エピソード5(脚本)
〇広い公園
小石川糸「なぁに、こんなところに呼び出して」
恭子「糸・・・。最近、具合が悪かったんでしょう?もういいの?」
小石川糸「あ、うん。知らない内に誰かの恨みを買ってたみたいなんだけど」
小石川糸「憤怒にぃに、誰かの怒りの糸を切ってもらってから調子いいよ」
小石川糸「また彼氏とケンカでもした?」
恭子「・・・・・・」
小石川糸「ん?」
小石川糸「恭子ちゃん、髪の色、変えてからなんか雰囲気、変わったよね」
恭子「・・・おかしい?」
小石川糸「ううん。大人っぽくっていい感じだよ」
恭子「もしかして糸・・・」
小石川糸「ん?」
恭子「お兄さんたちからなんにも聞いてないの?」
小石川糸「聞くって、なにを?」
「糸~!」
小石川楽哉「そうか・・・それじゃ~、イノリガミって、恭子ちゃんだったのか」
小石川糸「イノリ・・・ガミ・・・?」
小石川噴気「糸に怒りの感情を持っていたのは恭子ちゃん。つまり恭子ちゃんが祈り神だったというわけだ」
小石川糸「ちょ・・・ちょっと、なに言っているのか、まったく意味がわからないんだけど!」
小石川楽哉「オレたちもさっき親父から聞いたばっかりだよ」
小石川糸「お父さん? えっ、モロッコから帰ってきたの?」
小石川噴気「いや、糸電話で連絡した。親父によると、運命の赤い糸を操る糸師は、15才になると恋師になり得る資格ができる」
小石川楽哉「ただ恋師になれるのは、たった一人。その座を賭けた闘いに敗れた術師は、能力を失ってしまうらしい」
小石川噴気「恭子ちゃんのお母さんは元々、オレたちと同じ糸師だったが、ライバルだったオレたちの母親との闘いに敗れて普通の人間になった」
小石川楽哉「普通の人間として祈り紙一族の男と出会い、結婚して、恭子ちゃんを生んだ」
小石川糸「じゃあ恭子ちゃんは・・・」
小石川噴気「イノリガミだ」
小石川楽哉「祈り紙一族と糸師の間には、因縁に満ちた憎しみの歴史があるそうだ」
小石川噴気「恋師の座を賭けて、糸と恭子ちゃんは、闘わなければならない」
小石川糸「そんなのイヤだよ。なんで闘わなきゃなんないのよ」
小石川噴気「少なくとも恭子ちゃんは・・・」
小石川糸「恭子ちゃんは?」
小石川噴気「最初から闘うつもりで、お前に近づいたんだと思う」
小石川糸「えっ?」
小石川楽哉「糸に運命の赤い糸を結ばせさせたり、調整させたのもおそらく、こっちの手の内を知るためだったんじゃないかな」
小石川糸「そんな・・・」
小石川噴気「とにかく恭子ちゃんと糸、闘って勝ったほうが恋師として生きていける。負けたら・・・」
小石川糸「負けたら?」
小石川楽哉「糸師としての能力を失い、ただの人間になる」
小石川糸「普通の・・・普通の女の子になるの?」
小石川噴気「普通の女の子になり、普通の恋愛をして、普通の幸せを手に入れるか、もしくは・・・」
小石川糸「もしくは?」
小石川噴気「別の術師の元に嫁ぎ、女の子を産み、その子が恋師の資格を得る15才になるのを待って、自分の仇を討たせるか」
恭子「そう、私のお母さんのように!」
恭子「ただの人間が、術師の家に嫁ぐって生半可な覚悟じゃできないんだよ」
小石川糸「えっ?」
恭子「能力がある者がなんの努力もしないでできることを、何年も何年も修行して・・・」
恭子「それでもできなくって。だから術師の親戚や家族からは嫌味を言われたり、意地悪をされたり、いじめられたり・・・」
恭子「それでも私のお母さんは、歯を食いしばって耐えてきた、私を恋師にするために!」
小石川糸「恭子・・・ちゃん」
恭子「そのお母さんも・・・去年、死んだ。最後の最後まで私に恋師になるんだよ、絶対に恋師になってねって言って!」
「小石川糸、紙織恭子、闘いを始める準備は、整いましたか?」
小石川糸「この声は!?」
恭子「マスターオブ恋師! もちろん闘う準備はできております!」
「小石川糸、あなたはどうですか?」
小石川糸「私は・・・そのう・・・まだ心の準備が」
恭子「はあ? なにぬるいこと言ってんのよ! 私のお母さんはこんな甘ったれた子の母親に負けたのかよ!」
小石川楽哉「あの二人、いったい誰と話してるんだ?」
小石川噴気「たぶん二人だけにしか聞こえない術師の声があるんだろう」
「どうしますか、小石川糸。闘わなくてもいいんですよ。負けを認め、この場から立ち去ることもできます」
恭子「ふざけんな!」
「どうしましたか、紙織恭子。無駄な血を流さずとも、恋師の資格を得ることができるんですよ?」
恭子「それじゃあ、なんのために15年間! なんのために私は生きてきたのか・・・」
恭子「なんのためのお母さんが失意の中で死んでいったのか、わからないじゃないですか!」
小石川糸「・・・わかりました」
恭子「・・・・・・」
小石川糸「私・・・闘います!」
恭子「そうこなくっちゃ!」
「ではこれよりバトルを開始します。どちらか一方が、倒れるか負けを認めるまで闘ってもらいます。それでも勝敗がつかない場合は
こちらが決めた対象者と自分自身を結ばせた者を勝者とします。バトル、スタート!」
恭子「こっちから行かせてもらうよ! ナカキヨノトオノネフリノミナメサメナミノリフネノオトノヨキカナ!」
小石川糸「枕の下の玉手箱、開けてみたれば、何事もなし!!!」
恭子「ちっ! なかなかヤルわね」
小石川糸「上から読んでも下から読んでも同じ文。折り紙帆掛け船回文呪文でしょ」
恭子「なかなかやってくれるとは思うけど・・・」
恭子「防御はしょせん、防御なんだよ!」
小石川糸「・・・・・・」
恭子「そっちが攻撃してこないっていうんなら、こっちから仕掛けてやるよ!」
読んでいたら、なんか子供の頃テレビで見たスケバン刑事を思い出してしまいました。
糸ちゃんは、ゆとり世代っぽいですね(笑)
糸ちゃん、親友の恭子ちゃんの裏の顔を見てショックですね〜😱恭子ちゃん、いい具合い?に黒くて好きですwやっぱりバトルは避けられないんですか😭帆掛け舟回文呪文さすがですね!!実は前ストーリーの噴気にぃ「八つ手〜」は頭文字並べで言葉がでるのかなと深読みしてしまいました💦糸ちゃん恭子ちゃんのバトルは延長戦がある気配!?続きも楽しみです❤