私の守護霊

セーイチ

私の守護霊(脚本)

私の守護霊

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〇おしゃれなキッチン
亜希子「良し、今日のおつまみ完成~」
  もーーーヤダーーー!
亜希子「な、何事!?」
亜希子「何よ騒々しい」
愛絆美「お母さん!」
愛絆美「アイツ何とかしてよ!」
亜希子「アイツ?」
愛絆美「アイツよアイツ!」
愛絆美「護人(もりと)の事!」
亜希子「護人がどうしたの?」
護人「・・・愛絆美(ななみ)」
亜希子「あら護人、お腹すいた?」
亜希子「お供え物のお饅頭は買ってあるわよ」
護人「いや、そうじゃなくて・・・」
亜希子「!!」
亜希子「な~に~?アンタ達、またケンカしたの?」
護人「ケンカと言うか・・・」
愛絆美「女子中学生が狭い部屋にオッサンと二人きりとか、絶対有り得ないから!」
亜希子「オッサンって・・・」
亜希子「護人は守護霊よ」
亜希子「性別とか年齢の概念はないって言ったでしょ」
愛絆美「見た目オッサンなんだから、オッサンでしょ!」
愛絆美「ふつーのオッサン!」
護人「・・・」
亜希子「愛絆美!」
亜希子「護人は代々我が一族を護り続けてるの!」
亜希子「私達の家族なのよ!」
愛絆美「本当の家族だったら尚更でしょ!」
愛絆美「幾ら姿を消してるからって部屋でもお風呂でもトイレでも、何時も一緒じゃない!」
愛絆美「トイレを覗く家族が居る!?」
亜希子「仕方ないじゃない、宿主を護る事が守護霊の仕事なんだから」
愛絆美「女子のトイレ覗く仕事って何なの!」
護人「別に覗いてる訳じゃ・・・」
亜希子「そうよ、護人が人間に欲情する訳ないから・・・」
愛絆美「そう言う問題じゃない!」
亜希子「!?」
護人「!?」
愛絆美「今後は絶対に私の部屋に入らないで!」
愛絆美「お風呂も!トイレも!」
愛絆美「学校にも付いてこないで!」
愛絆美「絶対に!」
亜希子「まったく、アノ娘は・・・」
護人「・・・」
亜希子「ごめんね、護人」
護人「いや、亜希子(あきこ)が謝る事じゃない」
護人「愛絆美をわかってやれない俺が悪いんだ」
亜希子「仕方ないわ」
亜希子「あの子も年頃だから」
護人「・・・」
亜希子「そんなに落ち込まないで」
亜希子「お父さんが晩御飯中だから、偶には一緒に晩酌しましょ」
亜希子「お神酒用意するから」
護人「・・・」
護人「・・・ありがとう」

〇女の子の一人部屋
愛絆美「っとにもう」
愛絆美「何で私ばっかり・・・」
愛絆美「クラスの子の守護霊は」
愛絆美「カッコ良かったり」
愛絆美「綺麗だったり」
愛絆美「可愛かったりするのに」
愛絆美「何で私の守護霊だけオッサンなの?」
愛絆美「有り得ない・・・」
愛絆美「・・・」
愛絆美「蒼(あおい)君の守護霊はカッコ良かったなぁ」
愛絆美「護人とは、釣り合わないよなぁ・・・」
愛絆美「はぁ・・・」

〇華やかな寮
愛絆美「・・・」
  護人は本当につてきていない様だ
  姿を消していても、近くに居ればわかるはずだから
舞「愛絆美~おはよ~」
愛絆美「おはよ、舞(まい)」
舞「アレ?愛絆美、護人君は?居なくない?」
愛絆美「・・・置いてきた」
舞「置いてきた!?」
舞「それ守護霊の意味なくない?」
愛絆美「別に居なくたって良いよ、あんなヤツ」
舞「・・・」
舞「・・・愛絆美ぃ~」
愛絆美「な、何?」
舞「気持ちはわからんでもないよ?」
舞「守護霊ってのは四六時中一緒にいる」
舞「息苦しくなる時もある」
舞「でも守護霊がいるから、アタシ達は安全に暮らせてんだよ?」
愛絆美「それは、そうだけど・・・」
舞「ケンカは良いけど、早いトコ仲直りしときなよ」
愛絆美「・・・」
愛絆美「舞は良いよ」
愛絆美「そんな可愛い守護霊なんだもん」
白虎「にゃぁ~~」
舞「いやいや、ウチの子だってウザい時もあるよ」
舞「基本わがままな、かまってちゃんだから」
白虎「ニャァアアーー!」
舞「ホラね?」
愛絆美「それくらい良いじゃない」
愛絆美「私なんて、ただのオッサンなんだから」
舞「でも愛絆美の家って、ずっと大きな事故とか事件とは無縁だったんでしょ」
舞「それって護人君のお陰じゃないの?」
愛絆美「偶々だよ」
舞「そーかなぁ?」
蒼「おはよう」
舞「お~蒼~、おっす~」
愛絆美「お、おはよう」
蒼「何の話してたの?」
舞「守護霊の話~」
蒼「守護霊の?」
舞「蒼の守護霊はカッコ良いよね~」
舞「ガルヴィだっけ?」
蒼「うん」
舞「魔人騎士を連れ歩いてる中学生なんて、なかなか居ないよ」
蒼「いや、偶々父親の家系に魔術師が居たってだけで」
蒼「俺は召喚された彼を紹介されただけだよ」
蒼「彼も守護霊になる事を快く承諾してくれてね」
舞「親戚が召喚士って、勝ち組かよ!」
蒼「勝ち組って・・・」
蒼「舞の守護霊だって凄いじゃないか」
蒼「白虎だっけ?」
舞「そ、見た目ただの猫だけどね~」
舞「京都旅行で出合ったんだけど・・・」
舞「こう見えて四聖獣だから、将来はそれなりに強くなる予定〜」
白虎「にゃあ♪」
愛絆美「・・・」
麗華「アラ皆様、おはようございます」
舞「麗華(れいか)じゃん、おはよ~っす」
愛絆美「お、おはよう」
蒼「おはよう」
舞「アレ?」
スペクター「・・・」
舞「麗華の守護霊ってそんなんだっけ?」
麗華「この子は先日アメリカの祖父から送られて来ましたの」
舞「何か、怖そうだね・・・」
麗華「そうですわね」
麗華「何せ200年もの間、邪霊として暴れまわっていたらしいですから」
麗華「取り押さえるのに、武闘派の守護霊が10体必要だったとか」
舞「マジ?」
麗華「戦闘能力は折り紙付きですから」
麗華「祖父が私の守護霊に是非、と」
舞「はぁ・・・これだからセレブは」
麗華「私が望んだ訳ではございません」
麗華「祖父から孫への愛の証ですわ」
スペクター「・・・」
麗華「そう言えば、愛絆美さんの守護霊は・・・」
愛絆美「!!」
愛絆美「わ、私先行くね!」
舞「あっ!ちょっと愛絆美!」
舞「ったく、アノ子は~」
蒼「何?何かあったの?」
舞「っま、良くある思春期の悩みってヤツさ」
蒼「・・・はぁ?」

〇教室
  その日、私は舞と蒼君、そして麗華の事を避けてしまった
  休み時間になると、教室を抜け出して一人になった
  そこまでした理由はわからない
  誰が悪い訳でも無い
  いや、悪いのは私だ
  それはわかってる
  わかってるんだけど・・・
愛絆美「はぁ・・・」
  結局、下校時間になっても皆に合わせる顔が無く
  私は早々に帰宅する事にした

〇華やかな寮
愛絆美「・・・」
愛絆美「ん?」
愛絆美「何だろう、何か騒がしいような・・・」
愛絆美「な、何?」
  改めて見ると、校門の前で生徒や先生が騒いでいる
教師「守護霊が暴走したぞ!」
愛絆美「アレは先生と・・・」
麗華「・・・!!」
愛絆美「麗華?」
愛絆美「そしてアレは・・・」
スペクター「・・・」
愛絆美「麗華の守護霊!?」
教師「生徒は全員下がれ!自分の守護霊で身を守れ!」
愛絆美「!?」
愛絆美「に、逃げなきゃ・・・」
「きゃっ!」
愛絆美「痛たた・・・」
愛絆美「何で何もない所で転ぶの!私のバカ!」
スペクター「気に入らん!気に入らんぞ!」
スペクター「なぜワシが人間を守らねばならぬのだ!」
スペクター「ワシは200年もの間、邪霊として存在しているのだぞ!」
スペクター「なぜ人間のガキに憑かねばならんのだ!」
  守護霊の暴走
  それは人間と契約した守護霊が謀反を起こす事
  本来、守護霊は宿主や周囲の人間を傷付けられない様に契約されている
  しかし、守護霊の自我が強過ぎたり、契約に不備等があると稀に発生する場合が有る
教師「止めろ!生徒達に被害が出る前に止めるんだ!」
守護霊「!?」
スペクター「何だ貴様ら・・・」
スペクター「邪魔だぁ!」
  グォオオオオ!!
スペクター「人間如きに尻尾を振っている軟弱モノに、俺が止められるかぁ!」
  麗華の守護霊が私に向かってくる
  いや、守護霊の向かう先に私が居ると言うべきか
麗華「愛絆美さん!逃げて!!」
スペクター「邪魔だぁ!!」
愛絆美「キャァアアア!!」
舞「びゃっくん!」
白虎「ニャァアア!!」
蒼「ガルヴィ!」
ガルヴィ「オウ!」
舞「愛絆美!大丈夫!?」
蒼「愛絆美さん!下がってて!」
愛絆美「舞、蒼君・・・」
スペクター「邪魔だと言っている!」
白虎「ギニャァアアア!」
舞「きゃぁあ!」
ガルヴィ「グオォッ!」
蒼「うわぁあ!」
愛絆美「舞!蒼君!」
スペクター「くだらん!くだらん!」
スペクター「くだらん!人間など!」
スペクター「人間など必要ない!」
スペクター「ワシらを苦しめる人間など!」
愛絆美「!!!」
スペクター「全て消えてしまえ!!」
愛絆美「キャァアアア!!」

〇黒
愛絆美「・・・」
愛絆美「・・・・・・」
愛絆美「・・・・・・アレ?痛くない・・・」

〇華やかな寮
愛絆美「・・・え?」
愛絆美「護人・・・」
スペクター「何だ貴様は?」
護人「・・・それはコチラのセリフだ」
護人「お前は誰に向かって牙をむいている・・・」
スペクター「何だと?」
護人「貴様は誰を傷付けようとしいているかと聞いているんだ!」
愛絆美「!?」
スペクター「お、お前は・・・」
護人「たかだか200年如きで自惚れおって・・・」
護人「俺の家族に手を出そうなど・・・」
スペクター「ま、待て・・・」
護人「1000年早いわ!!」
「ぐ・・・ギャァアアアアアア!」
護人「若造が」
護人「・・・」
愛絆美「・・・護人」
護人「・・・すまん」
愛絆美「ま、待って!」
愛絆美「護人!」

〇おしゃれなキッチン
愛絆美「・・・」
亜希子「あら、お帰り」
亜希子「何?深刻な顔しちゃって」
愛絆美「・・・護人って、何であんな格好してるの?」
亜希子「・・・何の事?」
愛絆美「とぼけないで!」
愛絆美「私見た!炎の獣みたいな護人を!」
亜希子「・・・」
愛絆美「お母さん!」
亜希子「そう、見ちゃったなら仕方ないね・・・」
亜希子「コッチに座りなさい」

〇シックなリビング
亜希子「・・・」
亜希子「まず率直に言うわ」
亜希子「護人はね、家の遠いご先祖様が助けた狐の化身なの」
愛絆美「狐?」
亜希子「義理堅い狐だったらしくてね」
亜希子「生きている間も死んだ後も、ご先祖様を見守ってくれてた」
亜希子「そしてご先祖様が亡くなった後も、代々家系を見守ってくれてた」
亜希子「その時の護人は、人ではなく家に憑く守護霊だったの」
亜希子「そのお陰で、家は長い間大きな事件や事故に合わずに暮らせていた」
亜希子「でも、ある時にアナタの祖父が亡くなってね・・・」
亜希子「幼いアナタは深く悲しんだ」
亜希子「お爺ちゃん子だったからね」
亜希子「アナタの悲しみ様は酷くてね」
亜希子「毎日泣いて、泣き疲れて眠り、起きたらまた泣いての繰り返しだった」
亜希子「アナタは幼いながら、人の死と言うモノを理解しすぎていたのかも知れない・・・」
亜希子「そして幼いからこそ、受け止め切れなかった」
亜希子「その様子が、あまりにも不憫でね」
亜希子「護人がアナタ個人に憑くと言い出したの」
亜希子「お爺ちゃんの代わりにって・・・」
愛絆美「じゃ、じゃあ護人の普段の姿は・・・」
亜希子「アナタのお爺ちゃんの姿よ、生前のね」
愛絆美「!?」
愛絆美「な、何で・・・」
愛絆美「何で黙ってたの?」
亜希子「アナタが悲しむと思ったからよ」
亜希子「幼い頃の事だから覚えてないかも知れないけど・・・」
亜希子「お爺ちゃんの姿をした護人が傍に居る時だけ、アナタは泣かなかった」
亜希子「でも護人とお爺ちゃんは別・・・」
亜希子「アナタが小学校に上がる前、ちゃんと説明しようと思った」
亜希子「でも、不思議な事にアナタはお爺ちゃんの事を覚えていなかった」
亜希子「お医者さんに聞いたら、ショックの為に記憶を混同しているかもって言われた」
亜希子「だから護人の意向で、自分が祖父の姿をしている事はアナタに知らせない様にしてたの」
亜希子「祖父の死を思い出させない様に」
亜希子「また悲しまない様にって」
愛絆美「・・・」
亜希子「気付いてたでしょ?」
亜希子「実家の仏壇に、お爺ちゃんの写真が無かった事」
  そうだ、思い出した・・・
  仏壇だけじゃない
  私がお婆ちゃんに、お爺ちゃんの写真を見たいと言っても
お婆ちゃん「お爺さんは写真が嫌いだったからねぇ・・・」
  そう言われ続け、私は物心がついてから一度も祖父の写真を見た事が無かった
  いや、そもそも生前の祖父に会った記憶すらない
  幼い頃から会っていたのは、ずっと護人だと思っていた
  そう、思い込んでいた・・・
亜希子「護人はアナタに本当の姿を見せるつもりは無かった」
亜希子「その自らの戒めを破ったんだから」
亜希子「よっぽどの事が有ったのね」
亜希子「よっぽど、アナタが危険な目にあったのね」
  お母さんはソファから立ち上がり、私を抱きしめてくれた
  記憶が、蘇ってくる・・・
  封印していた記憶
  上書きしていた記憶の、真の姿が・・・
愛絆美「うぅ・・うぅ・・・」
  私は何も言えないまま、ただただ泣き続けた・・・

〇黒
愛絆美「ひっく・・・ひっく・・・」
護人「愛絆美・・・」
愛絆美「やだよぅ・・・おじいちゃん・・・」
愛絆美「いっちゃ・・・やだよ・・・」
護人「・・・」
愛絆美「やだ・・・いかないで・・・」
護人「・・・」
護人「何所にも行かないよ」
愛絆美「・・・ほんと?」
護人「ああ、ずっと愛絆美の傍に居る」
愛絆美「・・・」

〇女の子の一人部屋
愛絆美「・・・」
愛絆美「護人・・・」
愛絆美「ごめんなさい・・・」

〇華やかな寮
舞「おっはよ~」
愛絆美「おはよう」
舞「あれれ?護人君じゃ~ん」
護人「おはようございます」
舞「何で昨日はさっさと帰っちゃったのさ~」
舞「お礼言いたかったのに~」
護人「いや、ちょっと野暮用で・・・」
護人「それにお礼を言うのはコチラの方です」
護人「愛絆美を守ってくれて、ありがとうございます」
舞「や、やだな~も〜!」
舞「そんなの当たり前じゃ〜ん!」
護人「しかし・・・」
舞「まぁまぁ〜」
舞「びゃっくん達も無事だったし」
白虎「にゃあ♪」
舞「麗華も軽い捻挫で明日には来れるって」
舞「結果お〜らいってね♪」
護人「愛絆美は良い友人に恵まれたな」
愛絆美「うん、私もそう思う」
舞「・・・」
舞「ふ~ん」
愛絆美「な、なに?」
舞「いやいや、無事に仲直り出来たんだな~って」
愛絆美「・・・」
蒼「あ、護人さん!」
蒼「おはようございます!」
護人「お、おはようございます」
舞「ちょいちょい、護人君だけに挨拶ってど~よ?」
蒼「あ、ごめんごめん」
蒼「昨日の事を思い出しちゃって」
蒼「昨日の護人さん、滅茶苦茶カッコ良かったです!」
護人「ど、どうも・・・」
蒼「以前から只の守護霊じゃないと思っていました!」
護人「いえ、自分はただ守護霊になってから長いだけで・・・」
愛絆美「・・・」
蒼「今の姿は、真の実力を隠す為だったんですね!」
護人「いや、そう言う訳では・・・」
愛絆美「・・・」
蒼「今度、是非お話を・・・」
愛絆美「護人!さっさと教室行くよ!」
護人「!?」
蒼「!?」
愛絆美「私、今日は日直なんだから!」
護人「お、おい、愛絆美・・・お友達の前でそんな大声を・・・」
愛絆美「良いから!行くの!」
護人「な、愛絆美・・・」
蒼「ああ!護人さん!」
舞「ありゃありゃ」
舞「こりゃまだまだ苦労しそうだねぇ~」
舞「護人君も・・・」
蒼「護人さ〜ん!」
舞「愛絆美もね」
白虎「にゃぁあ~~~」

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コメント

  • それぞれの守護霊が堂々とその存在をアピールしているのがリアリティーを感じられてとてもよかったです。お爺ちゃんも護人の存在を通して彼女を見守っているのでしょうね。

  • すっごいハートフルな物語ですね!あぶないオジサン守護霊が女子中学生につきまとい!?からのスタートでしたが、真相を知るや感動してしまいました!護人さんの過去のお話とかも気になります!

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