APAS討伐部~パートナーになったのは、最凶最悪の怪異でした~

菜鳥オウル

13.料理は準備も大変です。②(脚本)

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〇開けた交差点
時雨「──この人、幻術にかかってた」

〇開けた交差点
APAS職員「それでは、この方はこちらで引き受けます」
玲奈「よろしくお願いします」
玲奈「──これで一段落ね。後は帰ったら須佐川さんにも報告かしら」
猫「どうしてAPASの人間が僕を助けたんだ? あの組織は、怪異の敵なのに」
玲奈「組織の方針はそうだけど、私達には私達の考えがあるの」
猫「お前達の考え・・・? あっ、さてはお前達、最近怪異を助けて回ってるっていう変わり者のやつらだな!」
時雨「ふふっ、変わり者だって」
玲奈「・・・否定はしないわ」
玲奈「それより、さっきの事を詳しく聞きたいんだけど。一体どうしてあんなことになったの?」
猫「僕にも分からない。ごはんを貰ってたら、急にあんな風になっちゃったんだ」
猫「これまでずっと優しくしてくれたのに、いきなり僕に杖で殴りかかってきて・・・」
猫「最近僕らの間でこういうことが増えてるって噂になってたけど、あの人は大丈夫だと思ってたのに」
猫「やっぱり人間なんて近づくべきじゃなかったのか・・・」
玲奈「あのね。さっきのおばあさん、幻術をかけられてたみたいだったわ」
玲奈「その所為であんな風になってたのよ。だからできれば、嫌いにならないであげて」
猫「そっか・・・ うん、嫌いにならないよう頑張る」
玲奈「ありがとう」
玲奈「ところで今、気になる事をいってたわね。あなたたちの間で今日みたいなことが増えてるって」
猫「ああ、そうなんだ。僕みたいに、なにもしてないのに突然人間に襲われるらしくて。それでみんな、人間に怒ってる」
時雨「「突然人間に襲われる」ね。幻術がらみのそんな事件、前にもあったなあ」
玲奈「──!!」
玲奈(そうよ。 この手口は管野くんの時と同じ・・・ ということは!!)
時雨「ちょ、玲奈ちゃん!?」
時雨「待って待って! 急にどうしたの!?」
玲奈「犯人を探しに行くの!」
玲奈「まだこの辺りにいるかもしれないわ! これ以上被害が出る前に捕まえないと!」
時雨「まったくもう、キミは相変わらず猪突猛進なんだから!」
時雨「確かにさっきの幻術に残った妖力は、管野って子の事件の時に感じた妖力と同じだったよ!」
時雨「けど、この辺りでその妖力の持ち主の気配は感じない!」
時雨「もう遠くへ行ったか、それとも妖力を隠したか。いずれにせよ、今すぐ探すのは無理だってば!」
玲奈「・・・」
時雨「それに今日は 僕に料理を教えてくれる日でしょ?  食材も買ったし、最後まで責任持って!」
玲奈「・・・分かったわ」

〇通学路

〇明るいリビング
玲奈「──以上、現場の状況と、 怪異から聞いた話になります。 はい、ええ──では、失礼します」
  ピッ
玲奈「ふぅ・・・」
時雨「報告終わった?」
玲奈「ええ。待たせてしまってごめんなさい」
時雨「いいよ。なんだかんだで夕ご飯に丁度良い時間になってきたし」
玲奈「あら、本当だわ」
玲奈「えーっと、材料も揃ってるし、調理器具も準備OK・・・」
玲奈「よし、それじゃあやるわよ!」

〇おしゃれなキッチン(物無し)
玲奈「まずは玉ねぎを切ります」
時雨「それくらいなら簡単だよ!」
時雨「えーい!」
玲奈「ま、待って! それじゃ手を切っちゃうわ!」

〇おしゃれなキッチン(物無し)
玲奈「次、ご飯を強火で炒めます」
時雨「強火かぁ。 炎系の術は得意じゃないんだけど・・・」
時雨「それっ!」
玲奈「こらーっ、術は禁止! コンロの使い方教えるから!!」

〇明るいリビング
  ──30分後。
時雨「うう、失敗した。 卵がぐちゃぐちゃに・・・」
玲奈「オムレツは難しいからね。慣れてないうちは仕方ないわよ」
時雨「でも、玲奈ちゃんが作ったのに比べたら 全然美味しくなさそうだし。 やっぱり僕は料理に向いてないんだ・・・」
玲奈「そんな──!?」
玲奈(駄目よ。ここでやる気を削いでしまったら、時雨に家事をしてもらう私の計画が!)
玲奈「そうかしら? なら、そのオムライス、私のと交換しましょう」
時雨「え?」
玲奈「もぐもぐ・・・」
玲奈「うん。見た目は微妙だけど、味は美味しいわよ」
時雨「ほんと?」
玲奈「嘘は言わないわよ」
玲奈「いい? 料理は慣れなの。 だからこの調子で練習を続けていけば、 必ず上手くなるはずよ」
時雨「──!!」
時雨「分かった! 僕、玲奈ちゃんに美味しい料理を 作れるように練習頑張るよ!」
時雨「それじゃあ僕も、玲奈ちゃんのオムライス食べよーっと」
時雨「うーん、卵の塩加減は薄目の方がいいなぁ。ご飯の味付けは・・・」
玲奈「ふふっ」

〇空
玲奈(そのまま料理にはまって、ゆくゆくは三食全部作ってくれるようになればいいわ)

〇大企業のオフィスビル

〇個別オフィス
須佐川「幻術で人を操り怪異を攻撃する事件、か」
須佐川(狐守の話では多発しているようだが。被害者が怪異だからか、ほとんど通報はされてないみたいだな)
須佐川(恐らくすべて同一犯。しかもこっちの 妖力探知網にかからないという事は、 相手は妖力を隠せる危険度A以上の怪異・・・)
須佐川(同じ怪異を攻撃するなんて、一体何が目的だ?)
観崎「須佐川ちゃん須佐川ちゃん須佐川ちゃーん!!」
須佐川「呼ぶのは1回で良い。 ・・・なんだ観崎、そんなに慌てて」
観崎「ヤバいことが起こったんだよ!!」
観崎「管野少年の件の妖力解析が完了したんだけど、それが例の事件の時に検出された妖力と同じで・・・」
観崎「おまけに何故か殺生石の妖力充足値が、一気に95%まで上がっちゃったんだってば!!」
須佐川「──!? どういうことだ!?」
観崎「細かい説明は後で。でも、これだけは先に言わせて」
観崎「準備期間はもう終わり! 早急にプロジェクトTを本格始動させて!」
観崎「じゃないと人間の未来はなくなっちゃうよ!!」

〇空

〇オフィスのフロア

〇個別オフィス
玲奈「休日に呼び出されて会議なんて。 一体何があったのかしら」
酒巻「いつも以上に空気も重いし。 ああ、俺、何かしちゃったかな・・・」
須佐川「・・・全員、集まったな」
玲奈「須佐川さん。どうしたんですか、こんなに改まって」
酒巻「何かまずいことでも起こったんです?」
須佐川「いいや。「起こった」んじゃなくて、「これから起こる」んだ」
須佐川「だから、そろそろお前達にも話しておこうと思う」
須佐川「──プロジェクトTの真実を」

次のエピソード:14.真実の話を聞きました。①

コメント

  • なるほど、殺生石、妖力の充足、狐守。
    玉藻前が封じられてるのかな。まだ狐守さんの役割はわかりませんが、色々繋がってきました。まさか依り代…。

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