Part1:夢の代償(脚本)
〇コンサート会場
一目見て、その姿に、狂おしく憧れた。
私もアイドルになって、いつか、同じステージに立ちたい。動機はそれだけだった。
──私は、その夢をもう、一生追いかけられないのかナ?
〇レストランの個室
要紗羅「・・・・・・」
要紗羅「・・・ハイ」
要紗羅「あ、いえ、今日はちょっと、食事に・・・」
要紗羅「ふふっ。詮索するなんて、珍しいですね?」
要紗羅「とっくに「卒業」した30オーバーが、 誰と食事に行こうがいっさい構わないんじゃ?」
要紗羅「・・・え? 明日の仕事、なくなった・・・?」
要紗羅「・・・ハイ・・・ わかりました。それじゃあまた、連絡お待ちしてます・・・」
要紗羅「・・・ハァ・・・ どいつもこいつも・・・」
要紗羅「・・・ッ」
要紗羅「・・・どうぞ・・・」
眞仁「こんばんは。サラちゃん」
要紗羅「くぅ〜ッこれがッ今ドキの19才ホヤホヤな男子かッ!! リアル一般未成年ッ!! 目の保養ッ・・・!!」
眞仁「え? フフッ、サラちゃん大丈夫? 心の声ダダ漏れしてない? ちなみに今の法律上、ボクはもう成人済だよ」
要紗羅「全盛期なら番組とかでさ、キミみたいなキラキラ男子と絡むこともあったんだよ? 死ぬほど連絡先交換したかったもんね」
眞仁「あぁ、”アイドル”同士? しなかったの?」
要紗羅「無理無理。 ウチの事務所、当時は特にクリーンなイメージに命かけてて、異常に厳しかったから」
要紗羅「マクラ営業なんかも、もしもバレたら たとえ仕事のためだったとしても即クビ」
眞仁「サラちゃんは、ずっとストイックだったんだね。努力で人気勝ち取るなんて、エライしスゴイなぁ」
要紗羅「・・・ま、それも30過ぎた今じゃほぼ野放しだけど。 落ちぶれたタレント崩れに、市場価値はないってこと」
要紗羅「・・・ふッ・・・」
要紗羅「あのマネージャー・・・ 私が、偶然出会った可愛い男子にお金払って遊んでもらってるって知ったら、 どーするかなー?」
要紗羅「説教されたら、売出し中の現アイドルも、 裏でマッチングアプリ使ってエグい遊びしてるけどって脅してやろっかな〜」
眞仁「ね、サラちゃん」
眞仁「サラちゃんの言う市場価値って、僕にはどんなものかよくわからないけど・・・ でも、サラちゃんは落ちぶれてないよ」
眞仁「サラちゃんのこと、卒業しても変わらず応援してるファンの子って、今も、たくさんいるでしょ?」
要紗羅「・・・私なんか・・・」
眞仁「僕がアイドルと同等に言われるのは違う気がするけど、サラちゃんは、今もキラキラしてるよ」
要紗羅「・・・・・・」
眞仁「・・・サラちゃん?」
要紗羅「・・・してない・・・」
要紗羅「私は貴方と一緒じゃない・・・ キラキラしてないから、ファンはどんどん降りてくし、仕事も減るし、ドタキャンだってされる」
要紗羅「今まで、ライバルを蹴落としてでも、必死でグループのこと引っ張ってきた。 だから、卒業しても輝いてられるって自惚れてた」
要紗羅「・・・そんなわけない。 いくら見た目を維持する努力しても、全世界に今年で33ってバレてるし」
要紗羅「”33にもなってまだテレビしがみついてる” ”33で過去の栄光引きずりすぎ” ”33の時点でもうなんの魅力もない”・・・」
眞仁「サラちゃん・・・?」
要紗羅「うっせぇぇよ!! まだ32だっつの!!!! 勝手に夢見て勝手に醒めて、 好き勝手ぬかすんじゃねぇっつの!!!!」
要紗羅「なーにが・・・」
要紗羅「サラサラ靡かせ、引き寄せてっ☆ アナタの心にサララっと永住っ☆」
要紗羅「だっつの・・・」
眞仁「・・・サラちゃん、さっきから情緒、大丈夫? そのお酒、何杯目だった?」
要紗羅「3杯目!!」
眞仁「・・・あははっ 僕、約束の時間キッチリに来たはずなんだけだな? ご飯はもう食べた?」
要紗羅「あ・・・ まだだけど、サラダでいいや・・・ 来週ドラマのオーディションあるし・・・」
眞仁「そっか。偉いね? サラちゃんはいつまでもキレイで、 プロ意識の高い、立派な人だ」
要紗羅「大した役柄じゃないの。 脇役の脇役の脇役、みたいな・・・」
眞仁「・・・僕の物語のオーディションなら、 一発合格のヒロインなのに」
要紗羅「・・・へ? 何、言ってんの・・・」
眞仁「僕にもし、まとまったお金があったら、 サラちゃんがそうしてくれなくても、 僕がサラちゃんの時間を”買ってた”だろうし」
要紗羅「・・・ほんと・・・?」
眞仁「もちろん」
眞仁「・・・今日はゆっくり、楽しもうね・・・?」
〇劇場の座席
花純「あっ・・・あのっ!! サララちゃん、ですよねっ!?」
花純「あのっ、私、カスミっていいます!! そのっ、サララちゃんに憧れて、アイドル目指すようになって・・・!!」
花純「今はまだ前座で一曲しか歌わせてもらえないようなペーペーのアイドルだけどっ・・・ いつか、一緒のステージにっなんてっ・・・」
〇ビジネスホテル
花純「あの・・・ララちゃ・・・ 本当に、信じていいんだよね・・・?」
花純「その・・・マクラ・・・ とか、いうので・・・」
花純「う・・・ううん!! 信じてるよ!! だって、ララちゃもそうしてきたんだもんね!?」
花純「偉いプロデューサーさんっ、なんだもんねっ!! 今日頑張れば、冠番組貰えるかなっ! 楽しみっ・・・!!」
花純「私、ララちゃと仲良くなれて、アドバイスまで貰えて嬉しいよ・・・ もっと有名になって、夢、叶えられるといいなぁっ・・・」
そのプロデューサーに、権力なんかないってことも知ってたけど、紹介をした。
──だって、
【オマエノ夢ナンカ、潰レテシマエバイイ】
〇荒れたホテルの一室
花純「・・・ウッ・・・・・・グスッ・・・」
花純「・・・もしもし・・・ サラち・・・?」
花純「私ね、今日、バラエティ番組のゲスト出演のロケだって・・・あのプロデューサーに・・・騙されて・・・」
花純「変な検査して、変な契約書記入させられて・・・ 変わったPVの撮影なのかなって、思ってたんだけど・・・」
花純「制服、ビリビリにされて・・・ そのまま、”撮影”が、始まって・・・」
花純「わ、私・・・もう、ダメだ・・・ マクラだけじゃなく・・・こんなに・・・汚れて・・・ アイドル追放されちゃうね・・・」
花純「最後に、サラちに聞いてほしいことがある。 私ね、夢があったの・・・ それはね・・・」
【そんな話、興味ないよ。
サヨーナラ。】
〇部屋のベッド
要紗羅「!!」
要紗羅「・・・夢・・・?」
要紗羅「う・・・ 頭、イタ・・・ 飲みすぎたかな・・・」
要紗羅「酔っ払って、家に送ってもらって・・・ そんな記憶はうっすらあるような・・・」
要紗羅「・・・私、あの子と、 一体ドコマデ・・・?」
要紗羅「・・・・・・」
要紗羅「・・・ハァ・・・ いい年して、ほんっと、バカみたい・・・」
【──そういえば、”ブロック”した日も、
こんな雨の日、だったような。】
要紗羅(10年も昔のことなのに、どうして急に・・・こんな夢・・・)
「らーらーちっ」
どんな夢、見ていたの?
要紗羅「・・・ぇ・・・?」
要紗羅「っな・・・!! かっ・・・カスミ・・・!?」
要紗羅「・・・ど、ど、どうして・・・ ココに・・・?」
花純「可憐な瞳はおスミつきっ★ 逃さずキャッチ★ カスミン参上っ★」
要紗羅「・・・・・・」
要紗羅「ッ!?」
花純「・・・逃さず、キャッチ★」
花純「やっと、再会できたね・・・ 私の、永遠の夢、永遠の、憧れの人、」
花純「そして、永遠の・・・」
イ ト シ イ ジュ バ ク 。
花純「やぁーっとつかまえたっ★」
──もう、逃がさないヨ・・・?
こんばんは!アイドルのドロドロな関係がとても伝わってきて怖かったです😂👍
かすみちゃんが何をしていたのか、復讐をしにきたのか?
気になります!
結構復讐する側の話が多い印象があったのでされる側は新鮮で興味津々です!
華やかな世界の裏にある、愛憎うずまく世界ですね。紗羅さんと花純さんとの過去、そして眞仁くんの正体は、気になることだらけの第一話ですね!