フンイキとフインキ

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フンイキとフインキ(脚本)

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〇明るいリビング
パパ「お!なんだ涼太!勉強してるのか!」
涼太「うん!色んな言葉を勉強してるの!」
パパ「そうか!そうか!偉いぞ!涼太!」
パパ「勉強はどんだけやっても損はないからな!どんどん勉強しなさい!」
涼太「でもね?」
パパ「なんだ?どうした?」
涼太「ちょっとわからない事があるんだ!」
パパ「そうかそうか!ならパパに言ってみなさい!」
パパ「パパが教えてあげるよ!」
涼太「パパ分かる?」
パパ「ああ!なんてったってパパは大人だからな!」
パパ「何でも教えてあげよう!がははは!」
涼太「分かった!」

〇明るいリビング
涼太「この漢字なんだけど・・・」
パパ「どれどれ・・・」
涼太「雰囲気←これって何て読むの?」
パパ「ああ!これね!この漢字はね」
パパ「『フンイキ』だよ!『フンイキ』」
涼太「フン・・・イキ?」
涼太「うー・・・ん、おかしいなぁ・・・」
パパ「ん?何がおかしいんだ?」
涼太「こっちの本にはね『フインキ』だって書いてあるんだ!」
涼太「パパが言った『フンイキ』と、この本に書いてある『フインキ』」
涼太「どっちが正解なの?」
パパ「ああ!これはね!どっちでも正解なんだよ!」
涼太「え?そうなの?」
パパ「まぁ、本来の読み方は『フンイキ』なんだけど」
パパ「『フインキ』でも、正解っちゃあ、正解なんだよ」
パパ「だから『ふたつの読み方』があるって覚えておくといいよ!」
涼太「ふたつの読み方?」
涼太「何でふたつの読み方があるの?」
パパ「え?」
涼太「パパ分かる?」
パパ「あ、いや、何で、だろう・・・なぁ」
涼太「やっぱパパでも分からない?」
パパ「・・・・・・」
パパ「あっ!思い出した!思い出した!」
パパ「パパ知ってるよ!何でふたつの読み方があるのか!」
涼太「え?ほんと?」
涼太「教えて!教えて!」
パパ「これは昔々の話・・・」
涼太「うん♫♫うん♫♫」

〇西洋の城
パパ「昔はこの地球にはな!ひとつの国しかなかったんだ!」
涼太「え?そうなの?知らなかった!」
パパ「ああ!驚いただろ?」
涼太「うん!びっくりした!」
涼太「ひとつの国しか無かったって事は」
涼太「エルサルバドルも東ティモールも無かったって事だもんね!ビックリだよ!」
パパ「うん。随分とマニアックな国を例題に挙げたね!」
パパ「まぁ、そういう事だ!」
パパ「まぁ、でも、ひとつの国しか無いからと言って」
パパ「みんなが家族の様に仲良しか?というと、実はそうでも無かったんだ!」
涼太「まぁ、それは日本でも同じだよね」
涼太「格差とか差別とかで迫害されてる人も居るし」
パパ「涼太・・・本当に小学生?」
パパ「転生したおっさん入ってない?」

〇西洋の城
パパ「しかし、この国の国王を決める選挙をやる時に、ある問題が発生したんだ」
涼太「問題?」
パパ「国民の事を家族の様に愛して、みんなから頼りにされていた『フイ王子』」
フイ王子「国民は国の宝です!私は国民を!国を愛している!」
パパ「国民を誰よりも嫌い、国を自分の私利私欲の為に利用しようとしていた『フン王子』」
フン王子「国民は一人残らず俺のしもべだ!奴隷だ!」
パパ「二人の王子が王様選挙に立候補した事で」
パパ「この国では骨肉の争いが起きてしまった」
涼太「こつにく?」
パパ「まぁ、すごーい喧嘩って事だ!」
涼太「わぁ!大変!」
パパ「あぁ、大変だな・・・」
パパ「そしてこの喧嘩が原因で、この国は二分する事になってしまっまんだよ」
涼太「にぶん?」
パパ「ひとつの国がふたつの国に別れたって事だ」
涼太「パパとママが離婚したみたいな感じ?」
パパ「・・・・・・」
パパ「ま、まぁ、分かりやすく言えば、そんな感じだな・・・」
涼太「それ・・・悲しいね」
パパ「ああ、悲しかったよ・・・」
パパ「何で多恵子は・・・」
パパ「いやいや!イカン!イカン!」
パパ「話を元に戻そう・・・」

〇西洋の城
パパ「ひとつの国は、国民みんなが家族の様に寄り添って暮らす、フイ国王率いる『フイ国』」
フイ国王「寄り添い合って、より良い国を作っていきましょう!私を含めた全員で!」
涼太「ふいこく・・・」
パパ「もうひとつの国は、国民全員が恐怖政治によって怯えながら暮らす、フン国王率いる『フン国』」
フン国王「国民全員!俺の為にその身を捧げろ!貴様らは一人残らず俺の奴隷なのだから!」
涼太「ふんこく・・・」
パパ「ひとつの国が、喧嘩のせいでふたつの国に別れてしまった・・・」
涼太「か、悲しいよぉ・・・」
パパ「ああ、悲しいな・・・」
パパ「そんなフイ国王とフン国王は・・・」
涼太「ど、どうなったの?」
パパ「・・・・・・」
涼太「ねぇパパ!どうなったの?教えてよ!」
パパ「フイ国王とフン国王の喧嘩は・・・」
パパ「最終的に、フイ国とフン国の戦争に発展したんだ」
涼太「せ、戦争・・・」
パパ「その戦争によって、フイ国王とフン国王は、命を落としてしまった・・・」
涼太「そ、そんなぁ・・・」
涼太「そんなのってないよ・・・」
涼太「もともとはひとつの国に住んでる人同士だったのに・・・」
パパ「ああ、そうだよな・・・」
パパ「元々は、想いは違えど、ひとつの国の国民だった・・・」
パパ「しかし、それぞれ想いは、交差する事なく行き違い、ふたつに別れたんだ・・・」
涼太「ひとつのものが・・・ふたつ」
パパ「ああ!そうだ!」
パパ「そんな二人の国王の死を悲しんだ国民達は、二人の弔いのために・・・」
パパ「フイ国王の文字から取って『フインキ』」
パパ「フン国王の文字から取って『フンイキ』」
パパ「ひとつの漢字でも、ふたつの読み方ぎある漢字を創りだしたんだ・・・」

〇明るいリビング
涼太「か、悲しいよ・・・パパ」
パパ「このふたつの国が起こしたの戦争は『世界オセロ大戦』と呼ばれている・・・」
パパ「しかしこの事実は、歴史から抹消された」
パパ「調べることすら許されていない機密事項だ」
パパ「だから、涼太!」
パパ「絶対に誰にも喋っちゃ駄目だぞ?いいな?」
涼太「うん!誰にも喋らないよ!」
涼太「フイ国王とフン国王の弔いの為にも!」
パパ「よし!いい子だぞ!涼太!」
涼太「でも・・・パパ?」
パパ「ん?なんだ?」
涼太「なんでパパは、歴史から抹消された、調べちゃいけない話を知ってるの?」
パパ「・・・・・・」
涼太「・・・・・・」
パパ「これは昔々の話・・・」

コメント

  • パパにわざとホラ話をさせてバカのふりをする涼太くん。彼なりの親子のコミュニケーション手段だと思うと健気で微笑ましい。多恵子は今頃どこに…。フン王子とフイ王子にはもう一人兄弟がいてフニ国もあったことを知っているのは私だけみたい。どうして知っているかというと…。

  • あるあるなエピソードからここまでストーリー展開するのは凄いです!以前PCの前で、「ふいんき」で「雰囲気」に変換できないーと憤慨していた人を目にしたことがありますw
    それにしても涼太くんの発言内容が凄まじすぎですね!

  • 書くという習慣がだんだんと少なくなってきた現代社会で、日本人であっても学生時代にしっかりと習得した漢字でさえ読み書きがあいまいになってきているような気がします。私もあらたまった手紙を書くとき、確認のためと調べることが多々あります。テーマはそれでも、このパパさんはおもしろい発想で説明仕上げてきましたね!独自性が圧巻でした。

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