GOSSIP BOX(ゴシップボックス)- アナザーエンディング -

根本聡一郎

エピソード1(脚本)

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根本聡一郎

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〇オフィスのフロア
  何の変哲もないオフィスの一角。
  薬師寺透(やくしじとおる)は昼休みにワイドショーを眺めていた。

〇東京全景
谷下猛「それじゃあ、次のニュースを佐藤さん」
佐藤キャスター「はい、お伝えします」
佐藤キャスター「アーティストで俳優の中谷ヰ能(なかたにゐのう)さんについての速報です」
佐藤キャスター「中谷氏は9月22日付けで所属事務所・フレイミングプロダクションとの契約を終了し、芸能界を引退することを明らかにしました」
佐藤キャスター「一部週刊誌に私生活のトラブルついて報道されて以降、中谷氏は芸能活動を自粛しており、今後の進退が注目を集めていました」
谷下猛「ということなんですけれども・・・これ実際どうなの、西之園さん」
西之園春夫「まあ、当然じゃないですかね」
西之園春夫「あれだけ世間を騒がせたわけですから・・・」

〇オフィスのフロア
上司「お、やっくんおつかれ。 メッセージ見てくれた?」
薬師寺透「あーー、はい。 ポイントカードのデザインですよね」
上司「そうそう。悪いんだけど、今もらってるやつだとちょっと微妙だから、あと5パターンくらいほしいんだ」
薬師寺透「5パターン」
上司「うん、そんであの資料、先方への提出が明日中だから、明日の朝にはほしいんだけど、いけそう?」
薬師寺透「明日、ですか」
上司「うちのメンバー今みんなパツパツだからさ、お願いできるのやっくんぐらいなんだよね」
薬師寺透「明日の朝っていうと・・・今晩中にやらなきゃですよね」
上司「うん、まぁ、そうなっちゃうんだけど」
薬師寺透「明日なら大丈夫なんですけど、朝はちょっと・・・」
上司「え? ごめんやっくん、なんて?」
薬師寺透「明日午前なら大丈夫ですけど、朝一はちょっと・・・」
上司「え? もっかい言ってくれる?」
薬師寺透「・・・じゃあ、朝一で出します」
上司「朝一おっけー? ありがとう!」
上司「やっくんマジで神だわ。 じゃあ明日朝一、よろしくね!」
薬師寺透「・・・めちゃくちゃ聞こえてんじゃん」
  薬師寺はしばらく途方にくれた後、SNSに愚痴を書き始めた。
  全然仕事しないクソ上司からまたタスクを無茶ぶりされる
  悪いときだけ聞こえなくなる上司の耳の「逆ミュート機能」、俺の耳にもつけてほしい
薬師寺透「はあ。やるしかねえか・・・」

〇川に架かる橋
  薬師寺は終電ギリギリまでねばった後、電車で自宅に帰宅した。
薬師寺透「5パターンとか、終わるわけねえって・・・」
???「すみません」
薬師寺透「はい?」
???「薬師寺透さん、ですよね」
薬師寺透「薬師寺は、僕ですけど・・・え?」
  突然、声をかけてきたサングラスの男。
  その背後には黒いバンがあり、中から同じくサングラスの男が何人も出て来た。
薬師寺透「ちょ、待っ・・・な」
  男たちは戸惑う薬師寺の口を抑えて、羽交い絞めにしながら黒い布の袋を被せる。

〇黒
  ──そこで薬師寺の意識は途切れた。

〇ゴシップボックス_ゴシップボックス・内(ライティング白)
薬師寺透「ここは・・・」
室井秀明「くっそ、どうなってんだ」
薬師寺透「あの・・・すみません、ここ、どこですか」
青木谷さち「きっとみんな、こっちが知りたいと思ってんじゃない」
薬師寺透「え? 待ってください・・・じゃあみなさん、自分でここに来たんじゃないんですか」
青木谷さち「好きで来るわけないでしょ、こんなとこ」
薬師寺透「え・・・じゃあ、どうやってきたんですか」
青木谷さち「あたしは・・・用事済ませて帰る途中に、急に名前呼ばれて・・・振り向いたら、サングラスかけた男がいて」
薬師寺透「あ、僕もです!」
薬師寺透「それから、黒いバンからワサワサ男が出てきて・・・」
室井秀明「・・・全員、似たような状況で連れてこられてんのか」
薬師寺透「あの子も・・・そうなんですかね」
少女「・・・・・・」
青木谷さち「さあ。知らない」
薬師寺透「あの子、大丈夫ですか? もしかして、死・・・」
少女「もう食べられないよ・・・」
青木谷さち「大丈夫じゃない? めちゃくちゃベタな寝言言ってるし」
室井秀明「相当神経図太いんだろうな。 この状況でグーグー寝てられるんだからよ」
「・・・・・・」
薬師寺透「あの・・・これって、誘拐ですかね」
青木谷さち「もしそうなら、さっさとここ出た方がいいでしょうね」
薬師寺透「出られるんですか?」
青木谷さち「出入口は・・・あそこだけ」
薬師寺透「なんだこれ、開かない」
室井秀明「入口は俺たちも調べた」
室井秀明「鍵がかかってるが、鍵穴はどこにもない。 おそらく、電子ロックだ」
薬師寺透「じゃあ、僕ら・・・閉じ込められてるってことですか?」
青木谷さち「そういうことになるでしょうね」
薬師寺透「そんな・・・」
薬師寺透「・・・あッ! すみません、今何時ですか? 僕のスマートフォン、どっかいっちゃって」
室井秀明「ネットにつながるようなもんは全部没収されてるらしい。俺のスマートフォンもないんだ」
薬師寺透「そんな・・・ガチの犯罪じゃないすか!」
室井秀明「人攫ってる時点で、十分ガチだろ」
青木谷さち「あの時計を信じるなら、いまは夜十時ね」
青木谷さち「窓もないから、本当かどうか分からないけど」
薬師寺透「十時!?」
薬師寺透「僕、明日の朝までに出さなきゃいけない提出物があるんですよ! それ出さないと、ほんとにヤバくて・・・」
室井秀明「俺だって、明日の午前に経営会議だ。 お前なんかよりよっぽどヤバい」
薬師寺透「経営会議って・・・。 あれ、あんたどこかで──」
青木谷さち「問題は・・・誰が何の目的で、こんなところに私たちを閉じ込めたのかってことね」
室井秀明「ああ・・・」
薬師寺透「え?」
室井秀明「見てみろ、このPC画面」
  『あなた方には、共通項があります』
  『全てを曝け出して、脱出を目指しましょう』
  『共通項が、この部屋の鍵です』
薬師寺透「なんだ、これ・・・脱出ゲームでもやれってことですか」

次のエピソード:エピソード2

コメント

  • ゴシップボックスのタップノベル版の配信を楽しみにしてました!
    配信ドラマと並行して何度も読ませて&観させていただきます!

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