九話 苦難の先に(脚本)
〇男の子の一人部屋
黒沼 晶「・・・」
── 莉呑が死んだのは黒沼のせいらしーよ
──まじ? サイテーじゃん
──お前がいなきゃ、うちの莉呑は生きてたんだぞ!!
──二度と、家に顔を出さないで!
──莉呑さんが生きていれば、もっと犠牲者は少なかったでしょう。
渋屋さんのお父様も、亡くなることはなかった。
──仮説が正しければ、黒沼さんはギャラジーの輪廻の手助けをしていたことにもなりかねないのです
黒沼 晶「ははっ、はははは・・・」
黒沼 晶「あんなに頑張って、もがいて・・・ その結果がこれかよ」
黒沼 晶「クソ、クソ・・・!」
黒沼 晶「うわぁぁぁぁぁぁッ・・・!!」
〇渋谷のスクランブル交差点
──二日後。
渋屋 杏「黒沼、久しぶり。 怪我はもう大丈夫なの?」
黒沼 晶「・・・」
渋屋 杏「な、何よ?」
黒沼 晶「いや・・・ お前に、そんな風に声をかけられるとは思ってなかった」
渋屋 杏「や、優しく話しかけちゃいけない!? ならいいわ、もう心配してあげないわよ!」
渋屋 杏(あ、つい反射で言いすぎちゃった・・・)
渋屋 杏(でも、急に態度を変えられたらやっぱり驚くわよね・・・ どうやって接したらいいのかしら)
黒沼 晶「行くぞ」
渋屋 杏「ちょ、ちょっと!!」
渋屋 杏「本当に大丈夫なのかしら・・・ 無理してないといいけど」
〇繁華な通り
隊員「相手は小型ギャラジーだ、怯むな!」
隊員「こちらC地区隊員、小型ギャラジー殲滅しました! 今回は少数で良かったですね!」
隊員「・・・え? 襲撃してきた小型ギャラジーは2,000体!? 大規模の襲撃だったんですか!?」
隊員「そんな大量のギャラジーがこんな短期間で殲滅できるわけがない! それに、その数だと中型ギャラジーもいるはずなのに・・・!」
黒沼 晶「・・・」
隊員「あれ? あそこにいるのは黒沼さん! なるほど、黒沼さんが他のギャラジーを倒してくれたのか!」
隊員「黒沼さん! お疲れ様で──」
黒沼 晶「お前らギャラジーのせいで・・・ 俺の人生は・・・」
黒沼 晶「どうしてくれんだよ、ああ!? お前らのせいで全部メチャクチャなんだよ!」
隊員「く、黒沼さん!? そのギャラジーは既に死んでいますよ!?」
黒沼 晶「・・・隊員がいたのか。 悪い、今すぐ目の前から消えてくれ」
隊員「え・・・?」
黒沼 晶「早く俺の前から消えろって言ってんだよ!」
隊員「は、はいぃっ!」
黒沼 晶「ここら一帯のギャラジーは俺が殲滅した。 だからあとは俺の好きにやらせてもらう」
一般人男性「・・・生きてたのかよ。 噂に聞いていた通り、しぶてー奴だなァ」
黒沼 晶「お前か。 滅多刺しにした相手の前にのこのこ出てくるなんて、やけに余裕だな」
一般人男性「そりゃあな。 お前は人を助けられないほどの雑魚で無能なんだろ?」
一般人男性「おまけに、俺はお前が一般人に手を出したことがないってことを知ってんだよ。 「リベリオン」の約束か?」
黒沼 晶「・・・そうだな。 「リベリオン」のエージェント、そしてその隊員は一般人に手を出すことを禁止されている」
黒沼 晶「「リベリオン」の条約以前にそれは犯罪だ。 下手すれば逮捕されるだろうな」
一般人男性「そうか。 じゃあ・・・」
一般人男性「大人しく刺されてくれや。 次こそ息の根を止めてやるよ」
黒沼 晶「・・・やれるもんならやってみろよ」
一般人男性「・・・あ? なんでそれを俺に向けんだよ。 一般人には手を出さないんじゃねーのか?」
黒沼 晶「あいにく、今俺はそんなふざけた ”おやくそく” を守れるほど冷静じゃなくてな」
黒沼 晶「俺がいなくても渋屋がエージェントの仕事を引き継いでくれる。 俺はもういらないんだよ」
黒沼 晶「逮捕されても、命を落としてもいいんだ。 ──もう、俺は自由なんだ!!」
一般人男性「!!」
一般人男性「・・・?」
渋屋 杏「やめて、黒沼」
黒沼 晶「お前・・・! 邪魔するな!」
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