〇大きい病院の廊下
小走駿太郎「今だ!」
〇病室
小走駿太郎「おーい爺ちゃん」
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