エピソード1(脚本)
〇近未来の手術室
目が覚めるとそこは見知らぬ部屋だった
( ´∀`)「ここは?」
体は大の字で両手両足を台に縛り付けられていた。力づくでどうにかできるものではない
モニュメント「お目覚めのようだね」
( ´∀`)「何者だ?」
モニュメント「私は大首領。君を怪人の素体に選んだ者だ」
( ´Д`)「え? 怪人?」
( ´∀`)「悪い、俺はヒーロー志望なんだ。他を当たってくれ。じゃあな」
(;´Д`)「って、動けねぇー!」
モニュメント「君が幼馴染と共にヒーローを目指しているのは知っているさ」
モニュメント「ヒーロー養成学校の入試に落ちたこともね」
(;´∀`)「おいおい、俺のことは全て調査済みってことかよ」
(;´Д`)Σ「え? 入試に落ちたの?」
モニュメント「落ちたよ」
(;´∀`)「いやいや、俺さ4つ受けたよ?」
モニュメント「落ちたよ」
(;´Д`)「通信講座とか教習所とか試験なかったけど?」
モニュメント「落ちたよ」
( ´Д`)「なんでだよ?!」
モニュメント「君たちは学科、実技は合格したが、適性試験がね。うわっ、なにこれ」
( ´∀`)Σ「なんか俺の知らない俺のことでドン引きされてるんだけど?」
モニュメント「自分の胸に手を当てて思い出してみるといいさ」
( ´∀`)「えー?」
〇作業場の全景
( A )「くらえ!」
試験用怪人「ぐがぁっ!」
もゆる「目標地点まで1m。こっちは準備OKだよ」
( A )「これで決める! どらぁー!」
試験用怪人「ぶごぉ!」
怪人は最後の乱打を耐えきれず、小屋の中へと転げてゆく
( A )「今だ、もゆる!」
もゆる「爆破スイッチオン!」
小屋に仕掛けられた爆弾が爆発する
その爆発はすぐに小屋にある花火の火薬に引火し、連鎖的に大爆発を引き起こす
試験用怪人「ぶばぁ・・・」
( ´∀`)「やったか? あ・・・」
もゆる「・・・」
もゆる(やったか?と言っちゃったって顔してる)
もゆる(怪人の反応消失確認。別に大丈夫だったけど)
(;´∀`)(やってなかったらどうしよ)
もゆる「・・・」
もゆる(もう少し焦らしておこ)
受験者A「怪人を倒しただと? な、なんて奴らだ」
受験者B「馬鹿な、ありえねぇ」
受験者C「流石は我が友。我がライバルに相応しい」
〇近未来の手術室
モニュメント「どうだ、思い出したか?」
( ´∀`)「ちゃんと怪人を倒したじゃねぇか」
モニュメント「怪人倒しても花火工場爆破しちゃダメでしょ」
( ´∀`)「でもあの火力がないと怪人倒せねぇし」
もゆる「被害も最小限に抑えたよ?」
( ´∀`)「そもそも花火工場燃やすなって言われてないしな」
モニュメント「あれは怪人の被害を抑えろって試験だから。被害拡大してどうすんの?」
( ノ∀`)「え、そっち?」
もゆる「まさかひっかけ問題だったとは」
モニュメント「そっちしかないと思うけど?!」
モニュメント「まあ二人共、適性がないことは分かったかな?」
モニュメント「だが逆に言えばそれはヴィランの素質が非常に高いということだ」
( ´∀`)「それで怪人にしようってわけか」
モニュメント「そういうことさ」
( ´∀`)「やれやれだぜ。俺には約束があるんでね、怪人になるわけにはいかないのさ。なぁ、もゆる」
もゆる「もちろんだよ」
( ´∀`)「・・・」
もゆる「?」
(;´Д`)「って、もゆる?! なぜそこに?」
モニュメント「ははっ、彼女こそは君を怪人へ改造する科学者さ」
( ´∀`)「あー、あれか。わざと悪の手先になった振りして助けに来た的な」
もゆる「えっとね、最新の改造機器使い放題で君の体を好きにしてもいいよって言われちゃってね」
もゆる「我慢・・・できなかったの」
( ´Д`)Σ「幼馴染よ、君は何故悪魔に魂を売ったのか?!」
もゆる「それに怪人になれば番組後半でヒーローへ転身する展開とかできるんだよ? とっても胸アツなんだよ? 格好いいんだよ?」
( ´∀`)「いや、そんな展開──」
(*´∀`)b「いいじゃん」
もゆる「でしょ?」
モニュメント(大首領の前で裏切りの算段たてられても困るんだけどなぁ)
もゆる「あ、そうだ」
もゆるは何か思い出したのか、急に俺の隣にくっついて寝転がり、スマホでツーショットを撮った
スマホに映し出される映像は、世間的には何か誤解を招きそうなのが映っている
( ´∀`)「え?」
もゆる「えとね、お姉ちゃ・・・ 大首領がね、こういうの持っておいたほうが後で何かと便利だっていうから」
もゆる「せっかくのチャンスは生かさないと、ね」
(;´Д`)「何に便利? そもそも今、大首領のことお姉ちゃんって言いそうになってなかった?! これ家族ぐるみの犯行なの?!」
もゆる「・・・それじゃあ、始めよっか?」
もゆる「改造手術を」
( ´Д`)Σ「雑に誤魔化した!」
〇近未来の手術室
モニュメント「さて怪人になった気分はどうかな?」
( ´∀`)「疲れた」
もゆる「私も」
モニュメント「二人とも朝まで激しかったからな」
モニュメント「ふぅ、いいものを見せてもらったよ」
( ´∀`)Σ「言い方が酷いんだが」
モニュメント「そうそう。お楽しみの余韻に浸っているところ悪いが、怪人の力を早く見ておきたくてね」
モニュメント「面白いカードを組んでおいたよ」
( ´∀`)「なんだと?」
???「友よ、無事か?」
( ´∀`)Σ「え?」
もゆる「んー?」
ドアを壊して入ってきたのは見覚えのある顔だった
( A )「面白いカード。まさか、お前だったとはな」
(;´∀`)(こいつ、誰だっけ)
もゆる「実力を測るには丁度良い相手だね」
もゆる(たしかガイが付く名前だったような)
モニュメント「ようこそ、ヒーロー学園筆頭合格」
モニュメント(やばっ、書類にコーヒーこぼして名前が読めない)
モニュメント「だが少々手遅れだったようだね」
凱「ま、まさか!」
モニュメント「既に事後だ」
モニュメント(なんか警察関連だったような)
もゆる「事後だね」
もゆる(ガイに門がついて・・・ 凱旋門?)
( ´∀`)「え? あー、そうだな」
( ´∀`)(名前、名前・・・ あっ、アレだ!)
凱「くっ、遅かったか」
凱「友よ、なぜ君は悪魔に体を売ったのか?」
( ´Д`)Σ「売ってねぇよ! とんでもない勘違いするなよ、奇想天 外!」
もゆる「違うよ、凱旋門 ショウ君だよ」
モニュメント「え? 科捜研 女君じゃなかったっけ?」
凱「誰だ、それは。俺の名は桜田門 凱だ!」
( ´∀`)「あ、惜しい」
もゆる「凱と門が当たった」
モニュメント「今からでも遅くない、科捜研に改名しないか?」
凱「あれ、もしかしなくても俺の名前を覚えてない?」
( ノ∀`)「あー、覚えてる覚えてる。確か試験会場で緊張のあまりうんこ漏らしてたよな」
もゆる「それは三方が原君だよ。凱旋門君は肥溜めに落ちてた子だよ」
凱「桜田門! 漏らして落ちてもない!」
( ´∀`)「つーか、お前は何しに来たんだよ?」
凱「二人で人に言えないことをしているというメールと、お前らがくっついてる写真が送られてきたんだ」
凱「だから助けにきたんだよ。名前すら覚えてもらってなかったけどさ!」
( ´Д`)Σ「さっきの写真、早速使われてるじゃねぇか」
凱「メールの内容は本当なのか?」
( ´∀`)「あー、それは」
もゆる「あのね、この手術室は無断使用なの。機材とか薬品とかもね。バレたら大変だよ?」
( ´Д`)「人には言えないことをしているな」
もゆる「具体的にいうと──」
〇近未来の手術室
まず二人で見つめ合って
もゆる「じー」
( ´∀`)「なぁ、目を診て何が分かるんだ?」
もゆる「なんだろうね?」
そっと首元に手を触れて
もゆる「う~ん」
(;´∀`)「首の触診は何のためなんだ?」
もゆる「首のコリを調べてるのかな?」
触れる手を胸元へうつして
もゆる「わぁ、すごいドキドキしてるね」
(;´Д`)「不安しかないんだよ!」
震える手をぎゅっと握って
もゆる「私、注射初めてなの。大丈夫、5、6回も打てば入るはずだから」
(;´Д`)「うわぁー! やめろー! 腕を抑えるなー!」
そして唇をぎゅっと塞いだの
もゆる「麻酔は使い方分からないからクロロフォルムで我慢してね。はい、ぎゅー!」
(;´Д`)「もごごごっ!」
〇近未来の手術室
もゆる「とってもロマンティックな夜だったね」
( ´∀`)「どこらへんが?」
凱「友よ、既にもうそこまで・・・」
モニュメント「NTRってやつだな」
凱「もう見てられない。友として俺が引導を渡してやる!」
もゆる「凱旋門君、別に友達じゃないよね?」
( ´∀`)「そうだぞ、凱旋門。俺は友達がいないんだよ!」
凱「凱旋門じゃなくて桜田門! なんで凱旋門で定着してるんだよ!」
凱「もう許せん、変身!」
凱「SZS-1000型 サザンクロス!」
もゆる「あれはI.S.M社の新型、お値段72万$のやつ」
モニュメント「けっ、セレブのボンボンが!」
凱「さらばだ友よ」
( ´∀`)「ならこっちも変身だ!」
エネルギー残量0 チャージしてください
( A )「・・・」
凱「・・・」
もゆる「まだエネルギー充填してないから変身できないよ」
( A )「充填ってどのくらいかかる?」
もゆる「電気を熱変換だから30分くらいかな」
モニュメント「くくっ、変身中は攻撃しないのがお約束だよな?」
凱「待てるか!」
(;´∀`)「どわぁー!」
もゆる「きゃっ!」
〇白い校舎
( ´Д`)「無事か、もゆる」
もゆる「庇ってくれたから大丈夫だよ」
もゆる「それより、あれ」
もゆるが指さす先には奴と向き合う怪人。その周りには制服に身を包んだ人だかりがあった
生徒会長「君はここがどういうところか知った上で騒動を起こすつもりかい?」
凱「あぁ、知っているさ。悪の組織の構成員を養成してるんだろ?」
生徒会長「確かにそうだが、彼らはまだ悪事に手を染めていない。卒業後は一般人に戻る者だって多い」
生徒会長「かくいう私も有名企業に就職予定で」
生徒会長「ぶべら!」
凱「知るか!」
生徒「会長がやられた!」
生徒「ヒーローが殴り込んできたぞ!」
凱「さあ続きといこうか?」
( A )「ぐわっ!」
もゆる「きゃっ!」
奴の生み出した竜巻に俺たちは容易く空へと弾き飛ばされた
〇空
( ´Д`)Σ「うおぉぉぉ! 思ったより高く飛ばされた!」
凱「これで終わりだ!」
奴の追撃は俺ではなく、もゆるを狙っていた
( A )「もゆる!」
( A )「うおぉぉぉ!」
凱「やはりそいつを庇うんだね。冷静な判断を期待していたんだけどね」
凱「本当に残念だよ!」
炎はたちまち竜巻へとまとわりつき、俺たちを飲み込む
( A )「くっそー!」
もゆる「マクスウェル回路起動確認、BL炉解放許可──」
Energy charge complete.
〇白い校舎
めざといモブ「またやられたぞ!」
驚愕のモブ「ダメだ、あの炎じゃ助からない!」
凱「足手まといなど放っておけばよかったのに」
凱「!?」
???「やれやれ」
めざといモブ「炎の中から怪人!?」
凱「まさか怪人化したのか」
もゆる「迫ってきた炎の熱エネルギーを吸収したおかげでなんとか変身までこぎつけたよ」
???「これが俺の変身。体の感覚が変わった感じがする。自分で自分の体を見ているのか?」
もゆる「視点切替はXで、ガードはL1かR1。チャージ技はY長押しね」
???「え? 怪人化ってそんなシステムなの? つーか、Xってどれ?」
???「ぬっ!」
凱「怪人になった君など見たくなかった」
???「さっきのでやっと思い出したぜ」
めざといモブ「避けないで真正面から向かってる!?」
驚愕のモブ「会長はあれの一撃でやられたんだぞ!」
凱「多少は頑丈なようだな!」
???「お前、試験のときに戦闘力の低い奴らを囮にしてたろ」
凱「やっと思い出してくれたか。そうだ、その的確な判断と迷いなき決断は俺だ」
???「あのとき囮になった奴らを助けるために、俺ともゆるは怪人を倒すことを決めた」
凱「そう、そうだよ! そして君は見事、成し遂げた! だからこそ俺の友に相応しいんだ!」
凱(攻撃してるのは俺だぞ? なのになんで俺が気圧されている!?)
???「・・・」
凱「ひっ・・・!」
???「俺一人じゃねぇ。作戦も、この体も、俺の強さの半分はいつもあいつなんだ」
???「お前如きに壊せるもんじゃねぇんだよ!」
凱「がはっ」
生徒会長「ぐわぁぁ!」
めざといモブ「攻撃の余波で生徒会長がまたやられた!」
凱「強いな、君・・・たちは」
凱旋門はその場へと倒れこんだ。成仏したのだろう
???「さて」
???「帰るか」
もゆる「・・・おんぶ」
???「へ?」
もゆる「足震えちゃって・・・」
???「やれやれ。初戦闘で疲れてるのにな」
もゆる「ふふ、役得」
( ´∀`)「こうやっておぶるのも久しぶりだな」
もゆる「うん。でも今はちょっとゴツゴツして痛いよ」
( ´∀`)「今は怪人だからな。やれやれだぜ」
〇学校の屋上
モニュメント「どうよ、妹の傑作は」
校長「随分とピーキーなチューニングをしている。彼でなければ怪人にすらなれない代物だな」
校長「だが面白い。やはり怪人はこのくらいでないといけないな」
モニュメント「じゃあ安久野学園の入学はOK?」
校長「我らは正義と違って出自も何も気にしないのでね」
校長「歓迎するよ、若人よ」
校長「くくくっ」
校長「あ、校舎の被害と改造手術室で使った消耗品なんだけど」
モニュメント「ふふっ、二人の行く末が楽しみね」
校長「そうだな。それで請求なんだけど」
校長「って、いねー!」
校長「くくっ、彼らが出世払いで払ってくれる日が楽しみだよ」
校長「払ってくれるかなぁ・・・」
前半と後半が舞台も雰囲気もガラリと変わって一つのストーリーで二話分楽しめたような気分です。充電時間や備品の請求とか、ちょいちょいリアルな事情が挟まれるのもいいですね。
正義は必ず勝つ!とよく言いますが、正義とはヒーローでも怪人でも、どちらも正義なのでしょうか。
考えるうちにわけがわからなくなってきて…、ゲシュタルト崩壊してきました笑
コミカルの中にも正義があって、楽しく読みました。
正義と悪。立場が違えば解釈次第で変わるというのも理解しました。次もありそうなので読んでみたいです。