幸せのハリボテ

komarinet

第一話 夫の実家(脚本)

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〇炎
???「──────────────憎い!」
???「憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い 憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い 憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い」
  その憎しみは、自分の心の奥底に
  ヘドロのように染み付いて離れない
  あの日から"それ"はずっと、
  嘲るように私を見続けていた
  だから私は"それ"を睨め返し、誓った
???「────────10年、だ」
???「10年間、私は最高の幸せを "あいつ”に捧げる!」
???「誰もが羨む、誰もが憧れる、幸せを」
???「"あいつ"が最高に幸せになったとき、 私はお前を」
???「────────迎えにいく」
  そう言うと、"それ"は満足そうに
  暗がりの奥へと姿を消した
  『約束だよ』
  その後ろ姿は、私にそう語りかけている
  気がした────────

〇黒

〇飾りの多い玄関
栄田 駿「おーい、智、美雪! 駅まで送ってくから早くおいで」
栄田 智「待った待った! その車待ったー!」
栄田 美雪「お父さーん! 美雪も乗るのー!」
栄田 駿「よーし、二人とも来たな。 栞里ー、行ってくるよー!」
栄田 栞里「いつも送り迎え、ごめんなさい あなただって忙しいのに・・・」
栄田 駿「お互い様だよ。 たまたま僕の方が勤務に余裕がある」
栄田 駿「それだけの話さ」
栄田 栞里「でも・・・」
  チュッ
栄田 栞里「きゃっ!」
栄田 駿「でも、じゃないよ。僕らの子供なんだから どちらがやっても同じことさ」
栄田 駿「じゃあ、行ってくる」
栄田 栞里「あー、全くもう!」

〇空
栄田 栞里(優しい夫、かわいい子供たち 不自由のない暮らし)
栄田 栞里(そして、好きな仕事も続けられている)
栄田 栞里(10年もすれば結婚生活なんて 退屈なだけよって友達は言うけど)
栄田 栞里(私、この10年間ずっと──── 幸せだなぁ・・・)

〇飛行機内
???「栄田さん、栄田さん」
栄田 栞里「え? あ? はいっ!」
パーサー「シート57Cのお客様に お水をお持ちしてください」
栄田 栞里「はいっ、ただいま!」

〇飛行機の座席
栄田 栞里「お客様、お待たせしました」
乗客「ああ、ありがとう」
栄田 栞里(二回の産休を挟んでからの復帰は 正直辛かった)
栄田 栞里(ようやく子供たちが仕事を 理解するようになったけど)
栄田 栞里(最初の数年間は近所の人にも 非難されることが多かったなぁ)

〇住宅街
近所のおばさん2「子供もまだ小さいのに 旦那さん一人で見てるんですって」
近所のおばさん「奥さんは仕事であっちこっち 飛び回ってろくに帰らないそうよ」
近所のおばさん2「きっと夫婦関係もうまくいってないのよ」
近所のおばさん「ああ、子供たちがかわいそう」
「ねぇーーーーー」

〇飛行機内
栄田 栞里(でも私は聞いてしまった そんなご近所さんと駿の会話を)

〇住宅街
栄田 駿「そんなことありませんよ」
近所のおばさん「まあ! 栄田さんとこのご主人」
近所のおばさん2「わ、私たち別に何も言ってませんわ」
近所のおばさん「ええ、お宅の奥様はお仕事 続けられて素晴らしいわよねって」
栄田 駿「ありがとうございます!」
栄田 駿「実は仕事を続けるように言ったのは 僕なんです」
「えっ!?」
栄田 駿「キャビンアテンダントは栞里の夢でした」
栄田 駿「僕と結婚したから夢を諦めるだなんて 悔しいじゃないですか」
栄田 駿「好きな人が夢を追いかけるのを 一番近くで見たいから仕事を続けて欲しい」
栄田 駿「プロポーズの時、そう言ったんです」
(なんてイケメンなの、このご主人!!)

〇飛行機内
栄田 栞里(こっそり後ろで聞いてたけど 赤面しすぎて出ていけなかったよ)
栄田 栞里(駿、智、美雪 いつもありがとう)
栄田 栞里(お母さん、お仕事頑張るからね)

〇空
栄田 栞里(周りの人にどう思われたって構わない)
栄田 栞里(私たち家族が幸せだと思えるなら それが幸せなのだから)

〇店の入口
  私と駿は、恋愛結婚ではない
  いわゆるアプリ婚というものだ
  とはいえ、最初から良い相手に
  巡り会うことはない
  何度も散々な相手とデートを繰り返した
見合い相手A「なるほど。キャビンアテンダントですか 立派なお仕事だとは思います、が・・・」

〇テーブル席
佐伯 栞里「が、と申されますと?」
見合い相手A「いえ、こう見えて僕、 年収億超えなんですよ」
見合い相手A「あなたのお仕事は確かに素晴らしい」
見合い相手A「ですが、結婚するなら年収の低い方が 家庭に入るべきだと思いませんか」
佐伯 栞里「そ、そうですね」
  とか

〇おしゃれなレストラン
見合い相手B「儂を介護してくれる相手を捜してるんだよ」
  とか

〇川沿いの公園
  何度も色んな方とお話した
  逆に私が少しいいなと思う相手に
  断られることもあった
お見合い相手C「申し訳ありません」
お見合い相手C「佐伯さんはその、すごく魅力的な 方だとは思うのですが」
佐伯 栞里「あっ、大丈夫ですよ」
佐伯 栞里「こういうのはお互いの気持ちが合って 成り立つものですから」
お見合い相手C「すみません」

〇テーブル席
  そうして何人もの男性とお話して
  私が婚活に疲れた頃、彼は現れた
???「すると、佐伯さんは夢が叶ったんですね。 素晴らしいです!」
???「だったら結婚してからも 仕事は続けた方がいいですよね!」
佐伯 栞里「えっ・・・?」
  相手の顔もあまり見ないようになっていた
  私は、その言葉で思わず顔を上げた

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次のエピソード:第二話 福岡にて

コメント

  • 僕にとって最初のボイス入り作品はこれと決めてました!めっちゃ遅くなりましたがやっと拝読😭
    ボイス無し→有りの順で読んでみました。予想では正直、ボイスって読む邪魔になるのでは…と思ってたんですが、むしろ読みやすさがグッと上がって驚きました👍これは自腹切る価値もありますね!しかも二人でこれは凄すぎ!
    冒頭が男女の声なのは主の特定を避けるためですかね?初回で提示された疑問がデカくてワクワクです!😆

  • すげぇ〜!!

  • 最後のあっと驚く展開に、えええ?どうなっちゃうの?と続きが思い切り気になりました。
    フルボイス最高でした!

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