平凡

神社巡り

エピソード3(脚本)

平凡

神社巡り

今すぐ読む

平凡
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇お嬢様学校
  新しい学校の開校に向けた準備は着々と進んでいた・・・私に与えられた課題の教師の選任もめぼしい人物の特定は済んでいた・・・
  しかし、康子ちゃんと加奈子ちゃんを一足早く学校に通わせるという話になり、臨時の教師に何故か私が選ばれた・・・
  確かに言い出した私が責任を取るのは仕方がない事ではある・・・
  しかし私は人に何かを教えることは得意とは言えない・・・教えてる最中に自分が何を言ってるのかわからなくなってしまう・・・
  康子ちゃんや加奈子ちゃんは私の言っている事が理解できているだろうか・・・?
  授業は成り立っているのだろうか・・・?
  日々の不安で私は自信を無くしていた・・・

〇教室
康子「はい、先生・・・! 何を言ってるのかわかりません・・・?」
容子「ははは・・・(キツイなぁ・・・)」
  康子ちゃんには全く悪気はない・・・純粋に理解できないという曇り一つない眼差しで私を見つめている・・・
  私は笑ってごまかす以外に方法はなかった・・・その場の空気を変える為に少しおどけて見せた
容子「えへへへっ・・・」
加奈子「先生、私もわかりませんでした・・・」
  加奈子ちゃんの追撃に私は撃沈寸前だった・・・トイレと言って誤魔化して逃げようかと考えた・・・
  しかし逃げ出しても何も解決にはならない!私は気合を入れて2人に立ち向かう事にした!!
容子「わかりました・・・私の教えた事柄の何がわからないのか一度整理してみましょう・・・」
康子「先生・・・! 話している内容が教えようとしている事と少しづつ離れていってるんだと思われます!!」
容子「ガビーン!!」
  康子ちゃんのアドバイスはしっかりと的を得ていた・・・私は驚きのあまり、変な奇声をあげた・・・
加奈子「話している中に教えようとしている事がいっぱいありすぎて伝わらないんだと思います・・・!!」
容子「ギャフン!!」
  加奈子ちゃんのアドバイスも的を得ていた・・・私なんかより2人の方が教師に向いているのではないだろうか・・・?
  私は教壇に立ち瞳を閉じて天を仰いだ・・・2人のアドバイスをしっかりっと胸に刻んだ・・・
容子「さあ、仕切り直しましょう・・・!!」
  そんなことをしているうちに学校の1日は終わった・・・

〇通学路
容子「今日も疲れたぁ~」
康子「お姉ちゃん、最近お疲れですね! 大丈夫ですか・・・?」
容子「慣れない事をしてるからね・・・慣れてきたら大丈夫だと思うよ・・・」
康子「無理しないでね!! あっ・・・!!」

〇寂れた村
  目の前に広がるのは見ず知らずの田舎の光景だった・・・
  起こった出来事に頭が付いていかず、私は康子ちゃんとお互いに見つめあっていた・・・
容子「康子ちゃん・・・ここどこなんだろうね・・・?」
康子「訳わかんないとこに来ちゃったねっ・・・」
  康子ちゃんと私は現実逃避からか、お互いにすこぶる上機嫌だった。
  たわいもない語らいでケタケタと笑っていた・・・そんな時、ここの住民なのか一人の村人を見かけた・・・
「あの~こんにちは~」
村人1「ああ、こんにちわ~」
容子「ここがどこだか教えて貰えますか・・・?」
村人1「お前さんたち見かけん顔だが・・・こんな所にどうやって来たんじゃ!?」
  ここに来るのが普通じゃないような言われようだった・・・気が付いたらここにいたと言っても信じては貰えないだろう・・・
康子「あのね・・・目の前がバラバラになったと思ったらここに居たんだよ・・・」
村人1「バラバラ~? ほぉっほぉっほぉ・・・何を言っているのかのぉ~?」
康子「本当だもん!バラバラになったんだもん!」
村人1「可愛いのぉ~ほっほっほぉ・・・」
  二人のやり取りは全く嚙み合っていなかった。埒が明かないので私は二人の間に割って入って切り上げる事にした・・・
容子「あの~私たち忙しいので、そろそろ失礼します・・・」
村人1「なんじゃもう行くのか・・・? しかし、帰ると言ってもここにはバスも車も電車も何にもないぞぃ・・・」
  思った通りここは文明から忘れられた辺境の村のようだった・・・
  康子ちゃんが居るので帰りの心配はしてないが、ここに呼ばれた理由が何なのか気になっていた・・・
村人1「帰るなら村の外れにあるトンネルに向うと良い・・・そしてこれを持って行きなされ・・・」
  何故か地図を手渡された・・・ここへ向かえという事なのだろうか?私たちは村外れのトンネルに向かった・・・

〇村に続くトンネル
康子「不気味なトンネルだね・・・」
容子「何か出てきそうだね・・・」
  私たち2人は先程と一緒でテンションが爆上がりしていた・・・何かが現れてもおかしくない雰囲気だった・・・
  空から降ってきたかの様に現れたのは熊だった・・・しかもこんな所にいるはずのない白熊だった・・・
康子「このぉ野郎~・・・えぇ~い!!」
  テンション爆上がりの康子ちゃんは姿を見るなり白熊に襲いかかった・・・見事なフォルムの飛び蹴りが白熊の後頭部へ決まる!!
  白熊はあっけなく崩れ落ちた・・・以前から思っていたが康子ちゃんの戦闘能力はかなり高いのではないだろうか・・・?
シロクマ「痛っ!!痛たたっ・・・!!」
  驚いた事に白熊は言葉を話した・・・それを見た康子ちゃんはあからさまに引いていた・・・
康子「熊が・・・しゃべった・・・」
シロクマ「いきなり蹴るなんて酷いよぉ・・・」
  この白熊は何を言っているのだろうか・・・?目の前にいきなり熊が現れたのだから攻撃されても可笑しくはない・・・
  やらなければこっちが食べられてしまう・・・私は白熊の事情を知るために間に立つことにした・・・
容子「まって・・・あなたは何者なの・・・?」
シロクマ「わたしはシロクマです・・・」
  そんなことは聞いていない・・・見た目でそれはわかる・・・私が知りたいのはこの白熊の素性だった・・・
容子「そんな姿でいきなり目の前に現れてどういうつもり!?」
シロクマ「あなた達2人をここに導いたのはわたしなんです・・・」
  意外な答えが聞けた・・・あの変な能力がこの白熊の力だとしたら何者なのだろうか・・・?
  そして私たちをここに迎えた理由は!?
  白熊の謎に私は興味をそそられた・・・
容子「どんな理由で・・・!?」
シロクマ「あなた達が学校を始めようとしてると聞いて詳しい話を聞くために、ここにお迎えしました・・・」
容子「学校の事!? でも獣の学校じゃないわよ・・・」
容子「それにいきなりこんな所に迎えられてもビックリするだけよね!?」
シロクマ「ご、ごめんなさい・・・この姿では街に出没するわけにはいかなくって・・・」
  心の中で「そりゃ~駆逐されるだろぉ~」とツッコミを入れていた・・・
容子「あなたは何故人間の言葉がしゃべれるの?」
シロクマ「私の母は魔物です・・・わたし身なりは熊ですが熊じゃないんです・・・」
容子「その恰好で熊じゃない!って言われてもぉ・・・」
康子「どう見ても熊だよね・・・」
シロクマ「では、私に付いてきてください・・・母を紹介いたします・・・」

〇日本庭園
シロクマ「ここがわたしの住処です・・・」
容子「すっごっ!!」
康子「立派だぁ・・・」
  想像していたのとは違った見事な佇まいに私たちは度肝を抜かれていた・・・
  そして白熊がこんな裕福に暮らしていることに悔しさを滲ませていた・・・
シロクマ「おかーさーん!!シロクマです~お二人をお連れしましたよぉ~」
シロクマの母「いらっしゃいませ・・・遠いところ良くお越し頂きました!!」
シロクマの母「さあ、中へお入りください・・・」

〇広い和室
シロクマの母「失礼を承知の上でしたが・・・こんな所にお呼び建てして申し訳ございませんでした・・・」
  白熊の母親は思った以上に礼儀正しかった・・・伊達にこんな暮らしをしていない事が充分に垣間見れた・・・
容子「いえ、いえ・・・充分なお気遣いありがとうございます・・・」
シロクマの母「それで・・・学校の話なのですが・・・」
シロクマの母「シロクマがこんな身なりなのは承知の上で通わせてあげたいと思っています・・・」
  白熊の母親は話を切り出しにくそうだったが、意を決したように語り始めた・・・
シロクマの母「一目瞭然でしょうが私たちが街に現れただけで周囲がパニック・・・いいえ、恐怖のどん底に叩き落されてしまいます・・・」
シロクマの母「人里離れたこの村を住処にしているのは人目に付かずひっそりと暮らしていく為でした・・・」
シロクマの母「この村の人々は私たちを何故か神と崇め騒ぐことは致しません・・・」
シロクマの母「この村の人々のおかげで私たちは平穏で穏やかに暮らしていく事は出来ますが・・・」
シロクマの母「子供を学校に通わせたい、その思いはずっと抱いておりました・・・」
シロクマの母「そんな時、人間以外の子供たちの学校の話を聞いたのです・・・」
容子「この村には学校は無いのですか?」
シロクマの母「寂れた村です・・・学校はありません・・・何人かの子供たちはいますが街の学校に通っています・・・」
シロクマの母「人間以外の子供たちが学校に通えるなんてすばらしい事です!」
シロクマの母「あなた達の話を伺った時、諦めていた全ての事柄に光が見えたと感じました!!」
シロクマの母「どうでしょう?シロクマを学校に通わせては頂けないでしょうか? 宜しくお願い致します!!」
  白熊の母親に土下座をさせてしまった・・・私は拒否るつもりは無かったのだが・・・
容子「まって下さい!お母さん・・・私はダメだなんて言ってませんよ・・・」
シロクマの母「で、では・・・」
容子「もちろんOKです・・・」
シロクマ「お、お母さん・・・」
シロクマの母「宴じゃ~宴の準備をぉ~」
  白熊の母親はテンションが上がったのか宴の開催を宣言した。村中の人々を招集し宴は夜遅くまで続けられた・・・

〇ファンシーな部屋
  宴の最中に白熊親子の話が聞けた。
  白熊親子がこの世の中でどのように歩んできたのか・・・
  人間以外の親子が他にも沢山いて皆不自由に暮らしているという事・・・
  その者たちは人間との関わりを望んではいないが敵対する気持ちもないという事・・・
  そして切実なのは皆の思いは平和に暮らして生きたいという事だった・・・
  そして白熊親子がいうには私たちは希望の光だそうだ・・・
康子「お姉ちゃん、おはよう・・・」
容子「おはよう・・・康子ちゃん・・・」
加奈子「おはようございます・・・容子さん・・・」
容子「おはよう・・・加奈子ちゃん・・・」
シロクマ「おはようございます!容子先生!!」
容子「おはよう・・・シロクマちゃん・・・」
容子「今日は皆でどうしたのかな?」
康子「今日はねぇ~皆で野生のサメを退治しに行くのぉ~!」
容子「野生のサメって・・・海なんてどこに・・・?」
康子「街で悪さを繰り返しているらしいのぉ~」
容子「ま、街で?」
康子「悪い事ばっかりしてるから懲らしめるんだよぉ~」
容子「サメを退治って・・・危険なことしちゃだめだよ・・・」
康子「大丈夫!3人いるから!」
容子「駄目よ!私も行くわ!」

〇川沿いの公園
野生のサメ「キシシシ・・・今日もたくさんの悪さをしてやるぞ!!」
容子「お待ちなさい!悪さはこの私が許さないわよ!!」
野生のサメ「な、なんだ貴様は!!」
容子「康子ちゃん!やってしまいなさい・・・!!」
  私は容子。
  特に目立った取柄もなく普通に生きる16才の高校生だった・・・
  家庭では家族との目立ったトラブルはなく良い子でも悪い子でもない。
  至って普通のはずだった・・・
  学校の中では目立つ事は一切せず、大勢の中に埋もれている・・・
  それが賢い生き方だとずっと思っていた・・・
  目まぐるしい日常の中でいつの間にか私の中に存在理由が芽生え始めていた・・・
  今できる事を精一杯がんばって突き進んでいこう・・・正解なんていくつもあるんだ・・・END

成分キーワード

ページTOPへ