エピソード7(脚本)
〇狭い畳部屋
これから始まるのは、とある兄と妹の物語である
トン田「ただいまー!!」
兄は家に帰ると、ただならぬ物音に対して嫌な予感がした。
幼い女の子の声「うわあああん!ごめんなさい、ごめんなさいごめんなさい、ごめんなさい!」
義理の父親「クソガキが、ゴミを見るような目でオレを見やがって・・・」
義理の父親「躾けてやる! この、この──!!」
トン田「やめろー! 妹にてをだすなー!」
可憐(ふぇ・・・お兄ちゃん!?)
兄は妹を庇うために覆いかぶさった
義理の父親「クソが、お前ら兄妹とも生意気でむかつくんだよ!俺のガキじゃねえくせに!!」
トン田「大丈夫だぞ可憐、兄ちゃんデブだから、あんな奴の攻撃なんかビクともしないぞ」
可憐(うぅ・・・お兄ちゃん)
妹は分かっていた。兄は強がりを言っていると。
しかし、ひ弱な自分ではどうすることもできず、ひたすら兄の庇護にすがるしかなかった。
それから月日が経過し・・・
〇狭い畳部屋
義理の父親「おいガキ!酒買って来い!」
可憐(かれん)「はぁ!? 私まだ中学生だからお酒買えないんですけど!」
可憐(かれん)「それとあんた、いい加減働いたらどうなの?」
義理の父親「なんだと、親に向かってなんて口の利き方しやがる、また昔みたいに殴られたいのか!?」
可憐(かれん)「は? バカじゃないのそんな脅しはもう通用しませーん」
可憐(かれん)「あと、あんたなんか最初から親だなんて思ってないから・・・クスクス」
義理の父親「こ、このぉ・・・おらあああ!!」
トン田「うぃー、ただいまー・・・」
可憐(かれん)「あ、お兄ちゃんお帰り!」
義理の父親「──っ、お、おう剛・・・お帰り」
トン田「あぁ? なんだてめぇ、話しかけんな」
義理の父親「・・・っ、すまん」
可憐(かれん)「ねえ、お兄ちゃん聞いて──」
義理の父親「ちょ──ま、待て!!」
可憐(かれん)「コイツまじサイアクなの、お兄ちゃんがいない時に私にお酒を買いに行かせようとするの」
可憐(かれん)「しかもさっき断ったら、怒って殴りかかって来たし、こいつ懲らしめてよ」
トン田「・・・おい」
義理の父親「ち、違うんだ剛、俺は可憐にそんな酷い事はしないって誓ったんだ。昔の俺とは違う・・・」
トン田「そうか・・・」
トン田「でもお前、今から”回す”の決定だから ※回す=柔道部でよく使われる滅茶苦茶にする意味」
義理の父親「ひいいいいいいっ!!やめてくれーー!!」
トン田「おら、逃げずに柔道の練習に付き合えよこのクズが!」
〇血しぶき
兄は義理の父を軽々と掴み上げ、まるでズタ袋をぶん回すように扱った。
〇狭い畳部屋
トン田「ふぅ、いい練習になったぜ」
トン田「また可憐に悪さしようとすればこれ以上に回してやるからな、覚えとけ」
義理の父親「・・・はい」
可憐(かれん)「ふふ、お兄ちゃんありがとー♪」
トン田「おう、良いって事よ。それより可憐どうだ、兄ちゃんまた強くなっただろ?」
可憐(かれん)「うん、お兄ちゃんマジ最強! さすが私のヒーロー!」
トン田「嬉しい事行ってくれるじゃねえか。 いいか、兄ちゃんは可憐を守る為にまだまだ強くなってやるからな」
可憐(かれん)「うん、とっても期待してるね」
トン田「ところでよ、今日の晩飯はなんなんだ? さっきので腹が減ってよぉ」
可憐(かれん)「ごめんねお兄ちゃん、こいつのせいでまだ晩御飯の準備ができてないの」
トン田「ええっ!?しょうがねえな。だったら今から外に行って焼肉でも食うか」
可憐(かれん)「ほんとに!?嬉しい!」
トン田「──という訳だから、金」
義理の父親「──え?」
トン田「酒買う金があんだろ?出せよ」
トン田「は?少ねえっ!」
トン田「これなら俺がカツアゲして集めた収入の方が上じゃねえか。けど無いよりかはマシか・・・」
義理の父親(畜生、この────め!)
男は心の中で言ってはならない言葉で兄の事を罵った。これぐらいしか反抗できない
完全に昔と比べて立場が逆転してしまった。
トン田「よし可憐、今日は兄ちゃんの奢りだ、一杯食えよ!」
可憐(かれん)「わーい♪」
可憐(かれん)「あっ、でも・・・お肉いっぱい食べちゃったら私太って可愛くなくなっちゃうかも・・・」
トン田「大丈夫だ、可憐が太った分兄ちゃんが太れば可憐の見た目は変わらねえ(謎理論)」
可憐(かれん)「お兄ちゃん・・・大好き♡」
可憐(かれん)(でもやっぱり太るのはイヤだから程ほどにするね)
〇焼肉屋
焼肉屋にて
トン田「どうだ、うまいか?」
可憐(かれん)「うん、おいしい!お兄ちゃんありがとう」
トン田「そうか・・・よかった」
兄は妹を慈愛の眼差しで見た。そして同時にある心配もした
トン田「なあ可憐、母ちゃんが出て行ってから寂しくはないか?」
トン田「それに最近あいつ(義父)からまた昔みたいに虐待受けてないか?」
可憐(かれん)「全然平気!だってお兄ちゃんがいるんだもん」
可憐(かれん)「それに私達を残して出て行ったババア(母親)なんてほんとどうでもいい!」
トン田「・・・」
可憐(かれん)「信頼できる家族はお兄ちゃんだけ、しかも私のヒーロー・・・」
可憐(かれん)「だから私、お兄ちゃんの為ならなんでもするわ!」
トン田「そうか・・・なら俺達兄妹共に協力して生きて行こうな」
可憐(かれん)「うん!」
妹はこの(歪んだ)幸せがずっと続くものと思っていた。
〇狭い畳部屋
ある日の夜
可憐(かれん)(どうしたのかな、今日はお兄ちゃん帰って来るの遅いわね)
トン田「ぐあああっ!!体中が痛え! あの野郎素人のくせに投げやがって・・・ 受け身取り損ねた・・・」
兄はひどい怪我をして帰ってきた
義理の父親「おい、うるせーぞ!!怪我したくらいでピーピー泣くな!それよりさっさと晩飯作れ!」
可憐(かれん)「黙りなさいよ!今お兄ちゃんを看病してるんだから!」
義理の父親「おいおい可憐、今俺にそんな口の聞き方してもいのかぁ?」
義理の父親「おらっ!クソ兄貴が、死ね!」
トン田「ぐあああああああ!!」
男は敏感に兄が負傷して抵抗できないの状態である事を見抜き、暴力を奮った
可憐(かれん)「ちょ、ちょっとあんた! お兄ちゃんに何するのよ!」
可憐(かれん)「──っ!?」
義理の父親「今ならこの兄妹は俺に反抗できねえ、チャンスだ!この前やられた鬱憤を晴らしてやる!」
兄妹は久しぶりに義父からの虐待を受けた。そして再起した暁には必ず倍にして返すと心に誓った
だが、その前に・・・
〇狭い畳部屋
トン田「ごめんな可憐、兄ちゃんどうしても怪我して動けずに、お前を守ってやれなかった」
可憐(かれん)「いいの、あとで絶対にお兄ちゃんがあのクズに復讐してくれるってわかってるから・・・」
可憐(かれん)「それより・・・誰にやられたの?」
トン田「ああ、そいつは生意気な中学生で、ジジイみたいな喋り方をする奴だ」
トン田「しかも男同士のタイマンに喧嘩なのによぉ、女のセコンドまでつけやがってそいつのせいで負けた」
可憐(かれん)(女子のセコンドは分からないけど、男子の方は分かる、あいつしかいない──来栖武司の事だわ!)
トン田「次会ったら確実に何度も締め落として地獄を見せてやる!」
トン田「──いっ!? いてえええええっ──!!」
可憐(かれん)「お兄ちゃん、安静にしてて、まずは怪我をちゃんと直さないと!」
可憐(かれん)「じゃないとあいつが調子に乗ってまた私達をこんな目に合わせて来るわ」
トン田「おう・・・兄ちゃん早く復活して俺達を虐めるクズどもを懲らしめてやるからな!」
トン田「けど、あの中坊(武司)だけ腸が煮えくり返る、あいつが俺をこんな目に合わせなかったら・・・クソがあああっ」
可憐(かれん)「大丈夫、ソッチは私がお兄ちゃんに代わって復讐するから」
トン田「ん・・・何かいったか?」
可憐(かれん)「ううん・・・何でもない。それより今日は早く寝よう」
トン田「おう、・・・お休み可憐」
可憐(かれん)(来栖武司、覚悟しなさい。あんたのせいでこんな目に遭ったんだから。絶対にお兄ちゃんの仇を取る!)
こうして歪んだ兄妹愛は、次の日に来栖武司を襲った『カッターナイフ襲撃事件』へとつながった。
次回、再び可憐は襲撃をする。
続く
かれんちゃんにも襲撃する事情があったのですね!
お兄ちゃんの謎理論、男前やろ〜!惚れてまうわ!
バイオレンスに毎日を生きてきた兄妹は、たけしに復習するしか道は無いんでしょうか…。
今度は一体、何を?