ライコウ 《天誅》

つんこ

天誅ノ章(脚本)

ライコウ 《天誅》

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〇屋敷の大広間
  何故ヤツラは浦賀に停泊する!
  長崎に行けと伝えろ!
  それが反応が無く
  舐められておるのです家慶公!
  今すぐ湾岸に大砲を配置すべきだ!
徳川 家慶「うむ」
  成りませぬ家慶公!
井伊 直弼「先ずは彼等の話を聞くのが先決!」
井伊 直弼「無駄に争いを起こせば 江戸が戦場と化すのですぞ!」
「えぇい!恐れを成したかこの腰抜けめ!」

〇屋敷の大広間
  幕府は開国派と攘夷派で2つに分かれ
  話し合いは平行線を辿っていた

〇海岸の岩場
  江戸の町は大いに揺れていた
  理由はただ一つ
  ”黒船来航”である──

〇祈祷場
  高圧的に開国を迫るペリーに対し
  幕府は家慶の病弱を理由に回答を来年まで延期した
  これで一時的に追い返えしたが

〇西洋風の部屋
ブキャナン艦長「提督、よろしかったので?」
マシュー・ペリー「問題ない」
マシュー・ペリー「補給が済めばまたニッポンに戻る」
ブキャナン艦長「え?」

〇古風な和室
徳川 家慶「ゴホッ、ゴホッ!」
阿部 正弘「今日はもうお休みになられた方が」
徳川 家慶「このような時に──」
徳川 家慶「ゴボ!」
阿部 正弘「家慶様!何か手立ては──」
官医「これは私ではどうにも」
徳川 家慶「ゴヨウを呼べ・・・!」
阿部 正弘「御庭番でございますか?」
徳川 家慶「これは、病では・・・」

〇草原
  嘉永6年、徳川 家慶 死去
  ペリーが日本から出国して
  僅か10日後のことである

〇畳敷きの大広間
安倍 正教「遣いの者が戻りました」
安倍 正教「すぐさま馳せ参じるとのこと」
阿部 正弘「であれば茶の用意をしろ」
安倍 正教「客人を迎え入れてからでも──」
百目鬼 ゴヨウ「御庭番頭領、百日鬼 ゴヨウ」
百目鬼 ゴヨウ「参上仕り候」
阿部 正弘「言うたじゃろう?」
安倍 正教「は、はひ・・・」

〇畳敷きの大広間
阿部 正弘「お主に回りくどい話など要らぬな」
阿部 正弘「家慶様が亡くなられた」
百目鬼 ゴヨウ「なんですと!?」
阿部 正弘「昨晩病の折、息を引き取ったのじゃ」
百目鬼 ゴヨウ「正弘殿、我等を招集した理由は・・・」
阿部 正弘「殺されたやもしれぬ」
百目鬼 ゴヨウ「誠にございますか?」
阿部 正弘「黒船の件は伝わっているな?」
百目鬼 ゴヨウ「承知しております」
阿部 正弘「家慶様はここ最近あることを調べておった」
阿部 正弘「デモンの仕業じゃ」
阿部 正弘「御庭番に命ずる!」
阿部 正弘「江戸に潜伏しているデモンを探し出し」
阿部 正弘「必ずや打ち滅ぼせ!」
百目鬼 ゴヨウ「正弘殿、1つだけお聞かせください」
阿部 正弘「なんじゃ?」
百目鬼 ゴヨウ「家慶様が我等に命を?」
阿部 正弘「そうじゃ、家慶様のお言葉である」
百目鬼 ゴヨウ「であれば我等の主君は家慶様で有らせられます」
百目鬼 ゴヨウ「これをお忘れなきよう」
阿部 正弘「契りは家慶様にあると?」
百目鬼 ゴヨウ「如何にも」
阿部 正弘「・・・ワシは何も知らぬ」
百目鬼 ゴヨウ「如意!」
阿部 正弘「やれやれ、百目鬼 ゴヨウ」
阿部 正弘「恐ろしき忠誠心也」

〇古民家の居間
虫葉「お庭様、此度の招集あの船に関わりが?」
百目鬼 ゴヨウ「うむ、皆も知っての通り江戸湾に現れた黒船はアメリカと呼ばれる国のものだ」
藍「お庭様、アメリカは南蛮と違うのですか?」
地紋「これまで貿易してきたスペインや中国と違い」
地紋「東の果てから来た者だ」
百目鬼 ゴヨウ「そのアメリカ人によって家慶様が暗殺された可能性がある」
地紋「正しくは呪いの一種」
地紋「恐らく病魔に似た力でしょう」
地紋「もともと命を危ぶむ程の力はない」
地紋「故に私でも呪痕の追跡が困難だ」
虫葉「殺したのか殺してないのかどっちだよ」
百目鬼 ゴヨウ「過労が呪力に拍車を掛けたのだろう」
藍「計画的な犯行でしょうか?」
百目鬼 ゴヨウ「恐らくな」
百目鬼 ゴヨウ「よいか、江戸に潜むデモンを討ち滅ぼすが 我等の命」
百目鬼 ゴヨウ「これは亡き家慶様の命である」
百目鬼 ゴヨウ「皆の者心して掛かれ!」
「如意!」

〇西洋風の部屋
ブキャナン艦長「こんな無茶して通りますかねぇ」
マシュー・ペリー「外交は友好に訴えるより」
マシュー・ペリー「恐怖に訴える方が利点があるのだよ」
ブキャナン艦長「そうであると願いたいですな」

〇謎の扉
  そやつらを解き放て
  恐怖と混乱を巻き起こし
  奴等を蹂躙するのだ!

〇沖合
  嘉永7年、黒船再度来航
  日本は開国の返答に1年の猶予があったが
  ペリーは僅か半年で戻ってきた

〇屋敷の大広間
  ペリーの予想外の行動に幕府は大いに焦り
  特に攘夷派の老中たちは頭を抱えた

〇城下町
  しかし、ペリー来航の知らせと同時期に
  江戸に何かが上陸していた

〇城下町
武士「うっぷ、ちょっと飲みすぎたか」

〇城下町
町人「あんた大丈夫かい?」
町人「飲みすぎたんなら休んだらどうだ」
「うわぁ!ひ、人斬りだー!」

〇池のほとり
バルベリヒト「ヒヒヒッ!」

〇古風な和室
「ゴソゴソ」
商人「静かにしやがれ」
商人「仕事で疲れてんだぞ」
町民「アンタ、助けて──」

〇アマゾン川のほとり
船頭「おい何か燃えてねえか?」
船頭「ありゃあ桶町辺りだ」
船頭「親父!大丈夫か!」

〇血しぶき
  親父!

〇アマゾン川のほとり
船頭「水中に何かいる」

〇水中

〇屋敷の大広間
徳川 家定「江戸に一体何が──」
阿部 正弘「家定様お気を強く!」
阿部 正弘「必ずやこの騒ぎは収まりまする!」
使い「将軍様、ペルリ殿がお目通りをと」
阿部 正弘「ええぃ!奴等隠し立てする気も無しか!」
阿部 正弘「こんな状況でお目通りもクソもあるか!」
使い「もしお目通りができぬならと」
徳川 家定「それは何だ?」
使い「旗でございます」

〇岩山の崖
サラトガ「ようやく解放されたと思いきや」
サラトガ「こんなチンケな国に島流しとは」
サラトガ「なんだぁ?」
百目鬼 ゴヨウ「お前がデモンの操者だな」
サラトガ「お前は忍びだろ?」
百目鬼 ゴヨウ「御命頂戴する」
サラトガ「名前ぐらい教えろよシャイボーイ」
百目鬼 ゴヨウ「ゴヨウだ」

〇水中
シーモンス「ニッポン人ってのは悪くねえ」
シーモンス「これならいくらでも食えるぜ」
シーモンス「は?」

〇アマゾン川のほとり
シーモンス「誰の仕業だ!」
船頭「ば、バケモノ!」
???「サッサと逃げろ」
船頭「す、すまねぇ」
シーモンス「女がぁ!テメェの仕業かぁ!」
シーモンス「八つ裂きじゃ済まさねえ!」
藍「煮ても焼いても食えなそ」
シーモンス「女の血肉は久々だぁ」
シーモンス「楽しませてもらうぜ」
藍「ボン」

〇水中
シーモンス「あの女ぜってえ食う!」
シーモンス「指先からバリバリ食ってやる!」

〇アマゾン川のほとり
藍「大したことない雑魚」
藍「川に逃げたって無駄」
藍「忍法『変心』」

〇水中
シーモンス「水中に逃げればこっちのもの」
シーモンス「後は機を見て引きずり込めば──」
「忍法『ジャコウ』」
シーモンス「イッテェ!」
天邪鬼(アマノジャク)「倒すには火力が足りないか」
シーモンス「なんなんだオメーはよ!」
天邪鬼(アマノジャク)「それなら──」

〇水の中
シーモンス「水中で俺に勝てると思ったか!」
シーモンス「こんなのちょっと刺さる豆鉄砲」
天邪鬼(アマノジャク)「速い!」
シーモンス「バリバリだぜ!」
天邪鬼(アマノジャク)「好きなだけ噛み砕きな」
シーモンス「アガガ・・・」
天邪鬼(アマノジャク)「手伝ってあげるよ」

〇山中の川
藍「まだ頭がクラクラする」
藍「しばらく流されよう」

〇池のほとり
バルベリヒト「クケケケ」
虫葉「洗脳?趣味が悪いな」
バルベリヒト「誰だ貴様!」
虫葉「御広敷番虫葉」
バルベリヒト「全然意味わかんねぇよ」
虫葉「お前を殺す者だ」
バルベリヒト「ぐわあ!」
虫葉「意外と軽いなお前」
バルベリヒト「この男、速い!」
バルベリヒト「ぐぬぬ!」
虫葉「悪いがさっさと終わらせるぜ」
バルベリヒト「舐めるなよ人間風情が!」

〇黒
虫葉「これは?」
  ゲヘヘヘ
虫葉「その下品な笑い方、お前の幻術か」
  ここは狂気の中
  余裕でいられるのも今の内だ

〇血しぶき

〇池のほとり
虫葉「ぐ、うう・・・」
バルベリヒト「ゲヘヘ、所詮は人間」
バルベリヒト「後は俺のおもちゃにして──」
バルベリヒト「お前・・・」
虫葉「へ、へへ 幻術には痛みって母ちゃんがさ」
バルベリヒト「自分の体を刺して悪夢を解いたか」
バルベリヒト「お前どうかしてるぜ」
虫葉「テメェが言うな!」
バルベリヒト「グハハハ」
バルベリヒト「解かれたならもう一度掛けるまで」
バルベリヒト「フン!」
虫葉「忍法『変心』」

〇池のほとり
土鋸(ツチノコ)「どうやらその術 人間にしか効かんようだな」
バルベリヒト「ばか・・・な!」
土鋸(ツチノコ)「他に術は何があるんだ? 見せてみろよ」
バルベリヒト「ぐ、ぬぬ・・・」
バルベリヒト「かあっ!」
バルベリヒト「フン!」
土鋸(ツチノコ)「目眩し程度か」
土鋸(ツチノコ)「術に頼って肉体の鍛錬を忘れてるぜ」
バルベリヒト「か、硬い!爪が弾かれる!」
バルベリヒト「わ、悪かった!」
バルベリヒト「ニッポンから出て行く!だから──」
土鋸(ツチノコ)「筋肉の勝利」
虫葉「ッ!深く刺しすぎた」
虫葉「ま、生きてっからいーか」
???「であえ!であえー!」
虫葉「何者だ貴様等──」

〇霧の中

〇流れる血
地紋「むごい」
地紋「男は食い荒らされ」
地紋「女は裸にされ放置」
地紋「淫魔か」
地紋「出てこい!おんわらかおんそわか!」
インクブス「ぐるるるる」
地紋「言葉すら話せん低級魔族が」
地紋「常闇の国に帰れ!」
地紋「ハァ!」
インクブス「フシュウウウ──」
地紋「汚い断末魔だ」
地紋「何だ!女の体が膨らんで──」
地紋「血が──」
地紋「くっ」
地紋「まさか淫魔の子──」
地紋「くぅ」
地紋「呪文が間に合わん」
地紋「致し方ない」
地紋「忍法『変心』」

〇古風な和室
地震蟲(ジシンムシ)「土・元・行・躰・妖・変・地・通・力」
地震蟲(ジシンムシ)「九字蠱術『サナダグモ』」
地震蟲(ジシンムシ)「絡め取れ」

〇流れる血
地震蟲(ジシンムシ)「残さず食え」
地震蟲(ジシンムシ)「御苦労」
地紋「虫ケラに相応しい最後よ」

〇草原
地紋「虫がざわついている」
地紋「何か、まだ何かが起きる」
地紋「御庭様の元へ急がねば」
???「そこの者止まれい!」
地紋「目明し?」
地紋「おやおや、町奉行の方が神職に何用かな?」
地紋「何やら町で騒ぎが起きてる様子」
地紋「このような場所で油を売っては──」
地紋「な、何を!?」
目明し「御命頂戴する」
目明し「かかれ!」

〇山中の川
藍「何故奉行が地紋を殺す!?」
藍「敵は・・・デモンだけじゃない!?」

〇岩山の崖
百目鬼 ゴヨウ「はぁ、はぁ・・・」
サラトガ「随分と器用だな」
サラトガ「が、それだけだ」
サラトガ「小手先で俺様は殺せねえ」
サラトガ「隠し玉があるならサッサと出しな」
百目鬼 ゴヨウ「埒が明かんか」
百目鬼 ゴヨウ「忍法『変心』」
百鬼(ナキリ)「百鬼」
サラトガ「6000マイル彼方の島国で」
サラトガ「同族に会えるとは」
サラトガ「冥土ってんだろ? お前らの地獄はよ」
  エクソシズム(降魔)!

〇炎
イフリゲート「イフリゲート様だ!」

〇湖畔の自然公園
百鬼(ナキリ)「くっ・・・」
イフリゲート「フハハハハ!脆いぞニッポン人!」
イフリゲート「そんなしょっぱい剣じゃ俺様は切れねえぜ」
百鬼(ナキリ)「・・・」
イフリゲート「相変わらずシャイボーイか」
イフリゲート「これだからニッポン人ってのは好かねぇ」
百鬼(ナキリ)「同感だ」
イフリゲート「ようやく口を開いたか」
イフリゲート「忍びってのは術を使う小賢しい連中じゃなかったか?」
イフリゲート「バケモノ並みの体力は認めるが」
イフリゲート「それだけではなぁ」
百鬼(ナキリ)「フッ」
イフリゲート「何が可笑しい」
百鬼(ナキリ)「よく吠えるのは、倒せない言い訳か?」

〇湖畔の自然公園
イフリゲート「ニッポン人もジョークが言えるではないか」
イフリゲート「すぐその減らず愚痴叩けなくしてやる!」

〇湖畔の自然公園
百鬼(ナキリ)「視界が──」

〇湖畔の自然公園
イフリゲート「蒸気であるッ!」
イフリゲート「ウラァッ!!」

〇湖畔の自然公園
百鬼(ナキリ)「ゴフッ」
イフリゲート「この技を食らってまだ反撃する意志があるのは褒めてやる」
イフリゲート「だが──」
イフリゲート「いつまで持つかな?」

〇湖畔の自然公園
イフリゲート「チッ、本当にしぶとい」
百鬼「お前は俺を倒せない」
イフリゲート「なんだと!」

〇黒
  百鬼は何の術も技も持ち合わせていない
イフリゲート「ケッ、まだ何か隠してるんだろ?」
  百鬼の力は1つのみ
  術者の魂が強く脈動する限り
  地面に伏することは無い
イフリゲート「地面に伏することがない?」
イフリゲート「焼かれ続けても大丈夫ってことだよなぁ!」

〇炎
  1時間後
イフリゲート「ハァ、ハァ」
百鬼(ナキリ)「さっきまでの勢いはどうした?」
イフリゲート「う、うるせぇ!」
百鬼(ナキリ)「痛みも熱さもしっかりと感じておる」
百鬼(ナキリ)「さぁ、私を後悔させてみよ」
イフリゲート「コイツ・・・」
イフリゲート「ヤベーのは百鬼より中身じゃねぇか!」
イフリゲート「チッ、このマゾ野郎仕切り直しだ」
百鬼(ナキリ)「逃げる気か?」
イフリゲート「埒があかねーだろうが!」
百鬼(ナキリ)「俺たちではな」
百鬼(ナキリ)「お前が派手に燃やしてくれたおかげでよい目印になった」
???「忍法」

〇湖畔の自然公園
天邪鬼(アマノジャク)「『梅雨柱』」

〇湖畔の自然公園
イフリゲート「み、みずううぅぅ」
百鬼(ナキリ)「貴様は我等を同族と呼んだな」
百鬼(ナキリ)「我等は影に生きる者──」
百鬼(ナキリ)「闇に堕ちた貴様等と同じにするな」

〇湖畔の自然公園
天邪鬼(アマノジャク)「お庭様お見事です」
百鬼(ナキリ)「藍のお陰で助かった」
藍「お庭様が耐え忍んだ結果です」
藍「それより至急ご報告が・・・」

〇海岸の岩場
「何ッ!地紋が町奉行に?」

〇湖畔の自然公園
藍「はい、遠目からでしたが・・・」
???「間違いないぜ」
藍「ちょっとその傷!」
虫葉「心配か?死にゃあしねえよ」
藍「バカ!そんな場合じゃ」
虫葉「そうだ。そんな場合じゃない」
虫葉「お庭様、様子が変だ」
虫葉「デモンじゃない誰かが裏で糸を引いてる」
  開国派か?
虫葉「十中八九──」

〇荒野
藍「くっ」
  藍!無事か!
藍「虫葉が、虫葉がどこにも・・・」
  一体何が起きた
  伏せろ!

〇荷馬車の中
ブキャナン艦長「これは独立記念の祝砲である!」
ブキャナン艦長「政府の許可は降りた」
ブキャナン艦長「思う存分撃てい!」
「サー!」
ブキャナン艦長「実弾なんだけどいいのか?」

〇西洋風の部屋
マシュー・ペリー「最早デモンなどどうでもいい」
マシュー・ペリー「用済みは片付けねばな」

〇村の眺望
  動けるか藍
藍「すみません」
  生きているならいい
  それにしても黒船が撃ってくるとは
  遂に戦争を仕掛ける気か
???「それは違うな」
井伊 直弼「御庭番頭領」
  井伊直弼!
井伊 直弼「アレを見よ」
井伊 直弼「貴様ならあの旗の意味理解できるな?」
  まさか幕府は──

〇屋敷の大広間
阿部 正弘「済まぬゴヨウ」

〇黒
  ペリーは幕府に向けて2つの旗を贈った
  その片方は白旗とされており
  病弱で気弱だった徳川家定は
  ペリーの圧力に屈し、白旗を上げたのだった

〇村の眺望
井伊 直弼「貴様は幕府に仇なす反逆者である!」
井伊 直弼「ワシに忠誠を誓うなら」
井伊 直弼「その女もろとも助けてやってもよいぞ」

〇草原の道
百目鬼 ゴヨウ「藍、すまない」
藍「最期までお供致します」
百目鬼 ゴヨウ「ありがとう」

〇村の眺望
井伊 直弼「死人に従う愚か者め」
井伊 直弼「そんなに会いたいなら 今すぐ黄泉へ送ってくれる!」
井伊 直弼「構え!」
井伊 直弼「撃てー!」

〇草原の道
藍「御庭様!」
百目鬼 ゴヨウ「スマン」

〇村の眺望
井伊 直弼「ええい!死にぞこないめ!」
井伊 直弼「であえ!であえ!」
「おう!」

〇黒
百目鬼 ゴヨウ「来い!百鬼!」

〇村の眺望
井伊 直弼「何をしておる!」
井伊 直弼「手負い一人討ち取れんのか!」
百鬼(ナキリ)「遅い!」
井伊 直弼「ま、待て!ワシは──」

〇黒

〇村の眺望
井伊 直弼「は、え?」
井伊 直弼「ワシの病魔が!」
百目鬼 ゴヨウ「我等が任務はただ1つ」

〇屋敷の大広間
阿部 正弘「江戸に潜伏しているデモンを探し出し」
阿部 正弘「必ずや打ち滅ぼせ!」

〇朝日
「早く誰かヤツを討たんか!」
  家康様、任務完了でござる

〇黒
  6年後──

〇桜並木
井伊 直弼「遂に本格的な開国が始まる」
井伊 直弼「後はアヘンさえあれば」
井伊 直弼「この国はワシのものだ」
井伊 直弼「ワーハッハッハッハッ!」
井伊 直弼「な、なんだこれは?」
井伊 直弼「天誅?」
???「お覚悟」

〇血しぶき

コメント

  • 史実に則りながら、怪人要素も違和感がなく、とても楽しく読ませていただきました!

    素敵な作品に出会わせていただきありがとうございました!

  • 時代劇と怪人の組み合わせが新しい!
    色々技を繰り出すのがかっこいいですね。
    変心をずっと恋心って読見間違えてたのは秘密

  • ペリー来航と家慶の早逝を切り口にするとは…
    幕末活劇4本勝負、楽しみました
    ゴヨウの返答が「御意」ではなく「如意」なのも、あくまで主君は阿部でも家慶でもなく、初代将軍徳川家康である意志の表れか……

    面白かったです

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