わがままなユニコーン

YO-SUKE

エピソード2(脚本)

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〇オフィスビル

〇応接室
三倉聡子「・・・では山木さん、今日は離婚の原因を詳しく教えて頂けますか」
山木俊介「どこから申し上げていいかわかりませんが、妻はとにかくだらしないのです」
三倉聡子「と言いますと?」
山木俊介「家事などはまるでできず、料理など作らせたらひどいものです」
山木俊介「この間も不恰好なスクランブルエッグが出てきたと思ったら、オムライスだと言い張るくらいです」
三倉聡子「なるほど・・・」
有島孝雄「山木さん、美奈さんは確か料理が得意だとアイドル時代に」
山木俊介「ああ、ファン向けの会報誌などには、そう言ってたみたいですけどね」
山木俊介「あんなのは9割嘘みたいですから」
三倉聡子「へえ。そういうものなんですね」
山木俊介「酒癖も悪いんです」
山木俊介「お風呂上がりに、裸同然でソファでビールを飲んだかと思うと、そのまま眠っちゃったりして・・・」
三倉聡子「元芸能人ですし、とにかくわがままな奥さんであると」
山木俊介「それに、夜はいびきと寝相がひどいんです」
山木俊介「それにオナラも人間のモノとは思えないほど臭く——」
三倉聡子「有島さん?」
有島孝雄「三倉。続きは頼む。 あとで報告書は確認しておくから」
有島孝雄「山木さん、すみません。 少し席を外します」
  引きつった顔で部屋を出て行く有島。

〇田舎の学校
  グラウンドでは女子陸上部の生徒たちが練習している。
  ジャージの香田武志(こうだたけし)が彼女たちの練習を見守っている。
「だから! 俺は不審者じゃないって言ってるだろ!」
「それ以上やると、傷害罪で訴えるぞ!」
香田武志「た、隊長! 何やってんすか!」

〇田舎の学校
有島孝雄「・・・ったく、ひどい目に遭った」
香田武志「不審者に間違えられるなんて、やっぱりヲタクのDNAは消せませんね」
有島孝雄「うるせえ」
香田武志「それより、わざわざどうしたんです?」
有島孝雄「覚悟して読めよ」
有島孝雄「世界中のあらゆるイデア(理想)が一瞬に滅び去り、この世は幻想でできているって事実を知るぞ」
香田武志「いいんですか? こういうのって守秘義務とかあるんじゃないですか?」
有島孝雄「ならいい。読むな」
香田武志「すみません! 読ませてください!」

〇田舎の学校
有島孝雄「だから言ったろ?」
香田武志「ミーナも人間だったんすね」
有島孝雄「人間だったな。 それもごく普通の」
香田武志「隊長、どうするんですか?」
有島孝雄「どうするもなにも、俺はその夫の、山木の弁護をすることになってる」
香田武志「法廷でミーナとご対面ですか?」
有島孝雄「まあ、そこまで行かないのが理想だろうが」
有島孝雄「どちらにしても、依頼人の利益を最優先し、この先もっと彼女のアラを探していくことになる」
香田武志「この案件、降りられないんですか」
有島孝雄「それは俺のプライドが許さない。 自分から依頼人を放棄するなんて」
香田武志「・・・・・・」
有島孝雄「美奈ちゃんがどんなに悪妻だとしても、離婚調停は男が圧倒的に不利であることは間違いない」
香田武志「・・・隊長、1つ思ったんですけど」
有島孝雄「?」
香田武志「いや、うちの生徒たちも、いま流行りのアイドルグループに夢中な子が多いんですけどね、みんな純粋なんですよ」
有島孝雄「・・・・・・」
香田武志「昔よりアイドルが身近になったこともあるかもしれませんが、純粋にアイドルを愛してる」
香田武志「隊長の言うように、アイドルなんて1つの幻想かもしれないですけど」
有島孝雄「何が言いたい?」
香田武志「いえ、別に」
香田武志「・・・ただなんとなく、幻想はいつか滅びても、人を追いかけた想いというか、情熱は、一度火が付いたら消えないんじゃないかって思ったりして」
有島孝雄「・・・・・・」
香田武志「俺、どっか信じてるんだと思います。 ミーナじゃなくて、ミーナを想う隊長の気持ちが色あせないことを」
香田武志「・・・あのとき、俺ら、若かったかもしれないですけど」
香田武志「ミーナを追いかけた気持ちは、やっぱり本物だったんじゃないですか」
有島孝雄「・・・・・・」
香田武志「隊長、どうかミーナをできるだけ傷つけない方法で進めてあげてください」
有島孝雄「・・・・・・」

〇マンションの入り口

〇高級マンションの一室
  ネット上には、有島に対する様々な悪評が書かれている。
有島孝雄「・・・・・・」
  有島が机の引き出しを開けると、そこには無数の手紙が入っている。
  手紙に書かれているのは、有島に対する数々の感謝の言葉だった。
有島孝雄(誰かの弁護につけば、誰かを敵に回す)
有島孝雄(それが弁護士だってことはよくわかっている)
有島孝雄(プロとしての仕事を全うすれば、その結果、誰かを救えても、同時に誰かを傷つけることは日常茶飯事だ)
有島孝雄「・・・・・・」

〇田舎の学校
香田武志「隊長、どうかミーナをできるだけ傷つけない方法で進めてあげてください」

〇高級マンションの一室
有島孝雄「・・・あの野郎、好き勝手に言いやがって」

次のエピソード:エピソード3

コメント

  • スタンドバイミーも好きでしたが、この作品も面白いです!これから楽しみにしてます。

  • 私も14歳の頃から、ずっと好きなグループの事を思い浮かべながら読み進めました。夢の中でありえない対目をして朝浮かれて起きたり、沈んだりすることは未だにあります☺︎続きが楽しみです。

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