私の守護霊

セーイチ

地元の歴史(脚本)

私の守護霊

セーイチ

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〇屋敷の寝室
  護人よ・・・
護人「はっ」
  大戦とやらもおさまったようだ
  ワシは暫しの眠りにつく
  不測の事態が有れば呼ぶが良い
  だが、それ以外でワシの眠りを妨げれば・・・
護人「承知して御座います」
  うむ、後は任せる

〇女の子の一人部屋
愛絆美「う~ん・・・」
愛絆美「・・・」
愛絆美「護人~」
護人「どうした?愛絆美」
  護人は私の守護霊
  一時期、色々あってケンカしてた時期もあったんだけど
  今は仲直りしてる
  ただ、やっぱりお風呂やトイレまでついてくるのは止めてって事で
  私が家に居る時は、私から離れて家に憑いて貰う事にした
  あまり違いはないかも知れないけれど
  コレは気持ちの問題だ
  護人の事は信頼しているけれど
  ・・・やっぱり、恥ずかしいし
護人「?」
愛絆美「あ!?」
愛絆美「え、えっとね、護人って守護霊になってから長いんでしょ?」
護人「そうだな」
愛絆美「どの位?」
護人「・・・ん~」
護人「覚えてないなぁ・・・」
護人「10代前までのお爺ちゃんお婆ちゃんの事なら覚えてるぞ」
愛絆美「そ、そう・・・」
愛絆美「じゃあさ、戦国時代の事はわかる?」
護人「戦国時代?」
愛絆美「そうそう」
護人「う~ん・・・」
護人「その頃の亜希子の家は農民だったから」
護人「あまり戦国時代と言われてもピンとこないなぁ」
護人「偶に村を襲いに来た落ち武者を叩き帰した位かな?」
愛絆美「そっか~」
愛絆美「じゃあ時代背景とか・・・」
護人「すまん・・・」
愛絆美「ううん、良いの良いの」
愛絆美「地元の歴史を調べてたから」
愛絆美「護人なら当時の事、何か知ってるかなって」
護人「う~ん・・・」
護人「基本、守護霊は宿主以外の事をあまり覚えていないからなぁ」
愛絆美「そうなんだ?」
護人「宿主を護る事が俺達の存在意義だからな」
愛絆美「そっか」
護人「それこそ当時の武家に憑いていた守護霊なら、何か知ってるかも知れないが・・・」
愛絆美「宿主が歴史の中心人物なら覚えてるって事だね」
護人「そうだな」
護人「後は・・・」
愛絆美「後は?」
護人「いや、それ位だな」
愛絆美「じゃあ、守護霊から教わるのは難しそうだね」
愛絆美「しょうがない・・・」
愛絆美「もう少しネットと睨めっこしようかな」
護人「あまり遅くまで起きてちゃダメだぞ」
愛絆美「大丈夫大丈夫」
愛絆美「護人まで、お母さんみたいな事言わないでよ」
護人「すまん・・・」
愛絆美「もう、謝らないで」
愛絆美「心配してくれてるのはわかってるから」
愛絆美「そこそこで終わらせるよ」
護人「ああ」

〇華やかな寮
舞「おっはよ~」
護人「おはようございます」
白虎「にゃあ」
愛絆美「おはよう・・・」
舞「アレ?」
舞「愛絆美、何だか眠そーだね」
愛絆美「う、うん・・・ちょっと寝不足で・・・」
舞「・・・」
舞「はっは~ん」
舞「また愛絆美の病気か~」
愛絆美「病気って何?」
舞「愛絆美は昔からハマったらトコトンだからね~」
舞「どうせネットで地元の事を調べまくってたんでしょ?」
愛絆美「!?」
舞「っで、目的が逸れて地元以外の歴史も調べまくった」
愛絆美「!!!?」
舞「にゃははっ図星っしょ?」
愛絆美「な、何で・・・」
舞「そりゃ~幼馴染だからさ」
舞「護人君も気を付けなよ~」
舞「この子、何かにハマると周りが見えなくなるから」
舞「ま、愛絆美の事は護人君の方が詳しいか」
護人「はは・・・」
愛絆美「もう・・・」
舞「おっと!」
舞「その元凶が来たよ~」
麗華「皆様、おはようございます」
舞「おっはよー」
愛絆美「おはよう」
麗華「っで、誰が何の元凶ですの?」
舞「愛絆美を歴女にした元凶♪」
愛絆美「ま、舞~・・・」
麗華「・・・失敬な」
麗華「私は今度の学内プレゼンコンテストの題材として」
麗華「地元の歴史を題材にしてはどうかと提案しただけですわ」
舞「っで、学生に人気の有る戦国時代をメインにしようって言ったんだよね」
麗華「ええ、どうせなら皆様に興味を持って頂ける方が良いでしょう」

〇城
麗華「有名武将がひしめく戦国乱世の時代」
麗華「その時、地元がどうあったのか・・・」

〇華やかな寮
麗華「愛絆美さんが興味を持って下さったのなら、私の提案も間違いでは無いと思いますが?」
愛絆美「うん、調べてたら色々と楽しくなってきちゃった」
愛絆美「でも、ネットで調べた範囲じゃ地元に全国的に有名な武将とかは居ないみたい」
愛絆美「大きな事件も見当たらなかった」
舞「護人君には聞いてみた?」
愛絆美「うん・・・」
愛絆美「でも守護霊は宿主の事以外、あんまり覚えてないんだって」
舞「そーなんだ?」
愛絆美「当時から武家の家系に憑いてる守護霊なら、歴史的な事も知ってるかもって」
舞「武家ねぇ~」
舞「麗華も名家のお嬢様だけど、出身はコッチじゃないよね?」
麗華「ええ、残念ですが」
麗華「スペクターもアメリカ出身ですし」
舞「ウチもコッチに住みだしたのは親の代からだし」
舞「びゃっくんも元々は京都の子だからなぁ~」
白虎「にゃあ~」
舞「そもそも喋れないし」
麗華「そう言えば・・・」
麗華「護人さんに守護霊のご友人などはいらっしゃらないのですか?」
舞「武家に繋がる古い知人とか?」
  確かに護人ほど永い間守護霊をしていれば、そう言った知り合いも居るかも知れない
  でも・・・
愛絆美「聞いた事ないなぁ」
舞「そっかぁ~残念」
舞「で、その護人君は?」
麗華「・・・」
  麗華が無言で私の後ろを指さした

〇華やかな寮
スペクター「さささ!旦那!50年物のブランデーです!お神酒にして下せえ!」
護人「い、いや、それは家族がちゃんと用意してくれてるから・・・」
スペクター「ではコチラの線香を!コチラの国では霊にとってエナジードリンクの様なモノだと聞きやした!」
護人「それも、家族が・・・」
白虎「にゃぁあ?」
  何だか私達の守護霊が集まって騒いでいる
麗華「アレ以来、スペクターは護人さんに心酔してしまったようで・・・」
  麗華の守護霊スペクターは、一度暴走した事が有る
  その暴走を止めたのが護人だ
  その強さに惚れ込んだらしい

〇華やかな寮
  スペクターの暴走は、麗華との契約自体に問題があると結論が出た
  その為、契約を改善した事で、スペクターは麗華の守護霊を続ける事になった
  事件後、麗華はスペクターとの契約を破棄しようとしてたんだけど
  護人の
護人「アイツは、もう大丈夫だと思う」
  その言葉で契約の継続を決めたらしい

〇華やかな寮
  護人に恩を感じている部分も有るのだろうけど、麗華も護人に一目置いているようだ
  因みに、あの後は麗華に謝られまくられて大変だった
  私は護人のお陰で怪我も無かったし、大丈夫だって言ったんだけど
  真面目過ぎるんだよね
舞「そう言えば、また守護霊の暴走があったってニュースでやってたね」
麗華「ええ、それも契約の不備が原因らしいですが・・・」
愛絆美「何だか契約のシステム自体に問題があるかもって言ってたね」
麗華「不安ですね、スペクターはもう大丈夫でしょうけれど・・・」
舞「ヤバッ!びゃっくん!」
白虎「にゃぁ!」
愛絆美「護人!行くよ!」
護人「あ、ああ」
麗華「スペクターも、早くいらっしゃい!」
スペクター「へい!お嬢様!」
  守護霊達が各々の宿主の下へ飛び、私達は校舎に向かって駆け出した

〇教室
蒼「今朝は3人揃ってギリギリだったね」
麗華「本当に、私とした事が・・・」
愛絆美「間に合って良かったね」
舞「にゃはは~スリルがあって楽しかった~」
麗華「笑い事ではございません!」
愛絆美「まあまあ」
蒼「それで、何を話し込んでたの?」
舞「プレコンの話~」
蒼「ああ、地元の歴史だっけ?」
舞「そ、アタシ達の地元は凄いんだぞ!ってプレゼンしたいんだけど~」
麗華「前途多難ですわ・・・」
愛絆美「蒼君の班は何をテーマにするの?」
蒼「「歴代政策と社会保障問題の相関関係及び問題点とその改善案」にしようと思ってる」
愛絆美「はぁ・・・」
麗華「まぁ面白そうなテーマですわね」
蒼「でしょ?」
舞「ねぇねぇ、昨日のテレビでイケメン守護霊の特集が有ったんだけどさ~」
蒼「わかってるよ、興味の無い人も居るって事は」
蒼「でも、そう言う人に興味を持って貰う様にするのがプレゼンだからね」
舞「お、自信ありげだねぇ~」
蒼「自信はないけど、やるなら全力でやらないとね」
愛絆美「・・・」
  そうだ、やるなら全力だ
  PCに齧りついてるだけじゃダメだ
麗華「ネットだけだと限界がありますし、帰りに図書館でも寄ってみませんこと?」
舞「お、良いね~」
愛絆美「ごめん、私は帰って家族から話を聞いてみる」
愛絆美「ウチは農民だったらしいから、大した話は聞けないかもだけど」
愛絆美「少なくても戦国時代まで辿る事は出来そうだし」
愛絆美「そこから何かわかるかも」
麗華「そうですわね」
麗華「あまり時間もございませんし、手分け出来る事はしていきましょう」
愛絆美「うん、ありがとう」
舞「おっけ~」
蒼「皆のプレゼン、楽しみにしてるよ」

〇シックなリビング
亜希子「ふ~ん、地元の歴史ねぇ・・・」
愛絆美「お父さんは他県からの移住者だけど、お母さんの実家はずっと県内なんでしょ?」
亜希子「そうね、ココと違って田舎の山の中だけど」
愛絆美「護人に聞いても、お母さんの家は農民だったから歴史的な背景は知らないって」
亜希子「まぁ、そうでしょうね」
亜希子「農民が知るのは年貢が上がったとか、今年は不作だとか、治安が悪くなったとか」
亜希子「身の回りの変化くらいでしょう」
亜希子「戦だって噂で聞くレベルだと思うわ」
愛絆美「それじゃ、当時の武将とかは・・・」
亜希子「領主の名前くらいは知ってたでしょうけど・・・」
愛絆美「そっかぁ・・・」
  やはり、そう簡単な話ではないらしい
亜希子「そうだ、お婆ちゃんに話でも聞いてみたら?」
愛絆美「お婆ちゃんに?」
亜希子「最近は色々あって帰れてなかったし、かと言って電話じゃ味気ないし」
亜希子「土日は連休でしょ?」
亜希子「話を聞くついでに、顔を出してくると良いわ」
亜希子「お父さんとお母さんは仕事で行けないけど、お婆ちゃんも喜ぶと思う」
愛絆美「うん、わかった」
愛絆美「明日から、お婆ちゃんの家に行ってくる」
亜希子「私から連絡しておくから、寝る前に準備しちゃいなさい」
愛絆美「は~い」

〇ホームの端
舞「いや~!晴れてよかったね~!」
愛絆美「そうだね」

〇女の子の一人部屋
  昨晩、舞と麗華にお母さんの実家に行く事を伝えると
  舞が
舞「アタシも行きたい!」
  と言い出したので、同行する事になった
  麗華も行きたがったのだけれど
  どうしても外せない用事があるらしく、泣く泣く断念
麗華「成果を期待していますわ!」
  と、発破を掛けられた

〇ホームの端
護人「・・・」
舞「おや?」
舞「護人君も久々の帰郷で嬉しそうだね~」
護人「え?」
護人「いや、ははは・・・お恥ずかしい」
舞「恥ずかしがることないよ~」
舞「懐かしがれる場所が有るって良い事じゃん」
護人「・・・そうですね」
  確かに護人はどこか嬉しそうだ
  護人が嬉しそうだと、何だか私も嬉しい
愛絆美「っと、そろそろ向かわないと」
愛絆美「バス停から少し歩くけど、舞は大丈夫?」
舞「へーきへーき」
舞「これでも去年のマラソン大会で3位だったんだから!」
舞「ちょっとやそっと歩いたくらいじゃ、疲れたりしないよ!!」
愛絆美「それじゃ、行こっか」
舞「お~!」
白虎「にゃぁ~!」

〇山道
  ~30分後~
舞「ぜぇ~はぁ~ぜぇ~はぁ~・・・」
愛絆美「舞、大丈夫?」
舞「な、なめてた・・・」
舞「田舎道を、なめてた・・・」
  舞の言う通り、ただ歩くだけなら平気だったと思う
  しかし、実家までの道のりは基本的に山道
  殆どが上り坂なのだ
愛絆美「少し休もうか?」
舞「へ、へ~きへ~き・・・愛絆美のお婆ちゃんが待ってるんだし・・・」
白虎「にゃぁ~・・・」
護人「・・・」
愛絆美「アレ?」
愛絆美「何だか、風が出てきたような・・・」
  気のせいじゃない
  今まで全くの無風だったのに、涼し気な風が背後から吹き抜けていく
  涼しいだけじゃない、風はまるで私達を助ける様に背中を押してくれていた
愛絆美「ひょっとして、護人?」
舞「え?コレ護人君がやってんの?」
護人「この程度の事しか出来ず、申し訳ないです」
護人「緊急時以外、守護霊が宿主以外の人に直接触れることは好ましくないので・・・」
舞「いやいや!これ凄く楽だよ~!」
  ヘロヘロだった舞が、スイスイと坂道を登って行く
舞「ありがと!護人君!」
護人「いえいえ」
護人「愛絆美は大丈夫か?疲れてないか?」
愛絆美「ありがとう、大丈夫」
護人「そうか」
護人「・・・」
  こうして、私達はお母さんの実家へと向かった
  しかし、地元の歴史を調べに来たはずが、私達は思いもよらぬ出会いを果たす事になるのだった

次のエピソード:村の土地神

コメント

  • ドラマティックな前話を受けつつの新展開ですね。キャラクターにメリハリがきいているので、会話のやりとりがとても楽しく入ってきます、びゃっくん含めてw 今話でのスペクターさんの舎弟化には笑ってしまいました。

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