ウナギとり食せ!

ましまる

精力増強!(脚本)

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ましまる

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〇散らかった職員室
るる「しつれいしま~す!」
せんせー「んっ、職員室までどうしたの?」
るる「あのー、せんせーに質問があって・・・」
るる「さっき教室でウナギを食べた話をしてたら 男子が「精力!」ってはしゃぎ出したの!」
るる「「精力」ってどういう意味なんですか?」
せんせー「あー・・・」
せんせー「男子も、お年頃ね~ 可愛いったらありゃしないね・・・」
るる「ふぇっ!?」
せんせー「その「精力」の元々の意味は、、、 「精神や肉体の活動する力。活力」ね!」
せんせー「心から全身あちこちまで、 エネルギーや血液が循環して、 元気になる様を指す言葉だから」
せんせー「そこから派生して、 男子の肉体の極々一部の局所スポットに、 血液が巡って元気になるって意味で 使われたりもするわ」
るる「きょ、局所スポット!?」
せんせー「そ、その男子も毎日のように、 局所スポットがバッキバキに(表現規制)」
るる「バッキバキ!?」
せんせー「そんな生態の男子だから、 どこかで「ウナギ=精力」と聞き さらに「精力=バッキバキ」と考えて、」
せんせー「「ウナギ=バッキバキ」と 頭の中で繋がったのかしらね」
るる「え~っ!!」
せんせー「「精力=エネルギー、活力」と ちゃんと理解していたら はしゃいだりは無かっただろうけどね」
せんせー「でも、エネルギーと知っていても、 それを前後運動のための動力か何かと 妄想してるかも・・・」
るる「・・・前後運動?」
せんせー「でも、人の多いところで、 こんな話をしたらダメね・・・ 聞き耳を立てている男の人もいるし」
せんせー「そんな人には、 「精力」の意味をちゃんと知っていたのか 聞いてみましょうかね?」
せんせー「どうせ「精力剤」の「精力」から 変な連想でもしてたのじゃない? 精力剤もガブ飲みしてそうだし・・・」

〇散らかった職員室
るる「で、精力がアップする物を食べたら、 みんなバッキバキになるんですか?」
せんせー「バッキバキについては深掘りしないけど、 確かに元気になるわね!」
るる「・・・げ、元気!?」
せんせー「そ、精のつく食べ物を食べると、 年頃の男子なら全身が元気になって 自動的にアッチも元気になるわね」
るる「・・・じ、自動的に元気!?」
せんせー「変な妄想しているのは置いておいて、 精力・・って言うと妄想が続きそうなので 元気になる食べ物を紹介するわね」
るる「はーい!!」
せんせー「まずは、何と言っても「ニンニク」ね!」
せんせー「ニンニクに含まれる「アリシン」が、 疲労回復に効くビタミンB1の吸収を 飛躍的に高めてくれるの」
せんせー「だから、ビタミンB1がたっぷりの 豚肉と一緒に食べるというのは、 とっても理にかなっている食べ方ね」
るる「ほぇー!?」
せんせー「あとは、「レバニラ」なんかもいいわね!」
せんせー「豚レバーは、タンパク質やビタミンB1、 各種アミノ酸や亜鉛なんかもたくさんで、 「栄養の宝庫」って言われているわ」
せんせー「そこに、栄養満点のニラが加わるの! βカロテンやビタミン、カリウム、葉酸や 食物繊維もいっぱいの食べ物だから」
せんせー「ニンニクで触れた「アリシン」も、 ニラにもたくさん含まれているわよ」
るる「ほぇー、そーなんですね!!」
せんせー「納豆やオクラ、山芋なんかもいいわね! あのネバネバの正体は「ムチン」といって タンパク質の吸収をよくしてくれるの」
せんせー「あの徳川家康も75歳まで生きて、 当時ではかなりの長寿なんだけど、」
せんせー「長芋とレンコンのトロロを好んで 食べていたからって言われているわ!」
るる「トロロって体にいいんだー!!」
せんせー「あの白くてドロドロしたのを、 ゴックンするのが健康的なのよ!」
せんせー「口周りにも白いのをつけたままで、 ドロっと喉通りの悪いのをゴックンと!」
せんせー「・・・あっ、 変な妄想した人、いないわよね!?」

〇散らかった職員室
るる「せんせー!! ウナギも元気になる食べ物なんですか!?」
せんせー「そうそう、ウナギは栄養面で言ったら、 最高の健康食なのよ」
せんせー「特に、夏負けした体には、 もってこいの栄養補給になるわね!」
せんせー「その効能が良すぎるせいで、 本来は初冬が旬なのに、 夏の食べ物って勘違いされてるわ」
るる「えーっ、知らなかったー!!」
せんせー「ウナギは冬眠するから、その前に 体に栄養を蓄えて美味しくなるのよ」
るる「栄養たっぷりで、脂もたっぷりそう!」
せんせー「そうそう、日本では大昔から そんなウナギは健康食とされてきたの」
せんせー「縄文時代から食べられている、 とても身近な栄養食なのよ」
せんせー「その割に、ニホンウナギの産卵場所が 判明したのは近年になってから」
せんせー「その場所は、マリアナ諸島の近海。 日本から2,500kmも離れたところね」
るる「ほぇー、すごい!!」
せんせー「そんな身近なんだけど 不思議な存在のウナギについて、」
せんせー「万葉集には、こんな歌があるわ・・・」
  石麻呂爾 吾物申 夏痩爾 吉跡云物曾 武奈伎取食
  
      ──『万葉集』第十六巻 3853番歌
せんせー「「石麻呂に われもの申す 夏痩せに 良しといふものぞ 鰻とり食せ」と読むわ」
せんせー「これは大伴家持の歌とされていて、 お友達の吉田連老(通称石麻呂)に対し 読んだ歌ね」
せんせー「夏痩せにはウナギが効くぞー、って歌よ」
せんせー「大伴家持は8世紀の人だから、 その頃からウナギは効果抜群だったのよ」
るる「すごーい!!」
せんせー「そこから時代は下るけど、 古川柳でもこんなのがあるわね!」
  提灯の弓には鯨より鰻
せんせー「これに限らず、 「提灯」には「鰻」が良く効くという 川柳はたくさんあるわよ」
るる「「提灯」って、時代劇とかの 手に持つ明かりのことだよね!?」
せんせー「そう、灯火の周りを和紙で囲んでいる アレのことね!」
るる「それで、その提灯とウナギが どう関係あるんですか!?」
せんせー「江戸時代の隠語なんだけど、 「提灯」は体のとある部分を指す言葉よ」
せんせー「使用時には、ピンと伸ばして 明かりを灯したりするんだけど・・・」
せんせー「それ以外の時は、 くしゃくしゃに短く縮めているもの」
せんせー「そんな体の部分、人間にあるでしょ!?」
るる「ほぇっ!?」
せんせー「男の人は、ちゃんとウナギを食べないと、 肝心なときに明かりが灯らずに、 「畳み提灯」になっちゃうかもね」
せんせー「そんな役にも立たない提灯なんか、 切り落として廃棄処分ね!」
るる「えー、提灯ってどこのことを言ってるの?」
るる「ねえ、教えてーっ! 見せて見せてーっ!」

コメント

  • ウナギ食べたくなったので買って帰ろうと思います😋旬は夏じゃないんですねー。
    職員室でこんな話してる人がいたら私も聞き耳立てちゃいますね…
    「普段は縮んでるけど使用時には伸びるモノなーんだ?」ってなぞなぞにもできますね。
    答えは提灯一択ですね!

  • 夏の終わりに美味しい鰻の蒲焼きの話でも読もう…と思ったら、全然そんな話じゃありませんでした(笑) 役に立つ話も豊富で夏休みの自由研究にも最適の作品ですね。

  • 昔は、こういう時、「はいよー」って見せてあげる豪の者の一人や二人は、いたもんじゃ、のぅ、爺さん。
    下ネタから大伴家持まで、幅広い知識に脱毛、いや、脱帽です。

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